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最高の野球で、粘って勝ち切る

今年の都市対抗野球大会の3勝(4戦3勝1敗)で、初めて実現できた自分たちの野球。どんな状況になっても、粘って勝ち切る、それが私たちの野球――。そう田中篤史監督が語る通り、都市対抗のスコアブックには、チーム一丸の躍動が刻まれている。試合を決定づけた“ヒーロー”はまさに日替わり。全員が諦めない、全員で粘る野球だ。第45回 社会人野球日本選手権大会を目前に控え、田中監督は誓った。「もう一度、この大舞台で自分たちが目指す野球をする。勝つことが全てです」

都市対抗を境に、このチームは変わった。

インタビューを受ける田中監督

チームを預かって1年、私が繰り返し語ってきたことを選手は実践しています。「なりたい姿を考え、それをグラウンドで表現してほしい」。もう、この話はしなくてもいいのかもしれない、そう思えるほどに選手は個々の課題に挑み、チームにも浸透しています。そのターニングポイントは、予選突破に苦しんだ都市対抗予選、そこからはい上がった本戦でした。何とかつかんだ第6代表の座ですが、例年ならば近畿は5枠、悪い言い方を承知で言えば、90回記念大会の恩恵を受けた予選通過でした。失うものはない、私たちはそんな挑戦者の立場でした。

応援ありがとうございました

しかし、出場を決めてからの準備期間、そして本戦を勝ち上がりながら選手は大きく成長しました。予選の結果を真摯に受け止め、「勝ちたいんだ」と気持ちを新たにしてくれました。初戦から3回戦までのスコアは1-0、2-1、2-0。いずれも試合後半までもつれた接戦を勝ち切った。打者は何とかしようともがき、投手は実力通りの投球で失点を抑えました。私が理想とするのは、ブルペンとマウンドが一致する投球です。その強い気持ちを先発、中継ぎ、抑えの全員が見せてくれました。

個々に見ても、小屋は安定感抜群で、北出はランナーを背負いながらも無失点に切り抜けた。この2人は気持ちで向かっていけるタイプです。鈴木、庄司、與座は投げない日も、しっかり準備ができる。迷いがなくなりましたね。先発陣の中では、藤井(聖)は変わらず頼もしい存在で、困ったところを埋めてくれます。3年目の城間は最初の1年をリハビリで過ごし、まさに経験を積んでいるところ。それから榎本。こう話すのは初めてですが、もう彼を「エース」と言ってもいいでしょう。都市対抗で初戦、2戦目と続けて結果を残しました。特に2戦目の粘りは、今後への期待を抱かせる投球でした。

改めて学んだ、勝つことの難しさ。

全員で粘る野球

今回の都市対抗は、控えの野手がここ一番の場面で、実力を発揮してくれました。リードを許していた2回戦の8回、二死1、2塁の場面で代打に送りだした深瀬は、逆転のツーベースで応えてくれました。彼はいつもベンチから戦況を見つめ、しっかりと声を出す。「何とかしてくれる」と信じていたのは私だけではなかったはずです。また、3回戦で決勝打を放った坂田は、その試合までスタメンを外れていました。あえて補強選手に外野手を選び2試合先発させたのは、私の狙いです。レギュラーだった坂田に刺激を与えたかった。もっとやれるはずだと。その悔しさを打席にぶつけてくれました。

都市対抗ベスト8の成績に、社内からも「いい試合を見せてもらった」と、たくさんの声をいただきました。私自身も目指す野球ができたことは満足していますが、やはり負けた4回戦の悔しさを忘れてはいけない。敗戦を喫した試合では、日頃では考えられないような動きをしてしまい、失点につながった場面もありました。選手に問うと、一番に出てきた言葉は、悔しさや勝つことの難しさでした。対戦相手はそこから連勝して優勝した。「リアルな頂点の場所、日本一のチーム」と対戦・体感し、味わった悔しさです。

代表の座をつかんだ瞬間

日本選手権の近畿予選では、疲れも残っていた投手陣を打撃陣がカバーしました。一人一人「俺たちが」と気迫を見せた。二死からの連打で得点を重ねた場面にも、それが表れていました。野手は春の不調から、もう一度奮起してバッティングを見つめなおし、コーチも寄り添いながら、1球に集中するこだわった練習をしてきました。8月の練習試合を一つも負けなかったのは印象的な出来事です。勝ちグセをつけ、そのままの勢いを保って、2連勝で日本選手権出場をつかみました。今年、このチームでもう一度、大舞台で勝負ができます。

魅力あるプレー、魅力あるゲームを目指す。

魅力あるゲームを目指す

野手とは個々に話をします。例えばベテランの田中には「経験値がむしろ邪魔になることがあるぞ」と自分の経験もまじえながら。4番の片山には「難しく考えすぎじゃない?様々な状況判断・チームバッティングが求められる他の打者に比べれば、(片山は)シンプルに来た球を打つことだけを考えたらいいんだから」と話しています。「そうですかねえ」と彼は首をかしげていますが、投手出身の私だからこそ、技術論ではなく気楽に話せる一面もあります。キャプテンの法兼やピッチャーの先頭に立つ鈴木とは野球観を語りあって、チームの方向性を一致させています。

意外なことに選手側は「どうしてあそこはバントで送らなかったんですか。相手にプレッシャーをかけて……」と手堅い。私よりも指導者らしいといいますか(笑)。もちろん、その場面で出したサインの根拠、理由は選手たちに話します。その上で「最低限を求めていたら、最高は出にくい」とも伝えています。大きなミスは避けられるかもしれない、しかし、それでは最高にならない。最高を求めるマインドでプレーをと語りかけています。また、何が起こってもいいように可能性の少ないプレーほど、しっかりと準備をする。何試合かに一度あるかないかの守備シフトを練習するのも、そうした準備です。

親子野球教室

選手権が行われる京セラドームでは、いつも大声援がわれわれを勇気づけてくれます。社員の皆さまにはこの場をお借りし、厚く御礼を申し上げます。また、スタンドには、地域活動で選手と一緒にグラウンドに立った子どもたちも応援に来てくれます。特に今年はオフの期間、積極的に野球教室で多くの方と交流を深めました。少年野球の子どもたちは「どんなグローブを使っているの」「木のバットで打たせて」と、その目は輝いています。野球の本質とも言える憧れ、ボールをもっと飛ばしたい、キャッチしたい――。思えば、私たち全員がそこからスタートした。少年たちから、原点に返るヒントをもらっています。

インタビューを受ける田中監督

パナソニック野球部は、2005年を最後に選手権の頂点に手が届いていません。当時、現役だった私はことさらに、頂点に強い思いを抱いています。もちろん、目指す場所はそこであり「Heat up―てっぺんとったんで!」をスローガンに掲げる選手たちも同じ思いです。しかし、そのためにもまずは目の前の一戦を勝ち切るしかありません。応援してよかったと魅力ある試合を展開し、それを積み重ねたい。いいプレーをお見せして皆さんの応援に応えることが、私にとっての「最高」です。どうか最後まで、熱いご声援をよろしくお願いいたします。

(取材日:2019年10月8日)

2019 Heat upの最終章、
駆け上がれ! 最高の場所へ。

パナソニック野球部 田中篤史監督

2019年7月26日

第90回 都市対抗野球大会におきまして多大なるご声援をいただき、本当にありがとうございました。
結果としましてはベスト8とチームスローガンである「てっぺん」、優勝を果たすことができなく非常に悔しい気持ちです。
しかし、応援してくださる皆様のご声援が私たちに勇気を与え、持てる実力以上のものを発揮でことは確かであります。
選手たちは試合を重ねるごとに逞しく、成長していく姿がありました。
また「挑戦者」として相手に向かっていく姿勢は全試合通して貫いてくれ、それぞれの役割を理解し、徹してくれました。
今回の都市対抗が経験・実績を積む大会でありました。しかしここからは経験・実績を活かす大会へと進んでいかなければならないと考えています。
次は9月1日から行われます日本選手権予選です。必ず突破するべくチーム一丸となり取り組んで参ります。
今後とも引き続き熱いご声援よろしくお願いいたします。

2019年7月5日

第90回都市対抗野球大会が7月13日より開幕いたします。 我々パナソニック野球部の初戦は大会初日の7月13日(土)開会式直後の14:00から東北地区代表のきらやか銀行と対戦します。
昨年、初戦敗退の悔しさを胸に1年間取り組んで参りました。第87回大会ではタイブレークの末に敗戦を喫している相手です。しかし、リベンジなどという考え方をするつもりはありません。
我々は、あくまで挑戦者であるという意識をもって、チーム全員が束となって目の前の相手に挑み戦って参ります。
パナソニックらしさ溢れる野球を皆さまにお見せし、今年のチームスローガンにもある「てっぺん」を必ず掴み取りたいと思います。
ぜひ、東京ドームにて熱いご声援の程、よろしくお願いいたします。

「選手一人ひとりが、勇気を持って自分を変えてほしい。チームが束になって戦うために、何が必要かを考えてほしい。」開幕を目前に控えながらも、田中篤史監督は日々の変化をチームに促す。実績ある選手にもレギュラーの確約はしない。“なりたい姿”を考え、グラウンドでその姿を表現してほしい。アップデートし続けるパナソニック野球部、変革の2019シーズンが始まる。

今期につながる、一筋の光。

インタビューを受ける田中監督

2018年の社会人野球日本選手権、その初戦で見えたチーム一丸の粘り。あの試合こそが、私の目指す野球です。先発したピッチャーの榎本が8回までを1点に抑え、信頼感のある藤井(聖)につなぎました。5年目の榎本は、口に出して何かを言うというよりも、自分で「なりたい姿」を描いて努力ができる。私が現役時代のころから、このままでは社会人野球で通用しないと、自らプランを持って進化してきた選手です。試合前に、藤井には「ここぞという場面で助けてくれ、頼む」と言ってありましたが、まさにそのとおりの展開になりました。

打線は粘りに粘って、相手の先発投手をマウンドからおろす、1球でも多く投げさせようとしていました。試合は1対1で延長戦へ。こうしたロースコアの場合は先発同士の投手戦が多いのですが、この試合は早々に相手ピッチャーをマウンドからおろし、プレッシャーをかけることができた。サヨナラ勝ちを呼び込んだのは、このボディブローがあってこそでした。ただし、敗れた2回戦では同じことが実践できませんでした。パナソニック創業100周年のメモリアルイヤーに結果を残せなかったことは、応援をしてくださる皆さまに大変申し訳なく思います。あの初戦を一筋の光として、チームのレベルアップを図っています。

選手に指導する田中監督

春のキャンプから「自分がパナソニック野球部にとって、どんなピースであるべきかを考えてほしい」と選手に伝えています。まず、どんなチームにしたいのかを考えること。個々の頑張りはもちろんですが、チームが束になって相手に立ち向かう、そのための変革が必要です。私の世代がよく指導をされたのは「仲良しチームになるな。群れるな」という教え。現在の選手を見ていると、練習メニューもよく考えた上で離れて個人で黙々と打ち込んでいる。しかし、われ関せずではいけない、もっと互いを気にかけてほしいと直感しました。チーム一丸という言葉はずっと語られてきたことですが、いま一度、そこに立ち返るべきだと強く思います。

束になって戦う、ファミリーの意識。

束になって戦う、ファミリーの意識

2019年の新たなスタートに際し、チーム全員に「野球部 方針発表」という1枚の紙を手渡しました。 “3つの方針”について記したものですが、あえて一番上のタイトル部分を空欄にしました。そこには、『家訓』という言葉を選手に書き入れてもらいました。われわれは一つのファミリー。仲間の心理や考えていることをもっと理解しあってほしい。そんなチームにしたいと、キャンプ中にはグループ・ディスカッションも実施しました。「野球の魅力とは?」「理想の試合、どんなスコア?」などテーマを決めて、ルーキーもベテランも関係なく語りあえる場です。プロ野球経験の豊かな金森や、選手と同世代の阪口ら、新任コーチ陣もファシリテーター役で加わって、いろいろな野球観を交わすことができました。

“3つの方針”の中で、最も大事なのはファミリーの意識「束となって戦う」。残り2つはそこに至るための個々の意識についてです。1つは「変化を恐れないこと」。現状に満足しない、新たな挑戦です。実践中の一例を挙げれば、複数の選手が今まで経験のないポジションを練習しています。昨年に活躍が目立った、外野手の藤井(健)もその一人。現状に安穏とせずサードに挑戦しています。初めてのサード、初めての動作で体のキレが違ってきたり、打撃にも変化が現れるかもしれません。十分な成績を残した選手ですが、新しい可能性を探り、さらなる変化・進化を求めています。もちろん成功するとは限らず、失敗に終わるかもしれませんが、それは意義のある前進だと胸を張っていい。失敗を怖がっていたら、成長はないと考えています。

新キャプテンの法兼選手

もう1つの方針は「感性をみがく」。互いに壁をつくらずに、コミュニケーションを深めることです。守備中のしぐさ一つ、表情一つから仲間を思いやることできる、そんなチームであってほしい。新キャプテンを3年目の法兼としたのも、若手にどんどん前へ出てもらって、ベテラン選手を引っ張るぐらいのチームにしたいと期待をこめてのものです。今年はルーキーが8人加入しました。投手が2人、捕手1人、内野手2人、外野手3人。彼らには、まず社会人として、賃金をいただく野球選手の自覚を説いています。どんな野球をしてくれるか、とても楽しみにしています。

粘り強く、どんなときも平常心で。

片山選手のホームラン

昨年の今ごろ、同じように新人選手として入ってきた片山は、すぐに頭角を現しました。年間を通じて四番に座りましたが、都市対抗予選では打てなくて、酸いも甘いも経験した1年だったでしょう。2019年は、相手投手も気合を入れて挑んでくるし、研究もされる。そこを打ち勝って、もう一つ殻を破ってほしい。甘さを見せない「真の四番」たる姿を期待しています。また、打線への期待はベンチも含めた全員に対してです。その好例は、日本選手権の初戦で、サヨナラ打を放った横田です。決して打率が残せたシーズンではありませんでしたが、ああした大舞台での活躍は、地道な努力なくして生まれないもの。「ここ一番で、何かやってくれる」そういう中堅・ベテラン選手の存在も欠かせません。

投手陣は、昨夏から目の色を変えて練習に取り組むようになり、その姿勢はキャンプを通じて変わりありません。マウンドに立てる投手は1人ですが、誰にもそのチャンスがあります。フォームを変えたり、新たな球種に挑戦したり目に見える部分と、メンタル面や考え方で新しい取り組みもできます。春の開幕に向け、大まかにそれぞれの役割を伝えていますが、ふたを開けてみないと分からないのが野球です。急にリリーフが必要な場合もあるかもしれませんし、ある日、新しい芽が現れるそんな楽しみもあります。捕手は今年から4人となり、三上に頼りきりではなく競争が必須です。若手は二番手と言わず、一番手の捕手を目指す、そうすれば、三上もさらに頑張るはずです。

辛抱強く、粘り強く

ポジションを問わず、全員に説いているのが「平常心」です。2019年シーズンにどういう野球、どういう姿を見せたいのかを決め、辛抱強く、粘り強く試合の中で表現してほしい。シーズン中には、完璧なスイングでとらえた打球が正面をついてしまう、完璧な1球だったのにストライク判定ではなかった……。そんな、心が揺れてしまう場面があるものです。イレギュラーなこともたくさん起こるし、「やってきたことが、間違っているのかもしれない」そういうブレが生じたときに、日ごろ練習でやっていることができなくなる。どんなときも、自分自身に根気よくと言い聞かせ、相手チームのペースに乗せられてないこと。非日常に陥らないために、平常心を保ち信念を持ってプレーするように徹底しています。

社員の皆さま、地域の皆さまとともに。

応援ありがとうございます

選手誰もが勝ちにこだわる姿勢を持って、頂点を目指しています。2019年のチームスローガン「Heat up ――てっぺんとったんで」は、まさにその現れです。選手が全員で話し合って決めたこの言葉を、私は一度つき返しました。「てっぺん、と言っていいのか? 本当にそれで合っているのか」と。意地悪というわけではなく、本心かを問いたかったのです。「これでないと、ダメです。他ではダメなんです」と、その言葉を聞いて承諾しました。信念と責任を持つ、選手はもちろん私もスタッフも全員が同じです。一つの固い束となって一戦一戦に挑みます。

この場をお借りして、パナソニック野球部を応援してくださる皆さまにチームを代表して御礼を申し上げます。大観衆がスタンドを埋めるドーム球場、その場に立つとしびれるような感覚がこみあげてきます。われわれがこうして野球に専念できるのは、応援してくださる皆さまのおかけです。声援にお応えできるように、いっそうの強化を図ってまいります。

インタビューを受ける田中監督

本年、パナソニック野球部は門真市と「スポーツを通して相互のプロモーション推進に関する協定」を結び、野球教室をはじめ各種の取り組みで地域と連携を強めることとなりました。応援してくださる地元ファンの皆さまと、新たな交流の場でお会いできることをチーム一同楽しみにしています。社の内外を問わず、皆さまと喜びを分かち合えるチーム、より魅力ある野球部を目標に全力で戦います。ご声援をどうかよろしくお願いいたします。

(取材日:2019年2月26日)

応援してくださる皆さまのために、
一戦一戦に全力を尽くす。

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