本展は、2020東京オリンピックパラリンピック開催に合わせて、日本の現代の表現の一潮流を紹介しようと企画したものでした。しかし新型コロナウィルスの世界的流行により、オリンピックとパラリンピックは延期、展覧会自体も密を避けるなど感染予防対策を徹底したうえでの開催となりました。
展覧会タイトルの「和巧絶佳」は造語です。それぞれの言葉を章タイトルでも用いました。第1章では、日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美を体現した作品を、第2章では、手わざの極致に挑む「巧」の美を体現した作品を、第3章の「絶佳」では、工芸素材の美の可能性を探る作品を展示しました。それらは、現在の活動だけでなく未来へつなげることを視野に入れ、1970年以降に生まれた比較的若手のしかし実力のある12名の作家の方にご出品いただきました。
「和」の章では舘鼻則孝さんと桑田卓郎さん、深堀隆介さんにご出品いただき、それぞれが考える日本の伝統文化を再解釈した作品の個性が際立つ展示プランとしました。「巧」の章では池田晃将さんと見附正康さん、山本茜さん、髙橋賢悟さんにご出品いただき、美しい作品を形作る作家の技術がより効果的に伝わるような展示としました。「絶佳」の章では新里明士さんと坂井直樹さん、安達大悟さん、橋本千毅さん、佐合道子さんにご出品いただき、素材の美しさとそれを生かした造形および装飾表現を体感できる空間としました。
また今回も当社商材のひとつであるスペースプレーヤーをエントランスで用いることで、期待を膨らませる導入部分となるような工夫も凝らしました。さらに作家や所蔵者のみなさまのご厚意により展示室内の撮影を可能とし、その結果、来館者の方々がSNSにアップした写真がたいへん人気となり、これまで美術館に縁の薄かった方々にも楽しんでいただけました。「工芸=古い」というイメージを刷新した本展覧会。手わざによる現代の日本の美をお示しすることが出来たと思います。