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パナソニック インパルス:月刊HUDDLE MAGAZINE 2023年度 第2回

「月刊HUDDLE MAGAZINE」Vol.105 2023年4月号にて、DL #57 小村谷泰誠選手のインタビュー記事が掲載されました。

何色にも染まっていないことが
強みだと思っています

DL #57 小村谷泰誠

京都府立大学出身
パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
SCM革新センター勤務

『一人のスターに頼らない全員フットボール』。2年連続ライスボウル進出を果たした強豪、パナソニックインパルスには創部以来貫かれている哲学がある。主力メンバーは大学時代の有名選手ばかりではなく、大学時代はまったくの無名選手が欠くことのできない存在へと成長を遂げている例も少なくない。2018年に関西学生ディビジョン3(当時)の京都府立大から加入し、4年目の昨年、OLからDLに転向して出場機会を得た小村谷泰誠は、学生時代にインパルスと出会ったことで、自分が進みたいと思える道が見えたという。


—— フットボールを始めたきっかけを教えてください。

小村谷 小学2年生から野球をしていましたが中学で肘と肩を痛め、高校時代は軽音部でギターをしていました。大学では何かスポーツをしたいと思っていたところ、勧誘でフットボール部に声をかけられたのがきっかけです。
フットボールは漫画を通して知っていて興味があり、練習を見にいくと熱心に取り組んでいたので入部を決めました。当時の京都府立大は選手数が20人程と少なかったので、1年生の秋からOLとDE兼任で試合に出場していました。まだフットボールがきちんと理解できていなかったので、動いてはいけないところで動いたりといったことがたくさんありましたね(笑)。
4年生の時に入替戦で勝利してディビジョン2に昇格しましたが、4年間ずっとディビジョン3だったこともあり、Xリーグは自分とは関係のない世界だと思っていました。

—— インパルスとの出会いは?

小村谷 4年生の7月にニューエラボウルに出場する機会をいただき、高いレベルでプレーする楽しさを知りました。同じチームにOL村田圭(立命館大出身)がいて、インパルスに入ると聞き、初めて社会人チームでフットボールを続けることが一つの道として見えてきたんです。
その後、幾つかのチームから声をかけていただき、練習に参加させてもらった中で、最も活気があり、仕事とフットボールを両立しているインパルスに惹かれました。その年の選考はすでに終わっており、翌年であれば選考が受けられるということだったので、すでに卒業論文も提出していましたが、1年留年してインパルスを目指す決心をしました。インパルスと出会うまでは自分が将来どうしたいのか明確に描けていませんでした。しかし、インパルスに出会って仕事とフットボールの両方を頑張るという世界に挑戦してみたいと、はっきりと自分の進みたい道が見えました。親には就職してから1年分の学費を返す約束をして、なんとか納得してもらいました。

—— 昨シーズンOLからDLに転向されました。心境の変化などありましたか?

小村谷 OLとして社会人と大学のレベルの違いを痛感し、苦しい時期が続きました。もちろん最初から上手くいくとは思っておらず、挑戦する気持ちでいたのですが、大学時代はどちらかというとDLの方が得意だったこともあり、OLとして自分の課題をクリアするために何をするべきかがあまりイメージできていなかったんです。自分の中にも得意だと思っているDLで挑戦したいという気持ちもあり、監督とお話をする機会をいただいたので、DLをしてみたいと伝えました。
DLになってからしっくりくるというか、自分の課題に対してどんな練習をしたらいいか、何が必要かが明確に分かるようになりました。自分の成長を実感できるようになり、試合の出場機会も増えました。コーチやチームメイトから『最初からDLにしておけばよかったな』と言われることもありますが、3年間のOLとしての経験が生きいていると感じる場面は多々あります。人から見たら回り道かもしれませんが、自分にしかない強みを得られたとポジティブに捉えています。

—— 学生時代からの有名選手に『ここだけは負けない』と思っていることはありますか?

小村谷 『受け入れる力』です。強豪校にはヒットやタックリングの仕方にその大学流のやり方があり、良くも悪くも染み付いている部分があると思います。私は大学時代に技術的にまったく染まっていない分、色んな意見を素直に取り入れることができます。インパルス流にできるのが強みだと思っています。
練習後にDL梶原(誠人)さんに若手メンバーと一緒に教えてもらっています。僕らはこの練習を『梶原塾』と呼んでいます。教えてもらって繰り返しやっていると、練習で自然とできたりする。成長を実感できるのが楽しくて仕方ありません。

—— インパルスの魅力は?

小村谷 皆、プレーも凄いですが、人間性も素晴らしい人たちばかりなところです。入部するまではディビジョン3出身ということで気後れしていましたが、入部した時点でインパルスの一員として迎え入れていただき、壁なんて全くありませんでした。
もう一つは、会社全体でフットボールを応援してくれることです。同じ部署の方々も試合を観にきてくれますし、試合後に出社すると『この間の試合、良かったね』と声をかけてくれます。会社の敷地内にトレーニング施設があり、仕事が終わったらすぐにトレーニングできるなど、環境面でも恵まれていると思います。

—— 仕事とフットボールの両立は大変ですか?

小村谷 確かに大変ではありますが、クラブチームは月曜から金曜まで仕事をして土日に練習をしています。インパルスは試合がある時以外は日曜日がオフなので、仕事・家庭・フットボールを両立できる環境を作ってくれています。 また、仕事をしてからのトレーニングは、ストレス発散や気持ちの切り替えにもなります。フットボールで調子がいいと、不思議と仕事でも調子がいいんです。インパルスに入っていなければ、こんなに充実した毎日を送れていなかったと思います。
2023年シーズンは、チームとしてはもちろん日本一を目指します。個人としては秋に先発として出場できるよう、フィジカルと技術の強化に力を入れていきます。

Taisei Komuratani

こむらたに・たいせい。1995年7月9日京都府生まれ。小学2年から中学までは野球に取り組んでいた。高校では2年時から軽音楽部に所属しロック系のコピーバンドでギターを担当。フットボールを始めた京都府立大ではOL/DEとしてプレー。3、4年時は副将を務めた。インパルスでは3年目までOLだったが、昨年DLに転向して開花。183センチ116キロ。仕事では物流の最適化・合理化検討を担当している。

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