お役立ち情報:これから増々重要になる!住宅施工品質の確保のポイント

2023年03月22日

内容

コロナウイルス蔓延に伴い、社会の変化が住宅の使い方を変えてきました。
また環境問題にともない、省エネ性能の向上も当たり前になってきました。

①くつろぎの場とオフィス機能の融合(遮音性)
②窓を開けない生活様式(換気性)
③空調設備に依存する生活様式(通気性)
④省エネへのこだわり(断熱性)

このことをベースに今後の住宅に求められる性能を担保する上で必要になってくる住宅建築の施工品質を考えてみます。

 

①外部音を遮断し断熱性能・計画換気性能を向上させる気密性能の確保
②内外温度差による壁体内結露対策での通気性能の確保
③空調設備取り付け電気工事外部貫通部分の防水性の確保
④気密性向上による材料収縮対策

以上、一見高性能住宅を建築する上で常識ではある施工品質ではありますが現場の職方さんにまでこの辺りの常識が浸透されていないケースが多く見られます。また、言葉として伝えられたとしても具体的に何を、誰が、どのように、の基準が無く、現場監督や職方さんも自主検査を行う事ができません。これでは、材料スペックは高品質でも住まいその物の品質には及ばず結果、クレームや住まい手の不満足につながる事は必須と考えられます

具体的な品質管理ポイントを整理してみましょう。

 

①外部音を遮断し断熱性能・計画換気性能を向上させる気密性能の確保

 ・気密ラインの連続性

  ・あらかじめ床、壁、天井が一体となる気密ラインを計画し現場・設計の共通認識を設定する
  ・気密ライン上にある部材の接合部を把握し施工方法を定めておく
  ・気密工事が終了し次第、修正ができる段階で気密測定を活用して施工の状況を確認する
  ・高気密状態では階上床の響きが大きくなるため、階上床の省音対策は不可欠となる

 (梁から直接、吊り木を施工しない天井下地計画)

 

②内外温度差による結露対策での通気性能の確保

 ・通気ラインの連続性

  ・外壁の通気が妨げられていないかの確認
  ・窓枠に縦胴縁の空気道が確保されているか
  ・横胴縁に空気道が確保されているか
  ・玄関周りでは外壁通気が庇軒天で妨げられていないか
  ・外壁足元の通気口が横胴縁などで妨げられていないか
  ・外壁下段で温められた空気が上昇し上段で外部に抜ける構造となっているか

 ・大屋根の通気

  ・大屋根水下で温められた空気は水上で抜ける構造となっているか
  ・棟換気を使用しないケースでの軒裏の通気金物施工時に横胴縁等で通気の妨げとなっていないか
  *特に、片流れ屋根、軒の出0、パラペット立ち上げの場合は通気計画を入念に行う
  注意:建築確認申請上は軒の換気計算で満足させる場合は有るが、現実は棟部に温かい空気が淀むため、結露事故の原因となる

 

③空調設備取り付け・電気工事外部貫通部分の防水性の確保

  ・ダクト・スリーブ取り付け

   ・雨水・結露水が室内に逆流しないように逆勾配で施工する
   ・エアコンドレンは水勾配を確保する
   ・透湿防水シート貫通後は防水テープでしっかりと防水措置を行っておく
   ・電気工事外部貫通部分
   ・外部貫通部に至っては、PF管周りを防水テープでしっかりと防水措置を行っておく
   注意:シリコンコーキング材で防水されているケースを見かけるが将来のメンテナンスや透湿防水紙との相性の部分で懸念が多い。

 

④気密性向上による過乾燥での材料収縮対策

  ・昨今の気象状況では大雨・ゲリラ豪雨が多く現場の雨養生が難しくなっている上に、建物の気密性が高く材料の膨張収縮が激しくなってきています。

  この事から仕上げ材の施工時期による建物仕上げ品質のばらつきが懸念されます。

   ・上棟直後より雨養生シートを土台下までしっかりと行っておく
   ・1階床下地合板材が濡れた場合は、取り換えるか、しっかり乾燥させる
   *1階床断熱材と下地合板の間も乾燥させる
   ・床仕上げ材施工前には下地合板の含水率を測定する
   *1.2階床下地・バルコニー床下地・野地板:含水率20%~15%が望ましい。

 

 

昨今では木造住宅その物に求められる性能は劇的に変化しています。例えば、建物シルエットでは、従来の軒を伸ばした雨仕舞文化からスマートデザインの防水文化へまた、窓を開けた換気から機械換気へと移行され、解放型の住み方ではなく、閉鎖型の住み方へと移り変わってきました。設計スペックが国策も伴い変わってきたものの現場施工の方ではまだまだ従来の認識から離れられない現状があります。そんな中、国土交通省の集計では、保険事故発生部位の大半が雨水の侵入と成っておりまた、私の方に問い合わせが来る内容でも、漏水クレームが大半(漏水と結露の判断は難しい)となっております。

 

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これはひとえに、設計スペックに現場施工が付いて来ていないように考え、『これから増々重要になる!住宅品質の確保のポイント』として記載いたしました。
販売力の強化を進められる中、施工品質向上も一緒に検討頂き、住まい手が将来にわたり喜んで頂ける住宅作りの参考にして頂きたくお願い申し上げます。