流れを変えてくれ――! その期待に、何度も応えてきた松根選手。ぶれない立ち姿、体を開かずバットのヘッドを走らせ、広角に打球を放つ。守備では柔らかいグラブさばきで“いぶし銀”と称される。中堅選手として自らの立場を自覚し、攻守でチームの地力を底上げする27歳。その実力を支える道具のこだわりや社会人野球の魅力を聞きました。
DATA
- 和歌山県出身
- 南部高校ではショートのレギュラーとしてチームを牽引。
高校2年時には春・夏と2季連続で県大会ベスト4進出を果たす。 - 近畿大学に進学後は2年時からリーグ戦に出場。4年時にはチームの主将も務めた。
- 勝負強いバッティングと堅実な守備が持ち味で、内野守備も複数こなすユーティリティプレーヤー。6年目のシーズンを迎え、中堅の域に差し掛かかり後輩選手からの人望も非常に厚い。
社会人野球の醍醐味
夏と秋の二大大会(都市対抗・日本選手権)、予選で駒を進めていく独特の緊張感。一発勝負の中で、どんな形でも勝利をもぎとらなければとプレッシャーがあります。涙が込み上げた試合もありました。2019年の都市対抗予選は、90回の記念大会として、例年より1枠多い第6代表枠に救われました。その最後の戦い、スタメンで結果を出せず自分への歯がゆさを募らせながらの最終回。フィルダースチョイスでなんとか勝ち越しの塁を踏み、本戦への切符を獲得しました。感極まりましたね。自分の結果だけを求めるのではない。アウトになるならランナーを進める、粘って相手にプレッシャーを与える。そうしてチームの勝利を渇望するのが社会人野球です。
自分の役割を
パナソニックに入ってから取り組んだのがツイスト打法。相手投手の投げたボールのパワーに負けないように、体を開かずスイングスピードを高め、インパクトを大きくするためでした。監督やコーチの助言もあり、1年間練習してその土台を作りました。打撃も守備もしっかりと脇を固めることが、組織がうまく成り立つための役割だと今は考えています。代打でバッターボックスに入る時は、スタメンと心持ちが違います。この一打席の勝負、劣勢ならなんとか自分の一打で流れを変える!と。自分とチェンジした選手の思いも心にあります。今年はそのプレッシャーに負けず、開き直った感覚で、状況を楽しめるまでになりました。
用具のこだわり
グローブは、投手用のウェブ(親指と人差し指の間のアミの部分)を使っています。ウェブ部分は捕球するにつれどうしても革が伸びて、隙間が開いていきますよね。それで球の持ち替えがしにくくなるのを防ぎたくて。それぞれ個人の球を捕る位置、球の扱い方でグローブの耐久性も変わりますが、僕は投手型のウェブでないと消耗も早くなってしまいます。芯がための部分がゆるまないように刺繍で堅くするのもポイントです。中学時代から、久保田スラッガーのグローブをずっと使ってきたので、パナソニックに入った時は用具が同社製で「縁があるなあ」と思いました!しかも使っているのは“鳥谷(さん)モデル”なので、これも縁ですね。
野球選手としての掟
- ① おごらず謙虚に
- ② 目配り・気配りを忘れずに
- ③ 自分のスタイルを貫く