私が創業者と一緒に丸良木材を始めて、50年が経ちました。その間、世の中は変わり、当社も在来工法からテクノストラクチャー工法に切り替えるなど技術的な面では大きく変化しました。ただ、お客様に向き合う本質的な部分はほとんど変わっていないように思います。

当社の社員たちは、創業者が遺した「丸良の信条」を愚直なまでに大切にしてくれています。その第一条は“単に家を建てるのではなく、家を通じてお客様の幸福な暮らしづくりのお手伝いをする”…社員一人一人がその意味を考え、時には話し合いながら、なにか決断を迫られた際にはそれを基準に判断してくれています。

これまで「お客様にご迷惑をかけないように」と会社を続ける努力はしてきましたが、会社を大きくすることには無関心。価格を抑えるために広告さえ控え気味だった当社が、今では年間90棟前後の新築を手掛けています。しかも、その半分以上がOB施主様からのご紹介によるもの。ご紹介いただいたということは、きっと私どもが建てた家で幸せに暮らしていただけているからでしょう。こんなにありがたく、うれしいことはありません。

お客様を幸せにする…そんな立派な力は私たちにありませんが、「丈夫で快適に過ごせるよう考え抜かれた家」「建てた後も呼べば必ず駆けつけてくれる安心」は、きっと“お客様の幸せな暮らし”につながると信じています。テクノストラクチャーを扱うようになったのも、そのため。暮らしを守れる耐震性能と理想の空間をつくれる設計の自由度が、当社のポリシーに重なるんです。

そんな想いはアフターメンテナンスの現場でも同じ。「安心していただくために、その場で解決できない場合でも、すぐに駆けつけます。改修が必要なら、費用を抑えられる代替案をリフォーム部門と考えます。みんな商売っ気がないというか（笑）…いつもお客様の負担を軽くすることを考えています（メンテナンス担当・藤川敏行）」。社員全員がお客様を見ていることこそが、地域密着で取り組む当社の強みだと思います。

私たちの仕事でいちばんうれしい瞬間は、お引渡しが済んだ後のお客様の喜びに触れる時。たとえば、2年に1回開催している感謝祭でお客様に名前を呼ばれて、天にも昇るような幸せな顔で駆け寄っていく営業担当。たとえば、アフターメンテナンスに伺った際に、お客様に家をほめられた話をうれしそうに報告してくれる工務担当…。

そんな彼らの姿を見るたびに「お客様の幸せは私たち自身の幸せでもある」と心から思います。世の中もこの町も変化していくと思いますが、社員一人一人がお客様の幸せについて喜び、時には悩みながら、いつまでもお客様との絆を持ち続ける会社であり続けたいと思っています。

実は私自身、3年前に丸良木材で家を建てたんです。それ以来、お客様を家に招くことも多いんですよ。「なぜ、ここに窓をつくったか？」など、家づくりのプロセスを実際に見て、感じてほしいと思って。

お客様との距離が近いのが、地域密着ビルダーの良さ。近くのショッピングモールに買物に行って、1日に3組のお客様に会ったことも（笑）。私が通っている美容室のオーナーさんの新居を担当させてもらって、さらにお客様を紹介いただいたり…。生活圏が同じだから、みんながつながっていて、そこから紹介の輪が広がることもあるんですよ。

家はお引渡しまでより、住んでからのほうがずっと長い。だから、何年後でも何十年後でも、何かあれば私のことを思い出してほしい。大げさに聞こえるかもしれませんが、私は「お客様も家族」というスタンス。いつでも、どんなことでも、連絡をいただけるのが嬉しいんです。