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VPN構築の方法や手順は?必要な機器や注意点、選び方を分かりやすく解説
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そもそもVPNとは?
VPNとは、インターネットなどの共有回線上に仮想的な専用ネットワークを構築し、安全に通信をおこなうための技術です。社外からでも安全に社内ネットワークに接続できることから、拠点間通信やテレワークが必要な企業や官公庁を中心に幅広く活用されています。
VPNの概要・仕組み
VPNは「Virtual Private Network(仮想専用線)」の略称で、物理的な専用回線を敷設することなく、既存のネットワーク上に安全な通信経路をつくる仕組みです。主に「トンネリング」「暗号化」「認証」といった技術を組み合わせることで、第三者から通信内容を見られない環境を構築します。
VPNは、本社と支社間の拠点間接続や、テレワークの従業員が自宅や外出先から社内システムにアクセスするシーンなどで利用されており、第三者による盗聴や不正アクセスを防ぎ、安全性の高い通信を実現しています。
VPNでは、通信データをそのまま送信するのではなく、別のデータで包み込む「カプセル化」をおこない、仮想的なトンネル(トンネリング)の中を通して送受信します。これにより、インターネット回線を利用していても、あたかも閉じた専用線のような通信が可能になります。
VPN通信では、送受信するデータが暗号化されます。万が一、データを傍受されても、内容を解読されにくいのが特徴です。加えて、ID・パスワードや証明書などによる認証をおこなうことで、許可された利用者のみが接続できる仕組みにしています。
VPNの主な種類
VPNにはいくつかの方式がありますが、法人利用で主に選択されるのは「インターネットVPN」「IP-VPN」「広域イーサネット」の3つです。それぞれ、通信品質やセキュリティ、コストなどに違いがあります。
①インターネットVPN
インターネットVPNは、既存のインターネット回線を利用してVPNを構築する方式です。専用回線を新たに敷設する必要がないため、スピーディーにVPN環境を構築できるのが大きなメリットです。また、光回線などをそのまま使えるため、初期費用・運用費用の負担も抑えられます。拠点数が少ない企業や、テレワーク用途に向いた方式だと言えるでしょう。一方で、回線が共有されているため、通信速度が不安定になる場合があることはデメリットとして認識しておかなければいけません。
②IP-VPN
IP-VPNは、通信事業者が提供する閉域ネットワークを利用してVPNを構築する方式です。インターネットを経由しないため、高度なセキュリティと安定した通信品質を両立できるのが、IP-VPNの利点です。業務システムや基幹データのやり取りにも適しており、常時接続が求められる拠点間通信にも最適です。一方で、専用サービスの契約が必要になり、インターネットVPNに比べてコストの負担が大きくなる点はデメリットだと言えるでしょう。
③広域イーサネット
広域イーサネットは、IP-VPNと同様に通信事業者の閉域網を利用してVPNを構築する方式ですが、イーサネット技術をベースとしている点に特徴があります。高速かつ安定した通信が可能で、ネットワーク構成の自由度も高く、大規模拠点間接続や特殊な業務要件にも柔軟に対応できます。一方で、ネットワークの設計や設定が複雑になりやすく、初期費用・運用費用ともに高額になりやすい点はデメリットです。通信品質や拡張性を重視する大企業や官公庁向けのVPN方式として位置づけられています。
VPNを構築するメリット
VPNを構築する主なメリットとして挙げられるのが、「通信の安全性を確保できること」「場所を問わず社内ネットワークに接続できること」「コストを抑えてネットワークを構築できること」の3点です。
通信の安全性を確保できる
VPNの大きなメリットの一つが、通信の安全性を高められることです。VPNは、インターネット回線などの共有回線を利用しながらも、通信内容を暗号化し、仮想的な専用回線を構築します。これにより、第三者による盗聴や不正アクセス、情報の改ざんなどのリスクを低減できます。特に機密性が高いデータを扱う企業では、VPNによる通信保護が重要です。公衆Wi-Fiや社外ネットワークを利用する場合でも、VPNを介すことで、社内と同等のセキュリティレベルを確保できます。
場所を問わず社内ネットワークに接続できる
VPNを構築すれば、社外からでも安全に社内ネットワークにアクセスできるようになります。テレワークや拠点間通信においても、あたかも同じ社内LANに接続しているかのように業務をおこなえるのが特徴です。従業員は場所を問わず、社内のファイルサーバや業務システムを利用できるため、業務効率や生産性の向上が期待できます。また、災害時など拠点に出社できないときも業務を継続できるため、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
コストを抑えて柔軟なネットワークを構築できる
物理的な専用線を敷設する場合に比べ、コストを抑えやすいのもVPN構築のメリットです。VPNは既存のインターネット回線を活用できるため、新たな回線工事が不要なケースが多く、初期費用の負担を抑えられます。また、拠点間の距離に左右されにくく、拠点数の増減にも柔軟に対応できるため、事業拡大や組織再編にともなうネットワーク変更も可能です。適切な機器やサービスを選択することで、セキュリティとコストのバランスを保ちながら、自社に最適なネットワーク環境を構築できます。
VPNの構築方法と手順【インターネットVPNの場合】
インターネットVPNは、既存のインターネット回線を利用してVPN環境を構築する方式で、比較的低コストかつ短期間で導入できるのが特徴です。インターネットVPNの基本的な構築手順についてご説明します。
①VPN対応ルータを準備・設置する
まず、VPN機能に対応したルータを準備します。すでに設置済みのルータがVPN対応であれば、新たに購入する必要はありませんが、対応プロトコルや同時接続数、暗号化性能は必ず確認しましょう。拠点間接続の場合は、拠点数分のVPNルータが必要です。VPN対応ルータを設置したら、インターネット接続が安定しているかを確認します。脆弱性を防ぐため、初期パスワードの変更も忘れずにおこないましょう。
②VPN設定と端末側の接続設定をおこなう
次に、VPNルータでトンネリングや暗号化方式、認証方法などの設定をおこないます。設定内容は製品や方式によって異なるため、メーカーのマニュアルを参照しながら慎重に進めましょう。同時に、社外から接続するPCやスマートフォンなどの端末側でもVPN設定をおこないます。専用クライアントソフトのインストールが必要な場合もあるため、対応OSの確認が欠かせません。設定後は必ず接続テストをおこない、正しく通信できることを確認しましょう。
VPNの構築方法と手順【IP-VPNの場合】
IP-VPNは、通信事業者が提供する閉域ネットワークを利用してVPN環境を構築する方式で、高いセキュリティと安定した通信品質が特徴です。IP-VPNの基本的な構築手順についてご説明します。
①通信事業者のIP-VPNサービスを契約する
IP-VPNを導入するには、まず通信事業者が提供するIP-VPNサービスと契約する必要があります。導入にあたっては、利用目的や拠点数、必要な通信速度、求められるセキュリティレベルなどを整理したうえで、自社に適したプランを選定することが重要です。SLA(サービス品質保証)が設定されているIP-VPNサービスであれば、通信品質や可用性が一定水準で担保されるため、業務停止リスクの低減につながります。
なお、契約から回線開通までには一定の期間を要する場合が多いため、余裕を持った導入スケジュールを立てておくことが重要です。
②CEルータを設置し接続確認をおこなう
回線が開通した後は、通信事業者から提供されるCEルータを各拠点に設置します。CEルータは、社内ネットワークと通信事業者の閉域網を接続する役割を担う機器であり、基本的な設定は事業者側でおこなわれるのが一般的です。CEルータの設置が完了したら、拠点間で正常に通信できるかを確認します。運用要件に応じて、アクセス制御の設定や回線・機器の冗長構成についても検討しておくと安心です。
VPNを構築する際に必要な機器は?
VPNを構築するには、通信を安全に中継・制御するための専用機器やソフトウェアが必要です(構成や利用目的によって必要なものは異なります)。こちらでは、「VPNゲートウェイ」「VPNルータ」「VPNクライアントソフト」の3つについてご説明します。
①VPNゲートウェイ
VPNゲートウェイは、VPN通信を中継・制御する役割を持つ機器で、社内ネットワークと外部ネットワークの境界に設置します。通信データの暗号化・復号、トンネリング処理、認証などをおこない、安全な通信経路を確立します。専用機器として提供される場合もあれば、VPNルータやファイアウォールにゲートウェイ機能が統合されているケースもあります。
VPNゲートウェイを選定する際は、対応しているVPNプロトコルと処理性能をチェックしましょう。利用人数や通信量が多い環境では、暗号化処理による負荷が大きくなるため、十分なスループット性能が求められます。「ファイアウォールや不正侵入検知などのセキュリティ機能が統合されているか」「冗長構成に対応できるか」といったポイントも重要な判断材料になります。
②VPNルータ
VPNルータは、通常のルータ機能に加えてVPN機能を備えたネットワーク機器です。社内LANとインターネットを接続しながら、通信内容を暗号化することで安全なデータ通信を実現します。中小規模の企業や拠点数が限られている環境では、専用のVPNゲートウェイを用意せず、VPNルータをそのままVPNゲートウェイとして利用するケースが一般的です。
VPNルータを選定する際は、対応プロトコル、同時接続可能なユーザー数、処理性能や通信速度などを確認することが重要です。特にテレワーク利用が多い場合は、同時接続数に十分な余裕がある製品を選びましょう。また、設定や運用のしやすさも重要な判断材料です。管理画面が分かりやすく、ログ取得や設定変更を容易におこなえる製品であれば、IT担当者の運用負荷を軽減できます。
③VPNクライアントソフト
VPNクライアントソフトは、PCやスマートフォンなどの端末にインストールし、VPNゲートウェイやVPNルータへ安全に接続するためのソフトウェアです。社外から社内ネットワークへアクセスする際に欠かせないソフトであり、端末側で通信内容の暗号化やユーザー認証をおこなう役割を担います。VPNの方式や利用環境によっては、専用のクライアントソフトを導入するケースもあれば、OSに標準搭載されているVPN機能を利用できる場合もあります。
VPNクライアントソフトを選定する際は、まず対応OSをチェックします。従業員が利用する端末(Windows、macOS、iOS、Androidなど)すべてに対応しているかを確認しましょう。また、操作や設定が複雑なソフトは設定ミスによってセキュリティリスクが高まるおそれがあります。自動接続機能や多要素認証に対応したソフトを選ぶことで、利便性と安全性を両立することが可能です。
VPNを構築する際にかかる費用相場・目安
VPN構築にかかる費用は、VPNの種類や拠点数、利用人数、必要なセキュリティレベルなどによって変わってきます。また、自社構築か外部委託かによっても左右されます。小規模なリモートアクセス用途であれば比較的低コストで導入できますが、複数拠点を常時接続する場合や高度な通信安定性を求める場合は、初期費用・運用費用ともに負担が大きくなります。以下は、一般的なVPN構築時に発生する主な費用と相場の目安です。
| 費用項目 | 内容 | 相場 |
|---|---|---|
| VPNルータ/VPNゲートウェイ | VPN通信をおこなうための機器 | 1台あたり20,000円~10万円程度 |
| 通信回線費用 | インターネット回線/IP-VPN回線 | 月額3,000円~20,000円程度 |
| 初期設定・構築費 | 機器設定・ネットワーク設計 | 無料~30万円程度 |
| VPNクライアント | 端末用ソフト(有料の場合) | 1ユーザーあたり月額数百円~数千円程度 |
| 運用・保守費用 | 保守契約・サポート | 月額1,000円~5,000円程度 |
VPNを構築する際の注意点
VPNは安全で柔軟なネットワーク環境を実現できる技術ですが、一定の注意点もあります。「通信速度が低下する場合があること」「設計・設定に不備があるとセキュリティリスクが高まること」「保守・運用の負担が継続的に発生すること」は認識しておきましょう。
通信速度が低下する場合がある
VPNは通信データの暗号化・復号処理が発生するため、通常のインターネット通信に比べて速度が遅くなる場合があります。特に、インターネットVPNは回線混雑の影響を受けやすく、時間帯によっては通信が不安定になることがあります。また、同時接続するユーザーが多い場合や、処理性能の低い機器を使用している場合などは、業務システムやファイル共有のレスポンスが低下するおそれがあります。安定した通信を確保するためには、利用目的に合った品質の回線・機器を選ぶことが重要です。
設計・設定に不備があるとセキュリティリスクが高まる
VPNが本来のセキュリティ性能を発揮するためには、適切な設計と正しい設定がおこなわれていることが大前提になります。設計・設定に不備がある場合、かえってセキュリティリスクを高めてしまうおそれがあるため注意が必要です。たとえば、弱い認証方式の使用や不要な通信の許可、端末側のセキュリティ対策不足などは、不正アクセスや情報漏えいの原因となります。また、VPN機器やソフトウェアのアップデートを怠ると、既知の脆弱性を突かれる可能性があるため、定期的な更新が欠かせません。
保守・運用の負担が継続的に発生する
VPNは構築して終わりではなく、運用開始後も継続的な保守・管理が必要です。機器やソフトウェアのアップデート対応、利用者の追加・削除、障害発生時の復旧対応など、担当者の業務負担は少なくありません。拠点や利用者が増えるにつれて、運用負荷は大きくなります。また、運用業務が属人化すると、担当者不在時にトラブル対応が滞るなど、業務継続上のリスクも高まります。社内での運用が難しそうな場合は、外部サービスの活用も視野に入れて長期的な運用計画を立てることが重要です。
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まとめ
ネVPNは、通信の安全性を確保しながら、場所を問わない柔軟な働き方や拠点間通信を推進できる効果的な手段です。導入・運用コストを抑えやすく、拠点や利用者の増減に柔軟に対応できるのも大きなメリットです。しかしながら、方式の選定や機器の構成が適切でない場合、かえってセキュリティリスクが高くなってしまう可能性もあります。VPNの導入にあたっては、利用目的や規模、求めるセキュリティレベルを明確にしたうえで、自社に最適な方式・構成を選ぶことが重要です。