お役立ち情報:2023年度の住宅政策の方向性と取り組みについて

2022年12月19日

内容

国の住宅政策を次の5つの視点で捉え、これらを軸に、令和5年度国土交通省住宅局関係予算概算要求の内容と照らし合わせながら、2023年度の国の方向性について考えます。

①カーボンニュートラル
②レジリエンス
③スマートウェルネス
④ストック活用
⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)

 
5つのキーワードから見えてくる国の方向性とは?

①カーボンニュートラル
 今年度、断熱等性能等級5,6,7が創設され、2024年には住宅広告においても省エネ性能表示制度が、2025年には省エネ基準適合義務化がスタートし、2030年には新築の省エネ性能をZEH水準にするなどの明確な目標が掲げられました。来年度は、一般消費者への周知も強化しながら、それらの目標に向けて着実に歩を進めることになりそうです。

②レジリエンス
 国も、防火、防災・減災対策には今年度以上に力を入れる予定で、災害時や停電時等の備えという点では、太陽光発電設備や蓄電池の導入もレジリエンス効果が高いと考えられています。電気代の高騰と省エネ政策や自家消費型の市場が拡大していることから鑑みても、太陽光発電設備と蓄電池の導入は来年度もさらなる伸びが予想されます。

③スマートウェルネス
 住環境と健康の密接な関係を示すエビデンスが多く蓄積されてきており、住宅産業が、国民の「健康」と「命」を守る重要な役割を担っていることが徐々に浸透しつつあります。国も、高齢者、障がい者、子育て世帯等の多様な世帯が安心して健康に暮らすことができる住環境を実現するための支援を継続していく予定です。

④ストック活用
 国は、スクラップ&ビルドから脱却し、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を加速させたいところですが、住宅ストックの約9割が現行の省エネ基準に達していない現状において、2025年省エネ基準適合義務化により既存不適格建物を増やさないためにも、良質な住宅ストックの形成に向けて、長寿命化リフォームや空き家対策などに今年度以上に力を入れていく考えです。

⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)
 ウッドショックや資材の高騰など、利益を圧迫される状況が続く中、生産性と品質の向上が求められる建築業界において、DX化は「待ったなし」の状況にあります。国も労働環境向上やIoT技術の活用など生産性向上のため、積極的にDXを推進していく流れは加速しそうです。

 

令和5年度 国土交通省住宅局関係予算概算要求概要の主要事項

 

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国の方向性を見据えたビジネスチャンスとその取り組み方

 これまで、先進的な企業では、それぞれの軸で国の政策に沿ったビジネスモデルを構築しながら、新築・リフォーム・不動産・非住宅・周辺ビジネスなどにさまざまな形で収益を落とし込んできましたが、最近これらがすべて直線状に並び、ひとつの方向性を示し、その先に確固たるビジネスチャンスが見え始めました。
 それは、「『質の高い住宅』のベネフィットをきちんと伝えて提供する」ことが受け入れられ、中小企業でも収益性の高いビジネスが成立する環境が整ったことです。そのためには、ZEHのように高い断熱性能や省エネ性能、創エネ性能による、

 

❶電気代等が著しく高騰する中、効果的に光熱費を削減できる経済性
❷災害時や停電時でも在宅非難ができ、普段と変わらない生活ができるレジリエンス性
❸温度差や結露、カビ、ダニ等のない快適性
❹病気になりにくく、ヒートショックや熱中症等の心配のない健康性

などのベネフィットを丁寧に伝えながら、耐震性やバリアフリー性の効果も加味し、新築・リフォーム・売買・相続・資産活用など、あらゆる場面において、暮らしや生活レベルの向上を提案する観点からのアプローチで、DX等を活用しながら、効率よくかつ効果的に顧客に提供する体制(仕組み)を整える必要があります。結果、環境問題にも寄与し、収益性も上がり、顧客・ビルダー・社会の「三方よし」の体制が出来上がります。

 2023年度は、住宅政策の後押しもあり、さらにこれらの流れが加速するものと思われます。信頼性をもとにした接点を創造し、あらゆる場面において、さまざまな形で「質の高い住宅を提供する」このモデルは、特に地域密着の工務店などと非常に相性のいいビジネスモデルになっていますので、ぜひ、早めにこれらの体制(仕組み)を構築したいところです。

 最後に、「こどもみらい住宅支援事業」は受付が終了しましたが、その後継の「こどもエコすまい支援事業」なども、まさに住宅政策の方向性を包括した支援事業といえます。内容を熟知して、活用できるようにしておきましょう。
 

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