健康経営
2021.06.04
オフィス環境の整備は企業満足度のカギ!働き方改革に向けての取り組み事例とは
1日のうち長い時間を過ごすオフィスの環境が整っていると、快適に仕事を進められるため、従業員の企業に対する満足度が高まるだけではなく、モチベーションや健康維持にも深く関係し、業績にも良い影響を及ぼします。
オフィス環境を整備していくうえで、改善のポイントや事例などを、今回の記事で解説します。
オフィス環境の整備は企業の生産性に大きく関係する
オフィスでは、日々の業務を優先しないといけないため、業務が多忙になるとオフィス環境の改善は後回しになりがちです。
しかし、オフィス環境は従業員が仕事上で感じるストレスに、少なからず影響を与えるため、生産性の向上を目指すにはオフィスの「働きやすさ」を確保する必要があります。
オフィス動線が整っていないと、作業効率が下がる
オフィス動線は、オフィス内をスムーズに移動し、作業効率を上げることに寄与していますが、動線が悪いとオフィス内の移動ひとつにも余分な時間を取られてしまいます。
すぐ目の前にあるデスクへ行きたいのに、動線がないために遠回りしないといけないのでは、ストレスも溜まってしまうでしょう。
作業効率を下げないためにも、オフィス内のレイアウトや、部署ごとのデスク配置は、従業員が使いやすいものでないといけません。
収納設備は快適なオフィス環境の第一歩
書庫をはじめとする収納設備を整えることも、スムーズに作業をするための重要ポイントです。
どこにどの書類が収納されているのかが分かりにくい、備品を使い切ったのに気が付かないなど、収納状況が好ましくないことは、業務が滞ってしまうだけでなく、探し物をする時間も無駄になってしまいます。
また、収納設備が経年劣化していて使い勝手が悪くなり、物の出し入れがしにくいのも問題です。
書類だけでなく、ジャケットやカバン、傘立てなど、従業員の私物を保管する場所も確保しないと、働きやすいと感じないばかりか、来客時に慌てて対応することになります。
小さな不満が積み重なると、とても大きな不満につながります。日頃から収納箇所の確保や整理への取り組みが大切です。
1日の大半を過ごすオフィスの環境は重視すべき
従業員にとって居心地が良くないオフィスでは、作業効率や生産性が下がるだけでなく、従業員がストレスを感じる大きな要因となります。
動線が整っていて収納スペースも十分に確保されていても、オフィスの照明が暗いとしたら、従業員はどう感じるでしょうか。気分が落ち込む、やる気も失せる、目が疲れる、集中できない、肩こりや頭痛につながりやすくなるなど、デメリットばかりがあげられるでしょう。
どのようなオフィス環境が快適と感じるのか?
オフィス環境の重要性を解説したところで、どのようにオフィス環境を整えると従業員は快適と感じられるようになるのでしょうか。
身体的な感覚(部屋の明るさ、空気、温度など)を重視している
オフィスの部屋の明るさを適切に保つことで、眼精疲労の軽減に効果が期待できるほか、部屋ごとに雰囲気を変えることへも活用できます。昼光色は業務スペース・昼白色はエントランスや会議室・電球色は休憩スペースといった具合です。
また、オフィスで仕事をしていて、極度に眠かったり頭がボーっとしてしまったりすると、室内の二酸化炭素濃度が高まっている可能性があります。オフィスの窓や換気扇の配置に合わせて、空気を定期的に換気させましょう。観葉植物を置くのも、目の休憩に役立てられます。
温度については、外勤従業員と内勤従業員の体感温度が大きく異なることで、以前からたびたび対策事項のひとつにあげられています。
事務所衛生基準規則第二章第五条の中では、「室温は17度以上28度以下・湿度は40%以上70%以下」と定められています。この数値を参考にするなどして、多くの従業員が快適だと思える温度管理を心がけましょう。
動線やレイアウトが工夫されている
企業や部署の事情に合わせて、作業動線やデスクのレイアウトなどが工夫されていると、業務に集中できるうえ、部署内での連携がしやすくなります。適切なレイアウトを取り入れるには、実際にその場所で業務を行う従業員の意見を反映するのが最善策です。
動線やレイアウトに迷ったら、他社のアイディアを参考にするのもおすすめです。レイアウトのバリエーションはますます豊富になっていますので、いいアイディアが浮かぶかもしれません。
企業によっては、オフィス環境を社外に紹介するために、オフィス内の見学を行っているところもあるようです。気になる企業があれば、確認してみると良いでしょう。
執務スペースと休憩スペースが別々に確保されている
業務を進める執務スペ―スと、休憩・リラックス・気分転換などを目的とした休憩スペースは、別々に確保するのが理想です。両スペースが一緒になってしまうと、仕事と休憩のメリハリがつかなくなったり、リラックスできなかったりするためです。
両スペースが別々になっていれば、気持ちの切り替えがしっかりできるほか、他部署との交流も持てるようになります。
椅子やデスクの使い心地が配慮されている
デスクワークが中心の従業員であれば、椅子の使い心地は業務効率に大きな影響を与えます。デザインや値段で決めるのではなく、クッション性・背もたれ・高さ調節機能付きなど、機能性に優れた製品を選びましょう。
近年では、姿勢良く座るために、バランスボールを椅子として取り入れている企業も増えています。
デスクも、椅子に合った高さのものを選ぶほか、シンプルなデザインのもの、書類立てがあるもの、足元のスペースが十分とれるものなどを選ぶと良いでしょう。
オフィス環境の改善で得られるメリットとは
オフィス環境は、従業員にとって大きく影響していることが分かりました。より良い環境を構築することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
作業効率が上がり、生産性も上がる
業務に必要な備品を取り出すのに、決められた格納場所からさっと持って来られるのと、時間をかけてオフィス中を探すのとでは、かかる時間は雲泥の差です。
オフィス環境が整っていれば、時間ロスをなくすことで作業効率が上がっていきます。
気分を切り替えられるフリースペースやカフェなどがあれば、思想の切り替えができたり、雑談の中でアイディアが思いついたりするかもしれません。このような生産性向上も、オフィス環境が整っていれば大いに期待できるところです。
社員のモチベーションが維持できる
社会人の誰もが、快適に仕事ができる場所で働きたいという気持ちを持っているでしょう。オフィス環境が整うと、従業員の満足度も上がり、仕事に対するやる気やモチベーションを維持できるようになります。
一般社団法人日本オフィス家具協会が、2017年(平成29年)に発表したワーカーアンケート集計によると、「オフィス環境の良し悪しが、仕事に対するモチベーションに影響する」と考えている人の割合は、「そう思う」「ややそう思う」を合わせて71.4%にものぼったのです。適切な施策を施すことで、モチベーション向上に大きく影響することが分かっています。
ストレスの軽減が期待できる
オフィス環境の整備によって働きやすいオフィスになると、その分ストレスを感じにくくできる効果が期待できます。
動線が整っていれば、遠回りすることなくデスクにたどり着けたり、探し物がすぐ見つかったりと、それまでできなかったことができるようになります。業務に集中できるデスクレイアウトになっていれば、集中力が散漫する回数も減らせるかもしれません。
オフィス環境の改善事例をご紹介
オフィス環境を改善したことで、どのように業務効率を上げられるようになったのか、事例を紹介します。
予約なしで使えるミーティングスペースの設置
東京都渋谷区にある、株式会社クロスアーキテクツでは、スケジュール管理業務の無駄を省くことや、会議室の予定を調整することで生まれる時間ロスの削減が課題となっていました。
その結果、予約なしで使いたいタイミングにすぐ使えるオープン会議室を設けました。これにより、時間のロスを減らす効果が確認できたのです。さらに、必要以上に会議が延長しないように、立ったままミーティングが可能なスペースも検討しています。
ホワイトボードがついたパーティションの導入
東京都千代田区に本店を構える弁護士法人ジェネシスでは、ミーティングを活発化させるのと、準備時間の削減のために、ホワイトボードがついたパーティションを導入しました。間仕切りとホワイトボードが一体化していることで、必要な場所に置くだけで準備が完了し、時間短縮につなげることができました。
ボルダリングウォールの導入
世界最大手のECサイト・Amazonの日本法人では、オフィス内にボルダリングウォールが設置されており、手続きをすれば誰でも利用可能です。ウォールの反対側は、社員が考案したすり鉢型の会議室が設けられています。
社内の至る場所にホワイトボードが置かれているのも、思いついたらすぐに文字として書き出せるようにとの工夫です。
また、社員食堂で出されるメニューには、化学調味料や農薬が少ない食材を使用し、健康的に働けるような配慮もなされています。
まとめ
オフィス環境の改善を進めることで、業務効率化・生産性向上が見込めるうえ、社員のことを考えている企業との見方が広まるため、人材の確保にもつなげられるようになります。
オフィスの定義を、働く場所としてだけでなく、企業を発展させる足がかりになる場所として捉えると、環境整備の重要性がさらに認識できるのではないでしょうか。
従業員それぞれの長所を活かし、能力を集結させつつ、工夫をこらしたオフィス環境の整備を進めていきましょう。
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