開館20周年記念展ジョルジュ・ルオー― かたち、色、ハーモニー ―終了致しました
混雑緩和のため、土曜・日曜・祝日は日時指定予約にご協力をお願いします(平日は予約不要です)。
受付は終了致しました。
展覧会概要
19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍した、最も革新的な画家のひとり、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)。宗教的主題や、晩年の輝くような色彩で描かれた油彩、デフォルメされた親しみやすい人物像は、多くの人を魅了し続けています。本展は、当館開館20周年を記念するルオーの本格的な回顧展です。ルオーが、自身の芸術を語るのに繰り返し用いたことば「かたち、色、ハーモニー」をキーワードに、画家が影響を受けた同時代の芸術や社会の動向、二つの大戦との関係にも触れながら、ルオーの装飾的な造形の魅力に迫ります。
本展には、フランスや国内の美術館より、ルオーの代表作が集結します。パリのポンピドゥー・センターが所蔵する晩年の傑作《かわいい魔術使いの女》や《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》、手紙やルオーの詩など、本邦初公開作品を含む約70点が会場に並びます。日本におけるルオーの最も充実した回顧展のひとつとなることでしょう。
- 展覧会会期
- 2023年4月8日(土)〜6月25日(日)
- 開館時間
- 午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
※5月12日(金)、6月2日(金)、6月23日(金)、6月24日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)
- 休館日
- 水曜日(ただし5月3日、6月21日は開館)
- 入館料
- 一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
※5月18日(木)国際博物館の日は、すべての方が500円でご入館いただけます。
- 主催
- パナソニック汐留美術館、NHK、NHKプロモーション
- 後援
- 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会
- 協力
- 日本航空
- 特別協力
- ジョルジュ・ルオー財団
関連イベント
記念講演会① 「ルオー ―その生涯と絵画技法」
- 講師
- ベルトラン・ル・ダンテック氏(修復家、ジョルジュ・ルオー財団理事長)
ナタリー・ル・ダンテック氏(修復家、国立文化遺産学院・研究室長補) - 日時
- 4月8日(土) 午後2時~午後3時30(逐次通訳付き)
- 定員
- 100名(要予約)
- 聴講費
- 無料(ただし本展の観覧券が必要です)
- 会場
- パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
*未就学児はご遠慮ください。
*展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。
記念講演会② 「ジョルジュ・ルオー ―戦争と「聖なる芸術」―」
- 講師
- 大久保恭子氏(美術史家、京都橘大学教授)
- 日時
- 5月21日(日) 午後2時~午後3時30分
- 定員
- 100名(要予約)
- 聴講費
- 無料(ただし本展の観覧券が必要です)
- 会場
- パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
*未就学児はご遠慮ください。
*展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。
【ご予約方法】
ハローダイヤル(050-5541-8600)へお電話にてお申し込みください。
①イベント名 ②参加人数(一度に2名までお申し込みいただけます) ③氏名(全参加希望者) ④住所 ⑤電話番号を承るほか、簡単なアンケートにご協力いただきます。
- ・2023年3月1日(水)より受付開始
- ・ご予約の受付時間 午前9時~午後8時
- ・ご予約の受付は先着順、定員になり次第締め切りとさせていただきます。
- ・お申し込み時にお知らせする整理番号を活用して入場いただきます。
当館学芸員によるスライドトーク「展覧会のツボ」
本展担当学芸員が、展覧会の見どころや作品をご紹介いたします。
- 日時
- 4月18日(火)、4月28日(金)、5月13日(土)、5月23日(火)
いずれも午後3時~午後3時30分 - 定員
- 先着30名(予約不要)
- 聴講費
- 無料(ただし本展の観覧券が必要です)
- 会場
- パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
※5月13日のみ、展覧会観覧には、事前の日時指定予約が必要です。
オリジナルポストカードプレゼント
当館開館20周年にちなんで、会期中毎月20日と、ルオーの誕生日5月27日に、ルオーのポストカードを各日先着200名様にプレゼントします。
配布日 : 4月20日(木)、5月20日(土)、5月27日(土)、6月20日(火)
夜間開館日にポスタープレゼント
5月12日(金)、6月2日(金)、6月23日(金)、6月24日(土)は、午後8時まで開館! <ご入館は午後7時30分まで>
夜間開館日の、午後6時~7時30分までにご入館のお客様、先着50名様に、2003年~2022年の20年間に開催した展覧会広報用ポスターをプ レゼントします。(絵柄は先着順でお選びいただけます)
展覧会図録のご案内
展覧会のみどころ
1.フランスや国内の美術館等より、本邦初公開作品含むルオーの初期から晩年までの代表作が集結。
当館では開館記念展以来となる本格的な回顧展です。
2.ルオー作品の「かたち、色、ハーモニー」の形成に影響を与えた、モローやセザンヌなど同時代芸術家との関係を浮き彫りにします。
3.戦争期に描いた重要作品《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》や《深き淵より》が日本初公開。
ルオーによる人間の苦悩と希望の表現に迫ります。
第Ⅰ章 国立美術学校時代の作品―古典絵画の研究とサロンへの挑戦
1890年、パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)に入学したルオー。ギュスターヴ・モロー(1826-1898)のアトリエに入門し、古典絵画の研究に励むとともに、自由で革新的な教育を受けました。この時期に描いた、ルオー最初期の貴重なデッサンや習作、サロン出品作を紹介。また、師モローの作品もあわせて展示し、ルオーがモローから受け継いだものを見つめます。
第Ⅱ章 裸婦と水浴図―独自のスタイルを追い求めて
裸婦や水浴図は、画家にとって重要なモティーフとして、構図や色彩構成を変化させながら、繰り返し描かれてきました。初期の表現主義的な方法で描かれた娼婦から、セザンヌの影響を経て、装飾的な関心へと移行していく、ルオーの描く裸婦と水浴図を紹介し、ルオーが追い求めた独自の芸術スタイルを考察します。
第Ⅲ章 サーカスと裁判官―装飾的コンポジションの探求
ルオーが生涯繰り返し追求した主題である、サーカスと裁判官。人間の本質がルオーによって見事に描き出された主題であると同時に、ルオーの装飾的コンポジションの探求が見て取れます。本章では、初期から晩年までのサーカスと裁判官を主題とする作品を通して、現実の社会や文化に向けられた画家のまなざしと彼の芸術の交差を考えます。
第Ⅳ章 二つの戦争―人間の苦悩と希望
二つの大戦を経験したルオー。大戦期の画家は、《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》のような、戦争の残酷さや人間の苦悩を表現した作品を描く一方で、著名な編集者テリアドが発行していた美術雑誌『ヴェルヴ』のために、色彩豊かな作品も制作していました。本章では、大戦期にルオーが制作した作品を通して、ルオー作品における戦争の影響を考えます。
第Ⅴ章 旅路の果て―装飾的コンポジションへの到達
1930年頃より作品に出現し始める明るい色彩と柔らかく安定感のあるフォルムは、1939年頃より次第にその特色を強めていきます。そして最後の10年間には、色彩はますます輝きを増し、形体と色彩とマティエールとが美しいハーモニーを奏でる油彩画が数多く生まれます。本章では、ルオーが最晩年にたどり着いた、「かたち、色、ハーモニー」の究極的な表現を検証します。
ポンピドゥー・センター所蔵のルオー作品について
このたびのルオー回顧展では、パリのポンピドゥー・センターより、日本初公開作品含む13点のルオーの代表作が来日します。国の文化施設であるポンピドゥー・センターには、多くのルオー作品が所蔵されていますが、それらの大部分は、画家本人やその遺族からの寄贈によるものです。ルオー自身による寄贈は、1949年から1956年にかけて、代表作のひとつであり、本展にも出品される《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》を含む2点の油彩と、『ミセレーレ』の原板全58点が寄贈されています。画家の死後は、未亡人となった妻マルト・ルオーと4人の子供たちが次々と寄贈しました。1959年には28点の作品、その4年後にはルオーの死後、アトリエに遺されていた未完成作品を含む891点の絵画、習作、水彩画、素描によるまとまったコレクションが国に寄贈され、それらが今日のポンピドゥー・センターのルオーコレクションの大部分を形成しています。
TOPIC 01
ルオーの家族が所蔵していたギュスターヴ・モローの作品も出品!
モローからマティエールの重要性を学んだルオーの作品には、その影響が見て取れます。本展では、かつてルオーの家族が所蔵していたモロー晩年の油彩《オルフェウスの苦しみ》を特別に出品し、ルオーが受け継いだものを確認します。
TOPIC 02
ルオーがセザンヌへ捧げた作品と詩を紹介!
ルオーは生前、セザンヌへのオマージュとして、エクス=アン=プロヴァンスに噴水を建造する計画に参加していました。計画は途中で頓挫しましたが、ルオーがこの計画の為に制作した油彩画が存在します。本展では、本作とともに、ルオーの詩「セザンヌへのオマージュ」を仏文学者で詩人の岩切正一郎氏の翻訳にてご紹介します。
TOPIC 03
ルオー作品を高解像度画像で紹介!
当館は、所蔵しているルオー作品の調査・研究を継続して行っています。今回、その一環として、ルオー作品の高解像度撮影を実施しました。この度当館の常設展示室ルオー・ギャラリーでは、撮影した画像を拡大投影し、ルオー作品の最大の魅力のひとつである、マティエールの細部をご覧いただけます。
WEBスペシャルコンテンツ「高精細でひもとくルオーの絵画」
油彩画の技法に詳しい絵画修復士の森直義氏に、高精細画像を見ながらルオーの制作のプロセスについて語っていただきました。ルオーの絵画に秘められた色彩とマティエールの奥深さを解き明かす本映像をどうぞお楽しみください。
映像制作:NHKエンタープライズ/株式会社サンエムカラー/ネストビジュアル
音楽:穴沢弘慶
ジョルジュ・ルオー(1871-1958)
Georges Rouault
パリの下町ベルヴィルで生まれ育つ。14歳でステンドグラス職人に弟子入りする傍ら、国立高等装飾美術学校の夜間クラスに出席した。1890年、19歳の時にパリ国立美術学校に入学し、ギュスターヴ・モロー(1826 - 1898)のアトリエで学ぶ。生徒の個性を何よりも尊重したモローが教える教室には他に、アンリ・マティス(1869-1954)、アルベール・マルケ(1875 - 1947)等が所属し、ルオーは彼らとも親交を結んだ。モローの死後、マティス、マルケ、ルオーらは共にサロン・ドートンヌを創設し、そこで革新的な作品を次々と世に出していった。一方で、1890年代にアンブロワーズ・ヴォラールの画廊でポール・セザンヌ(1839 - 1906)の作品を目にしたルオーは深い感銘を受ける。モローやセザンヌの影響を受けたルオーは、次第に「かたちと色の調和」を追い求めるようになり、自身の芸術について語る著作の中でも繰り返し「かたち、色、ハーモニー」ということばを用いた。キリスト教主題の作品を多く描いた一方で、社会の底辺で生きる人にスポットを当てたサーカスや娼婦、あるいは権威的な地位に身を置く裁判官など、同時代に生きる人間の本質に迫った作品も多く描いた。戦時中は一時的に疎開しながらも制作を続け、版画集『ミセレーレ』のような戦争を主題とした作品も描いている。晩年は、絵具を厚く塗り重ねた独特の表現と光り輝くような色彩で人物像や風景画を多く描いた。