健康経営
2021.06.04
職場のストレスは必ず原因がある!適切に対処して働きやすい職場にしよう
社会人になって、職場で毎日仕事に追われたり、人間関係に悩んだりすることで、多くの人がストレスを抱えているかと思います。ストレスは、適度に受けると身体に有益をもたらしてくれますが、過度なストレスは悪影響を及ぼしてしまいます。
職場で受けるストレスには、必ず何かしらの原因がありますが、職場でのストレスをゼロにするのはとても難しいものです。よって、ストレスに適切に対処して、前向きな気持ちを持って過ごす姿勢が求められます。
今回の記事では、職場で感じるストレスの原因や、ストレスを減らすために行いたい取り組みなど、ストレスへの対処法について解説します。
従業員の方だけでなく、企業の人事部の方もぜひ参考にしていただき、より良い職場環境づくりの手助けになれば幸いです。
職場ストレスはどのような点で感じることが多いのか?
2018年(平成30年)に、厚生労働省が行った「労働安全衛生調査」(労働者調査)によると、仕事や職業生活に対して強いストレスを感じている人は58.0%という結果が出ています。ストレスの内容として、「仕事の質・量」「仕事の失敗・責任の発生等」「対人関係」などが上位に入っています。
ストレスを相談できる相手がいると答えた人の割合は92.8%であり、その中で最も多いのが「家族・友人」で79.6%となっています。次いで上司・同僚もあげられています。
少数ではありますが、地域のかかりつけ医や主治医、職場の衛生管理者をあげている人もいます。その反面、「相談できる人はいない」と回答している人もおり、ストレスに対応するための手段に悩んでいる現状が見受けられます。
職場ストレスが起こる原因とは?
職場ストレスが起こるのは、何か原因があるものです。加速化が進み、複雑な社会構造になっている現代で、近年特に増えていると考えられる原因についてみてみましょう。
過剰な労働の要求
日本でも、成果主義を導入する企業が増えているうえ、業務スピードが求められるようになってきました。このことで、自分のキャパシティを超えた過剰な労働を要求されることがあります。仕事の負担が大きすぎると、ストレスを感じやすくなる傾向がみられます。
また、納期まで短期間しかないのにも関わらず、多くの業務量を求められるうえ、自分でその量をコントロールできない状況では、さらにストレスは積み重なっていきます。
周囲からの支援が受けられない
仕事に対して、周囲から助けを得られると、負担を減らせることでストレスも軽減できます。反対に、助けの手を差し伸べてくれる人がいないと、仕事そのものや仕事にかかる圧力によって、ストレスを強く感じるようになってしまうのです。
労働人口の減少で、人材不足を感じている企業は増加する一方で、全体の業務量も増加することで個々の業務負担が増えている背景もあります。さらに、業務の複雑化や他社との競争の激化、AIなどのテクノロジー導入による仕事内容の変化など、業務の質も大きく変化しています。
個々の仕事の質および生産性を向上させたり、効率化を求めたりする動きは顕著であり、個人が負う責任は増えるばかりで、同僚の仕事を支援する余裕がないという人も多いのではないでしょうか。
人間関係
ストレスを感じる原因の上位にあげられるのが、人間関係です。人間関係というと、上司と部下の関係を想像する人が多いかもしれません。
しかし近年では、同僚との人間関係に対してストレスを感じる事例も増えているといわれています。年齢が近いと、悩みを打ち明けやすいメリットがあるのも事実です。ただ、業務の内容を比較されることが多いうえ、将来の出世タイミングも近いため、ライバルとなる可能性が高いのです。そのうえ、コミュニケーションが密になると、お互いに感情をぶつけやすくなり、ストレスを感じやすくなります。
ストレスを感じやすい性格
個々の性格によって、同じ状況下にいてもストレスを感じやすい人もいます。その特徴は大きく4つに分けられます。
「模範的タイプ」は、完璧主義者であり責任感が強い傾向があります。まじめで妥協ができないため、自分にも他人にもストレスを溜めやすいタイプだといわれています。
「自分勝手タイプ」は、自分の思い通りにならないと気が済まず、他の人が失敗すると怒りが最高潮に達してしまうタイプです。また、何でも頭ごなしに決めつける傾向もみられます。
「うなずきタイプ」は、自分が嫌だと思うことでもはっきり断れない、おとなしいタイプです。後から自己嫌悪に陥ることも多く、ストレスが溜まるのは自然の流れなのかもしれません。
「取り越し苦労タイプ」は、心配する必要がないにもかかわらず、あれこれ気になってしまうタイプです。心が休まるタイミングがないほか、常に他人に気を使っている人も当てはまります。
これらの傾向があると感じる場合には、普段からストレスを溜めない心がけをしましょう。
職場ストレスを受けることでどのような症状が出るのか?
職場ストレスが蓄積していくと、次第にさまざまな症状があらわれるようになります。症状がひどくなると、日常生活に支障をきたす恐れもあるため、早めに気づいたうえで対処するのが重要です。それぞれどのような症状が出るのでしょうか。
精神的症状
ストレスが溜まってくると、感情が不安定になる様子がみられます。常にイライラしている、気分が落ち込む、憂うつになる、注意力や集中力が散漫する、無気力になる、新しいことに取り組む意欲がなくなる、思考力が低下する、決断するのに時間がかかるなど、実に多様な症状がみられます。
肉体的症状
肉体的な面においても、ストレスは大きな影響を及ぼします。あらわれやすい症状として、次の例があげられます。
- ・疲れやすい
- ・全身がだるい
- ・肩こり
- ・関節痛
- ・偏頭痛
- ・目の疲れ
- ・めまい
- ・食欲不振
- ・動悸
- ・息切れ
- ・熟睡できない など
ただし、これらの症状は、ストレスだけでなく、ほかの原因によっても引き起こされる可能性があります。不安な場合には医師の診断を受け、指示を仰ぎましょう。
行動的症状
ストレスは、行動の変化をもたらすことも多いのです。良くある症例として、仕事でのミスが増える、遅刻や早退が増える、笑う頻度が減った、ぼんやりする回数が増えた、乱暴な言葉を使う、外出がおっくうに感じる、消極的になる、周囲との接触を避ける、身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがないなどがあります。
いずれの場合も、早い段階で適切に対処しないとさらに症状が悪化してしまい、鬱になってしまう恐れもあります。本人は気づきにくいことが多いため、周囲の声かけも重要です。
職場ストレスを発散する適切な方法とは?
ストレスは、早い段階であれば、セルフケアによって自分で対処できることが多いものです。自ら実践しやすいような、ストレスの発散方法を紹介します。
とにかく休む
休息は、自律神経やホルモンバランスを整えることができ、ストレスの解消効果が期待できます。特に睡眠は大切で、身体だけでなく脳を休ませる役割があります。
疲れやストレスの蓄積を感じたら、とにかく早く寝るよう心がけましょう。個人差はありますが、成人に必要とされる睡眠時間は6時間以上8時間未満が妥当だといわれています。
身体を動かす
ストレスが溜まると、肉体的・精神的に緊張した状態が続き、筋肉がこわばってきます。これにより、肩こり・頭痛などが起こりやすくなります。特にデスクワークでは、仕事中に長時間同じ姿勢のままで過ごすことも多く、身体全体が凝り固まったように感じる人も多いでしょう。
こまめにストレッチしたり、ウォーキングやジョギングを取り入れながら、身体を動かすことで心身ともに緊張をほぐしていきましょう。
人と話す
自分の中であれこれ考えていても、気が晴れることは少ないかと思います。実践しやすいのが、人と話すことです。直接会っても、電話などで話しても、どちらでも効果が期待できます。解決策がみえなくとも、話しただけで気持ちが落ち着いた経験は、多くの人が持っているでしょう。
話しながら笑うと、さらにストレスを発散できる手段となります。笑うことで、副交感神経が優位に働くため、安らぎや安心感を覚えるのです。
趣味を楽しむ
自分の趣味に没頭する時間を確保するのも、ストレス発散の有効な手段です。スポーツや映画・音楽鑑賞、読書、旅行、ドライブなど、楽しいと感じることを実践してみましょう。
職場ストレスを減らす環境づくりのために大切なこととは
職場ストレスを解消する取り組みだけでなく、職場でのストレスが起こる原因も排除しなくてはいけません。そのためには、職場環境を変えるのが有効です。次の方法を試してみましょう。
周囲に相談する
上司・先輩・同僚など、近くで仕事をしていて信頼がおける相手がいれば、まずその人に相談しましょう。同じ考えを持っているかもしれませんし、納得のいくアドバイスが受けられる可能性もあります。もしかしたら、問題に気づいておらず、相談によって発覚することもあるかもしれません。
自分では気づかなかった見方が分かったり、話してみたらすぐに解決する場合もあるので、一度話してみると良いでしょう。
フレックスタイムやワークシェアリングを導入する
仕事の進め方によってストレスを抱えているならば、従業員に裁量が与えられる方法を提案するのもおすすめです。例えば、フレックスタイムやワークシェアリングなどを導入して、業務が偏らないようにする方法があります。
この方法は、すぐに導入できるものではなく、企業全体での検討やシステムの導入などが必要ですが、現場の従業員から声をあげることはとても重要なのです。
まとめ
働きやすい職場環境をつくるには、指示を待つばかりでなく、自ら行動を起こすことが求められます。ストレスを自らコントロールできると、対処できる力も身につけられるでしょう。
病気じゃないことが、健康ではない。
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