パナソニック・ホーム パナソニックEWネットワークス > プロダクト > コラム一覧 > PoE給電の防犯カメラは良い?メリット・デメリットや注意点を解説

プロダクト関連

PoE給電の防犯カメラは良い?メリット・デメリットや注意点を解説

更新日:2025/09/29
PoE給電の防犯カメラは良い?メリット・デメリットや注意点を解説
多様化が進む防犯カメラのなかでも、近年注目を集めているのが「PoE給電カメラ」です。LANケーブル1本で映像の通信と電力供給を同時に実現するPoE給電カメラは、配線を簡素化できることや機器設置の自由度が高まることから、工場や学校、オフィスなど、様々な現場で導入が進んでいます。本記事では、PoE給電の防犯カメラの特徴や配線方法、導入するメリット・デメリットや注意点について解説していきます。
法人のお客様向け

スイッチングハブ、ネットワークシステム構築に関するお問い合わせはこちら

PoE給電カメラとPoE非対応カメラの比較

PoE給電カメラ PoE非対応カメラ
配線 LANケーブル1本で映像+電源の供給が可能 映像用と電源用の2本のケーブルが必要
ハブ PoE対応スイッチングハブが必要 一般的なスイッチングハブでOK
価格 比較的高め 比較的安価
故障・トラブル時の対応 原因の特定が難しく、修理・復旧が遅れがち 原因を特定しやすく、迅速な修理・復旧が可能
工事性 細い配管でも施工しやすい 配管が細いと施工が難しい場合がある

PoE給電カメラの配線例

PoE給電の防犯カメラを設置する際は、カメラからPoEスイッチングハブへLANケーブルを接続し、そこからレコーダー、モニターへと映像を送るのが一般的です。LANケーブルの給電距離は基本的に100mまで対応しており、中継にハブを設置すればさらに距離を延ばすことができます。ただし、スイッチングハブ自体に電源が必要なので、設置場所にコンセントを確保する必要があります。

従来のアナログカメラのように映像用と電源用で2本のケーブルを敷設する必要がないため、配管が細い建物や配線の制約がある現場にも容易に設置することができます。配線をシンプル化できることやメンテナンス性が向上することもあり、工場や学校、公共施設など様々な現場でPoE給電カメラの導入が進んでいます。

PoE給電カメラのメリット2つ

PoE給電カメラのメリット2つ

PoE給電カメラのメリットは多々ありますが、よく言われるのが「ケーブルが少なくて済むこと」「鮮明な映像を得られること」の2点です。

ケーブルが少なくて済む

PoE給電の防犯カメラの大きなメリットが、LANケーブル1本で映像伝送と電源供給を同時にできることです。従来のアナログカメラの場合、映像ケーブルと電源ケーブルを別々に敷設する必要があり、配線スペースや施工コストが増大しがちでした。一方、PoE給電の防犯カメラであれば、複数台を設置するときもケーブルの本数が少なくて済みます。配線の見た目がすっきりするほか、増設やメンテナンスも容易になります。

鮮明な映像が得られる

PoE給電の防犯カメラはネットワークカメラの一種であり、高解像度で鮮明な映像を取得できるモデルが多いのがメリットです。従来のアナログカメラは、配線距離が長くなるほど映像が劣化してしまいました。一方、PoE給電の防犯カメラは長距離でも画質の低下が少なく、鮮明な映像を安定して記録することができます。特に工場や学校、オフィスなどでは、不審者の特定や事故の状況確認において、高精細な映像を記録できることは極めて重要です。

PoE給電カメラのデメリット2つ

PoE給電カメラのデメリットとしてよく言われるのが、「カメラの価格が高いこと」「映像に遅延が発生する可能性があること」の2点です。

カメラの価格が高い

PoE給電の防犯カメラは、カメラ本体の価格が比較的高いことがデメリットだとされています。特に、高解像度モデルや遠隔操作機能を備えた機種は、従来のアナログカメラやPoE非対応のカメラに比べて高額です。また、PoE給電カメラを導入するためにはPoEスイッチングハブなどの周辺機器も必要になり、初期費用の負担は大きくなりがちです。特に複数台のカメラを同時に導入する場合はコストが膨らむため、予算が限られている現場では慎重な検討が必要です。

映像に遅延が発生する可能性がある

PoE給電の防犯カメラはネットワーク経由で映像を伝送する仕組みなので、設置環境によっては映像に遅延が発生する可能性があります。特にネットワークの帯域が不足している場合や、同時に複数台のカメラを稼働させている場合は、映像が数秒遅れて表示されたり、録画データが一部抜けたりする可能性があります。映像の遅延を防ぐには、安定したネットワーク回線や適切な機器構成を整えることが重要です。状況によっては、専用ネットワークを構築するなどの対策が求められることもあるでしょう。

PoE給電を使用する際の注意点

PoE給電を使用する際の注意点

PoE給電の防犯カメラを設置する際はいくつかの注意点があります。「PoEの規格」「ケーブルの長さ」「設置環境」の3点についてご説明します。

PoEの規格を確認する

PoEには複数の規格があり、規格によって給電能力が異なります。

  • PoE(IEEE 802.3af):最大15.4Wの電力供給が可能
  • PoE+(IEEE 802.3at):最大30Wの電力供給が可能
  • PoE++(IEEE 802.3bt):最大60〜100Wの電力供給が可能

PoE給電の防犯カメラを設置する際は、PoEスイッチングハブの給電能力が、カメラの消費電力を上回っている必要があります。たとえば、PTZ機能や赤外線照明を搭載した高機能カメラは消費電力が大きいため、PoE+以上が必要となるケースが多いです。適切でない規格のPoEを選択すると、カメラが正常に動かなかったり、映像が不安定になったりするおそれがあります。

ケーブルの長さを確認する

PoEはLANケーブルを用いて電力と映像信号を同時に伝送しますが、規格上の最大距離は100mとされています。敷地が広い工場や学校などで100mを超えてケーブルを敷設すると、カメラが正常に動作しなかったり、映像が乱れたりする可能性があります。100mを超えて敷設したい場合は、中継地点にPoEスイッチングハブを設置することで給電距離を延ばすことができます。ただし、ハブ自体に電源が必要なので、設置場所に電源がなければいけません。

設置環境を確認する

PoE給電の防犯カメラは屋外にも設置できますが、屋外ならではの対策が必要になります。特に、LANケーブルは落雷の影響を受けやすく、雷サージが発生するとカメラやスイッチングハブが故障するリスクがあります。屋外に配線する場合は、SPDの設置やアース接続など、適切な雷対策が不可欠です。また、雨風や直射日光にさらされる環境では、防水・防塵性能を備えたカメラや配線保護材を選ぶことが重要です。

PoE給電カメラに関するよくある質問

PoE給電カメラとは?

PoE給電カメラとは、LANケーブル1本で映像信号と電力を同時に伝送できるネットワークカメラのことです。電源工事が不要で、設置の自由度が高いことから多くの現場で導入が進んでいます。

PoE給電の仕組みは?

LANケーブルには8本の導線があり、通常、データ通信に使われるのはそのうちの4本です。残りの線や通信線を併用して電力を流すことで、1本のケーブルで通信と給電を同時に実現するのがPoE給電の基本的な仕組みです。

PoE給電カメラならパナソニックEWネットワークス

PoE給電カメラに関することなら、パナソニックEWネットワークスにお任せください。当社はネットワーク機器メーカとして、PoEの黎明期から高品質・高性能を追求し、L3スイッチからエッジスイッチ、無線APまで幅広い機器をご用意しています。PoE対応スイッチングハブは、高温環境対応モデルや雷サージ耐性強化モデル、ファンレスモデルなど、様々な環境で安定した通信を確保できる機器をラインナップしています。

オフィス・学校・工場など、お客様によって異なる環境やニーズに合わせ、スイッチングハブの機器選定、ネットワーク構築・工事、保守に至るまでトータルでサポートさせていただきます。

まとめ

PoE給電の防犯カメラは、配線の簡素化や高画質映像の取得といった大きなメリットがあります。一方で、対応規格やケーブルの長さ、設置環境などに注意が必要であり、場合によってはPoE非対応カメラのほうが適しているケースもあります。導入にあたっては、現場の条件や運用目的を踏まえた適切な判断が欠かせません。安定的かつ効率的にPoE給電カメラを運用するためには、専門業者へ相談し、現場に最適なシステムを構築することをおすすめします。

関連情報はこちら

関連記事はこちら