MATCH INFORMATION
試合詳細
NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第14節
VISITOR
埼玉ワイルドナイツ
埼玉WK
3
前半
17
30
後半
7
横浜キヤノンイーグルス
横浜E
日産ス(神奈川)
STARTING MEMBER
ジョージ クルーズ
ハドレー パークス
★ゲームキャプテン
RESERVE MEMBER
マッチリポート
前半
横浜キヤノンイーグルスボールでキックオフすると、試合開始1分、自陣22mでノットロールアウェーのペナルティー。ラインアウトからモールを組まれ、横浜の赤い応援団から手拍子が鳴り響けば、そのままトライを許した。
前半3分、0-7と先制のスコアを与える。
今季は幾度となく苦しい前半の40分間を過ごしている埼玉ワイルドナイツ。この試合も、相手の攻撃、勢いを受け続ける展開が続く。
2度続けてマイボールラインアウトをこぼしてしまうと、ボールは横浜Eの手に。攻撃を重ねられれば、前半9分、左サイドを走られトライ。0-14、リードを広げられる。
苦しい時に立ち返ることが出来る、リズムを作ることが出来るのは、やはりセットプレーだった。
前半17分、マイボールスクラムでFKからの組み直しでペナルティー得ると、距離のある正面からショットを狙った。しかしここは惜しくもポールを外れる。
続く前半21分、マイボールラインアウトを確保すると横浜Eのノットノットロールアウェー。1本目よりも距離の短い、40m弱の正面からSO松田力也選手がPGを狙い、3点を獲得した。
まずは3-14、3点を返す。
最初のトライチャンスは、前半28分。
2度続けてスクラムが組み直しになると、両チームのフロントローがレフリーに呼ばれる。3度目の正直、と組み直したスクラムではレフリーの手が高く埼玉WK側に上がり、ペナルティーを得た。
敵陣深くからラインアウトモールで相手陣インゴールまで進んだが、残念ながらTMOの結果ノートライ。スコアを動かすことができない。
気を取り直して前半32分、ブレイクダウンでプレッシャーを掛け続けると、7番ラクラン ボーシェー選手がターンオーバー。前半34分には松田選手が裏にショートパントを蹴り上げ、FB野口竜司選手が走り込むなどチャンスの芽は増えていく。
ディフェンスでも野口選手、松田選手、ハドレー パークス選手らの力強いタックルで横浜Eの出足を遅らせたが、しかし勢いを持って攻撃を続ける相手に思わずオフサイド。PGのチャンスを与え、3-17。前半38分、リードを14点に戻されてしまう。
得点機以外は自陣に寄せ付けず相手陣でプレーするも、しかし崩されるときは一気に崩されてしまった前半。3-17、14点のビハインドで折り返した。
後半
後半開始早々、魅せたのは埼玉ワイルドナイツ。
竹山晃暉選手と大西樹選手がともにジャッカルに入れば、大きく叫びながら喜びを表した。
ワイルドナイツの強みは修正力。前半とは打って変わって、ボールが右に左に、そして前にと動く。
ハドレー パークス選手からディランライリー選手、大西選手、ジョージ クルーズ選手、松田選手と繋がり、さらに竹山選手、長谷川崚太選手、坂手淳史キャプテン、平野翔平選手、再びの松田選手にジャック コーネルセン選手、ボーシェー選手、坂手キャプテンと次々にボールを動かしてフェーズを重ねた。
残念ながらターンオーバーに合い一度は横浜Eにボールを渡したものの、すかさずタックルに入ったのはディラン ライリー選手。ターンオーバーされてから僅か14秒後には、ペナルティーを得てボールを奪い返した。
後半5分、まずは3点を返し6-17。
第1列を総交代するワイルドナイツチェンジが行われると、直後、松田選手が蹴り上げたハイパントが野口選手に入る。そのままマリカ コロインベテ選手にボールは渡り、この日埼玉ワイルドナイツが初めてのトライを奪う。後半7分、11-17と6点差に迫った。
コロインベテ選手が一人走り抜けた独走トライにも、ライリー選手やボーシェー選手、松田選手らがインゴールまで走って祝いに駆け付ける。その心遣いが、チームワークが、少しずつ埼玉ワイルドナイツらしさを取り返していく。
クルーズ選手が縦に抜けプレーエリアを敵陣に移すと、後半11分、22m内でペナルティーを得る。松田選手がショットを蹴り込み、14-17。3点差に詰めた。
続いてもコーネルセン選手が縦に抜けると、堀江翔太選手、布巻峻介選手とボールを繋ぎ、ハドレー パークス選手のキック。ベテラン選手たちの働きで、陣地を再び敵陣22mに押し上げた。
するとそこから相手ボールスクラムを押し込み、キレイなターンオーバーとなるスクラムを組んだFW陣。展開した先、ゴール中央でライリーが縦に抜ければ、理想的なトライ。
前半16分、21-17と逆転に成功する。
ベスト4入りを掛け、互いに負けることが出来ない戦い。横浜Eも攻撃を畳み掛ける。
後半18分には長谷川選手、野口選手のタックルで相手のトライをセーブ。
DFラインのギャップを縦に抜けられた所、手を掛けたのはSH内田啓介選手。
23分にはラインアウトモールから攻め込まれるが、ラックになった所、堀江翔太選手がボールに手を掛けボールを奪い返し、山沢拓也選手のキックで一気に敵陣へと歩みを進めた。
ピンチの場面でも、一人ひとりが自らの役割をきっちりと遂行する。
堀江選手が止血作業のため一時下がると、坂手キャプテンが再びピッチイン。相手ボールラインアウトからのモールをアンプレアブルとすると、マイボールスクラムでペナルティーを獲得し、敵陣深くでラインアウトのチャンスを得た。ラインアウトモールを形成すれば、押し込み坂手キャプテンがグラウンディング。後半31分、26-17とリードを9点に広げる。
しかしその4分後、LO長谷川選手を交代せざるを得ない事態に。最後の交代枠である小山大輝選手がウイングのポジションに入り、ライリー選手は自身のラグビーキャリア初となるフランカーのポジションへ。そして初めて、スクラムを押した。
ピッチに立つ15人全員が、初めての連携に戸惑いがあったであろう。しかしみなが指を指しながらコミュニケーションを取り、少しずつ、でも確かにチームとしての一体感は保ち続ける。
後半38分にはコロインベテ選手のジャッカル。ラインアウトはオーバーしスティールされてしまうが、その後逆に横浜Eボールが乱れた所を間髪入れず思い切り蹴り込んだのは野口選手。自らチェイスし追いつくと、サポートに入っていたライリー選手にボールを託し、トライ。
後半40分、33-17と勝利を確定させる16点差に広げた。
ホーンが鳴っても、埼玉ワイルドナイツはボーナスポイントのため、そして横浜Eはホーム・横浜のプライドに懸け互いにプレーを続けたピッチ上に立つ30人の選手たち。
最後は自陣深い位置での相手ボールラインアウトから横浜Eにトライを許し、33-24。ボーナスポイントの獲得とはならなかったが、埼玉ワイルドナイツが見事12連勝を飾った。
そしてこの勝利をもって埼玉ワイルドナイツは勝点を52点とし、リーグ戦4位以上が確定。ディビジョン1 リーグ戦上位4チームに進出権が与えられるNTTジャパンラグビー リーグワン2022プレーオフトーナメントへの出場が決定した。
試合後記者会見
■ロビー ディーンズ監督
非常にタフなラグビーだった。横浜Eは前半から非常に勢いのあるアタックで、我々はプレッシャーを受けた。そのような中でも後半から出てきた選手たち含めチーム全体として、非常に良いパフォーマンスをしてくれた。ジョージ クルーズ選手も素晴らしい活躍をしてくれたと思う。
スクラムはモメンタムを生み出すために大事な部分。スクラムの時間が長かったことでインプレーの時間が短くなってしまったことにはフラストレーションもあったが、非常に良いスクラムを組んでいた。
(今季前半苦しむ展開が続くが)どのチームも勢いを持って挑んでくるので、前半の時間帯は最も難しい時間帯だと認識している。先発の選手たちはそんな対戦相手のエナジーを吸い取ってくれており、彼らの役割にも満足している。
もし仮に今日のゲームを落としていたら、ベスト4入りに向け厳しい残りの2試合となっていた。本日の勝利を嬉しく思う。
■坂手 淳史キャプテン
素晴らしいスタジアムで8000人を超える観客の方、そして天候にも恵まれ、良いラグビーが出来て良かったと思う。今日は勝つことが重要だった試合。勝利を得ることが出来て本当に良かった。
横浜Eがモメンタムを持って仕掛けてくることは分かっていたが、前半は特に受けてしまった。後半は修正することで僕たちのラグビーをすることが出来た。一人ひとりの役割を遂行することが出来たからこそ、このような結果に繋がったと思う。本当に今日は23人、そしてチーム全体を誇りに思う。
■ディラン ライリー選手
序盤からタフな展開が続いた試合となった。しかし素晴らしいスタジアムで、たくさんのワイルドナイツファンをスタンドに見掛けることができ、力となった。
後半なんとか自分たちの形にすることは出来たが、タフなゲームであったことは事実。ディシプリンの部分で厳しい形に追い込まれてしまったが、後半ゲームを引き戻すことが出来たことがこのチームの現状だと思う。ベンチから出てきた選手たちも非常に良い働きをしており、23人が充実していることが今日の結果に繋がったのだと思う。
まだ試合は続くので、良い準備をして来週に繋げたい。
試合経過
試合開始
横浜Eボールのキックオフで前半開始
前半3分
横浜E、埼玉WK陣ゴール前約12m右ラインアウトからモールを押し込みトライ、ゴール成功 0-7
前半9分
横浜E、横浜E陣10mライン付近左中間でキックレシーブしカウンターアタック、連続攻撃の中左端でラインブレイクしパスを繋ぎ左端にトライ、ゴール成功 0-14
前半21分
埼玉WK、松田 力也、ペナルティーゴール成功 3-14
前半38分
横浜E、ペナルティーゴール成功 3-17
前半終了
埼玉WK 3 - 17 横浜E
後半開始
埼玉WKボールのキックオフで後半開始
後半6分
埼玉WK、松田 力也、ペナルティーゴール成功 6-17
後半6分
後半7分
埼玉WK、竹山 晃暉がキックオフレシーブしラックを作り、中央で一度ラックを作ると松田 力也がハイパントを上げ自陣1御ライン左中間で野口 竜司が競り勝ち再獲得、マリカ コロインベテにパスを繋ぎそのまま走り切り左中間にトライ、松田 力也 ゴール不成功 11-17
後半12分
埼玉WK、松田 力也、ペナルティーゴール成功 14-17
後半13分
後半15分
後半26分
後半29分
後半31分
後半31分
[選手交代]ジョージ クルーズ → マーク アボット
後半34分
[選手交代]ハドレー パークス → セミシ トゥポウ
後半35分
後半39分
後半42分
横浜E、埼玉WK陣ゴール前5m右ラインアウトからモールを作り右サイド抜け出し右端にトライ、ゴール成功 33-24
試合終了
埼玉WK 33 - 24 横浜E
ギャラリー
ギャラリー
試合の見どころ
第14節の相手は、今季初白星を挙げた相手・横浜キヤノンイーグルス。前回の戦いでは横浜Eをノートライに抑え、見事ボーナスポイントも獲得しての勝利を収めていた。
しかし、シーズン深まるごとに調子を上げ続けているのが横浜E。第10節ではトヨタヴェルブリッツに、第12節ではクボタスピアーズ船橋・東京ベイに勝利し、勢いに乗る。
スタッツもその好調ぶりを示す。クリーンブレイク数、ディフェンス突破数、ゲインメーター数は埼玉ワイルドナイツを上回っており、アタックで脅威となるであろうことを感じさせる。
ボールキャリー数リーグ1位のアマナキ レレイ マフィ選手をまずは規律高く仕留め、今節もやはり、誇り高きディフェンスから流れを呼び寄せたい。
今節の注目ポイント
安定したセットプレー
今季の成功率はスクラムが95.8%(横浜E:84%)、ラインアウトが87.7%(横浜E:81.6%)と、ともに埼玉ワイルドナイツが大きく上回る。やはりスクラムで組み勝ち、タッチキックで陣地を広げラインアウトから一気に取り切る、という埼玉ワイルドナイツらしいデザインされたアタックが遂行しきれるかが鍵となりそうだ。
そのためにも、まずは試合の流れを作る先発タイトファイブ(1番~5番)と、違いを生み出すリザーブ陣に大きな期待を寄せたい。
ラック
前回の対戦において、ラックで敗れた回数は横浜Eが4回、そして埼玉ワイルドナイツが8回。実は倍の差をつけられていた。シーズンを通しても、ラックでの勝率は埼玉ワイルドナイツの92%に対し横浜Eが94%と、2%優位に立たれているのだ。
だからこそキープレーヤーとなるのが、ブレイクダウン周りでの運動量を求められる7番のポジション。今節は、試合に出れば必ずと言っていいほど複数回のジャッカルを決めているラクラン ボーシェー選手がシーズン7度目の先発を担う。激しい中での規律の高さはもちろんのこと、細部へのこだわりや2人目・3人目の寄りの速さにも注目したい。
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