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フリーアドレス

2021.11.29

オフィスをフリーアドレス化|基本から成功のポイント・導入後の注意点までを徹底解説

オフィスをフリーアドレス化|基本から成功のポイント・導入後の注意点までを徹底解説

柔軟な働き方・環境が求められている昨今、従来のオフィス形式にとらわれないフリーアドレスが注目されています。

リモートを段階的に進めていく足掛かりにもなるオフィスのフリーアドレス化。今回は、そのフリーアドレス化の基本や目的を詳しく解説します。フリーアドレスの課題や導入方法、成功のポイントについても紹介するので、オフィスのフリーアドレス化を検討している人は、導入するかどうかを判断する材料として活用してください。

オフィスのフリーアドレス化とは?

フリーアドレスは、従業員がその日の気分や勤務状況に合わせて自由に座席を選び、仕事をするワークスタイルのことです。自由に自分の所在を選ぶというところから「free(自由な)」「address(所在)」が組み合わさり、「フリーアドレス」と言われています。

働き方改革が進む今改めて注目されている

今フリーアドレスが日本で注目されている背景には、2つの理由があります。

フレキシブルな働き方を採用する企業の増加

1つ目は、働き方改革や社会情勢によるフレキシブルな働き方を採用する企業が増えていることです。

<例>

  • ・在宅ワーク
  • ・テレワーク
  • ・サテライトオフィス勤務
  • ・フレックスタイム制
  • ・1日6時間勤務…など

日本では、従業員一人ひとりに固定の座席を割り当てるスタイルが主流だった1980年後半ごろに、フリーアドレス化が提唱されましたが、当時はまだ出社して業務にあたるという働き方が一般的でした。そのため、運用スタイルが定着しづらく、多くの企業が難しさを感じてブームが沈静化した過去があります。

しかし、近年は出社を当たり前としないワークスタイルが定着しつつあり、成功事例も増えていることから、フリーアドレスを採用する企業が増えています。

デバイスの変化

2つ目は、勤務で使用するデバイスが据え置きのデスクトップPCから持ち運べるノートPCが主流になってきたという点です。

従来のオフィスは、固定席が当たり前だったため、一人一台のデスクトップPCが割り当てられる企業が多く見られました。しかし、今では働き方が多様化した影響で、外出先へ持ち出したり、リモートワークで支給されたノートPCを使用したりするケースが増えています。その影響で、デバイスも持ち運べるノートPCを支給するのが一般的となり、フリーアドレスの採用を拡大させる要因となっています。

フリーアドレスを導入する企業の割合

ここでは、実際にどの程度の企業がフリーアドレスを導入・検討しているのか、2つのデータをもとに紹介します。

調査対象の約2割がフリーアドレスを採用

岡村製作所が、創意・工夫を凝らしたオフィスに贈られる「日経ニューオフィス賞(2015年度)」の応募オフィスを対象に行った調査によると、フリーアドレスを導入している企業は全体の23%でした。そのうち、全面フリーアドレスを採用している企業は11%という状況です。

全体件数でみると、フリーアドレスを採用する企業はまだまだ少数ですが、年々増加傾向にあります。

出典:【株式会社オカムラ】「フリーアドレス」

2019年から2020年でフリーアドレスのニーズが約9%増加

森ビル株式会社が発表した「2020年 東京23区オフィスニーズに関する調査」でも、「勤務制度やワークプレイスに関する導入状況」の項目で、フリーアドレスの割合が増加しています。

  • 2019年:19%
  • 2020年:28%(+約9%)

数値的には微増ですが、着実にニーズや導入を検討する企業が増加傾向にあります。

出典:【森ビル株式会社】「2020年 東京23区オフィスニーズに関する調査」

フリーアドレスの主な目的

ここまで、フリーアドレスの基本やニーズなどについて紹介してきました。この章では、フリーアドレスの主な目的について解説します。

まずは、以下をご覧ください。以前と現在のフリーアドレスの目的を比較したものです。

  以前のフリーアドレス 現在のフリーアドレス
目的 ・オフィス面積の縮小 ・社員間、部署間におけるコミュニケーションの活性化
・働く人の意識改革
・ペーパーレスなど環境に優しい働き方

以前は、外出の多い部署などは固定席を設けておいても稼働率が低いことから、オフィス面積の縮小を目的にフリーアドレスを採用する企業や部署が多く見られました。

しかし、最近はオフィス面積の縮小よりも、社員同士や部署ごとの連携強化や新しいアイデアの創造など、ビジネスへの影響を期待してフリーアドレスを採用する企業が増えています。

フリーアドレス導入における課題

導入の目的が多様化し、メリットも多いフリーアドレスですが、従来のオフィス環境や運用システムもがらりと変わるため、もちろん導入における課題もあります。

主な課題としては、以下の2つがあげられます。

  • ・導入コストがかかる
  • ・セキュリティが甘くなる

それぞれ詳しく見てきましょう。

導入コストがかかる

オフィスのレイアウト変更に加え、フリーアドレス用のデスクやチェアといった必要な設備をそろえるだけでも大きなコストがかかります。

ただし、一度フリーアドレスを採用してしまえば、組織変更や急な人員の増減にも柔軟な対応が可能です。プロジェクトごとのレイアウト変更もしやすくなるので、コストと導入後のメリットを比較して採用するかどうかを決定しましょう。

セキュリティが甘くなる

人々の交流が盛んな自由空間はフリーアドレスの大きな魅力ですが、自分専用の引き出しやキャビネットなどがないため、私物や大事な資料などがデスク上に溢れてしまうといったケースや、さまざまな部署の人が利用するため、オフィススペースへの入退システムを導入しないままフリーアドレスを実施してしまうと、万が一社外の人が紛れていたとしても気付きにくいなどといった可能性さえあります。

近年ではこういった背景から『柔軟性のあるオフィス空間と高度なセキュリティを併せ持った』オフィススペースのニーズが増えてきており“入退管理システム”や“社員の所在をリアルタイムで視覚化”できるといったサービスも開発・提供されてきています。

入退システムソリューション ・POSITUS

フリーアドレスが向いている企業・向いていない企業

フリーアドレスを導入する目的が多様化している今、向いている企業と向いていない企業を一概に分けることはできませんが、導入しやすい・導入しにくいという傾向はあります。

以下にまとめているので、ご覧ください。

フリーアドレスが向いている企業 フリーアドレスが向いていない企業
・社内で働く社員が少ない(在席率が低い)
・複数の部署が参加するプロジェクトが多い
・社員の働き方の多様性を尊重している
・社員の在席率が高い
・集中して行う必要がある作業が多い
・機密情報を扱っている

社内の在席率が低い企業は、フリーアドレスを導入しやすい環境です。また、複数の部署をまたいでプロジェクトを進めている企業は、フリーアドレスにすることで、プロジェクトごとに集まって座れるので、連携を取りやすくなります。

会議やミーティングが多い部署やチームも、フリーアドレスを採用すると、席にいながら気軽に意見交換やアイデア出しをすることが可能になり、業務効率や生産性を高めることができます。

しかし、逆に在席率が高いと、一人ひとりの固定席が必要になるため、フリーアドレスが適さないケースが多い状況です。また、仕事の結果に影響するケースやセキュリティの高さが求められるような企業も、フリーアドレスはあまり向かないと言えます。

オフィスにおけるフリーアドレスのタイプは2種類

ここからは一歩踏み込み、実際にフリーアドレスを採用しようと考えている人向けに、フリーアドレスのタイプについて紹介します。

フリーアドレスは、大きく2つのタイプにわけることができます。各タイプの特徴やメリット・デメリット、向いている業種などを見ていきましょう。

オールフリーアドレス

オフィス全体をフリーアドレス化したタイプは、「オールフリーアドレス」に位置付けできます。

メリット ・組織変更をしてもレイアウト変更が少ない
・組織間でのコミュニケーションが流動的になる
・スペース効率がよい
デメリット ・どこにどの部署の人が座っているのかがわかりにくい
・同じ部署の人とのコミュニケーションが取りづらい
・席が固定化しやすい
向いている企業 ・複数の部署が参加するプロジェクトが多い
・社内で働く社員が少ない(在席率が低い)

プロジェクトごとに各部署の担当者が固まって座るなど、その場で気軽に意見交換などもしやすい環境があるため、新しいアイデアの創造や生産性の向上などが期待できます。

グループアドレス

部署やグループごとにエリアを設けるタイプは「グループアドレス」に位置付けできます。

メリット ・担当者を見つけやすい
・グループ間のコミュニケーションを促進できる
デメリット ・席の選択が限定的
・他部署とコミュニケーションが取りづらい
向いている企業 ・社員の在席率が高い
・チームワークを重視している

他部署との連携が少ない場合や、社員の在席率が高いケースは、部署・チーム内の士気を高めやすいグループアドレスがおすすめです。

5STEPで実現! フリーアドレスの進め方

ここでは、実際にフリーアドレスを導入する場合の一般的な流れ(フロー)を紹介します。

【STEP1】導入目的の明確化

従業員の中には、「面倒だ」と思う人が出てくることも想定されるため、まずは「なぜフリーアドレスを導入するのか」を明確に示すことが大切です。

特に、フリーアドレスの導入によって従業員のやる気を高めていきたいのであれば、以下のようなゴールをはっきりさせておきましょう。

<導入目的の例>

  • ・部署内やチーム内の連携およびコミュニケーションの促進
  • ・所属部署を問わず、従業員同士のコミュニケーション促進
  • ・多様化する働き方やニーズに合わせた社内環境の整備 …など

それぞれの目的に対してのメリットや期待できる効果などを一緒に説明すると、より説得力が増します。

【STEP2】オフィスの在席率を調査

次にすることは、オフィスの在席率調査を行い、どの程度の座席数が必要かを把握することです。

例えば、席が足りない状況だと勤務しづらくなり、社員のモチベーション低下を招いて生産性も下がります。逆に在席率を見誤ると、広いオフィスやデスクやチェアといった設備にお金が必要になり、余計なコストをかけてしまうことになります。

フリーアドレスの検討段階で、各部署やチームのほか、時間帯・週単位・月単位で在席率を分析して、把握するようにしましょう。

【STEP3】レイアウト設計

オフィスの在席率を把握できたら、レイアウトを考えていきます。

ポイントは、従業員の働く環境や仕事内容、モチベーションに沿ったエリアを設けることです。

例えば、「いつまでに資料を作成しないといけない」というときには、一人で集中できるブースがあると作業もはかどりますよね。ほかにも、在宅勤務を推奨している企業なら、フロアの一角にWebミーティングブースなどを設けるのもひとつです。

必要な数のフリーアドレス用デスクやチェアをそろえたフロアではなく、従業員の満足度を高めるレイアウト設計を心がけましょう。

【STEP4】デスク・ロッカーなどの準備

デスクは、シーンに応じた利用ができるよう、複数人が利用できる大きなテーブルから少数でも使用しやすいテーブルまで、さまざまなタイプを準備しましょう。

【STEP5】座席・運用ルールの決定

ルールが定まっていないと、フリーアドレスの効果を最大限に活かせない可能性があります。

特に次の項目については、どのような運用にするのかを決めておきましょう。

  • ・朝礼
  • ・ミーティング
  • ・チームで座りたいときのルール(いつも同じメンバー・同じ場所にならないように)

詳しくは、次章の「運用においてのルール作り」で解説しますので、そちらをチェックしてください。

フリーアドレスを成功させる3つのポイント

フリーアドレスを成功させたいのであれば、運用にも工夫が必要です。

社員へ目的を浸透させる

目的がわからないまま進められると、従業員も「面倒」「やりづらい」といった不満を抱えてしまいます。そのため、「【STEP1】導入目的の明確化」で明確にした目的は、社員全員と共有することが大切です。

フリーアドレス導入前に従業員向けのセミナーなどを開催し、全社員が目的を理解した上で導入するほうが失敗しづらいでしょう。

運用においてのルール作り

スムーズな運用を目指すのであれば、一定のルールを設けておくことも有効です。

特に、席については固定されてしまうだけでなく、同じ部署や同期同士などで行動するなどの失敗例がよく見られます。フリーアドレスにしても、いつも同じ席に同じメンバーではあまり意味がありません。このような状況に陥らないためにも、運用ルールの工夫は欠かせません。

「週ごとにエリアを変える」「1週間以上同じメンバー・同じ席に座らない」などといったゆるやかなルールを設けることでメンバー同士の交流の活発化を促進できるかもしれません。

働く環境を効率化させるツールを活用する

入退室を自動で管理するICTシステムを導入すると、セキュリティ強化が期待できます。在席状況や電話の取次ぎについても、出勤や外出の状態を把握しやすいチャットツールやWeb電話帳サービスなどを活用することで簡単に把握できます。

また、フリーアドレスを採用すると固定席がないため、必要な書類や荷物を置いておく収納や社内の持ち運び用のモバイルバッグなどがあると便利です。特に収納は、紛失や盗難などを防ぐ役割もあるので、従業員数分+α程度のロッカーは準備しておきましょう。

自社の環境に合うフリーアドレスを導入しよう

フレキシブルな働き方を可能にするフリーアドレス。採用の目的も多様化しており、導入する企業が増えています。ただ、向き不向きや導入に向けた課題があるのも事実です。そのため、自社の働く環境に合っているかを見極めてから導入しましょう。導入後も、成功するためには事前準備やポイントがあります。それらも把握した上での、オフィスのフリーアドレス化を実施することが導入成功の大事なポイントになりそうです。

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