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スタンドアロンとは?ネットワーク型との違いとメリット・デメリットを徹底解説
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スタンドアロン型とは
ネットワーク技術やモバイル技術、インターネット技術の普及・進展によって、さまざまなデジタル機器が登場し、今、そのほとんどはネットワーク接続を前提に設計され、利用されています。
パソコン、タブレット、スマートフォンはもちろんのこと、ゲーム端末やテレビ、デジタルカメラもネットワークにつながり、電子レンジや冷蔵庫など、いわゆる「白物家電」もネットワーク接続を活用した製品が登場しています。
また普及が始まっている電気自動車(EV)もネットワークが活用され、パソコンやスマートフォンのOSがネットワーク経由でアップデートされるように、機能のアップデートがネットワークを使って行われています。
あらゆるものがネットワークにつながる時代が到来していますが、そうした時代環境のなかで、まだ「スタンドアロン型」と呼ばれる、ネットワークにつながっていない機器も存在しています。スタンドアロン型は時代遅れで、いずれ、すべてネットワーク型に移行すると考えがちですが、ネットワークの利用が進むからこそ、スタンドアロン型の存在意義、メリットが注目されるようにもなっています。
スタンドアロン型とネットワーク型の違い
まずは、スタンドアロン型とネットワーク型の違いを整理しましょう。ネットワークにつながっていること、つながっていないことで具体的にどのような違いが生まれているのでしょうか。
違い①初期導入の容易さ
初期導入に関してはスタンドアロン型の方が容易でコストも安価になります。ネットワーク型の場合は、機器側にネットワーク接続のための機能や装置が必要になりますし、もちろんネットワークの準備も必要です。すでにWi-Fi環境があるところに、ネットワーク型の機器を追加するのであれば、比較的導入は簡単ですが、ネットワーク環境も用意するとなると手間とコストがかかります。
違い②運用のハードル
スタンドアロン型の機器は、運用もネットワーク型に比べるとハードルが低くなります。ユーザが覚えるべきことはスタンドアロン型の機器に特化したことのみで、ネットワークの利用や活用を考慮する必要はありません。
違い③運用の考え方・運用体制
運用の考え方や運用体制は、スタンドアロン型とネットワーク型で大きく異なります。例えば、スタンドアロン型は台数が少ない場合、運用やメンテナンスは簡単で、運用コストもさほど高くありません。しかし、台数が増えると、運用やメンテナンスは煩雑になり、運用コストが大きくなります。一方、ネットワーク型は台数が増えても、デジタル技術を活用した運用や管理手法を活用することで1台あたりの手間やコストを低減することができます。
違い④コンテンツなどの更新
運用体制と同じ観点ですが、コンテンツを扱う場合、スタンドアロン型では更新の際には現地まで、実際に人が訪れる必要があり、手間とコストがかかります。OSやファームウェアなどのアップデートに関しても同様です。一方、ネットワーク型であればコンテンツはもちろん、OSやファームウェアのアップデートもネットワークを使って実行可能です。遠隔地でも、台数が多くても、センターから一括管理できることがネットワーク型の大きなメリットです。
違い⑤セキュリティ
スタンドアロン型とネットワーク型の大きな違いが、セキュリティです。スタンドアロン型はネットワークから切り離されているため、昨今問題となっているウイルスやハッキングのような攻撃とは無縁です。外部の悪意を持った第三者がスタンドアロン型に侵入しようとした場合は、実際にその場所まで来て、侵入しなければならず、ハードルはかなり高くなります。
一方、ネットワーク型では、セキュリティ対策がますます重要度を増しています。不正アクセスによって機密情報や顧客の個人情報が流出してしまうほか、攻撃によってシステムがロックされてしまい、身代金を要求される事例が日本でも出てきています。ネットワーク型は、世界中の悪意を持った第三者から狙われている、と言っても過言ではありません。
スタンドアロン型のメリット
スタンドアロン型とネットワーク型の違いを見てきましたが、改めてスタンドアロン型のメリットを整理します。
メリット①高いセキュリティ
スタンド型の最大のメリットは、高いセキュリティです。あらゆるものがネットワークにつながる時代のなかで、ネットワークから物理的に切り離されていることは、そのまま高いセキュリティを誇ることを意味します。
例えば最近では、データの保存・バックアップに磁気テープが再評価されています。磁気テープは、データの保存やバックアップ作業が終われば、機器から取り外して保存することができます。それだけでもネットワークから切り離され、高いセキュリティが確保されますが、さらに遠隔地に保管することでセキュリティのみならず、予期せぬ災害などの事態においても事業の継続性を維持することが可能になります。
メリット②低い初期コスト
スタンドアロン型はネットワーク型に比べて、構造や機能、システムがシンプルになるため、初期の導入コストを抑えることができます。数台レベルではそれほど差は出ないかもしれませんが、設置台数が増えると、初期コストの違いは大きくなります。また設置する機器の種類によりますが、スタンドアロン型の機器の場合、本体以外に必要なものは電気代のみで、ネットワークへの接続コストなどはもちろん必要ありません。
メリット③容易な運用スタート
初期の導入コストが低いことと同様に、スタンドアロン型は実際の運用もネットワーク型と比べると、より簡単に始めることができます。ネットワーク型だと、運用に際してマスターすべき項目やメンテナンスすべき項目が増えますが、スタンドアロン型はよりシンプルに運用をスタートできます。
メリット④ネットワーク型への前段階
将来、導入台数を増やし、管理を一元化するために、いずれはネットワーク型に移行する場合も、まずはスタンドアロン型からスタートさせ、運用にあたるスタッフを習熟させたり、運用体制を実際に即して改善していくことができます。ネットワーク型への移行の前段階として、スタンドアロン型を活用できます。
スタンドアロン型のデメリット
コンテンツ更新の手間
スタンドアロン型の機器、例えばスタンドアロン型のデジタルサイネージでコンテンツを展開している場合、コンテンツを更新する際にはデジタルサイネージが設置されている現地まで行き、データ保存メディアなどを介して、コンテンツを更新しなければなりません。
柔軟な対応は難しい
同様に、コンテンツ内容を柔軟に変更したり、一部のサイネージだけ内容を変更する、あるいは期間を定めて限定コンテンツを表示するなど、柔軟な運用を実現するためには、その度、人員を現地まで派遣しなければならず、大きな負荷がかかります。
トラブル時の初期対応に時間がかかる
トラブルやエラーなどが発生した際、ネットワーク型であれば管理画面などにアラートが届きますが、スタンドアロン型ではトラブルやエラーが発生しても、それを認識するまでに時間がかかります。利用者から連絡があるまで、数日間、そのままになっていることもあり、さらに対応にも時間がかかります。
スタンドアロン型の利用シーン
駅のコンコース、商業施設のエントランスなどにデジタルサイネージが設置されるようになっています。商業施設であれば、おすすめ商品やセール商品などを写真や動画を使ってアピールできます。特別な催事・イベントの際には、1台だけでなく複数台を固めて設置し、同じコンテンツを流すと強いインパクトを生み出すこともできます。あるいはオフィスや店舗のバックヤード、工場などで、全員で共有しておきたい情報や注意事項をデジタルサイネージを使って表示しておくこともできます。
スタンドアロン型の注意点
スタンドアロン型は、台数が少ない場合は、運用やメンテナンスのコストを抑えることができますが、台数が増え、設置場所が広範囲になってきた場合は、コストが大きくなります。現地の協力会社などに運用やメンテナンスを委託して、人的な負荷を削減することは可能ですが、いずれにしてもコストがかかります。
スタンドアロン型は、ネットワーク型にはないメリットと、将来的な運用、メンテナンスのコストを比較・検討しておくことが必要になります。
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ネットワーク時代でのスタンドアロン型の活用を
あらゆる機器がネットワークにつながるようになり、スタンドアロン型はもはや時代遅れとなっていましたが、不正アクセスなどの脅威が高まり、セキュリティが重要度を増すなかで、再びスタンドアロン型に注目が集まっています。メリット、デメリットを見極め、スタンドアロン型の機器も有効活用ください。