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静電気の対策方法とは?スイッチングハブが効果的?障害の例やおすすめ製品を解説

更新日:2025/09/12
静電気の対策方法とは?スイッチングハブが効果的?障害の例やおすすめ製品を解説
静電気は日常的に発生する現象ですが、工場などの産業現場では重大な障害を引き起こす要因になります。特に、電子機器やネットワーク機器は、静電気の影響を受けやすく、機器の破損やシステムの誤動作を招くケースもあります。本記事では、静電気の基本的な仕組みや静電気によって発生する障害、効果的な静電気対策について解説するとともに、静電気に強いスイッチングハブをご紹介します。静電気によるトラブルを防ぎ、安定した運用環境を構築するため、ぜひ参考にしてください。
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そもそも静電気とはどんな状態か

静電気とは、物体の表面に電気が偏って蓄積された状態のことを言います。通常、電気はプラスとマイナスのバランスが取れていますが、摩擦や接触によって電子が移動してバランスが崩れることで静電気が発生します。静電気は私たちの日常生活でも度々起こりますが、工場などの産業現場で静電気が発生すると、電子機器やネットワーク機器に重大な障害を引き起こす可能性があります。

静電気の性質と帯電体について

静電気の性質を理解するには、電気を帯びる物質「帯電体」の特性を知ることが重要です。こちらでは「導体」「絶縁体」「半導体」の違いについて解説します。

導体

導体とは、電気を良く通す性質を持つ物質のことです。代表的な導体は金属類で、特に銅やアルミニウムは電気抵抗が低く、電線や電子部品に広く使用されています。導体は外部からの静電気を内部に素早く逃がすため、静電気が蓄積しにくい特性があります。

絶縁体(不導体)

絶縁体(不導体)とは、電気をほとんど通さない物質のことです。内部の電子が自由に動けないため、電流が流れにくく、静電気が蓄積しやすい性質があります。代表的な絶縁体としては、プラスチック、ガラス、ゴム、陶器などが挙げられます。

半導体

半導体とは、導体と絶縁体の中間の電気伝導性を持つ物質のことで、外部の温度や電圧、光などの影響で電気を通す性質が変化します。代表的な半導体材料としてはシリコン(ケイ素)やゲルマニウムがあり、トランジスタやダイオードなど、電子機器の基幹部品に広く使用されています。

静電気による障害・被害の例

静電気による障害・被害の例

静電気は、多くの産業分野において重大な障害・被害を引き起こす要因となります。特に問題となるのが「静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)」です。ESDは、異なる電位を持つ物体間で電荷が一気に移動する現象のことで、電子機器の回路の破壊や誤動作の原因となります。こちらでは、産業分野ごとに、静電気が引き起こす障害例をご紹介します。

半導体・液晶業界

製造工程中に発生した静電気がパッケージや内部回路を破壊し、特性の劣化や歩留まりの低下を招きます。また、ガラスパネルや作業者の帯電により、トランジスタが破損したり、製造中のガラスに亀裂が入ったりするトラブルも報告されています。静電気によって装置や梱包材が帯電することで、出荷後の不良品発生にもつながります。

電気・電子分野

絶縁材料や作業者が帯電することによって、電子回路やデバイスの破壊が起こります。これにより、コンピュータや各種制御装置の誤動作や動作停止、産業用ロボットの予期せぬ動作などが生じ、生産ラインに深刻な影響を与えることがあります。

化学業界

繊維やフィルムの帯電により、糸のからみや切断、フィルムへの埃の付着、ローラーへの巻き付きといった問題が発生します。さらに、静電気放電が火災の引火源や感電の原因になるケースもあります。

医療分野

帯電した着衣や器具が酸素タンクや麻酔ガラスに接触することで、着火や爆発など、人命に関わる危険な事故につながる可能性があります。

その他の業界

粉体を扱う現場では、静電気によって粒子が凝集したり飛び散ったりすることで、ふるい分け不良や粉塵爆発を引き起こす可能性があります。印刷現場では、静電気がインクの飛び散りや紙の密着、裏移りなど印刷不良を招く原因になることがあります。

静電気対策・除電の方法

静電気対策・除電の方法

静電気による障害を防ぐためには、静電気の発生を抑える工夫や除電の仕組みが必要になります。こちらでは、代表的な静電気対策について解説します。

アース(接地)を取る

アース(接地)とは、機器などに溜まった静電気を地面へ逃がす仕組みのことで、もっとも基本的かつ効果的な静電気対策です。金属製のアース線を使用して電気をすみやかに放出させることで、帯電による電子機器の破壊や誤動作を防ぐことができます。作業者を守るため、静電気拡散性のあるリストストラップや導電性シューズの使用も推奨されています。

湿度を上げる

湿度を上げることも、効果的な静電気対策の一つです。空気中の水分が増えると、物質表面に帯電しにくくなり、静電気の発生が抑制されます。特に、乾燥する冬場は静電気が発生しやすいため、加湿器の設置や室内の湿度管理を徹底することが重要です。工場やオフィスなどでは、湿度を40~60%に保つことで静電気障害のリスクを大幅に低減することができます。

イオナイザー(除電器)を使う

イオナイザー(除電器)は、空気中にプラスとマイナスのイオンを発生させ、帯電した物体に付着させることで静電気を中和する装置のことです。風でイオンを送り届ける「ファン型」や、広範囲をカバーする「バー型」などがあります。特に、精密機器を扱う現場やクリーンルームなど、高精度な除電が求められる現場では不可欠な装置です。

商品・容器などの導電化

商品・容器などの素材を導電性のあるものに変えることで、静電気の蓄積を防ぐことができます。導電化された素材は電気を逃がす経路を持つため、帯電しにくく、静電気放電のリスクを低減できます。特に、電子部品や化学薬品を扱う現場では、導電性に優れたプラスチック製のコンテナやトレーなどが多く使用されており、安全性向上に寄与しています。

帯電防止剤の塗布

静電気対策としては、帯電防止剤の塗布も効果的です。これは、物体の表面に帯電を防ぐ薄い膜を形成し、静電気の蓄積を抑える方法です。スプレーを噴霧するタイプやコーティング剤を塗布するタイプが一般的で、プラスチック製品や作業台などに使われています。帯電防止剤は比較的低コストで、手軽に取り入れられるのがメリットです。

静電気対策にはスイッチングハブの導入もおすすめ

スイッチングハブが静電気に弱い場合、企業や工場のネットワーク運用に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。静電気放電が内部の電子回路に損傷を与えると、データ通信が断続的に切断されたり、通信速度が著しく低下したりといった通信障害が発生します。こうしたトラブルを防ぐためには、静電気耐性を備えたスイッチングハブを導入することが重要です。

静電気対策のスイッチングハブならパナソニックEWネットワークス

パナソニックEWネットワークスは、高度な静電気対策を施したスイッチングハブを取り揃えています。

ESDシリーズは、全ポートギガビット対応のスイッチングハブで、静電気耐性を強化したモデルです。IEC61000-4-2(※)での最大レベルに対し約2倍の接触放電20kV、気中放電30kVを規定値としており、静電気の起こりやすい場所でも誤作動や通信障害を防ぎます。

※静電気への耐性試験は国際標準規格「IEC61000-4-2」にて規定されています。IEC61000-4-2では耐性を4つのレベルに分け、接触放電8kV、気中放電15kVを最大のレベルとしています。

まとめ

静電気は見えない脅威として、様々な産業現場で機器トラブルや生産性の低下を招く原因となります。そのため、湿度管理やアースの設置、帯電防止剤の使用といった基本的な対策に加え、静電気の影響を受けにくい機器の導入も重要です。特にネットワークの中枢を担うスイッチングハブは、静電気対策が不十分な場合、業務全体に深刻な影響を与える恐れがあります。静電気トラブルに備えた機器選びで、より安心・安全なネットワーク環境を構築しましょう。

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