環境への取り組み
コールドチェーンソリューションズ社では、パナソニックグループの環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」のもと、事業活動および製品・サービスを通じて、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立を目指しています。
食品を冷やすことが
地球をあたためることであってはいけない
私たちは、環境に配慮した製品の開発・提供により、
温室効果ガス排出量の削減に貢献します
食品は一時保管や輸送、販売の過程で適切な温度を保つことで、品質と安全を維持できます。しかし、私たちが提供するスーパーショーケースなど食品を冷やす製品の使用により、地球温暖化を促進することであってはならないと考えています。私たちは、地球温暖化係数の低い冷媒を使用する製品の研究開発に積極的にチャレンジしてきました。それは、冷媒を使用する製品をつくり、販売するメーカーとしての責務だからです。なかでも、自然冷媒であるCO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機は、累計出荷数 30,000台※を超え、着実に普及を果たしています。そしてこれからも、より多くの環境配慮型製品を世界各地に送り出し、温室効果ガス排出量の削減に向けて取り組んでいきます。※2025年2月末時点
冷媒と地球温暖化
自然冷媒の選択
かつて使用されていたフロン(CFC)は、オゾン層を破壊することから、1987年に採択されたモントリオール議定書により段階的に規制されてきました。この議定書により、フロンを含むオゾン層破壊物質の使用が削減され、 その後、代替フロン(HFC)が使用されるようになりました。しかし、代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、地球温暖化への影響が大きいことから、2016年に新たにキガリ改正が採択され、代替フロンの使用量を削減するよう求められています。
そのような状況において注目されているのが、CO2やアンモニアなど環境負荷の低い自然冷媒。なかでも、CO2冷媒は不燃性で毒性もなく安全性が高いことから、環境性能が特に優れた冷媒として知られます。できる限り地球温暖化係数の低い冷媒に切り替えていくことが全世界で求められているのです。
次世代冷媒 | GWPが低い冷媒 | 現行冷媒 HFC代替フロン |
||||||
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CO2 | アンモニア | イソブタン※ | R448A | R449A | R407H | R410A | R404A | |
オゾン破壊係数 ODP |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
地球温暖化係数 GWP |
1 | <1 | 3 | 1390 | 1400 | 1500 | 2090 | 3920 |
可燃性 | 不燃 | 微燃性 | 強燃性 | 不燃 | 不燃 | 不燃 | 不燃 | 不燃 |
毒性 | なし | 劇物 | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
- 国連環境計画(UNEP)「OzonActionKigariFastSheet3」
コールドチェーンソリューションズ社の環境技術
CO2冷媒採用製品の開発
当社のコールドチェーン事業では、1999年にCO2冷媒対応のロータリー二段圧縮コンプレッサーを世界で初めて開発。2005年頃からCO2冷媒を採用した製品の開発に取り組み、2009年には日本初となるCO2冷媒採用のノンフロン冷凍機が誕生。2010年より発売を開始しました。CO2冷媒は動作圧力が高いなど扱いが難しく、技術的なハードルがありましたが、基礎研究の積み重ねと実証実験でのトライ&エラーを経て、環境性能に優れたノンフロン冷凍機の量産化を実現。代替フロンを使用する冷凍機と比較して、年間消費電力を冷凍の場合25.4%、冷蔵の場合16.2%削減※できる省エネ性も大きな特長です。現在では、小型ショーケースやチェストフリーザーなどについても、ノンフロン冷媒を採用した製品のラインアップを拡充させています。
また、ハスマン社においても同様に、CO2をはじめとする地球温暖化係数の低い冷媒に対応する製品を幅広く揃え、「Evolve Technologies」として製造から設置、メンテナンスまでを総合的なソリューションとして提供しています。
- 6店舗の平均値、R404A冷凍機:インバーターマルチユニット、電力量CO2換算係数:0.000579tーCO2/kWh(平成27年11月30日公表)冷媒漏洩率:16%(平成21年3月7日付 METI「冷凍空調機器に関する使用時排出等の見直しについて」)

CO2冷媒採用 ノンフロン冷凍機システム

ハスマン社「Evolve Technologies」移動展示
省エネ性能の追求
コールドチェーンソリューションズ社では、長年にわたり省エネ性能を追求しています。2024年に登場したスーパーショーケース 「REシリーズ」は、高効率冷却器の採用やエアカーテンの効率アップにより省エネ性能を向上。なかでも真空断熱ガラス(VIG)扉を採用した冷凍リーチインショーケースは、前シリーズと比較し約33%※1の省エネを実現しました。さらに、店舗コントローラーを組み合わせることで、冷凍・冷蔵機器を一元管理し、庫内温度を監視しながら自動で省エネ制御を行います。
また、業務用冷凍・冷蔵庫「LVシリーズ」は、新設計の冷却ユニットや断熱性能の向上などにより、前シリーズと比較し約29%※2の省エネを実現しました。エネルギー消費を減らすことで、温室効果ガスの排出量削減に貢献します。
- 1 EVシリーズ(トリプルガラス搭載機種)と「VIG省エネ扉」搭載機種との比較
ショーケース:FLD-EV0377LA×4台、冷凍機:OCU-NL1501F 6,300W(蒸発温度-40℃、50Hz の冷凍能力)、ガラス面ヒーターガラスの曇り防止のため霜取り時のみ通電(霜取り時間1日 30分×2回) - 2 JIS B 8630:2009に基づく測定方法による、KBシリーズとLVシリーズの同等機種の比較において

スーパーショーケース 「REシリーズ」

業務用冷凍・冷蔵庫「LVシリーズ」
群馬・大泉拠点での取り組み
コージェネレーションの導入
コールドチェーンソリューションズ社の基幹工場のある群馬・大泉拠点においては、大規模なガスコージェネレーションシステムを導入し、エネルギー効率の向上を進めています。
2020年の1号プラントに続き、2024年には2号プラントが稼働を開始し、電力の大幅な自給自足を達成。また、ガスエンジンが発電機を動かす際に発生する排気や冷却水に含まれる熱エネルギーを利用し、排熱回収ボイラーで蒸気を作ります。生成された蒸気は、事務所や工場の空調熱源や生産ラインで使用されます。
その結果、エネルギー変換効率を最大約76%まで向上させることができ、カーボンニュートラルの達成に向けて前進しています。
また、災害等による停電時においては、コージェネレーションシステムの電力を非常電源として活用することも想定されています。

ガスエンジン・コージェネレーションシステム

長時間にわたる停電時にも電力供給が可能