ヨーロッパ初の硬質磁器製造に成功し、1710年に王室磁器製作所設立を布告したドイツのマイセン。本展はマイセンの動物に着目した構成としました。
展示は4章立てです。第1章は「神話と寓話の中の動物」。古くから西洋美術の世界ではテーマとされてきた神話や寓話をマイセンでも取り入れていますが、そのなかで表現される空想上の動物たちの精巧さに見入る方も多くいらっしゃいました。
第2章は「器に表された動物」です。マイセンの代表的な装飾技法である「スノーボール」の壺やポットなど器の作品をご紹介しました。「スノーボール」には鳥が付き物。多くは可愛らしいカナリアですが、ズグロインコやゴシキヒワなど珍しい鳥たちも作品の豪華さに色を添えていました。
第3章は「アール・ヌーヴォーの動物」です。20世紀初頭のアール・ヌーヴォーの時期に制作された犬や猫、野生動物などの彫像を展示しました。これらの多くにはこの時期特有の「イングレイズ」という技法が用いられ柔らかな動物の毛並みが丁寧に表現されていました。
第4章は「マックス・エッサーの動物」です。1920~1930年代のアール・デコ期にマイセンの成型師を務めていたマックス・エッサーの作品をご紹介しました。エッサーの緻密な作品は見る人の心を捉え、なかでもゲーテの叙事詩を元にした《ライネケのキツネ》は直線を生かした上品な装飾性が幅広い年代層に人気の作品で、撮影のための列ができるほどでした。
また今回展でもパナソニック商材のひとつであるスペースプレーヤーをエントランスで用いることで、鑑賞の一助となる工夫も凝らしました。また一部作品を除き、会場内の撮影を許可したことで、SNSでたいへん盛り上がりました。
高級洋食器のイメージが強いマイセンですが、高い技術に則った彫像類にも見るものがあることをお示しできたものと思います。