ウェルビーイング

2021.05.31

今、さらに注目を集める【well-being(ウェルビーイング)】の意味とは?ビジネスとの相関も解説

今、さらに注目を集める【well-being(ウェルビーイング)】の意味とは?ビジネスとの相関も解説

最近注目されている「well-being(ウェルビーイング)」ですが、そもそもどういった意味があるかご存知ですか?今回は、ウェルビーイングの意味や使い方を紹介しつつ、ビジネスにおけるウェルビーイングについても考えていきます。

世界での事例だけでなく、日本の事例にも触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

Well-being(ウェルビーイング)を実現するワークプレイスとは?

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well-being(ウェルビーイング)とは?

「well-being(ウェルビーイング)」とは、直訳すると「幸福」「健康」という意味があります。ウェルビーイングの定義においてよく引用されるのが、世界保健機関(WHO)憲章の前文の一節です。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会仮訳)“

つまりウェルビーイングとは、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態をいいます。

そして、ウェルビーイングと似た言葉に「welfare(ウェルフェア)」があり、これには「福祉、福利、幸福」の意味があります。

どちらも同じような意味で使われますが、ウェルビーイングでは目的、ウェルフェアは方法として用いられることが多いのが特徴的な違いです。ウェルビーイングを実現させるためにウェルフェアを整えるといった具合でしょう。

またウェルビーイングは、ポジティブ心理学とも関係があるといわれています。ポジティブ心理学は、本来あるべき正しい方向に導くために必要なことを科学的に実証していくものです。

ポジティブ心理学を用いれば、ウェルビーイングを単なるスローガンにせず実現できることがわかってきました。

そもそもウェルビーイングは、医療や看護、社会福祉の現場でよく用いられる言葉でしたが、最近はそれ以外でも使われるようになっています。今なぜウェルビーイングが注目されているのか、次で考えていきましょう。

今、なぜウェルビーイングが注目を集めているのか?

ウェルビーイングが注目される背景は、主に4つあります。1つずつ見ていきましょう。

多様性を認める社会

近頃、「ダイバーシティ」という言葉を聞くようになった人もいるはずです。ダイバーシティとは、「多様性」という意味があり、人種や宗教、性別、ワークスタイルなどにとらわれない考え方をいいます。

グローバル化が進む今後は、さまざまな考え方やバックグラウンドを持った人とコミュニケーションをとる機会が増えていくはずです。その際に、それぞれの能力をフルに発揮させ、コミュニケーションを円滑にとるには、多様性を認めることとウェルビーイングが必要だと考えられています。

人材確保

「みずほ総合研究所」が実施した調査では、少子高齢化が進み、今から約45年後の日本における労働力人口は、2016年のときと比べると約4割減少するという結果がでました。

さらに労働力率は50%ほどまで低下すると見られており、2016年と同等の数値にするには、女性の労働力を男性並みに引き上げる必要があるといわれています。

また、労働力率をアップさせるには、「病気治療と仕事の両立」「育児と仕事の両立」「働き方改革」が必要であるという結果になりました。ここでも、ウェルビーイングの考え方が求められるようになるでしょう。

SDGsの一部に組み込まれる

「SDGs(エスディージーズ)」とは、持続可能な開発目標のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継にあたるものです。2015年9月の国連サミットの採択内容に記載され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標として掲げられています。

SDGsは全部で17項目あり、3つ目に「すべての人に健康と福祉を」という項目が設けられ、ウェルビーイングについて考える必要があることがわかるはずです。

働き方改革

2019年4月からおこなわれるようになった「働き方改革」では、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方ができるように改革していく必要性があることなどを唱えています。

また、2020年に問題となった新型コロナウイルス感染症も1つのきっかけとなり、リモートワークが拡大していますが、それに伴って精神面の不調やストレスを抱える事例も多発。

コミュニケーション不足によるこれらの弊害は、リモートワークをする社員だけでなく家族にも影響を与えます。働き方に対しても、ウェルビーイングが深く関係してくることがわかるはずです。

ビジネス的側面でのウェルビーイング

ウェルビーイングではギャラップ社の調査が有名で、幸福度をはかる調査軸に体験と評価があります。そのうち評価の項目は、世界幸福度ランキングの指標の1つにもなっているほどです。

こういった調査をもとにギャラップ社が導き出した5つの要素について、ビジネス的側面とともに、詳しく見ていきましょう。

Career well-being(キャリア ウェルビーイング)

キャリアというと、仕事での能力や出世などを考える人がいますが、ここでいうキャリアは、ボランティア活動や家事、育児、勉強なども含みます。仕事や私生活でのキャリア構築の幸福です。自分の1日の過ごし方に満足しているかという意味もあり、ビジネス側面から考えると、ワークライフバランスのことでしょう。

Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)

社会的な幸福と訳せますが、いわゆる人間関係に対する幸福のことです。交友関係の量だけでなく、信頼でき愛情のつながりのある人間関係があるかどうかがチェックポイントでしょう。ビジネスの側面から見ると、上司や部下、同僚などとの関係性を指します。

Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)

3つ目は、経済的な幸福のこと。報酬を得る手段があるのか、報酬に納得しているのか、自分の資産管理ができているのか、などが該当します。

Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)

身体的な幸福のことです。身体的に健康で、毎日思ったように行動できるエネルギーがあるかどうかが基準となります。ビジネスで考えれば、身体的な健康はもちろんのこと、仕事に対するモチベーションも含まれるでしょう。

Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)

自分の周りにあるコミュニティとの幸福についてです。居住地や家族、親戚、友達、学校、職場などがあるでしょう。いわゆる、地域社会での幸福です。ビジネス面で考えれば、会社、部署、取引先などが該当するでしょう。

Well-being(ウェルビーイング)を実現するワークプレイスとは?

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世界で取り組まれているウェルビーイング

続いて、世界で取り組まれているウェルビーイングの事例について、詳しく紹介していきます。

Googleのデジタルウェルビーイング

デジタルウェルビーイングという言葉は、2018年にGoogle(グーグル)が提唱した言葉で、簡単にいうと、デジタル機器への依存症を防ぐ取り組みのことをいいます。

グーグルの調査では、インターネットを利用している人の約7割が、デジタル機器に触れている時間が多いことで、自分らしい生活ができていないと思っているという結果がでました。

そこで、デバイスの使用量をグラフ化して、ひと目でわかるようにするアプリを開発。他にも、おやすみ時間モードで夜間に電源を切るタイミングを教えたり、集中したいときはアプリをワンタップで一時停止にしたりできるツールもあります。

これにより、意識的にオフラインの生活ができるようになり、デジタル機器やネット情報に左右されない自分らしい健康的な生活が送れるというわけです。

ウェルビーイング先進国、オーストラリアのABW

オーストラリアは、ウェルビーイング先進国とも呼ばれ、特にABWが注目されています。ABWとは、「Activity Based Working」のことで、仕事をする時間や場所を自由に選べる働き方のことを指します。

もともとはオランダで誕生した働き方で、優秀な人材を確保して長期間働いてもらうには、社員の幸福度をアップさせなければならないという考えから誕生。

注目のオーストラリアでは、国主導でウェルビーイング向上に取り組み、幸福度大国と呼ばれるようになりました。ABWによって企業側はコスト削減につながり、社員側はワークライフバランスが実現するため、お互いにメリットを感じられます。

オランダのワークシェアリング

ワークシェアリングとは、労働者同士で業務を分け合い一人ひとりの負担を軽減することを目指す働き方のことです。

オランダでは1982年時点での失業率が12%と高水準にありましたが、ワークシェアリングを導入することで、失業率を2%まで下げた実績があります。また雇用体系を多様化したことで、パート労働者を増やして雇用を拡大。さらには、女性や高齢者にもワークシェアリングが浸透したことから、働く人が増え労働市場が拡大しました。

健康診断などの直接的に健康をチェックする方法はもちろん、職場環境を整えたり福利厚生を充実させたりなど、ウェルビーイングにつながる取り組みにはさまざまあります。国や企業によって、国民や社員が求めているウェルビーイングに気づく必要があるでしょう。

日本企業でのウェルビーイングの取り組み

次に、日本企業でのウェルビーイング導入事例を紹介します。

味の素株式会社

味の素株式会社では、「味の素グループ健康宣言」と題してウェルビーイングに取り組んでいます。たとえば、「人財に関するグループポリシー」を作成し、社員の心と身体の健康維持や推進ができる職場環境づくりを実施。

具体的には、全員面談を実施し、社員1人1人に応じた健康支援をしています。また最低でも年1回は、産業医・保健スタッフとの面談をおこなっているのが特徴です。

その他にも健康状態の可視化やメンタルヘルス回復プログラムなどをおこない、自分の健康についてセルフケアできたり、休業からの職場復帰がうまくいくようにサポートしてくれたりします。

結果、味の素株式会社は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む企業として、「健康経営銘柄2020」に認定されました。これは2017年度から4年連続の認定で、「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」にも認定されています。

キヤノン株式会社

創業当時からある「健康第一主義」の行動指針をもとに、「キヤノン式健康経営」を実践。2004年から禁煙対策、なんらかの病気などにより仕事効率低下を防ぐために、2007年からは睡眠改善施策を取り入れています。

啓発活動や睡眠計を取り入れた個別の睡眠保健指導によって、睡眠によって休養がとれている人の割合を、開始当時よりも10%以上改善させました。結果、血圧や血糖値の改善がみられています。キヤノンも健康経営銘柄に選ばれており、健康経営優良法人にも選定されています。

株式会社イトーキ

2018年にオフィス移転したことをきっかけに新しい働き方を始めた、株式会社イトーキ。ワーカーが自ら働き方をデザインできるABWを導入。その他にも、仕事などの活動を最大限に発揮できるような空間や、心身の健康を維持するための空間を意識したオフィス作りをしています。

また、2017年には「健康経営宣言」を制定して、健康促進や禁煙、運動推奨、メンタルヘルス、食事などさまざまな項目を設け、企業コンセプトの実現を目指しています。
イトーキにおける健康経営では、経営陣はもちろん、健康保険組合や労働組合、社員、社員の家族が一体となり健康作りを推進しているのが特徴です。

企業がウェルビーイングを実践するメリットとは?

ここまでで、ウェルビーイングは世界的に注目され、日本でも導入され始めていることがわかっていただけたかと思います。ウェルビーイングは、ビジネスとの相関関係が深いと考えられており、ウェルビーイングを導入する企業は増加中です。
そこで最後に、企業がウェルビーイングを導入するメリットについて考えていきましょう。

社員の満足度アップによる業績向上

株式会社バークレーヴァウチャーズが実施した調査によると、世界15か国中、日本の職場のウェルビーイングへの満足度が、もっとも低いことがわかりました。

さらに各項目の回答結果を見ると、「仕事へのモチベーション」に関する要素が低く、「会社の将来が不安」、「朝仕事に行くのが楽しくない」、「会社が刺激的な環境ではない」といった項目が、他国よりも悪い結果となっています。

職場のウェルビーイングが良好だと、社員の仕事に対するモチベーションがアップして、仕事効率が良くなったり営業成績が向上したりすることも。社員からの会社に対する貢献がアップするので、会社の業績向上にもつながります。

このように、ウェルビーイングとビジネスの間には相関関係があるといわれているのです。

職場のウェルビーイングを整えることで、社員の仕事へのモチベーションがアップし、会社業績向上へとつながる可能性は、企業にとっては大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

離職する人が減る

仕事へのモチベーションや満足度がアップすると、勤めている会社への不満が減るため、社員は居心地の良い会社に長く勤めようと考えます。そうすれば離職する人が減るため、社員教育に費用をかけたもののすぐに仕事を辞められて、コストばかりかかるといった現象を食い止められるでしょう。

また、離職する人が減るということは、会社への愛着度がアップしていることとも考えられます。そうすると、「会社に貢献しよう」、「会社をさらに良くしていきたい」などと考え、幹部になることを目指す人が増えていく可能性もあります。そういう人材が管理職になることにより、部下への教育も行きわたり、総合的な企業力を高められるでしょう。

優秀な人材を確保できる

離職率が低下すれば、外部からは長く勤めるほどの魅力が多くある会社と評価されます。社員を大切にする、職場環境や人間関係が整っている会社と判断されれば、そんな企業に就職したいと思う人は当然増えるでしょう。結果、優秀な人材を確保できるようになるのです。

まとめ

国の働き方改革によって、昔に比べると働きやすい環境になっています。ただ世界的には、企業におけるウェルビーイング導入はスタンダードになりつつありますが、日本ではまだ浸透しているとはいえないでしょう。

世界基準に追いつくために、日本ではさらに高い次元の働き方を実現する必要があります。それには、ウェルビーイングの導入が必要不可欠でしょう。

社員の健康と仕事・職場環境を整えることが、社員のモチベーションアップ、ひいては企業力向上につながります。企業力がアップすれば、顧客にも還元できるといった好循環を生みだせ、会社を取り巻くすべての人が幸せになる仕組みが作れるでしょう。ぜひ前向きに導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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