開館20周年記念展コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール小瀧千佐子コレクションより終了致しました

「開館20周年記念展 コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより」は、予約は不要になりました。混雑時には、15分毎の「入館時間整理券」を発行いたします。
展覧会概要
その輝きは、自由の証。
20世紀はじめ、ポール・ポワレが嚆矢となり、シャネルによって広く普及したコスチュームジュエリー。宝石や貴金属といった素材の既成概念から解放され、優れたデザインや衣服との組合せの魅力によりパリのモード界では不可欠の要素となり、やがてアメリカへも伝わりました。本展はコスチュームジュエリーの展開を包括的にご紹介する日本初の展覧会です。ディオールやスキャパレッリなどオートクチュールのコレクションのために生み出された作品はもちろん、それらのブランドからの依頼も受けたジュエリー工房による卓越した技術の精緻なネックレスやブローチに、リーン・ヴォートランやコッポラ・エ・トッポらによる独創的な逸品、そしてミリアム・ハスケルやトリファリに代表される、幅広い層に支持されたアメリカン・コスチュームジュエリー。これらを、国内随一のコレクションから選りすぐり、400点あまりの作例を通じてご紹介するとともに、各デザイナーが素材の自由を獲得することで生み出した、それぞれの様式美を探ります。
- 展覧会会期
- 2023年10月7日(土)〜 12月17日(日)
- 開館時間
- 午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
※11月10日(金)、12月1日(金)、12月15日(金)、16日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)
- 休館日
- 水曜日(ただし12月13日は開館)
- 主催
- パナソニック汐留美術館、毎日新聞社
- 監修
- 小瀧千佐子
- 特別協力
- ウィリアム・ウェイン(コスチュームジュエリー研究家 / イギリス、ロンドン)
- 学術協力
- ディアンナ・ファルネッティ・チェーラ(コスチュームジュエリー研究家 / イタリア、ミラノ)
- 協力
- chisa、株式会社世界文化社
- 企画協力
- 株式会社キュレイターズ
- 後援
- 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、港区教育委員会
関連イベント
講演会
- 講師
- 小瀧千佐子氏(本展監修者、コスチュームジュエリー研究家)
- 日時
- 11月3日(金・祝) 午後2時~午後3時40分(開場午後1時30分)
- 定員
- 150名(要予約)
- 聴講費
- 無料(ただし本展の観覧券が必要です)
- 会場
- パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
*未就学児はご遠慮ください。
【ご予約方法】
ハローダイヤル(050-5541-8600)へお電話にてお申し込みください。
①イベント名 ②参加人数(一度に2名までお申し込みいただけます) ③氏名(全参加希望者) ④住所 ⑤電話番号を承るほか、簡単なアンケートにご協力いただきます。
- ・2023年9月25日(月)より受付開始
- ・ご予約の受付時間 午前9時~午後8時
- ・ご予約の受付は先着順、定員になり次第締め切りとさせていただきます。
- ・お申し込み時にお知らせする整理番号を活用して入場いただきます。
*お申し込み時に頂いた個人情報は、本イベントの受講管理の目的でのみ使用し、参加希望者はこの目的での使用に同意したものとします。
*定員に達しなかった場合、当日受付をする場合がございます。
当館学芸員によるスライドトーク「展覧会のツボ
」
本展担当学芸員が、展覧会の見どころや作品をご紹介いたします。
日時:10月14日(土)、11月25日(土)いずれも午後2時~2時30分
定員:先着50名、予約不要、聴講無料(ただし本展の観覧券が必要です)。
会場:パナソニック東京汐留ビル5階ホール
記念品プレゼント
開館20周年にちなみ、10月20日(金)、11月20日(月)に記念品を各日先着200名様にプレゼントいたします。

夜間開館日に「汐留エリア グルメガイド」プレゼント
11月10日(金)、12月1日(金)、12月15日(金)、12月16日(土)は午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)
夜間開館日の、午後6時~7時30分までにご入館のお客様に、汐留エリアのカフェやレストランの割引など、お得な情報満載の「汐留エリア グルメガイド」をプレゼント!
展覧会図録のご案内
展覧会のみどころ
1.オートクチュールメゾンとジュエリー職人のコラボレーションによるヨーロッパのコスチュームジュエリー
大胆さや繊細さ、豪奢さや可憐さ、新しさや古典回帰など、服飾のデザイナーの求めるいかなる方向性のジュエリーデザインも、高い技術を持った職人や工芸家がかたちにしました。ヨーロッパのコスチュームジュエリーが醸し出す美しさの理由がこのコラボレーションにあります。
2.独創的で斬新、アートピースに昇華したコスチュームジュエリー
故郷イタリアの素材であるヴェネチアのガラスビーズを好んで使用したリダ・コッポラや、若い時期からアトリエで鋳造や彫刻制作を行っていたフランスのリーン・ヴォートランなど、素材の扱いに長け、斬新な造形力に満ちたデザイナーによる、他に類を見ない装身具が多数出品されます。いずれの作品も身に着ける事の出来るアート作品ともいえるでしょう。
3.幅広い層に支持され愛用されたアメリカのコスチュームジュエリー
ヨーロッパで生まれたコスチュームジュエリーは、映画界でも重宝され、ハリウッドの女優たちが身に着けることでアメリカ中の女性たちにその魅力が伝わりました。ミリアム・ハスケルによるヴェネチアンビーズや日本の模造パールを多用した優雅で格調高いネックレスや、パリの一流宝飾店でデザインをしていたアルフレッド・フィリップを起用した、イタリアにルーツのあるトリファリのエレガントなデザインと精巧な作りのブローチやクリップにご注目ください。
第Ⅰ章 美の変革者たち
オートクチュールのためのコスチュームジュエリー
コスチュームジュエリーとは、貴金属や宝石といった高価な素材を使用せずに、ガラスやメタル、時に半貴石などの素材を用い、衣服との相性を重要視してつくられた装身具です。富や地位の象徴としてではなく、あくまでもトータルで美しい装いのための要素として、そのデザインと着け心地の良さを実現するために、高い技術と的確な素材選定で制作されました。本章では、20世紀パリを中心としたヨーロッパのオートクチュール界におけるコスチュームジュエリーの諸相と各メゾン(ブランド)での展開をご紹介します。

《夜会用マスク、ブレスレット「深海」》
制作:マドレーヌ・パニゾン、1919年、メタリックチュールにガラスビーズとクリスタルガラスで刺繍、小瀧千佐子蔵

《ネックレス「ビザンチンクロス」》
制作:ロベール・ゴッサンス、1960年頃、ガラスビーズ、メタル、小瀧千佐子蔵

《ネックレス「葉」》
デザイン・制作:ジャン・クレモン、1937年頃、クリアエナメル彩メタル、メタルメッシュ、個人蔵

《クリップ「ハート」モチーフ》
デザイン:ジャン・シュルンベルジェール、1938年頃、エナメル彩メタル、ラインストーン、小瀧千佐子蔵

《ネックレス、イヤリング》
制作:ミッチェル・メイアー、1954年頃、ラインストーン、模造パール、メタル、小瀧千佐子蔵
第Ⅱ章 躍進した様式美
ヨーロッパのコスチュームジュエリー
1930年代にはさまざまなオートクチュールメゾンがコスチュームジュエリーを取扱うようになり、戦後になると、アメリカでの需要が増し、生み出される点数は大きく増加しました。各メゾンはコスチュームジュエリーの工房(アトリエ)へ依頼し、工房はその依頼を受けて制作します。本章ではコッポラ・エ・トッポやロジェ・ジャン=ピエールなどそれぞれに特徴的な熟練した技術をもって制作し、古びることのない作品を多く生み出したアトリエを紹介します。また、詩的でユーモアのきいた、一点ずつが小さな彫刻作品のようなリーン・ヴォートランの作品も本章でご覧いただきます。

《チョーカー「花火」》
デザイン:リダ・コッポラ、1968年、クリスタルガラス、ガラスビーズ、ワイヤー、メタル、小瀧千佐子蔵

《ブローチ》
1948年頃、エナメル彩、金色ブロンズ、個人蔵

《クリップ》
1960年代、クリスタルガラス、メタル、小瀧千佐子蔵

《ネックレス》
制作:メゾン・シス、1950年代、クリスタルガラス、メタル、小瀧千佐子蔵

《イヤリング》
デザイン:ジョゼット・グリポワ、1989年、パート・ド・ヴェール・エナメル ガラス、カボションガラス、模造パール、メタル、個人蔵
第Ⅲ章 新世界のマスプロダクション
アメリカのコスチュームジュエリー
シャネルによってヨーロッパの女性たちに普及したコスチュームジュエリーは、アメリカ大陸でも人々に求められました。
20年代から30年代はパリのファッションの影響により、また40年代以降はハリウッド映画に登場する女優たちのスタイルから、コスチュームジュエリーはアメリカの女性たちにも人気となり広まったのです。戦争の影響により、ユダヤ系の腕の良いジュエリー職人が移住したこともまたアメリカでコスチュームジュエリーが大きく花開いた要因の一つです。

《ネックレス》
デザイン:フランク・ヘス、1950年代、模造パール、シトリン、ガラスペースト、メタル、小瀧千佐子蔵

《ペアクリップ「ペーターとヘレン」》
デザイン:アルフレッド・フィリップ、1939年、エナメル彩メタル、ラインストーン、クリスタルガラス、小瀧千佐子蔵

《ブローチ「V」モチーフ》
1941年、クリスタルガラス、メタル、小瀧千佐子蔵

《ネックレス「ジャッキー・オナシス スタイル」》
1970年、カボションガラス、ラインストーン、メタル、小瀧千佐子蔵

《ブローチ「コルヌコピア」》
デザイン:アドルフ・カッツ、1944年、ルーサイト、エナメル彩、ラインストーン、シルバー、小瀧千佐子蔵
コスチュームジュエリーとヴェネチアンビーズ
多くのコスチュームジュエリーには、装飾として様々な形態のガラスが使用されています。
そのうち、もっとも繊細かつ幅広い色彩の表現が可能なガラスが、ヴェネチアンビーズといえるでしょう。二万色ともいわれる豊かな色数を誇り、インパクトのある大胆な色彩の組み合わせや、深く重みのあるグラデーションを可能にします。さらにヴェネチアンビーズの中には「コンテリエ」と呼ばれる、まるで芥子の一粒の様にごく小さなものがあります。写真のネックレスとブレスレットは、例にもれず大変美しいヴェネチアンビーズで制作されており、グラデーションの巧みさに加え、細部を注視するとコンテリエビーズが効果的に配されていることがわかります。

《リジットネックレス 「翼」、カフブレスレット 「V字」モチーフ》
デザイン:リダ・コッポラ、1952年、ガラスビーズ、コンテリエビーズ、真鍮、小瀧千佐子蔵