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MSTPとは?仕組みや役割などを分かりやすく解説!

更新日:2023/2/28
MSTPとは?仕組みや役割などを分かりやすく解説!
MSTP(マルチプルスパニングツリープロトコル)は、VLANを活用した大規模ネットワークにおいて、特定のトラフィックを特定の経路に振り分けることで、ネットワークの負荷を分散させ、帯域の有効活用を実現する機能に使われているプロトコルです。ここでは、MST(マルチプルスパニングツリー)とMSTPの概要を取り上げます。
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そもそもMST(マルチプルスパニングツリー)とは

MST(Multiple Spanning Tree:マルチプルスパニングツリー)とは、複数のVLANをグループにまとめてデータの経路を分けることで、ループを防止する機能のことです。

ネットワークの信頼性・安定性を高めるために複数のスイッチングハブを使って冗長構成にした場合、そのままではループが発生してしまいますが、スイッチングハブにはループを防止する機能が備えられています。物理的にはループ状につながっていても、ネットワークを論理的に切断することでツリー状の論理経路を作り、ループを解消します。このツリー状の論理経路が「スパニングツリー」です。

論理的につながっている箇所に障害などが発生したときには、切断されていた部分をつなぐことで新しい経路を作り、ネットワークの稼働を維持することで、ネットワークの信頼性・安定性を高めます。

このスパニングツリーをVLANに拡張したものがMST(マルチプルスパニングツリー)です。

MSTは、基本的にはスパニングツリーと同じ機能を果たしますが、複数のVLANを「インスタンス」と呼ばれるグループにまとめて、スパニングツリーを設定することができます。障害発生時などに経路を切り替えるだけでなく、通常時から特定のトラフィックを特定の経路に振り分けることで、ネットワークの負荷を分散させることができます。

MSTPとは

MSTPとは

MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol:マルチプルスパニングツリープロトコル)は、MST(マルチプルスパニングツリー)において使用されるプロトコルです。一方、スパニングツリーに使用されるプロトコルは、STP(スパニングツリープロトコル)と呼ばれます。

MSTPは、複数のVLANを「MSTインスタンス」と呼ばれるグループにまとめる機能や、ネットワーク上のスイッチングハブを「MSTリージョン」と呼ばれる範囲にまとめる機能があります。

MSTインスタンス(MSTI)

MSTインスタンスは、MSTPを使ってまとめられたVLAN、すなわちスパニングツリーのことです。

MSTリージョン

MSTリージョンは、MSTの同じ設定(コンフィグ情報)を共有するスイッチングハブのグループのことです。あるMSTリージョンは、他のMSTリージョンからは1台のスイッチングハブとして認識されます。かなり大規模なネットワークを管理する際に有用です。

CIST

CIST(Common and Internal Spanning Tree)は、MSTPに存在する特殊なインスタンスです。CISTは、MSTリージョン内のすべてのスイッチングハブをつなぎ、さらにMSTリージョンをつないで、ネットワーク全体のスパニングツリーを作ります。

RSTPとの違い

RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol:ラピッドスパニングツリープロトコル)は、STP(スパニングツリープロトコル)を改良して、高速化したものです。ネットワークのトポロジー(接続形態)が変更された場合、変更の反映(新たなツリー構造への収束)にSTPは最大50秒かかりますが、RSTPは数秒で完了します。

RSTPはSTPの上位互換になっており、STPにしか対応していないスイッチングハブを混在させて利用することが可能。現在では、企業が利用するスイッチングハブの多くはRSTP対応となっています。

MSTPに必要な機器のご紹介

パナソニックEWネットワークスのスイッチングハブは、SDカードスロット標準装備のZEQUOシリーズ、PoE+対応のGA-MLシリーズをはじめとした多くの製品がMSTPに対応しています。MSTP機能を使用すれば、複数のデータを異なる経路(スパニングツリー)で通信させることができ、ネットワークの負荷分散、帯域の有効活用が可能になります。

複数のVLANをMSTインスタンスにまとめることで、VLANごとにスパニングツリーを設計する場合と比較して、スイッチングハブの負荷を軽減することができます。さらにMSTリージョン機能を使用することで、大規模なネットワークの管理・運用の負荷も軽減します。

MSTPを活用して、大規模ネットワークを効率的に運用

MSTP(マルチプルスパニングツリープロトコル)を活用すれば、冗長構成を大規模ネットワークに取り入れ、ネットワークの負荷分散、帯域の有効活用を実現することができます。また、MSTPであれば、大規模ネットワークの設計、運用・管理をより効率的に行うこともできます。

あらゆる分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、そしてリモートワークの進展に代表される働き方の大きな変化を支えるネットワークは、企業の競争力・クリエイティビティに直結する重要な経営資源。MSTPでネットワーク強化を検討してみませんか。

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