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LTOテープとは?特徴や将来性・活用事例を解説

更新日:2022/09/29
LTOテープとは?特徴や将来性・活用事例を解説
画像や映像、業務書類などの各データは、年々その容量が膨張しています。また、過去データの長期保存が必要な業界や分野にとって、ビッグデータの管理は、企業の業績を左右する死活問題ともいえるでしょう。今回の記事では、この膨大なデータを管理するうえで、容量・費用・安全面からも信頼されているLTOテープについて、その概要や特徴、活用事例を徹底的に解説していきます。
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LTOテープとは?

LTOテープとは、コンピュータ用のデータ保存磁気テープ技術のことです。「Linear Tape-Open」の略語になるLTOは、大容量かつ低コストが最大の特徴になります。利用に関して法的な制約がないLTOテープは「Hewlett-Packard」「IBM」「Quantum」の3社が、新たな磁気テープ規格標準を目指し、共同開発したシステムです。オープン規格のため、さまざまなメーカが装置やメディアを製造販売し、磁気テープ特有の長期保存に対する安心感をはじめ、その汎用性の広さや信頼性の高さが評価されるメディアとなっています。LTOテープには「Ultrium」と「Accelis」の2種類があり、Ultriumは、大容量を目的とした規格であり、一方のAccelisは、高速読み出しを目的とした規格です。しかし、普及しなかったAccelisは、現在規格更新が止まっているため、一般的にLTOテープといえば、Ultriumのことを指すようになりました。2000年に発売された第1世代となる「LTO-1」の登場以来、2021年までに第9世代の「LTO-9」までが発売されており、この先も第12世代までの開発計画が予定されています。

LTOテープが持つ特徴とは?

ビッグデータ時代におけるLTOテープは、データ保存に最適なメディアです。具体的には、どのような特徴があるのでしょうか?ここからは、LTOテープが持つおもなメリットを解説します。

特徴①大容量のデータ保存が可能

LTOテープは、大容量のデータ保存ができるため、フルバックアップしたデータすべてをひとつのテープカートリッジに保存・保管することが可能です。テープカートリッジの保存容量が多いため、テープチェンジの手間も少なくてすみます。保存容量が不足したときは、テープカートリッジを追加することにより、簡単に保存容量を追加できるうえ、一般的なハードディスクと比較した場合、データ転送速度が早い点などもLTOテープの特徴です。進化を続けるLTOテープの保存容量は2000年に発売された最初の製品となるLTO-1で100GB(圧縮時200GB)だったものが2021年発売のLTO-9は18TB(圧縮時45TB)とアップデートされています。さらに、第12世代の「LTO-12」では192TB(圧縮時480TB)になる予定です。

特徴②長期的なデータ保存が可能

データを長期間保存できる点もLTOテープの特徴に挙げられます。磁気テープの期待寿命は30年を超え、保管状況次第では50年のデータ保存が可能だからです。ドライブが下位2世代までのデータカートリッジの再生互換を持つLTOテープは、保管したデータに長期間アクセスすることができるため、必要なときに、いつでも過去のデータを読み出せます。また、LTOテープの第3世代にあたるLTO-3からは「WORM機能」にも対応し、記録したデータの誤消去や改ざんなどを防げるようになりました。このように、LTOテープは、重要なデータを30年に渡って長期的に保存できる信頼性の高いメディアなのです。

特徴③低コスト・省エネ・省スペース

メディア自体の価格が低いといった特徴を持っているLTOテープ。ディスクやクラウドと比較した場合10年間でかかる総コスト費用が最大86%(※)もカットできると試算されています(※参考値、状況により異なります)。また、データを読み書きする際の稼働時にしか電力を必要としないため、消費電力を抑えることが可能です。磁気テープは、HDDに比べるとCO₂の排出量を95%も削減できることから、企業のSDGsに対する取り組みの観点からも期待できます。さらに、LTOテープのカートリッジは、四方10cm程度、厚みも2cm程度と非常にコンパクトなため、保存場所を取りません。このようにLTOは、低コスト・省エネ・省スペースを実現できるメリットを持っています。

特徴④オフライン管理による安全性と移動性

LTOテープは、ネットワークから切断したオフライン管理が可能です。テープの操作中以外は、システムと非接続状態になるため、不正アクセス防止をはじめ、サイバー攻撃によるデータの破損や消失、停電や操作ミスによるデータ消去などのリスクを回避できるようになります。また、記録済みのカートリッジをドライブから取り外せるLTOテープは、簡単に遠隔地へ移動させることができるため、貴重なデータを災害や盗難などから守ることも難しくありません。ランサムウェアやBCP対策にも優れた安全性と移動性もLTOテープの特徴といえるでしょう。

特徴⑤優れた汎用性

汎用性の高さもLTOテープの特徴です。データカートリッジを読み書きするLTOドライブには1巻ずつデータカートリッジを収納するシングルドライブをはじめ、複数のデータカートリッジを収納・自動交換できるオートローダや、数十巻のデータカートリッジが収納可能なライブラリなどがあり、記録・保管するデータの容量にあわせ、使い分けることができます。また、ドライブの接続も「Serial Attached SCSI(SAS)接続」や「Fibre Channel(FC)接続」「Thunderbolt接続」などの方式があり、使用するさまざまな環境に応じたドライブを選べる点も、優れた適応性を持つLTOテープの特徴です。

特徴⑥データ管理が簡単

データ管理が簡単な点も、LTOテープが持つ特徴のひとつです。LTFS(Linear Tape File System)をインストールしたPCやサーバであれば、LTOテープに保存されたデータの検索・閲覧・修正などが簡単にできるため、専用のバックアップソフトが必要ありません。

特徴⑦多くの企業が導入

信頼性のあるLTOテープは、数多くの世界的な企業も導入しています。たとえば、GoogleやMicrosoftなどをはじめ、ICT企業や研究機関、金融機関等などです。顧客の評価も高いため、最近では、一般企業による採用も進んでいます。

LTOテープの今後の活躍と将来性

ディスクやクラウドと比較した場合、大容量のデータ保存が可能であり、コストパフォーマンスにも優れているLTOテープは、今後も活躍の場を広げていくと予想されています。開発が進めば、さらなる容量増加が見込まれており、容量単価やストレージの設置面積を減らせる可能性が高いため、将来性もあるデータ保存技術といえるでしょう。

LTOテープの活用事例

LTOテープの活用事例

信頼性の高いLTOテープは、大容量のデータを保存するため、さまざまな業界や分野で導入されています。ここからは、LTOテープの具体的な活用事例を見ていきましょう。

活用事例①放送局や制作会社

LTOテープを活用している代表的な業界といえば、放送局・制作会社です。デジタル化やファイル化された映像データの保管方法として、LTOテープを採用し、放送資産におけるデータのバックアップやアーカイブ、映像素材の受け渡しなどにも使われています。

活用事例②病院や医療・医薬機関

病院や医療・医薬機関も膨大なデータを管理・保存する手段として、LTOテープを活用しています。電子カルテやレントゲンなどのアーカイブや病院同士のデータ交換、医用・創薬・ゲノム解析など、各種データの長期保管にもLTOテープが最適だからです。

活用事例③政府機関や自治体

政府機関や各自治体が所有する業務データを長期的に管理・保存するため、LTOテープの活用を導入しています。基幹システムのバックアップ、膨大な書類のデータ化、ランサムウェア対策などがおもな目的です。また、大規模自然災害に備え、重要データバックアップしたLTOテープを協力自治体に搬送し、遠隔地管理するといった運用もなされています。

活用事例④自動車業界

適応性のあるLTOテープは、自動車業界でも活用されています。特に、自動運転の開発を進めている近年では、センシングデータや制御データなどの保存・管理のため、利便性や安全性、低コストのLTOテープが選ばれているのです。

活用事例⑤警備会社

企業や個人などの安全を守る警備会社では、監視カメラやモニターなどに録画された膨大な映像データの保存や管理が必要です。また、データを保管するサービスもおこなっている会社もあるため、大容量データの保存に適したLTOテープが活用されています。

活用事例⑥情報・証拠・特許の保全

商品の開発・品質保証や知的財産のデータ、建設・建築データ、点群データ、ログデータなど、ビッグデータになりがちな情報や証拠、特許の保全にもLTOテープが活用されています。

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LTOテープは、大容量・低コストを実現させる理想的なデータ保存磁気テープ技術です。現在、日本の磁気テープの中では、最も普及しているシステムといわれています。各企業や業界・分野において、大容量・長期保存が可能な信頼性の高いLTOテープは、近年のビックデータ化に伴う最適な保存方法といえるでしょう。実用の際は、LTOテープの特徴や仕組み、メリットやデメリットをしっかりと把握・理解し、貴重なデータの管理・保存の実現をぜひ目指してください。