- 活動レポート
#Week9
ニュージーランドに帰国していたロビー監督が、2週間の自主隔離を終え本格合流した今週。
今シーズン初の試合ウィークということもあり、選手たちの集中力が一段レベルアップしたように感じる。
メニューとメニューの間には、あちこちで話をしながら移動する姿が伺えた。
1時間半に及ぶ練習時間のうち、一番時間が割かれたのは2チームに分かれてのアタック・ディフェンス練習。全員が一斉に声を出す故、自分の声を届ける方法にも個性が現れる。
叫ぶように声のボリュームを上げる人、大きく手を振って自分の存在をアピールする人。 声の量も大事だが、その質をいかに高めるか。そしてその声たちをどう聞き分けて、たくさんある選択肢の中から最適なものをチョイスするか。
声を出す側にも、そして聞き分ける側にも、スキルが求められるのだと実感する。
練習中、終始一歩離れた所からそっと練習を見守ったロビー監督。
いよいよ、2021-2022年シーズンの新生・埼玉ワイルドナイツがベールを脱ぐ。
★★★ 今週のピックアップ ★★★
権裕人選手&新井翼選手
帝京大学出身のセンターといえば、この2人。
体格も雰囲気も異なりながら、ダイナミックなプレーが共通項のザ・センター、権裕人選手と新井翼選手である。
インタビュー中、5歳年上の権選手は今シーズン初の公式戦デビューを目指す新井選手に、あるアドバイスを送った。
――ともに帝京大学出身の権選手と新井選手ですが、ワイルドナイツに入る前から面識があったのでしょうか
権いえ、全く知りませんでした(笑)帝京の後輩が入ってくる、ということで名前だけ聞いていたぐらいですね。
新井僕が一方的に知っていた、という感じです。
――新井選手がワイルドナイツに入団して以降、1年半程のお付き合いということですね。ぜひ、お互いがどのような選手かご紹介ください
権翼は器用というよりも、思い切りの良いタイプだと感じています。アタックにしてもディフェンスにしても、思い切りの良い選手という印象が強いです。
性格的には何を考えているか分からないですね(笑)。あまり顔に出るタイプではないので「何考えてねんやろな~」と思います。
新井裕人さんは練習中から積極的にボールをもらっていて、どんどんアタックに参加しています。真似したいな、と思う先輩です。特に練習の合間に集まってミニミーティングをする時に、すごくリーダーシップを発揮してくれるんですよね。
人間的な部分でも、とても頼もしいです。なんでも言ってくれる方なので、とても頼りにしています。
権そんな風に考えてくれていたんだと知れて、嬉しいですね。
――先週末は日本代表戦がありました。ワイルドナイツの選手たちもたくさん出場されていましたが、ご覧になられましたか?
新井僕はまだ全部通して見ていなくて・・・(笑)。これからじっくり見ます!
権僕は見ましたよ。チームメイトがたくさん出ていましたし、初キャップを取った仲間(ベン ガンター選手、ディラン ライリー選手)もいました。嬉しい気持ちもありつつ、一方では自分も出たいという気持ちもありましたね。
――改めて客観的にワイルドナイツの選手たちを見ると、敵にしたくない存在だと感じます
権脅威でしかないですよね。シーズンに入れば、ワイルド(試合メンバー)とナイツ(ノンメンバー)に分かれて試合形式の練習をするのですが、ワイルドはほとんど日本代表や各国代表の選手たちです。練習の時からめちゃくちゃ貴重な時間だと感じます。
――ところで、今週からロビー監督が本格的に合流しました。何か変わったことはありましたか?
権特に大きな変化はありません。ミーティングもなかったですし。
新井シーズンミーティングはチーム練習がスタートした8月末にあったのですが、ロビーさんはその時にオンラインで参加していましたね。
――ロビー監督が合流されたからといって、特段のミーティングを設けなくても積み重ねてきた信頼関係がある、ということですね
権きっとそういうことなんでしょう(笑)。ワイルドナイツの良い所ですね。
今週末の試合に向けてチームの雰囲気も非常に良いですし、みんな試合をとても楽しみにしています。
■その人自身を理解した上でラグビーをする
――今オフに結婚式を挙げられた権選手。ご自身の気持ちに変化は生まれましたか?
権一人暮らしの頃と比べたら、心の支えが太くなったと思います。僕の帰りを愛犬と待ってくれているので、嬉しいです。
――権選手はグラウンド内外問わず、どこにいてもワイルドナイツのムードメーカーです。何か心掛けていることがあるのでしょうか
権コミュニケーションを多く取らないと、その人のキャラクターは分からないと感じています。その人自身を理解した上でラグビーすると、やり易いこともあるんですよね。声が小さい選手は、僕から声を掛けないとコミュニケーションを取りにくいと思いますし。言葉にするのが上手い人・苦手な人と様々なので、特に年下とはプレー中はもちろん、ラグビー外でも色んな話題で極力話すようにしています。
――権選手も入団当初、先輩に同じようなことをしてもらった経験があるのでしょうか
権既に引退されましたが、北川智規さんがそうだったんですよね。よく飲みに連れて行って頂き、ラグビー以外の場所で話すことの重要性を教えて頂いた先輩です。可愛がって頂きました。
――気付けば入団7年目、そして来年30歳です。思い描く30歳像を教えてください。
権上からも下からも信頼される選手になりたいな、と思っています。常日頃の練習であったり、グラウンド外での出来事を一生懸命したり。そういうことの積み重ねが大事ですよね。
そのためには常に一生懸命、ひたむきに泥臭く頑張る。そういう選手になっていたいです。
――そのためには今シーズン、どういう1年にしていきたいと考えていますか
権グラウンドで1分でも長く練習することが何よりも大切です。大袈裟になるかもしれないですが、練習が出来なくなるような身の回りの小さなトラブルに巻き込まれないよう、気を付けたいと思います。 ラグビーに関しては、怪我をせずにシーズンを終えることが重要ですね。試合にも出たいですし、チャンスを逃さずチャレンジしていきたいと思います。
■体を当てることでラグビーを楽しんでいる
――深谷市出身の新井選手。久しぶりに県北に帰ってきましたね
新井高校は千葉県、大学は東京と県外に出ていたので、やっと帰って来ることが出来ました。
――新井選手のお父様(新井昭夫氏)は、三洋電機時代に活躍された名スタンドオフです。ワイルドナイツでプレーすることにはプレッシャーもあったと思いますが、なぜこのチームを選んだのでしょうか
新井一番の理由は、憧れです。ラグビーを始めた頃から一番近くで応援していたチームでしたし、試合会場に行った時の雰囲気が好きだったので、今度は自分がそこで活躍して多くの人に見てもらえたら良いなと思ってワイルドナイツを選びました。
――新井選手がラグビーを始めたのは中学生の時。それまでもラグビーを出来る環境はご家庭にあったと思いますが、なぜ中学生でラグビーを始めたのか教えてください
新井小学生までは野球と水泳をしていました。中学生になったらクラブチームで野球をしたかったのですが、ダメになってしまって。進学する中学校にラグビー部があったので、興味本位でラグビー部に入りました。ラグビー部自体に人気があって強かった、というのが理由です。親からラグビーをするよう強要されたことはなく、実はそれまでラグビーボールを触ったことすらありませんでした。
――9月初旬に行われていたフィットネスメニューでは、新井選手が先頭を走る姿が印象に残っています
新井1シーズン目(昨シーズン)に公式戦に出たかったのですが、叶えることが出来ませんでした。そこでどうすればいいかと考えた時、練習の度にガムシャラに一生懸命取り組むことが一番必要だと思いました。それを続ければ、おのずと結果はついてくると信じ今シーズン取り組んでいます。
――シーズン開幕をどのように迎えたいですか
新井とにかく怪我をせずグラウンドに立ち続けること。それと、昨シーズン出来なかったコミュニケーションの部分で積極的にボールをもらいにいくことを意識して、1月を迎えたいと思っています。
――ボールをもらうコミュニケーションは、権選手が得意な部分ですね。ぜひ、権選手から新井選手にアドバイスをお願いします
権そもそもの言葉数が少ないだけで、翼は別にコミュニケーションが下手だとは思っていません。なのでもっと普段からいろんな人、年上・年下関係なくフラットに話すことが大事かもしれませんね。
新井ありがとうございます!
■怪我をせずグラウンドに立ち続ける
――今週末からはいよいよ練習試合が始まります。今シーズンの目標を、それぞれ教えてください
権1試合でも多く試合に出て、怪我をしないこと。怪我をせずにシーズンを終えることです。そのためにも、体形を維持するように心掛けています。油断するとオフの時には10㎏近く落ちてしまうので、体形維持は年齢を重ねるごとに意識するようにしています。
新井僕は、昨年叶わなかった公式戦デビューを目標に頑張ります。怪我をせずグラウンドに立ち続けること、練習試合1試合1試合でアピールしていくことが重要だと捉えています。
昨年のプレシーズンでは、ウイングでしか出場機会がありませんでした。僕自身、体を当てることでラグビーを楽しんでいるので、ウイングよりもセンターの方が合っていると思っています。今週末のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安戦では、約2年ぶりにセンターとしてプレーするので、体を当てる所でアピールしていきたいです。
――最後に、お2人からファンの皆様にメッセージをお願いします
新井目立たない選手ですが、コツコツと努力して結果を出していけるよう努めます。応援をよろしくおねがいします!
権コロナもだんだん落ち着いてきて、昨シーズンに比べればグラウンドで見られる機会も増えると思います。たくさんの方にグラウンドに足を運んで頂いて、生でラグビーを見てもらえたら嬉しいです。変わらないワイルドナイツへの応援を、よろしくお願いします!
(&rugby/原田友莉子)