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WANとは?LANの違いや意味、種類を解説

更新日:2026/03/24
WANとは?LANの違いや意味、種類を解説
WANは拠点間を安全に、かつ安定的に接続するための中核的な通信インフラです。業務システムの共有、データの一元管理、クラウド活用の拡大などを支える基盤であり、WANの設計次第で生産性や事業継続性にも大きな差が生まれます。だからこそ、WANの仕組みや特性を正しく理解しておくことが重要です。本記事では、WANの概念や接続の仕組み、LANとの違い、構築時の課題、サービスの種類などについて解説します。
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WAN(広域通信網)とは?

WAN(Wide Area Network/広域通信網)とは、地理的に離れた拠点同士を接続するための大規模なネットワークのことです。通信事業者が提供する回線やサービスを利用し、本社・支社・工場など複数の拠点間でデータを安全かつ効率的にやり取りできます。企業活動においては、業務システムの共有やデータの一元管理、クラウド活用の基盤となる重要な通信インフラです。専用線やVPNなどの技術を活用することで、広域でも安定性とセキュリティを確保することができます。

WAN接続の仕組み

WAN接続は、拠点内のルータと通信事業者の回線終端装置を接続することで確立されます。光回線の場合、まず外部から引き込まれた光ファイバーをONU(光回線終端装置)に接続します。ADSLや一部の回線ではモデムが用いられます。その後、ONUまたはモデムの「LANポート」と、ルータの「WANポート」をLANケーブルで接続します。これにより、ルータが回線事業者網と通信可能な状態になります。

物理接続後、ルータ側でインターネット接続設定をおこないます。代表的な方式が「DHCP」と「PPPoE」です。契約している回線サービスに応じて適切な方式を選択し、必要な情報を設定することでWAN通信が開始されます。

DHCP PPPoE
IPアドレスの取得方法 自動取得 認証後に取得
認証情報 不要(基本的に自動) ユーザーID・パスワードが必要
設定の手間 少ない 手動設定が必要
接続方式の特徴 常時接続型が主流 認証ベースの接続
主な利用回線 光コラボ・IPoE系 従来型フレッツ回線など

インターネット接続との関係

WANは、企業や官公庁などが複数の拠点を安全に接続するために構築する広域ネットワークで、通信事業者が提供する専用線や閉域網サービスを利用することで、限られた利用者のみがアクセスできる環境を実現します。通信経路が分離・管理されており、セキュリティや品質を一定水準で維持しやすいのがWANの特徴です。

一方、インターネットは世界中のネットワークを相互接続したオープンな通信基盤であり、パブリック回線を通じて不特定多数が利用します。低コストで導入しやすい一方で、通信品質やセキュリティは利用環境に依存します。近年はインターネット回線を活用したVPN型WANも普及していますが、専用線型WANとは信頼性が異なるため、業務要件に応じて選定することが重要です。

WANとLANの違いとは?

WANとLANの違いとは?

LANは建物内や同一拠点など限定された範囲を接続するのに対し、WANは地理的に離れた拠点同士を接続する広域ネットワークです。企業ネットワークでは、LANを基盤にWANで拠点間を結ぶ構成が一般的です。

  • 通信範囲:LANは社内・校内など限定的な範囲、WANは拠点間など広域を接続
  • IPアドレス:LANはプライベートIP、WANはグローバルIPや閉域IPを利用
  • 機器構成:LANはスイッチやハブが中心、WANはルータや回線終端装置を使用

WAN構築の課題

WANは企業の拠点間通信を支える重要な基盤ですが、構築・運用にあたってはいくつかの課題を認識しておく必要があります。特に検討段階で押さえておくべきポイントが、「高額な導入コスト」「セキュリティリスク」「拠点間の速度格差」の3つです。

高額な導入コスト

WAN構築における大きな課題の一つが、初期導入コストの高さです。特に専用線型WANは、回線敷設費や月額利用料が高額になりやすいうえ、ルータや回線終端装置などの機器費用も必要です。回線の冗長化やバックアップ回線を確保する場合は、さらに追加費用が発生します。拠点数が増えるほど回線契約数や機器台数が増加し、比例してコストの負担も大きくなります。事業拡大を見据える場合、将来的な増設費用まで含めた総保有コスト(TCO)を試算することが重要です。

期費用目安 月額費用目安
専用線(1拠点間) 約50万~150万円 約5万~20万円
IP-VPN 約10万~50万円 約3万~10万円
企業向けルータ 約5万~30万円/台
回線終端装置(ONUなど) 0~10万円

セキュリティリスク

WANは複数拠点を広域で接続するため、通信経路が長くなります。そのぶん、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃の対象になりやすいという課題があります。特にインターネット回線を利用するVPN型WANでは、設定不備や認証情報の漏洩を起点とした侵入、マルウェア感染による拠点間への被害拡大などのリスクが考えられます。また、通信が暗号化されていない場合、盗聴やデータ改ざんによる情報漏洩につながるおそれもあります。さらに、クラウド利用やリモートアクセスの拡大により、攻撃対象領域が広がっている点も無視できません。

セキュリティ対策としては、通信の暗号化、多要素認証の導入、ファイアウォールやUTMによる境界防御の強化などが有効です。加えて、拠点ごとのアクセス制御やログ監視を徹底し、ゼロトラストの考え方を取り入れた設計をおこなうことが、WAN環境の安全性向上につながります。

拠点間の速度格差

WANでは、拠点間の物理的距離や利用回線の品質によって通信速度に差が出ることがあります。たとえば、本社が1Gbpsの専用線を利用していても、地方拠点が100Mbpsの回線で接続している場合、拠点間通信の実効速度は100Mbpsが理論上の上限となります。また、海外拠点との通信では遅延が増大し、ファイル転送やクラウド利用時の体感速度が低下します。さらに、業務集中時間帯のピーク時には回線が混雑し、速度低下やパケットロスが発生することもあります。これにより、Web会議の音声途切れや基幹システムの応答遅延が発生するケースもあります。

解決策としては、回線帯域の増強、QoSによる通信制御、SD-WANの導入による経路最適化などが有効です。

WANサービスの主な種類

WANサービスの主な種類

WANサービスの主な種類としては、「デジタル専用線」「インターネットVPN」「広域イーサネット」「IP-VPN」の4つが挙げられます。それぞれの特徴、メリット・デメリットを押さえておきましょう。

1. デジタル専用線

デジタル専用線は、通信事業者が提供する拠点間専用の物理回線を利用するWANサービスです。原則として他社通信と帯域を共有しないため、通信品質が安定しており、大容量データの送受信や基幹システム連携、映像伝送などにも適しています。また、閉域で構成されるため外部からの侵入リスクが低く、高いセキュリティ水準を確保できます。通信遅延が少なく、SLA(品質保証)が設定されるケースが多いのもデジタル専用線の特徴です。

一方で、回線敷設や維持にかかるコストが高く、導入には慎重な投資判断が求められます。

初期費用 約50万~150万円/回線
月額費用 約5万~20万円
通信品質 高速・低遅延・帯域保証あり
セキュリティ 閉域網・外部非公開で高水準
企業規模目安 中堅~大企業、重要拠点間接続向け

2. インターネットVPN

インターネットVPNは、パブリック回線(インターネット)を利用して拠点間を接続するWANサービスです。既存のインターネット回線を活用するため、専用線に比べると初期費用・月額費用を大幅に抑えられます。通信は暗号化技術(IPsecなど)により保護され、一定のセキュリティを確保できます。また、専用線WANのバックアップ回線として併用する構成も一般的です。

初期費用 約5万~30万円
月額費用 約1万~5万円/拠点
通信品質 ベストエフォート型(回線混雑の影響あり)
セキュリティ 暗号化により保護(閉域網よりは劣る)
企業規模目安 小規模~中堅企業、支店・店舗接続向け

3. 広域イーサネット

広域イーサネットは、LANで利用されるイーサネット技術を広域ネットワークへ拡張したWANサービスです。レイヤー2接続により拠点間を同一LANのように構成でき、プロトコル制限が少なく、柔軟なネットワーク設計が可能です。拠点追加や帯域変更にも比較的対応しやすく、カスタマイズ性を重視する企業に適しています。

一方で、拠点数が多い場合は設計・管理が複雑化し、コストの負担も大きくなるため、大規模展開では慎重な検討が必要です。特に、ネットワーク全体のブロードキャスト制御や障害時の影響範囲を考慮した設計が重要になります。

初期費用 約20万~80万円
月額費用 約3万~15万円
通信品質 高速・安定(帯域保証あり)
セキュリティ 閉域網で高水準
企業規模目安 中堅~大企業、拠点数が中規模程度の企業

4. IP-VPN

IP-VPNは、通信事業者が提供する閉域IP網(クローズドネットワーク)を利用して拠点間を接続するWANサービスです。インターネットを経由せず、事業者網内で通信が完結するため、不正アクセスや盗聴リスクが低く、高い安全性を確保できます。また、MPLSなどの技術によって通信経路が最適化され、安定した品質を維持できるのもIP-VPNの特徴です。拠点数が増えても一元的なネットワーク管理がしやすいのも、メリットだと言えるでしょう。専用線よりコストを抑えつつ、セキュリティと品質のバランスを重視したい中規模企業で広く採用されています。

初期費用 約10万~50万円
月額費用 約3万~10万円/拠点
通信品質 安定・低遅延(帯域保証ありの場合も)
セキュリティ 閉域IP網により高水準
企業規模目安 中規模企業~大企業、複数拠点接続向け

まとめ

WANは拠点間通信を支える中核インフラですが、サービスの選定次第でコストやセキュリティ、通信品質は大きく変わってきます。「デジタル専用線」「インターネットVPN」「広域イーサネット」「IP-VPN」では、特徴や適性が異なります。WANの導入時は初期費用だけでなく、拠点数の増加や将来の拡張、運用負荷まで含めた総合的な視点を持つことが重要です。自社の業務要件を明確にし、最適なWAN構成を検討しましょう。

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