- 活動レポート
#Week8
さくらオーバルフォートが芝養生中のため、太田市運動公園陸上競技場と熊谷ラグビー場Bグラウンドで汗を流す埼玉ワイルドナイツ。シーズン初戦を翌週末に控えているものの、特別な緊張感はなく、良い意味でいつも通りの練習を重ねている。
グラウンドではピリッとした空気の中でラグビーをしながら、オフザフィールドでは他愛もない会話で笑顔を見せる選手たち。このオンとオフの切り替えが、チームの魅力でもある。
来週からは、いよいよロビー ディーンズ監督が本格的に合流する。より一層、激しさを増した練習が見られそうだ。
★★★ 今週のピックアップ ★★★
床田裕亮選手&島根一磨選手
スクマム!クマガヤのマスコット『スク』『マム』の実写版として活躍する、島根一磨選手と床田裕亮選手。
優しい笑顔が共通点である2人のポジションは、ともに最前線で体を張るフロントロー。5名の日本代表を擁し、ワイルドナイツでも1・2を争う激戦区である。
なぜ、日本代表が揃う野武士軍団を選んだのか。
話を聞くと、そこには「ラグビーが上手くなりたい」という共通の想いがあった。
――まずは今週のチームの雰囲気について教えてください
島根試合が来週末に控えているので、高知合宿よりも試合を想定した練習が増えています。雰囲気は良いですね。試合に向けて一つになっていると感じます。
床田公式戦が始まったらワイルド(試合メンバー)とナイツ(ノンメンバー)に分かれて対戦形式の練習をするので、練習中のミニミーティングもそれぞれ別に行います。
ですがプレシーズンはまだ、ワイルドとナイツという概念がありません。メンバー・ノンメンバーの区別なく縦割りでチーム分けをしているので、みんなが意見を出し合って練習出来ています。
ナイツ側としては、普段は聞けないワイルドの意見を教えてもらえるし、良い雰囲気だと感じます。堀江(翔太)さんがいるのも大きいですね。
――多くの選手が「堀江さんの存在は大きい」とおっしゃいます。もう少し具体的に、どのような部分で堀江選手の存在を感じるのでしょうか
床田精神的な所が大きいです。どうしても練習中緩くなってしまう瞬間があるのですが、そんな時に堀江さんは「それは違うぞ」と言ってくれる人。選手たちからの信頼も厚いですし、堀江さんがプレシーズンの期間、チームに居る意味はめちゃくちゃでかいです。
■スク・マムだからこそ出来る活動を
――お2人は、スク・マムの実写版、スク根・マム田としても様々な場面で活躍されています。そもそも、なぜお2人がスク・マムになったのでしょう
床田ワイルドナイツのジャージを着たスクとマムのぬいぐるみを販売することになった時、PR動画の撮影があったのですが、その時たまたまクラブハウスにいたのが僕と島根でした。そこから話がトントン拍子で進み、気付いたら今のポジションです(笑)。
――偶然だったのですね
島根偶然です(笑)。新リーグが開幕するにあたり、これからより地域密着という部分が重要になってきます。これを機に、スク・マムという切り口からチームを応援してもらえる場を作れると良いですよね。コロナの影響で最近はあまり普及活動も出来ていないので、自分たちを通じて地域の方たちにワイルドナイツを知ってもらえると嬉しいな、と思います。
――スク・マムを通して初めてお2人を知る方もいると思います。ぜひ、互いを紹介してください
床田本人の前でいうのは恥ずかしいですけど、島根は愛くるしいキャラですね。先輩方はもちろん、後輩と絡んでいる所を見ると、愛されるキャラクターだなと思います。
昨シーズン重要な試合で島根がミスをした時があったのですが、腫れ物に触るような扱いではなく、みんないじっていたんですよね。それは彼の人柄あってこそ。強みだと思います。
島根床田さんはとても気を遣える人。話さない人いないんじゃないか、というくらい全員と喋っていますし、先輩だけでなく後輩の自分たちにも気を遣ってご飯に連れていってくれます。僕には出来ないことなので、凄いなと思います。
ラグビー面でいうと、器用なイメージですね。パスを含め、色んなプレーをもっと見て、手本にしたいです。
――熊谷に移転して早2カ月ですね
床田施設も新しくなって、ラグビーに打ち込める環境を用意して頂いたことに感謝しています。こういう場所を提供してもらったからには、より地域密着だったり子どもたちへの普及活動だったり、ラグビーを通じて見せていなければいけないと更に感じるようになりました。
島根僕は奈良県で生まれ育ったので、太田・熊谷の夏の暑さと冬の寒さ、それから風の強さに驚いています。でも周りの人たちは「当たり前やで」と涼しい顔で言うんですよね。ラグビーは風に影響されやすいので、すごい環境でラグビーしているなと最初は思いました。
――ラインアウトのスローイングを担当するフッカーにとって、風は大敵ですね
島根関西の風とは比べ物になりません。風でプレッシャーを受けることも多々あります。
床田島根は失敗するといつも風のせいにするんですよ(笑)。
――お2人は社員選手ですが、太田に居た頃と生活リズムが変わったと思います。仕事後にウエイトトレーニングをしてからの全体練習、という新しいスタイルには慣れましたか?
床田実は高知合宿後から、朝練が復活したんです。S&Cコーチがウエイトトレーニングは朝の方が良いと判断したので、僕たちはもう従うだけです(笑)。
島根めちゃくちゃ大変ですが、言われたらやるだけですね・・・(笑)。
■気配りと目配りで信頼を勝ち取る
――床田選手がワイルドナイツを選んだ理由を教えてください
床田僕の中で上手い人と一緒にラグビーをして様々なことを吸収したい、という思いがありました。有名な選手がたくさんいて、他のチームでは得られない経験が自分の今後のためになるなと。その上で試合に出られたら最高ですしね。
実際にワイルドナイツに入ったら、オンとオフの切り替え方を見習わないといけないと考えさせられました。特にオンの時のラグビーに対する姿勢と集中力は、僕が今まで経験したことがないもの。全然レベルが違いましたね。短い練習時間だけど、しっかりキツイ。全力で集中しないと置いていかれます。最初はついていくのが大変でした。
――スク・マムの活動もそうですが、床田選手は以前から地域でのイベントなどにも積極的に参加されています
床田普及活動をメインに、子どもたちにラグビーを教える活動が多いですね。コロナ前は富山県など他県にも行っていました。僕が入団1・2年目の頃は、谷(昌樹)さんや金田(瑛司)さんに付いて学んでいましたが、回数を重ねるうちに、先輩やスタッフがいなくても自分たちだけで出来るようになりました。
――SNSに投稿されているお誕生日メッセージは、床田選手が選手たちから集めて投稿していると聞きました
床田昨年から公式SNSアカウントを操作できるようにしてもらっていたのですが、まずは誕生日コメントが一番取り掛かりやすいのではないかということで、今年の6月くらいから広報の酒井さんに代わって担当するようになりました。
誕生日当日の午前中に該当選手からメッセージをもらって広報に確認し、OKが出たら写真や動画とともに投稿しています。でもたまに忘れてしまうことがあって(笑)みんなの誕生日を把握することから始めないといけないので、ホームページのスケジュール欄確認はルーティンにしています。
――普及活動や広報のサポートをするようになって、ご自身のラグビーに変化はありましたか?
床田ラグビーというよりも、一社会人として気付いたことが多いかもしれません。気配り目配りは社会人として大切だということも改めて気付きましたし、とても自分のためになっていると感じます。普及活動に毎回スタッフが付いてきてくれるわけではないので、初対面の方とのコミュニケーションの取り方や当日の段取り方法なども学びました。
――今シーズンの床田選手の目標を教えてください
床田他のみんなも言っている通り、チームとしてはリーグワンの初代チャンピオンを目指していきたいです。個人としては1試合でも多く出場し、チームに貢献したいと思っています。同じポジションに日本代表が2名いますが、彼らよりも信頼を勝ち取って試合に出られたら自分の自信にもなります。1試合でも多く、出たいです。
■弱みを強みに変えるチャレンジを
――続いて島根選手、お願いします。まずはワイルドナイツを選んだ理由を教えてください
島根大学3年生までずっとフランカーをやっていたのですが、その時にワイルドナイツだけが「ぜひフッカーで来てくれ」と言ってくださったんです。4年生の時にはフッカーに転向することが決まっていたので、フッカーにチャレンジ出来るワイルドナイツを選びました。 あとは、各国代表の方に教えてもらって更に強くなりたいな、とも思っていましたね。試合に出られる出られないではなく、強くなりたい、という気持ちが大きかったです。
――これまで先輩たちに教えてもらったことで、印象的なことはありますか
島根堀江さんにスローイング時のマインドについて聞いたことがあるんですが「気持ちや!」って言われました(笑)。でも、その通りなんですよね。気持ちを強く持つことが何よりも大事です。
――昨シーズンは、プレーオフに入ってから初めて先発出場しましたね
島根負けたら終わりのトーナメントで先発というのは緊張しましたが、何しろリザーブには堀江さんがいるという安心感がありました。だからまず自分はありったけの力を出し切ろう、という気持ちで試合に挑みました。
――準決勝のトヨタヴェルブリッツ戦、如何でしたか。
島根交代で入った堀江さんの姿を間近で見て、改めてこういう人になりたいな、と思いました。堀江さんが入ってからノートライに抑えたんですよね。それまでの流れを全部、堀江さんが変えてくれました。
試合後、実は谷さんや金田さんが自分の悔しい所をいじってくれたんですよ。何も言われないより、いじってくれた方が気が楽だったので、とても有難かったなと思います。
――今シーズンの目標は、先発でしょうか。それともスローイングに関することでしょうか
島根試合に出ることが目標です。一方、スローイングにも注目して欲しいなと思っています。これまで弱みだったスローイングを強みにすべく、気持ちを一新して投げるようチャレンジします。
――気持ちを一新、とはどういうことでしょう
島根一度ミスすると気持ちが下がってミスが続いてしまうのですが、ミスしても何も思わない。自分のやることを確認して実行する。こうしたことを練習から実行しています。それがきっと試合にも活きると信じています。
■優勝してファンの方々に恩返しを
――最後に、お2人からファンの皆様にメッセージをお願いします
床田新しいリーグになって、また新天地・熊谷に移転して、良い環境を用意して頂いています。僕たちは結果でファンの方々に恩返ししなければならない、と感じています。まずは僕たちのラグビーを見て頂くこと、そしてこれから地域密着でどんどん交流することも大切にしていきたいと思うので、それが出来る時期になれば、ぜひ楽しんで頂けたらと思います。
島根こういう状況下でラグビーが出来るのも、そして頑張れるのも、ファンの皆様のおかげです。感謝の気持ちを持ってプレーしていきたいです。
新リーグでも優勝を飾って恩返ししたいなと思います。これからも応援、よろしくお願いします。
(&rugby/原田友莉子)