監督からのメッセージ

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伝統から“強豪”へ。勝利にこだわるチームになる

打撃力の強化を掲げ、強いパナソニック野球部の復活を目指した2022年は、都市対抗野球の本選出場を逃し、社会人日本選手権は2回戦敗退に終わった。しかし、攻めを貫く姿勢はチームに浸透し、先を見据え若手起用を進めたことで、新人選手をはじめ若手が台頭した。チームの変革を勝利という結果につなげるため、新たに指揮を執ることになったのは、昨季までヘッドコーチ兼投手コーチだった金森敬之新監督。かつて日本ハム、ロッテで活躍し、独立リーグも経験した金森新監督が考える、目指すべきチーム像とは。

今のパナソニック野球部に必要なもの

写真:金森監督

プロ野球に13年在籍した私の経験から感じるのは、社会人野球とプロ野球の選手の間に、技術的な差はほとんどありません。違いがあるとすれば、メンタルの部分。例えば、プロ野球選手はアウトになった次の打席への切り替え方がうまい。気持ちを切り替える修正能力が高いと言えます。バッティングが課題と言われているパナソニック野球部が復活するポイントは、まさにここにあると考えます。

気持ちの切り替えはチーム全体に置き換えることもできます。社会人野球はトーナメント戦ですから、実力を出し切る難しさは確かに存在します。しかし、一発勝負の世界だからこそ、最高の状態で試合に臨む気持ちの強さが重要です。そこで、今シーズンは「いい雰囲気で野球をする」「勝ちにこだわって勝ちグセをつける」をテーマに掲げました。投手も野手も関係なく、とにかく勝つことに執着しよう、と。

勝利にこだわるチームづくり

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キャンプではトーナメントを戦う体力を養うため、実戦練習に重点を置きました。二大大会はともに短期間で数試合を勝ち続けなければ優勝できません。それを想定して、試合による疲労が蓄積された状態で、どのくらいパフォーマンスが出せるのか。個々が課題に向き合い、修正力を高めてもらうのが狙いです。また、実戦を重ねることで、打者は投手の生きた球を体感して自身の状態を見極める、投手は試合で通用する球を磨いていく、などの効果にも期待しています。実戦練習は年間を通して多く取り入れようと考えています。

チームづくりについては、横田拓也・井上貴晴の両コーチを軸にして進めています。昨季まで現役だった横田コーチは選手との距離が近く、井上コーチはアナリストの経験もあってとにかく社会人野球に詳しい。2人とは選手に「こうしなさいと強制はしない方針でいこう」と話しており、鳥谷 敬コーチも「自分自身が迷ったときの練習方法やアプローチを知っておけば修正できる」という視点で選手にアドバイスしてくれています。

また、コーチ陣だけではなく、総監督でもある中本 浩GMをはじめスタッフ全員が、今季は“勝つことに執着すること”を持ち場で体現し、陣営からも盛り立てています。この姿勢が選手に必ず伝わると確信したのは、2月のオープン戦でした。初回から4点を取られる苦しい展開でしたが、9回表に逆転して勝利しました。最後まで諦めずに、最終回で試合をひっくり返した打撃陣の頑張りが素晴らしかったですね。そんな野手陣とともに褒めたいのが、9回裏を投げた城間 竜兵。8回終了時点でビハインドという、気持ちが切れそうになる試合展開の中で、彼は自分の出番があると考えてしっかりと準備をしていた。「抑えてやる!」と気迫あふれるピッチングが頼もしかったです。

全員が戦力、選手の特徴をどう生かし切るか

2018年にコーチとなってから5年。こんなに早く監督に就く、それも伝統あるパナソニックでこの大役は想像していませんでした。当初は周囲からも「金森さん、大丈夫ですか?」と心配されましたし、そのたびに「いや、分かれへん」と答えていました(笑)。ただ、私はプロ、独立リーグでプレーする中でたくさんの名伯楽と出会い、その導き方に触れてきました。その1人、2年連続でオリックスをリーグ優勝に導いた中嶋聡監督には、就任当初からアドバイスをもらっています。特に「まず選手にしゃべらせる」という考えは常に自身の軸にし、日々のコミュニケーションに生かしています。キャンプ中は同じ地で汗を流していたWBCの侍ジャパンからも、コーチが激励に来てくれました。気にかけていただき、ありがたいですね。

また、選手の特長を生かした起用法や戦略を模索し続けています。昨シーズンを振り返ると、ベテランの松根 優法兼 駿榎本 亮與座 健人城間 竜兵鈴木 佳佑に、井奥 勘太久保田 拓真ら若手が融合した試合は強かった。今季はここに何人の選手が加わるかが、チームとしてレベルアップするポイントです。それを選手たちもよく理解していて、キャンプでもハツラツとした動きを見せてくれる選手が何人もいました。「もう二度と……!」と、都市対抗を逃した悔しさをバネに練習に励んでいるようにも感じましたね。

大会が始まれば控えに回る選手も出てきますが、全員が戦力だと考えています。先発・中継ぎ・抑え、代打、代走、守備固めとさまざまな役割がありますが、彼らを適材適所で起用し、活躍できるようにしていきたい。「全員が活躍する野球」が、パナソニックの目指すチーム像です。投手陣は成長著しい3年目の後藤 大熙にも期待しています。投手陣の層も厚くなり、対戦相手は誰が投げるか読みづらいのではないでしょうか。新人の5人も素質を感じますし、今季キャプテンに就任したのは2年目の永江 大樹。守備の要ともいえるショートを守り、勝負強いバッティングでも、チームを引っ張ってくれるはずです。

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何かが起きる!?と予感できるチームに

パナソニック野球部の存在意義は、会社と地域への貢献です。スポーツの力で会社を元気にしたいですし、地元に愛される存在でありたい。選手も日ごろから地域の方々や会社の皆さんと触れ合う中で、十二分に愛情を受け取っているはずです。だから「このチームは何か起こしてくれるんじゃないか」とワクワクさせてくれる、そういう空気で応えていきたい。

パナソニックは伝統のあるチーム。あるスタッフが「それだけではもうダメだ」と口火を切りました。「強豪と呼ばれたい。伝統ある強いチームだと」。すぐに結果が出る甘い世界でないことは承知していますが、全員が勝利にこだわり続けることで、応援してくださる皆さんに勇気や感動を与えられるような、そんなチームを目指していきたいと思います。

写真:選手の円陣

(取材日:2023年3月8日)