人材開発支援助成金
人材開発支援助成金の制度の概要
人材開発支援助成金って?
労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練や社内制度構築などを段階的・体系的に実施する事業主に対して助成する制度です。
この助成金を利用することで、研修費用のほか、受講時間などに対する賃金の一部について助成される場合があります。また、制度導入による奨励金を受給できる場合もあります。
なぜ、今、人材開発支援助成金?
少子高齢化、成熟化社会の到来など社会構造が変化している中、労働者人口の減少が加速化しています。 そんな中、厚生労働省として、若年人材の育成や女性労働者・高齢者の働ける社会環境作りが急務となっており、 それを促進するため、人材開発支援助成金をはじめとする各種助成金を準備されているのです。
助成の主な条件
- 雇用保険適用事業所の事業主であること。
- 職業訓練実施計画届の提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請日までの間に、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合により「解雇等(退職勧奨を含む)」を行っていないこと。
- 訓練開始日の前日から「1か月前まで」に職業訓練実施計画届を提出していること。
- 助成対象となる訓練は、業務に関連する10時間以上のOff-JTによる訓練であること。
- 職務に直接関連する訓練であること(原則として、接遇・マナー講習等社会人として基礎的なスキルを習得するための講習は対象外ですが、他の訓練と組み合わせて、実施全体の目的となっていないとき(OFF-JTの実訓練時間数に占める時間数が半分未満である場合)には、助成対象となります。)
中小企業の範囲
主たる事業 | 資本金の額・出資の総額 | 企業全体で常時雇用する労働者数 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
- 中小企業事業主に該当するかどうかの判断は、「主たる事業」ごとに、「資本金の額または出資の総額」または「企業全体で常時雇用する労働者の数」によって行い、どちらかの基準に該当すれば、中小企業事業主となります。
- 「主たる事業」は、総務省の日本標準産業分類の業種区分に基づきます。
- 資本金を持たない事業主は「 企業全体で常時雇用する労働者の数」によって判断します。
(例)個人、特例社団法人、一般社団法人、公益社団法人、特例財団法人、一般財団法人、公益財団法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人、労働組合、協同組合、協業組合
助成メニュー
ここでは主に人材育成支援コース〔人材育成訓練〕を紹介します。
その他のコース・訓練の詳細は、厚生労働省のホームページをご参照ください。
- ( )内は、中小企業以外の助成額・助成率
- 集合研修オンライン研修eラーニング
コース 主な要件 |
支給対象 | OFF-JT | OJT | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
経費助成 | 賃金要件・ 資格等 手当要件を 満たす場合※2 |
賃金助成 | 賃金要件・ 資格等 手当要件を 満たす場合※2 |
実施助成 | 賃金要件・ 資格等 手当要件を 満たす場合※2 |
||
人材育成支援コース [人材育成訓練] 習得させるための10時間以上の OFF-JTによる訓練を実施する |
正社員の場合 | 45% (30%) |
+15% (+15%) |
760円 (380円) |
+200円 (+100円) |
ー | ー |
非正規社員の場合 | 60% | +15% | |||||
非正規社員を 正社員に転換した場合 |
70% | +30% | |||||
人材育成支援コース [有期実習型訓練] 目的として実施するOJTとOFF-JTを 組み合わせた訓練を行った場合に助成 |
非正規社員の場合 | 60% | +15% | 760円 (380円) |
+200円 (+100円) |
10万円 (9万円) |
+3万円 (+3万円) |
非正規社員を 正社員に転換した場合 |
70% | +30% | |||||
人材育成支援コース [認定実習併用職業訓練] 実施するOJTとOFF-JTを 組み合わせた訓練を行った場合に助成 |
ー | 45% (30%) |
+15% (+15%) |
760円 (380円) |
+200円 (+100円) |
20万円 (11万円) |
+5万円 (+3万円) |
人への投資促進コース [定額制訓練] (サブスクリプション型の研修サービス)を 利用する事業主に対する助成 |
60% (45%) |
+15% (+15%) |
ー | ー | ー | ー |
- 賃金要件又は資格等手当要件※2を満たせば助成率がUPします。
- 人材育成支援コースを実施する場合は、「定期的なキャリアコンサルティング※1」を実施することについて、労働協約、就業規則又は事業内職業能力開発計画で定めている必要があります。
- eラーニングによる訓練等、通信制による訓練等及び育児休業中の者に対する訓練等は経費助成のみです。
また、eラーニングによる訓練では、標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1か月以上であることが必要です。 - 正規雇用労働者等への転換とは、①有期契約労働者等について、正規雇用労働者、勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員への転換措置 ②有期契約労働者の 無期契約労働者への転換措置のうちいずれかの措置を講じた場合をいいます。
- 部外講師への謝金手当は、オーダーメイド研修などの事業内訓練の場合は、1時間当たり15,000円が上限となります(消費税込み)。
- 経費助成限度額(1人当たり)・賃金助成限度額(1人1訓練当たり)・支給に関する制限があります。
例えば、経費助成限度額 中小企業事業主の場合10時間以上100時間未満の場合15万円
*1「定期的なキャリアコンサルティング」とは?
- 労働者に定期的なキャリアコンサルティングの機会を確保し、対象時期(労働者の年齢・就業年数・役職就任時等の節目)を明記して定めていることが必要です。
- キャリアコンサルティングを実施する者は国家資格を有しているキャリアコンサルタントに限りませんが、キャリアコンサルティングについての経費は事業主が全額を負担する必要があります。
【就業規則での規定例】
(キャリアコンサルティングの機会の確保)
第○条 会社は、労働者に対してキャリアコンサルティングを入社から3年ごとに行う。
2 キャリアコンサルティングを受けるために必要な経費は、会社が全額負担する。
*2「賃金要件」・「資格等手当要件」について
「賃金要件」又は「資格等手当要件」のいずれかを満たした場合は、別途申請を行うことで、訓練経費についてはプラス15%等の加算分を追加で受給することができます。
「賃金要件」
毎月決まって支払われる賃金(基本給及び諸手当)について、訓練終了日の 翌日から起算して1年以内に、5%以上増加させていること。なお、賃金が 5%以上増加していることについては、対象労働者ごとに、賃金改定後3か月間の賃金総額と改定前3か月間の賃金総額を比較して、全ての対象労働者の賃 金が5%以上増加していること。
「資格等手当要件」
資格等手当(毎月決まって支払われる手当)の支払いについて、就業規則、 労働協約又は労働契約等に規定した上で、訓練終了後の翌日から起算して1年 以内に全ての対象労働者に対して実際に当該手当を支払い、賃金を3%以上増加させていること。なお、資格等手当の支払いにより賃金が3%以上増加して いることについては、対象労働者ごとに資格等手当支払い後3か月間と資格等 手当支払い前3か月間の賃金総額を比較して、全ての対象労働者の賃金が3% 以上増加していること。
助成金の受給の流れ
受給フロー
よくある質問
-
Q
大企業の連結子会社は、「みなし大企業」になりますか?
-
A
「みなし大企業」とは判断されません。
大企業と資本関係・人的関係があっても、個々の企業毎に資本金要件・従業員数要件により、中小企業事業主かどうかの判定がなされます。 -
Q
学校法人は人材開発支援助成金の対象となりますか?
-
A
対象となります。
但し、中小企業主の範囲に該当するかどうかは、資本金・出資金要件で判定できないため、人数要件(100人以下かどうか)のみで判定します。 -
Q
所定労働時間外や休日の訓練は助成対象となりますか?
-
A
所定労働時間以外または休日の訓練は、Off-JT賃金助成・OJT実施助成の対象とはなりません。所定労働時間外の時間分について助成対象訓練時間から除外されて計算され、残業代を支払っていても除外されます。なお、経費助成は対象となります。 支給申請時には、所定労働時間内かどうかを確認するため、就業規則や勤務カレンダーの提出を求められます。
-
Q
休日に訓練しましたが、振替休日としても助成対象外となりますか?
-
A
振替休日の場合は、上記と異なり、Off-JT賃金助成・OJT実施助成とも対象となります(経費助成も対象)。
支給申請時には、振替休日を取得したかどうかを確認するため、出勤簿や賃金台帳の他、振替休日取得届などのエビデンスの提出を求められます。 -
Q
計画期間の記載についてはどのくらいの期間を記載すればよいですか?
-
A
計画申請の際に記載する期間は次の2つあります。
① 年間職業能力開発計画の期間・・・訓練開始日より1年間
② 年間職業能力開発計画の中の訓練実施期間・・・コースごとに実施する訓練期間(訓練開始日~訓練終了日)例)4月~5月に新入社員養成研修(マナー、ロジカルシンキング、会計知識) 10月に新入社員フォローアップ研修(マナー、振り返り)
※方法(1)は、時期ごとに申請(計画・支給)ができるが、10月のフォローアップ研修が否認される危険性がある。
※方法(2)は、一連の研修として申請(計画・支給)をまとめることができるが、助成時期が遅れる。 -
Q
訓練実施計画届を提出するタイミングはいつですか?
-
A
訓練開始日の前日から起算して1か月前までに労働局へ提出してください。 (例)訓練開始日が8月1日の場合⇒6月29日までに提出 その前日が7月31日。その1か月前の応当日が6月30日。その前までのため、6月29日までに提出が必要です。
-
Q
訓練実施計画届等の申請書の押印はどの印鑑を使えばいいですか?
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A
申請の押印は、雇用保険適用事業所設置届に押印された事業主印と同一としてください。
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Q
代理店として取扱う商品知識や操作説明が含まれる研修は、人材開発支援助成金の対象となりますか?
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A
原則として対象外です。
但し、主たる目的が専門的知識や技能習得のための訓練で、一部自社取り扱い商品の説明等がある場合、その商品説明等の時間を実訓練時間から除いた訓練時間が助成対象となる可能性があります。 -
Q
新入社員にビジネスマナー研修をしたら、助成金は支給されないですか?
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A
ビジネスマナー研修のみを目的として研修を実施した場合、助成対象外となります。
専門的知識や技術習得のための職業訓練と組み合わせることによって助成の対象となる場合があります。