古代ローマの人々の生活と文化について、「お風呂文化」を中心に紹介する展覧会でした。古代ローマは、人類史上に輝く繁栄を誇った古代国家です。その豊かなくらしと優れた建築技術を象徴するもののひとつにテルマエ(公共浴場)があります。ヤマザキマリ氏の漫画『テルマエ・ロマエ』は、テルマエへの日本人の親近感を一層高めました。本展は、ナポリ国立考古学博物館所蔵の美術品と考古資料などを含む100件以上の絵画、彫刻、資料、映像、模型を通して、テルマエというユニークな視点で、古代ローマ人の豊かな文化とくらし、そして彼らの高い美意識に迫るものでした。また、最終章では、独自の風土のなかで育まれた日本の入浴文化もとりあげ、入浴に関する美術品や資料を通して、地域性にも着目しながら、国内のお風呂文化の歴史を概観しました。
古代ローマ研究の第一人者である青柳正規氏、芳賀京子氏の監修のもと、ヤマザキマリ氏の協力によって実現された本展覧会。『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが浴場を通して日本とローマを往復したように、それぞれの入浴文化を比較し、体感することのできる機会となったことと思います。