ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965終了致しました

ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965

「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965」ご来館にあたって

土曜日・日曜日・祝日は日時指定予約(平日は予約不要)

12月23日(月)午前10時から予約受付開始

展覧会概要

建築家ル・コルビュジエ(1887‒1965) は活動の後期において、建築の指揮のもとで絵画や彫刻をつなぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表しました。そしてそれ以上に、「諸芸術の綜合」とは統 一、調和、普遍的法則の理想主義に導かれた彼の芸術観全体を示すスローガンでもありました。
ル・コルビュジエは近代建築の巨匠として世界的に知られていますが、視覚芸術の他分野においても革新をもたらしました。本展は1930年代以降に彼が手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーをご覧いただき、さらに彼が求め続けた新しい技術の芸術的利用にもスポットをあてます。そして後期の建築作品も併せて紹介することで、はるかに伝統的な枠組みを超えたル・コルビュジエの円熟期の芸術観を明らかにします。
楽観的で歓喜に満ちたこれらの作品は、「住宅は住む機械」という彼のよく知られた言葉に集約される機能主義者のイメージを超えた、あらたな像を結びます。また、レジェ、アルプ、カンディンスキーといった同時代を生きた先駆的な芸術家たちの作品を対峙させることで、当時の芸術潮流における彼の立ち位置も浮かび上がらせます。
本展はゲスト・キュレイターにドイツ人美術史家ロバート・ヴォイチュツケ氏を迎え、20世紀の革新的頭脳の創造の源泉に迫ります。

展覧会会期
2025年1月11日(土)〜 3月23日(日)
開館時間
午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
※2月7日(金)、3月7日(金)、14(金)、21(金)、22(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)
休館日
水曜日(ただし3月19日は開館)
入館料
一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料 
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。ホームページ割引引き換え券はこちら
主催
パナソニック汐留美術館、朝日新聞社
後援
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、在日スイス大使館、一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会、港区教育委員会
特別協力
ル・コルビュジエ財団、大成建設株式会社
協力
株式会社カッシーナ・イクスシー、Echelle-1
会場構成
ULTRA STUDIO

*本展は、ル・コルビュジエ財団の協力のもと開催されます。

関連イベント

展覧会記念講演会 「アートがテクノロジーと出会うとき。ル・コルビュジエと協働したウルミラー・エリー・チョードリー」

終了致しました 満員になりましたので受付を終了しました

チャンディガールの都市計画のなかで「知のミュージアム」の図面制作をル・コルビュジエに任された、インド初の女性建築家ウルミラー・エリー・チョードリー(1923-1995)の存在に迫ります。言語は英語、逐次通訳つき。

講師
ロバート・ヴォイチュツケ氏(本展ゲスト・キュレイター、美術史家)
日時
1月12日(日) 午後2時~午後3時30分(開場午後1時30分)
定員
150名(要予約)
聴講費
無料(ただし本展の観覧券が必要です)
会場
パナソニック東京汐留ビル 5階ホール

*未就学児はご遠慮ください。
*展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。

申し込み方法

展覧会記念シンポジウム 「ル・コルビュジエの探求 絵画と建築」

終了致しました 満員になりましたので受付を終了しました

ル・コルビュジエは近代建築の巨匠として有名ですが、彼を建築家としてのみ捉えている限り、ル・コルビュジエの創作の本質を理解することは難しいのではないでしょうか。絵画をはじめとする多様な芸術活動の総体の中で議論することで、ル・コルビュジエの活動全体にかたちを変えながらも通じる理念を探り、彼が目指した建築について考えます。言語は日本語と英語、逐次通訳つき。

パネラー
ロバート・ヴォイチュツケ氏(ゲスト・キュレイター、美術史家。ドイツからオンライン参加)、富永 譲氏(建築家、法政大学名誉教授)、松浦寿夫氏(画家、批評家、多摩美術大学客員教授)
モデレーター
藤井由理氏(建築家、早稲田大学理工学術院総合研究所 研究院客員教授)
日時
1月25日(土) 午後3時~午後5時45分(開場午後2時30分)
*終了後、午前6時30分まで開館を延長し観覧の機会を設けます。
定員
150名(要予約)
聴講費
無料(ただし本展の観覧券が必要です)
会場
パナソニック東京汐留ビル 5階ホール

*未就学児はご遠慮ください。
*本シンポジウムは、同時配信はありません。 1月30日午前10時より2月3日午前10時までアーカイブをウェブサイトに掲載予定です。
*展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。

申し込み方法

【ご予約方法】

ハローダイヤル(050-5541-8600)へお電話にてお申し込みください。

①イベント名 ②参加人数(一度に2名までお申し込みいただけます) ③氏名(全参加希望者) ④住所 ⑤電話番号を承るほか、簡単なアンケートにご協力いただきます。

  • ・2024年12月1日(日)より受付開始
  • ・ご予約の受付時間 午前9時~午後8時
  • ・ご予約の受付は先着順、定員になり次第締め切りとさせていただきます。
  • ・お申し込み時にお知らせする整理番号を活用して入場いただきます。

*お申し込み時に頂いた個人情報は、本イベントの受講管理の目的でのみ使用し、参加希望者はこの目的での使用に同意したものとします。
*定員に達しなかった場合、当日受付をする場合がございます。

当館学芸員によるスライドトーク

終了致しました

本展担当学芸員が、展覧会の見どころや作品をご紹介いたします。

日時
1月31日(金)午後2時~、2月9日(日)午後4時~、3月1日(土)午後4時~
定員
先着50名(予約不要)
聴講費
無料(ただし本展の観覧券が必要です)
会場
パナソニック東京汐留ビル5階ホール

*2月9日(日)、3月1日(土)の展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。

展覧会の見どころと特徴

1.ル・コルビュジエの後期の絵画芸術に注目したはじめての展覧会

活動前半期に焦点をあてた「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」展(国立西洋美術館、2019年)に続き、40歳代以降の円熟期の創作にスポットをあてる日本ではじめての試みです。3連画トリプティックとして展示する《牡牛XVI》《牡牛XVIII》《牡牛》(未完・遺作)は、人間の生命力と精神の進化を象徴的に表した「牡牛」シリーズの集大成です。

2.ゲスト・キュレイターにロバート・ヴォイチュツケ氏

2020年から22年まで国立西洋美術館の客員研究員として滞日したドイツの若手美術史家のロバート・ヴォイチュツケ氏がゲスト・キュレイターとして参画します。ル・コルビュジエによる国立西洋美術館(世界文化遺産)の建築の新たな解釈を示した近著『未完の美術館』に基づく、これまでにない視点のキュレーションが新鮮です。展覧会記念講演会を1月12日(日)に行います。

3.会場構成はウルトラスタジオが手がける洗練の空間

ウルトラスタジオは、3人のメンバーが国際経験を経て結成した気鋭の建築コレクティブ。都市、歴史、物語などを手がかりにディスカッションを重ねて設計を行うスタイルを特徴としています。今回は、ル・コルビュジエの内装に着目して、「インテリア」「コーディネイト」「トランジション」をキーワードに、居住空間のなかに置かれた諸芸術の綜合をイメージして会場を構成します。

第1章 浜辺の建築家

1930年代のパリの芸術界に新しい傾向が現れます。1929年の世界恐慌はそれまでの機械万能主義から自然科学的関心へと価値観を転換させ、絵画の自律性を追求する抽象絵画から、未知の世界へと向かうシュルレアリスムの幻想的な絵画が人々の心をとらえるようになりました。自然界の原理が創作の着想源として再び注目されるようになり、ル・コルビュジエも、1918年から実践していたピュリスム絵画における幾何学的構成に代わり、貝、骨、流木といった有機的な収集物の形態を、建築と絵画に取り入れるようになります。ル・ コルビュジエはそれらを「詩的反応を喚起するオブジェ」と命名しました。アルプやレジェもこうしたモチーフに興味を示し、機械と人体、自然、あるいは工業性と地域性との関係性を、絵画や彫刻に模索していきます。

ル・コルビュジエ
《レア》
1931年、大成建設株式会社蔵
ジャン(ハンス)・アルプ
《地中海群像》
1941/1965年、東京国立近代美術館蔵
撮影:大谷一郎

第2章 諸芸術の綜合

ル・コルビュジエの円熟期の創作活動を理解する鍵が「諸芸術の綜合」の概念です。絵画、素描、彫刻、タペストリー、建築、都市計画はすべて、彼にとって「一つの同じ事柄をさまざまな形で創造的に表現したもの」であり、人の全感覚を満たす詩的環境を創り出すために、互いに関わりながら集結するものでした。日本ではインテリア・デザイナーのシャルロット・ペリアンがキュレーションした「巴里1955年―芸術の綜合への提案 ル・コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」(1955年)において、ル・コルビュジエのこの芸術観が紹介されました。木彫作品は家具職人のジョセフ・サヴィナとの協働から生まれ、ル・コルビジェはそれらを「音響的形態」とよびました。絵画を立体化したその曲面の造形は、ロンシャンの礼拝堂をはじめとする後期の建築作品に応用され、「音響的建築」の実現がめざされました。

ル・コルビュジエ
《奇妙な鳥と牡牛》
1957年、大成建設株式会社蔵
ル・コルビュジエ
《手》
1957年、森稔コレクション蔵
ロンシャンの礼拝堂(フランス、ロンシャン)1950年-55年 南西からの眺め
建築:ル・コルビュジエ、撮影:下田泰也、2016年

第3章 近代のミッション

ル・コルビュジエは2度の世界大戦を経験し、危機の時代から戦後の変遷を生きました。しかし、19世紀の産業革命以降に西洋社会を中心に飛躍的な展開を見た人間の進歩の永続を確信し、躊躇しませんでした。晩年の10年間、ル・コルビュジエは「人間の歴史は予め決定されており“調和の時代”に向かって進むものだ」と、今日ではあまりに楽観的な世界観をしばしば語っています。これは「偉大なる綜合」と「偉大な精神性の時代」に近づくための段階として抽象芸術を位置付けたカンディンスキーの考えにも通じます。ここでは、ルシアン・エルヴェのカメラがとらえたル・コルビュジエの建築と、カンディンスキーの版画集『小さな世界』を合わせて展示し、二人の世界観を対峙させます。そして、ル・コルビュジエの絵画の集大成である「牡牛」のシリーズから晩年の3点を、本展のハイライトとしてご覧いただきます。

ルシアン・エルヴェ
《ショーダン邸 南西側ファサードのディテール》
1955年、大成建設株式会社蔵
ル・コルビュジエ
《牡牛XVI》
1958年、ル・コルビュジエ財団(パリ)蔵
ル・コルビュジエ
《牡牛XVIII》
1959年、大成建設株式会社蔵
ル・コルビュジエ
《牡牛》
1963年、ル・コルビュジエ財団(パリ)蔵

第4章 やがてすべては海へと至る

ル・コルビュジエは1954年に執筆した論考「やがてすべては海へと至る」のなかでテクノロジーの発達により高度にネットワーク化、グローバル化が進む情報化社会の到来を予見しています。彼はつねに時代の先端技術から着想し建築作品を実現しました。その関心は、電子計算センターや、高度情報能力を持つ大型マルチメディア・プロジェクションの開発を構想したことにも明らかです。チャンディガールの「知のミュージアム」計画では、インド初の女性建築家ウルミラー・エリー・チョードリー(1923-1995)と協働しました。このプロジェクトは未来の人工知能AIをも予知しているかのようです。1958年ブリュッセル万博フィリップス館で公開した《電子の詩》は、当時の最新技術を駆使し、音楽、映像、建築の各要素を融合させ人類の発展をテーマとした作品で、マルチメディア芸術の先駆けともいえるでしょう。

ルシアン・エルヴェ
《カップ・マルタンの海岸でのル・コルビュジエ》
1951年、大成建設株式会社蔵