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ローカル5Gとは?プライベート5Gとの違いについて解説
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ローカル5Gとは何か
「5G」と呼ばれる「第5世代移動通信システム」は、大容量のデータを高速通信できると大きな注目を集めています。この5Gは通信キャリアが展開するネットワークで、「パブリック5G」と呼ばれます。地域・産業のニーズに応じて地域の企業や自治体等が個別に利用できる5Gネットワークと言い換えることもできます。
それに対して、ローカル5Gとは企業や自治体が独自にネットワークを構築し、それを利用した通信のことをいいます。わかりやすく言うと「自営の5G」ということです。
プライベート5Gとは何か
プライベート5Gとは、企業・自治体など専用のプライベートな5Gネットワークのことです。技術的にはパブリック5Gと変わりませんが、所有者が無線帯域の使用に優先アクセスやライセンス供与を設定できます。
5Gとは何か
5Gは「5th Generation」の略で、日本語では「第5世代移動通信システム」の意味です。移動通信システム、つまり携帯電話サービスは、第1世代(1G)から始まり、現在は4Gが主流ですが、最新サービスの5Gも携帯各社がサービスを開始しています。4Gと5Gの最大の違いは、通信速度。2時間の映画コンテンツをダウンロードするのに、4Gなら5分程度かかりますが、5Gなら、わずか3秒でダウンロードできます。さらに高速・大容量に加えて、通信の遅延が少ない高品質な通信を実現、さらに多数同時接続も実現します。
パブリック5Gとプライベート5Gとの違いとは?
パブリック5Gの特徴
パブリック5Gとは、ソフトバンク、NTTドコモなどの通信キャリアが展開するネットワークです。2020年3月から5Gの商用利用が始まり、全国各地でネットワークの整備が進められ、利用エリアが拡大しています。パブリック5Gは整備が整えられたエリアでしか利用できませんが、通信の遅延を4Gの約10分の1に抑えられるため、リアルタイムに近い通信が必要とされる自動運転などでの活用が見込まれています。さらに4Gよりも、多数の端末を同時に接続できるという特徴もあります。
ローカル5Gの特徴
ローカル5Gは、企業や自治体などが専用の5Gネットワークを構築し、データを送受信する通信のことです。パブリック5Gは、他のエリアで通信トラブル等が起きた場合に、ネットワーク全体に影響が出てしまいます。しかしローカル5Gは、ほかのエリアで通信トラブルが起きたりネットワークが混雑したりした場合でも、影響を受けにくいという特徴があります。さらに外部のネットワークから遮断された環境でデータを送受信できるため、セキュリティ面も強固になっています。
プライベート5Gの特徴
企業や自治体が、必要な帯域・容量の5Gネットワーク提供を通信キャリアから受ける場合もあります。これがプライベート5Gです。ローカル5Gは通信事業者としての免許を取得しなければなりませんが、プライベート5Gでは免許の取得は不要です。パブリック5Gとローカル5Gの間の位置づけなのがプライベート5Gです。
ローカル5Gの導入について
5Gは、高精細な映像配信、遠隔医療、自動運転、リモートワーク、IoTなど、私たちの生活のさまざまな分野に用いられ、新しいテクノロジーを支える基盤技術となり、未来を切り開くことが期待されています。5Gは、きわめて大きな可能性を秘めていますが、それを地方自治体や企業が抱えている個別のニーズや課題を解決する手段として活用したのが「ローカル5G」です。言い換えるならば、適応範囲が広く、大きなポテンシャルを持つ5Gを、個別の企業や地方自治体の細かなニーズやユニークな目的に応じて活用しようというものです。5Gのメリット、特長はローカル5Gでも活かすことができます。
ローカル5Gの導入によるメリットとは?
企業や自治体がローカル5Gを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
高速での通信
5Gは、大容量のデータを超高速で送受信できる上、超低遅延で多数同時接続が可能という特徴があります。ローカル5Gを導入すると、このような5Gのメリットを得られることが大きいでしょう。企業や工場が有するあらゆる機器や設備に接続できて、運営がスムーズになると期待できます。さらに、遠隔での操作など自動化を導入しやすくなります。
セキュリティ強化になる
パブリック5Gとは異なり、ローカル5Gは外部とは遮断された独自のネットワークで通信を行います。企業や自治体だけの独自のネットワークを使うため、外部にデータが流出するリスクを軽減でき、セキュリティ強化につながります。セキュリティ対策の一環として、ローカル5Gの導入を進めるケースもあるでしょう。
パブリック5Gの影響を受けない
パブリック5Gを利用して通信を行うのは便利ですが、通信キャリアで通信トラブルが発生した場合や、災害等が生じた場合に、影響がでる可能性があります。もしネットワーク通信にトラブルが生じると、企業や工場で使う設備や機器に支障を及ぼす可能性が出てしまうのです。そのため、パブリック5Gとは別のネットワークを構築したローカル5Gは、パブリック5Gの影響を受けずに日々の業務・運営ができるメリットがあります。
ローカル5Gの導入によるデメリットとは?
一方、ローカル5Gを導入することで生まれるデメリットはどんなことがあるのでしょうか?
コストがかかる
ローカル5Gを導入するデメリットは、コストがかかることです。導入にかかるコストは、導入の規模により異なりますが、ネットワークの構築には数千万円規模になる場合もあります。さらに電波利用料も発生します。ローカル5Gを利用するための電波利用料は電波法によって定められており、無線局の種類や出力、場所などによって、以下のように決まっています。
- ローカル5G基地局 年2,600円/局
- ローカル5G陸上移動局 年370円/局
- 自営等BWA基地局 年19,000円/局
- 自営等BWA陸上移動局 年370円/局
ローカル5G導入のために必要な設備等は、今後低価格化していくとみられていますので、将来的なコストを考慮して検討するといいのではないでしょうか。
周波数が限られる
ローカル5Gの周波数は、28.2GHz~28.3GHzと4.6GHz~4.9GHz。28.2GHz~28.3GHz帯は直進性の電波で障害物の影響を受けやすい特徴があります。そのため、障害物が多くある環境下では、通信できる距離が限られてしまうことが考えられます。ただ、以前はローカル5Gには28.2GHz~28.3GHzの周波数しか認められていませんでしたが、制度改正によってSub6帯と呼ばれる4.6GHz~4.9GHzも利用できることになり、大幅に利便性が高くなっています。
ローカル5Gを導入するには
実際にローカル5Gを導入するには、どのような準備や手続きが必要でしょうか?
使用設備を準備する
ローカル5Gを導入するには、さまざまな施設を準備する必要があります。ローカル5Gには、周波数や通信方式、運用方式によって複数の選択肢があります。
まず周波数には、4.5GHz帯(Sub-6と呼ばれる)と28GHz帯(ミリ波と呼ばれる)があります。周波数の違いは、電波の直進性、通信速度などの違いにつながります。具体的に見ていくと、以下のような特徴があります。
- 4.6~4.9GHzの周波数帯を使用
- 広いエリアをカバーできる
- 障害物の影響を受けにくい
- 28.2〜29.1GHzの周波数帯を使用
- 広い周波数幅を利用できるため、高速・大容量通信が可能
- 直進性が強く、障害物の影響を受けやすい
次に通信方式には、NSA方式(Non-StandAlone)とSA方針(StandAlone)があります。わかりやすくいうと、5Gですが、4Gからの移行期的な方式がNSA方式、一方で完全に5Gに移行したものがSA方式です。通信技術は4Gから5Gへと一気に切り替わるわけではなく、製品開発も段階的に進みます。各通信キャリアも5Gサービス開始当初は、NSA方式でサービスを提供します。すでにさまざまな製品が販売されているため、導入は比較的簡単ですが、4G LTEと5Gの2つの方式に対応しているため、ややコストは高くなります。
一方、SA方式は5Gのみに対応しています。製品はまだ限られていますが、1つの方式のみなのでNSA方式の製品よりもコストを抑えることができます。また5G独自の最新機能を利用することができます。
3つ目は、運用方式です。ローカル5Gは「自営の5G」と紹介しましたが、自営にも2つのパターンがあります。1つは、文字通り「自営型」です。利用者が自分たちで設備を所有し、ネットワークを構築し、運用します。もう1つは「サービス型」です。サービス事業者が提供するローカル5Gをサービスとして利用します。設備を所有したり、ネットワークを構築・運用する必要はありません。
自営型は、導入コストがかかるが運用コストを抑えられる。運用の負荷は高いが自由度が高い、などの特徴があります。サービス型はその逆で、導入コストは低いが運用コストがかかる。運用の負荷は低いが自由度は低い、そしてもちろん、サービス事業者が存在しない場合は利用できない、などの特徴があります。
免許を申請する
またローカル5Gは、Wi-Fiとは違い、利用には免許が必要です。情報システム部門の責任者などが免許交付の対象となるケースが考えられますが、適切な人員がいない場合は、外部に委託することも可能です。いずれにせよ、無線エリアの設計、申請書類の作成、設備の性能検査などが必要になります。通信ネットワークを構築・運用するための免許ですので、ハードルの高い作業と言えます。
ローカル5Gの活用事例
ローカル5Gを導入するとどのように業務が変化するでしょうか。ローカル5Gの活用事例をご紹介します。
スマート工場
IoTやAIを活用したスマート工場では、さまざまな設備とローカル5Gネットワークを繋げているケースがあります。製造現場の稼働状況や物流状況などをリアルタイムで把握することができ、工場全体として効率的に稼働することができ、生産性がアップ。それによって品質を向上させ、競争力を高めることができるようになります。
遠隔操作
ローカル5Gを導入していると、低遅延での通信が可能なため、タイムラグが少なくリアルタイムでやりとりが可能になります。すると遠隔地からパソコンで現場を確認しながら、ロボットや機器の操作が可能になります。また遠隔操作を利用して、24時間の監視が可能となり、設備や機器に不具合が生じた場合に、いち早く検知して対応できるようになります。
ローカル5Gの現状・今後の課題と展望
日本で2020年3月から始まった5Gの商用利用。通信キャリアが、競うように5G搭載のスマホの販売を行い、5Gへの注目は高まっています。さらにローカル5G制度が整備され、ローカル5Gの事業を行う企業が増えてきています。東京都では5G技術を活用した新たなビジネスの確立を促進するため、5G技術を活用したスタートアップ企業への支援を行っており、今後はこのような動きがさらに活発になっていくとみられています。
しかしローカル5Gの課題として、ネットワーク構築のための通信機器設備には高額のコストがかかることがあります。そのため、小規模で低価格で利用できる機器の開発が求められています。
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パナソニックEWネットワークスは、不正接続などセキュリティ面を強化しながら、大容量データ通信のネットワークの構築をサポートします。ローカル5Gに関するご質問・ご相談がありましたら、お気軽にお問合せください。
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自社に合った5Gの活用方法を考える
5Gはパブリック5G、ローカル5G、プライベート5Gに分類することができます。すでに企業や自治体で、ローカル5Gの導入が進んでいます。ネットワーク上でシステムを制御したりロボット動かしたり、それらを連動させて生産を効率化したりすることも、ローカル5Gによって可能となっています。
またプライベート5Gは、パブリック5Gとローカル5Gの中間に位置するものです。プライベート5Gの提供により、これまでローカル5Gを導入したいけれど手間やコスト面から着手できなかった企業や組織でも、5G活用ができるようになり可能性が広がります。
DXがうたわれるようになった今、5Gはその推進の原動力となるものです。業務の効率化や自社の競争力の向上などに、5Gをどう役立てていくのか考えるときがきています。免許の取得やコスト等をかけずに5Gネットワークを構築できるプライベート5Gを含め、まずは自社や組織に最適な5Gはどれなのか、検討し可能性を探ってみましょう。