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レイヤ3(L3)スイッチをわかりやすく解説!ネットワークの基礎知識や仕組みなど
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L3スイッチを理解するために知っておくべきネットワーク構築の仕組み
L3スイッチについて理解するためには、ネットワーク構築の仕組みについて把握しておかなくてはなりません。
特に以下の3項目については、L3スイッチの理解に必須となります。
- OSI参照モデル
- スイッチ
- L2スイッチ
各項目について、基本的な部分から詳しく確認していきましょう。
OSI参照モデルとは?
OSI参照モデルとは、国際標準化機構(ISO)によって定められている「ネットワークを作る標準モデル」です。
ネットワークは、世界中でさまざまな種類の通信システムによって構築されています。
ただし通信機器についてはメーカーがそれぞれ設計、生産しているため、機器ごとに共通のルールがないと通信できません。
そこで国際標準化機構(ISO)がネットワーク作成の標準モデルを定めることで、異なる機器でも通信することを可能にしました。
OSI参照モデルでは、ネットワーク機能を以下の7階層に分類しています。
層/名称/概要/利用例
第1層:物理層:物理的な接続、電気信号:UTPケーブル、光ファイバーケーブル
第2層:データリンク層:隣接する機器同士の通信:Ethernet
第3層:ネットワーク層:データの送信相手の決定、最適経路での送信:IP
第4層:トランスポート層:エンド間の通信制御:TCP、UDP
第5層:セッション層:通信手段:HTTPS
第6層:プレゼンテーション層:データの表現形式:HTML
第7層:アプリケーション層:個々のアプリケーション:メール、www
各層を別名「レイヤ」と呼びます。
たとえば、第1層の物理層は「レイヤ1」とも呼ばれます。
また、階層ごとにネットワークにおける役割が異なります。
たとえば第1層の物理層は、物理的な接続、電気信号のやり取りに関する機能を有しています。
スイッチとは?
スイッチとは、データを宛先ごとに振り分ける機能を持ったネットワーク機器のひとつです。
スイッチでデータを宛先ごとに振り分けることによって、データ同士が衝突を起こすことなく、複数の機器へ円滑にデータを送信できます。
スイッチがデータを宛先ごとに振り分ける際には「MACアドレス」と「IPアドレス」を認識して振り分けていきます。
MACアドレスは各通信機器に付けられた固有の識別番号で、IPアドレスはネットワーク上の住所を表す識別番号です。
スイッチがMACアドレスとIPアドレスを識別することで、特定の通信機器へのデータ送信を可能にしています。
なおスイッチと混同しやすい機器として「ハブ」が挙げられますが、ハブの場合は特定の通信機器に対してデータを送ることができません。
接続しているすべての通信機器にデータを送信してしまうため、宛先ごとにデータを振り分けることができないのです。
特定の通信機器ごとにデータの送信先を振り分けるためには、スイッチの利用が必要となります。
L2スイッチとは何か?
L2スイッチとは、第2層の「データリンク層」においてデータの送信先を振り分けていく機器です。
L2スイッチでは、MACアドレスを認識することで同じネットワーク内の通信機器にデータを振り分けることが可能です。
ただし「VLAN間」でのデータ送信は、基本的にできないため注意が必要です。
VLANとは、仮想的なネットワーク構築や複数のネットワークを1つのネットワークに見せる技術です。
たとえばスイッチに対して4台のPCが接続されている場合は、物理的に1つのネットワークにつながっている状態です。しかし4台のうち「特定の2台のみ通信ができる状態」と「残りの2台が通信できる状態」を構築することで、論理的には2つのネットワークが構築される状態になります。
VLANの技術は社内ネットワークの構築でよく利用されますが、一般家庭ではほとんど使われません。
L2スイッチはVLAN間でのデータ送信には対応していないため、社内ネットワークをVLANで構築する際には注意が必要です。
L3スイッチとは何か?
L3スイッチは、OSI参照モデルの第3層の「ネットワーク層」でデータの送信を行う機器です。
L3スイッチは、L2スイッチの機能に加えて「ルーティング機能」を搭載している点が特徴です。
ルーティングとは、複数のネットワークに接続した状態において宛先ごとにデータを送信する機能です。
ルーティング機能を利用することで、LANやWANといったネットワークに接続できます。
このためL3スイッチを利用すれば、IPアドレスを認識することで一定エリアに限定されたネットワーク同士を接続可能です。
さらに、L3スイッチではVLANの設定も可能です。
たとえば社内ネットワークをVLANで構築した場合、L2スイッチではデータ送信ができませんが、L3スイッチならVLAN間でのデータ送信を実現できます。
L3スイッチとルーターの違いと使用用途
L3スイッチと混同しやすい機器として「ルーター」が挙げられます。
ルーターは、複数の機器に接続して異なるネットワーク同士を繋げる機器です。
ルーターもルーティング機能を有していますが、L3スイッチのルーティング機能とは用途が異なります。
L3スイッチは、主にLAN同士の接続を行う際に利用されます。
このため、L3スイッチにはIPアドレスを変換する「NAT」「NAPT」の機能は搭載されていません。
また、ネットワークのセキュリティ機能として広く使用されているVPNも有していない形です。
これに対して、ルーターは主にLANとWANを接続する際に使用されます。
IPアドレスを変換するNATやNAPTの機能を有しており、セキュリティ機能も搭載されているものは多いです。
会社内など限定されたネットワークの構築では「L3スイッチ」、外部とのネットワークを構築する際には「ルーター」が使用されることが多いと認識しておきましょう。
L3スイッチにある拡張機能
L3スイッチには、上記で説明した機能に加えて以下の拡張機能も付いています。
- フィルタリング
- 動的ルーティング
- ゲートウェイの冗長化
フィルタリングとは、特定のサービスや端末、ネットワーク単位でアクセスの許可・拒否の設定を行える機能で、アクセスを制限したい時に有用です。
動的ルーティングとは、ルーティング機能をもった機器同士が相互に情報を交換しあって、ルーティングテーブルと呼ばれるネットワーク上の経路地図を自動的に更新し、その経路地図に基づいて通信の経路選択を行うプロセスです。
ネットワーク運用管理の手間を軽減できる点が、動的ルーティングのメリットです。
ゲートウェイ冗長化とは、デフォルトのゲートウェイが障害を起こした際に、あらかじめ用意していた別のゲートウェイへ自動的に切り替える機能です。
デフォルトゲートウェイが障害を起こしても瞬時に別のゲートウェイに切り替わるため、障害発生時も継続してネットワークを使用可能です。
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まとめ
L3スイッチは、OSI参照モデルの第3層の「ネットワーク層」でデータの送信を行う機器です。
L3スイッチの特徴として「ルーティング機能」を搭載している点が挙げられます。ルーティング機能を利用することで、LANやWANといったネットワークに接続できます。
L3スイッチは、主に社内のネットワーク構築の際に利用されます。外部のネットワークに接続する機能を有していないため、限定されたエリア内でのネットワーク構築に活用される形です。この記事を参考にして、L3スイッチについてさらに理解を深めましょう。