遠かったエンドゾーン
日本一にあと一歩届かず。
新年1月3日、東京ドームで行われたパナソニックインパルスと富士通フロンティアーズの日本選手権第77回ライスボウルは10対16でインパルスが惜敗する結果となった。
日本選手権ライスボウルが社会人同士の対戦となって3回目の対決。しかも、過去2大会は惜敗を続けてきた。インパルスにとっては1年間、この舞台で勝利を勝ち取るために努力を積み重ねてきたと言っても過言ではなかった。しかし、またしてもあと一歩が届かなかった。
試合はインパルスの最初の攻撃が3ダウン&アウトになった後、富士通に前進を許して早々に1TDを追う展開になった。しかし、第2QにCB#23 Joshua Coxがインターセプトを決めて自陣45ヤードからの攻撃機会を作ると、RB#42立川玄明のランで敵陣に進行。RB#5ミッチェル・ビクター・ジャモーのロングランで一気に得点圏まで進み、立川のラン4連発で同点につながるTDを挙げた。
守備も粘った。富士通RBトラショーン・ニクソンに対して、DB#40ワイズマン・モーゼス海人、LB#56加藤聖貴、DB#33大串健人、DL#98梶原誠人、DB#28西田健人らが粘り強くタックルを繰り返してロングゲインを許さず。富士通WR/RBサマジ−・グラントに対してもLB#10丸尾玲寿里、LB#1青根奨太が阻止して富士通の47ヤードFGを失敗に追い込んだ。
前半終了残り2分4秒から始まった富士通の攻撃には、パスで前進を許して一時はゴール前11ヤードに迫られたが、DL#92有村雄也のQBサックでTDを阻止。FGを許したものの7対10と射程圏内での折返しに成功した。
そして第3Q、富士通の攻撃を止めて得た自陣20ヤードからの後半最初の攻撃機会には、ミッチェル、立川を主にRB#26藤本拓弥、RB#27岩月要も動員して12プレー連続でランを展開。ゴール前19ヤードまでボールを進めてK#16佐伯眞太郎の36ヤード同点FGにつなげた。
勝負を振り出しに戻したインパルスだったが、第4Q早々に富士通のスペシャルプレーにTDを許し再びリードを奪われてしまう。
インパルスはすぐさま反撃。QB#12荒木優也からTE#80 Dax Raymondへの43ヤードロングパスを足がかりにゴール前7ヤードに進行。第4ダウン5ヤードに追い込まれた状況でタイムアウトをとったインパルスはギャンブルを敢行。しかし、富士通の強烈なプレッシャーを浴びてパスを投げきれずにギャンブルを失敗。LB#4 Jaboree Williams、DB#41前川真司がニクソンのランを阻止して得た残り1分58秒、自陣20ヤードから始まった最後の攻撃機会は、QB#8石内卓也からRaymond、WR#14ブレナン翼へのパスで敵陣37ヤードに進んだ。しかし、再び第4ダウン5ヤードに追い込まれた上、フォルス・スタートの反則で5ヤード罰退を喫し、シリーズ更新を狙ったパスも激しいプレッシャーを浴びて失敗した。
試合後コメント
監督インタビュー
監督 荒木 延祥
耐え難い、本当に悔しい敗戦です。守備は想定通り相手のキープレーを止めてくれましたし、粘り強く戦ってくれました。攻撃はプラン通り進めてきましたが、勝負どころでパスが決まらなかったことなど、少し悔やまれる部分がありました。第4Qに相手にTDをとられた場面は、まだ時間もありましたし、トライのキックをブロックできたので、焦りはありませんでした。その後、ゴール前7ヤードに迫った場面は、FGを蹴るかギャンブルをするか難しい判断ではありましたが、こういうシチュエーションのために準備してきたプレーもあったので、ここはチャレンジしようと決断しました。富士通さんは選手層も分厚く、スタッフも含めて隙がない盤石な組織。非常に高い壁と感じていますが、我々は一部のプロ選手を除いて完璧に仕事と両立をした上で日本一を目指すことを大事にしているので、その理念を貫いた上でこの壁を超える為に何に取り組むのかをしっかりと考えたいと思います。
選手インタビュー
LB#1 青根 奨太
昨年も僅差で負けてしまったので、今年はしっかりやり返そうと本当に全員が打ち込んでやってくれたシーズンでした。その上で今回も1TD差と似たような形で負けたというのは本当に「悔しい」の一言に尽きます。しかし、これで終わるインパルスではありません。主将として至らないところもたくさんありましたが、チームとしては全員、去年を越える成長をしてくれました。ただ、富士通さんがそれを越える成長をされていたのだと思いますし、そこが自分たちの足りないところだったと思います。2024年は2023年シーズンを超える取り組みでさらに進化したインパルスでこの舞台に戻って来よう、と皆に話しました。
選手インタビュー
QB#12 荒木 優也
本当に悔しい気持ちで一杯です。最後にTDを取り切れなかったのはQBの責任だと思っています。ゴール前まで進んで(TDを)取れないというところが、富士通さんとの差だと思います。ファンブルをした第1Qのゴール前でのスクランブルと第4Qの第4ダウンギャンブルはプレッシャーを浴びて投げきれませんでした。第4ダウンギャンブルのプレーはしっかり練習をしてきたものだったので、プレーコールが入ってきた時には「よっしゃ来た」と思ったのですが、決めきることができませんでした。練習で想定したことは出せたとは思うのですが、想定を上回るハードなケースへの柔軟な対応が今の自分にまだ足りていないところだと思います。
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