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サーベイとは? リサーチとの違いや種類、メリット・デメリット・注意点などを解説
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サーベイとは?
サーベイとは、もともとは英語の「survey」で、日本語にすると「調査」「検査」、さらには「世論調査」という意味があります。物事の全体像を把握するために、広い範囲を対象に行う調査のことをいいます。
ただし、日本では一般的に調査という意味で使われることは少なく、特に企業経営に関して使われる場合は、従業員を対象に組織が抱えている課題や問題点を探り、その改善策を探るために行われる調査を指します。
もちろん、顧客を対象とした顧客サーベイもありますが、ここでは企業の組織改革、風土改革などを目的とし、従業員を対象に、自社に対して感じている課題や問題点、愛着心などを調査するものを「サーベイ」として取り上げていきます。
リサーチとの違い
リサーチ、英語の「research」もサーベイと同じように「調査」という意味がありますが、「探求」「研究」という意味もあり、一般的にはマーケティング分野で使われることが多い言葉になっています。
サーベイと同じような意味で使われることもありますが、文献やさまざまなデータを使い、調査対象について、より深く理解するために行う調査・研究のことをいいます。新規顧客獲得のための消費者調査、市場参入のための競合調査などがリサーチの代表例。サーベイが全体の現状を広く把握するものだとすれば、リサーチはより具体的な目的に向けたものともいえ、性別・年齢・職業など、特定の条件をもとに絞られたターゲットを対象に行うケースがほとんどです。
アンケートとは?
アンケートは、サーベイやリサーチのための手法の一つです。不特定多数や顧客、あるいは従業員を対象に同じ質問に答えてもらう調査のことです。質問の数や回答方法(選択式や自由記述)など手法はもちろん規模もさまざまです。
例えば、インターネットを利用して、広い範囲のターゲットから回答を集めるもの。事前に条件を設定し、特定のターゲットを対象に行うもの。さらには実際に対面で話を聞きながら詳細な回答を集めるものもあります。
サーベイの目的とは?
サーベイの実施には、おもに二つの目的があります。一つ目は、会社と従業員の関係性をしっかりと把握するためです。従業員が抱く会社に対する理想と現実のギャップをタイムリーに捉えることで、会社のリアルな改善点を見つけることができます。二つ目は、組織の隠れた課題を浮き彫りにできる点です。会社の現状を確認する場合、売上や利益率などの業績数字を見ることで把握できます。しかし、人材不足・人間関係・離職率などの問題点は、売上や利益率から見ることができないからです。
サーベイの種類とは?
種類①従業員サーベイ
従業員を対象にしたサーベイは、すべて従業員サーベイといえますが、一般的に職場環境や人間関係、仕事のやりがい、企業への愛着心、満足度などを広く、全般的に把握するための調査を従業員サーベイと呼びます。
従業員サーベイの目的は、企業が抱えている問題点、組織に潜む課題を把握すること。そして問題点・課題の解決に向けたヒントや手がかりを見つけ出すことです。
どんなに精緻なサーベイを実施しても、組織や職場環境の改善に結びつかなければ意味がありません。あくまでも問題を把握し、解決することで、従業員の企業に対する愛着心や満足度を向上させ、創造性や生産性を向上させることが目的です。
種類②パルスサーベイ
パルスサーベイの「パルス」は、英語の「pulse」で、日本語では「脈拍」「鼓動」「集団の心情」という意味があります。特徴は、1週間〜1カ月という非常に短いスパンで、5問〜15問程度の簡単な質問で調査を行うこと。従業員の満足度や職場環境を、脈拍を計るようにリアルタイムで把握、改善していくことが狙いです。
半年、あるいは年に1回などの頻度で行われる大規模なサーベイとは違って、日常的に社内の状況を把握することができ、同時に改善に向けた取り組みを車輪の両輪のように後押しできることがパルスサーベイのメリット。一方で、頻度が高いため、従業員の負荷が高くならないよう注意する必要があります。
種類③エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、従業員と企業の関係、従業員の会社や仕事に対する思い入れなどを調査するものです。「エンゲージメント(engagement)」は、最近「顧客エンゲージメント」という言葉としても使われています。エンゲージメントリング(婚約指輪)という単語があるように「婚約」「誓約」「約束」「関与」、あるいは「(歯車などが)噛み合っていること」という意味があります。
エンゲージメントサーベイは、従業員と顧客のつながりを数値化します。優秀な人材の流出を防ぎ、存分に能力を発揮してもらうこと。あるいは働く環境を改善して優秀な人材を獲得する目的から、エンゲージメントサーベイは注目を集めています。
種類④モラルサーベイ
モラルサーベイ(あるいはモラールサーベイ)は、従業員の士気や仕事への意欲が調査対象です。もともと第二次世界大戦中に軍の士気を高めるために始められたもので、戦後、ビジネス界に応用されました。企業で行われるサーベイの中では比較的、歴史のあるサーベイといえます。
士気や仕事への意欲が高い組織は、パフォーマンスが高い組織です。モラルサーベイは従業員のパフォーマンスを引き出すために必要な仕掛けを作り出すためのデータとなります。
種類⑤コンプライアンス意識調査
近年、企業経営にとって大きな課題となっている従業員のコンプライアンス(法令遵守)に対する意識を把握し、組織に潜む問題点などを明らかにするための調査です。職場での実際の取り組み状況から日常的な組織マネジメントの状況、コンプライアンスへの理解、さらには土台となる組織風土を探り、コンプライアンスに関するリスクを顕在化し、事故を未然に防止します。
種類⑥ストレスチェック
ストレスチェックは、労働安全衛生法によって50人以上の従業員がいる事業所などで年1回の実施が義務付けられているものです。従業員のストレスを定期的にチェックすることで、従業員がメンタルヘルスの不調を抱えることを防止し、雇用者に対しては安心して仕事ができる職場環境づくりを促進します。
ストレスチェックでは、従業員がストレスの状況について回答、企業は分析結果を本人に通知し、必要な対策を取ります。
おさえておきたいサーベイのメリットについて
メリット①組織が抱える課題を表面化できる
サーベイの最大のメリットは、組織が抱える課題を浮き彫りにし、表面化できることです。組織に潜む課題や問題点を把握し、改善していくことが各種サーベイの目的です。
ITの導入、フリーアドレス制やリモートワークといった仕事環境の変化、さらには働き方への意識の変化などがさまざまに変化するなかで、企業内の人間関係や従業員一人ひとりの仕事に対する意識、モチベーションは以前よりも把握が難しくなっています。
サーベイを通して、組織の状況をデータ化、数値化して把握し、常に改善を図っていくことが企業経営にとって重要な取り組みになっています。
メリット②従業員の定着率が向上する
働き方に対する意識の変化、仕事環境の変化などから、日本においても人材の流動性が高くなっています。企業にとっては、優秀な人材を確保できるチャンスが広がっていると同時に、社内の優秀な人材が流出するリスクも高くなっています。
サーベイで組織の問題点を把握し、改善を図っていくことは、従業員の離職率を下げ、定着率を高めるメリットがあります。またそうした直接的な効果のほか、各種サーベイを実施し、改善を図っていることは、従業員を大切にする姿勢を示すことにつながり、優秀な人材の獲得にもプラスになります。
おさえておきたいサーベイのデメリットについて
デメリット①従業員に負担がかかる
組織の問題点を把握し、従業員のモチベーション向上などを目的に行うサーベイですが、サーベイの実施は、従業員にとって負担となる面があります。通常の業務以外に、サーベイの回答に時間が取られることになるためです。
特に半年や年に一度の頻度で大規模なサーベイを実施した場合、回答には相応の時間がかかります。サーベイにあたっては、従業員に過度な負担をかけない手法、設問の工夫などを行います。またサーベイの集計・分析などにコストがかかることも要注意です。
デメリット②従業員の反発を買う可能性がある
サーベイは職場環境の改善が目的であっても、回答に負担を感じる従業員から不満の声が上がる可能性があります。従業員の反発を招くと、中途半端な回答が増え、サーベイの精度が下がってしまい、当初の目的が果たせなくなってしまいます。
また、サーベイばかり実施し、実際の改善に結びつかないような事態は最も避けなければなりません。サーベイを行っても、社内の問題点や課題が改善されなければ、従業員のさらなる反発を招き、むしろ社内環境が悪化してしまうことになります。
サーベイを実施する流れ
従業員の自社に対する幅広い意識や、コンプライアンスといった具体的な課題を調査するサーベイ。ここでは、その実施手順を見ていきましょう。
サーベイは基本的には全従業員が対象になりますが、内容によっては特定の部署や一部の従業員が対象になるケースもあります。まず、調査対象を明確にし、次に質問内容を検討します。
社内への周知
質問内容を決定したあとは、サーベイの実施を社内に周知します。社内での情報共有に使っている内部サイトに掲載したり、全社メールで通知するなど、確実に周知します。
その際、サーベイの目的、メリットを必ず十分に説明し、従業員に積極的に参加してもらえるようにします。
結果の集計
結果の集計は手間のかかる作業です。従業員の数が多ければ多いほど、大変な作業になります。サーベイの質問内容の検討と同時に、集計に活用できるサーベイツールを検討しておきます。集計に時間がかかると、サーベイ結果に対する従業員の関心も薄れてしまいます。
データの分析
データ分析はサーベイの最も重要な作業です。サーベイの目的、期待する効果に応じて、まずシンプルに数値の高低・多寡などを評価し、次に複数のデータを使ったクロス集計や部署ごとの集計などを行います。
急ぎ対応が必要な項目が見つかった場合は、詳細な結果を待たずに、併行して具体的な改善策を検討していくことがときに重要になります。
サーベイをうまく進めるために注意するポイントとは
サーベイは、働き方や働く環境が大きく変化するなかで、従業員と企業のつながりを把握し、仕事へのモチベーションを維持・向上させるための重要なツールです。ここでは、サーベイをうまく進めるためのポイントを取り上げます。
注意点①調査目的の明確化・周知
サーベイを実施する場合は、まず従業員に対して、サーベイの目的を明確化し、周知することが大切です。何のためにサーベイを行うのか、どんな問題を明確化しようとしているのか、サーベイ結果から何が期待できるのかなどを調査対象となる従業員が十分理解することは、サーベイの精度・効果を高めることにもつながります。
注意点②匿名回答の実施
サーベイを記名式回答で実施すると、従業員の本心を引き出すことはできず、組織の問題点や課題を把握できない可能性があります。これでは、サーベイを実施する意味がなくなります。
サーベイの効果を最大限に引き出すためには、サーベイは匿名回答で実施します。PCやスマートフォンなどを活用して実施する際には、個人情報を特定しないようになっていることを周知するとよいでしょう。
注意点③従業員の本音を引き出す設計
サーベイは従業員の本音を引き出すことができなければ意味がありません。サーベイの目的を明確化し、理解してもらったうえで、本音を引き出すことができる質問項目・調査項目づくりを行います。
その際、サーベイ実施側が望む回答に誘導するような質問や表現にならないよう注意します。また時系列での変化を見るために、常に同じ質問項目をいくつか用意するようにします。
注意点④長めの回答期間を設定
サーベイの回答期間は長めに設定します。期間が短いとサーベイへの回答が負担になり、従業員に真剣に向き合ってもらえない恐れがあります。従業員の負担にならずに、サーベイに前向きに協力してもらえるよう、回答期間は可能な限り、余裕をもって設定します。部署や業務内容によっては回答期間中に突発的に忙しくなっているケースもあります。回答期間中は現場の状況に注意し、必要に応じて対策を取ります。
注意点⑤回答・分析結果のフィードバック
サーベイの回答・分析結果は従業員に対して、必ずフィードバックを行います。サーベイを実施しても、回答や分析結果を関係部署が蓄積していくだけという状況は最も避けなければなりません。回答や分析結果は従業員と共有し、さらにそこから改善策を組織全体で見つけ出していく仕組みを構築することが必要です。サーベイを一つのきっかけとして、組織内にポジティブなサイクルが生まれるようにすることが不可欠です。
サーベイに関するお問い合わせは”パナソニックEWネットワークス”へ
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よくあるご質問
- 無線LANの見積依頼をしたい
- お気軽にご相談ください。ネットワーク構成と図面を事前にご用意のうえご相談といただくとスムーズです。
- 環境調査・サーベイはお願いできますか?
- はい。調査範囲はご相談ください。
- 他社が入れている無線LANのサーベイはできますか。
- 内容によりますので、調査内容はご相談ください。
サーベイを正しく実施し、従業員満足度を向上させよう
自社の従業員を対象におこなう動向調査がサーベイです。サーベイを正しく実施すれば、組織の問題点や課題を明確に把握し、適切な改善策を講じられるといったメリットがあります。また、従業員のサーベイに対する信頼度・安心感・重要性を認識させ、結果的に、会社に対する愛着心や定着率を向上させるようにもなるでしょう。実際にサーベイを実施する場合は、その特性や効果を踏まえ、従業員のリアルな声を組織改善に役立てるようにしてみてください。