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本年度のインパルスの取り組みについて、デジタル雑誌「月刊HUDDLE MAGAZINE」
で記事を連載いただきました。
第1回目連載記事をご紹介いたします。
本記事は「月刊HUDDLE MAGAZINE 7月号」に掲載いただいております。
「HUDDLE MAGAZINE(ハドルマガジン) 」
購読サイト:https://www.fujisan.co.jp/product/1281696257/
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「新時代のインパルス〜社会人チームの理想を目指して」
6月17日、パナソニックインパルスは8月24日に開幕する秋季リーグ戦に『X1 SUPER』の一員として参加することを公式ウェブサイト上で発表した。
インパルスはライスボウル優勝4回、社会人選手権優勝7回を誇る名門実業団チームだ。1974年の創部以来『仕事とフットボールの両立』と、『日本一奪取』という理念の実現を目指し、社会人フットボールチームの理想の姿を追求してきた。
昨年11月26日、所属外国人選手(※)2名が大麻取締法違反容疑で逮捕されたことにより、活動を休止してから約7ヶ月。
インパルスは自らの責任と真っ向から向き合い続けてきた。
(※)2018年12月4日に契約解除
会社と共に取り組んだ原因究明と改善策構築
インパルスに所属していた外国籍選手2名が大麻取締法違反容疑で逮捕されたのは、昨秋のJXBトーナメント準決勝敗戦の翌日のことだった。 インパルスは当日夕方、公式ウェブサイト上で事実の公表とお詫び、捜査機関への全面的協力、事実関係を確認した上で、厳正な処分をすることを表明した。
12月4日にはチームとしての活動を当面の間見合わせ、監督、部長を6ヶ月間のチーム活動参加停止とする処分を発表。
同時に、インパルスの運営母体であるパナソニック株式会社エコソリューションズ社(現・エレクトリックワークス社)では、法務担当役員(当時)をトップとする、人事、法務、宣伝広報部門の責任者による『インパルス・コンプライアンス委員会』(以下コンプライアンス委員会)を発足した。
12月26日にXリーグが当該選手の無期限選手登録抹消と、チーム責任者の公式戦参加資格6ヶ月間停止処分を発表。
所属リーグが下す処分が決定したことで、対外的には一応の決着がついたが、インパルスとコンプライアンス委員会はチームを健全に再生するために、問題が発生した原因の究明と、抜本的な対策を検討し続けた。
その結果、『風土改善』、『知見を深める取り組み』、『継続した管理体制の構築』という、再生に向けた3つの柱が導き出された。 原因究明を図る中で、コンプライアンスに対する知見不足が大きな要因の一つになっているという結論に達した。
法令を遵守しなければならないことは誰もが知っている。しかし、環境や心情的な要因が加わることで、当たり前のことを当たり前に行い続けることが難しい状況に追い込まれることがある。
本人が自覚していなくても、法律に照らし合わせれば違反しているケースもある。実際、気が置けない仲間同士の何気ないコミュニケーションの中にも、厳密にはコンプライアンスに抵触しかねない言葉や態度が含まれていることは、往々にしてある。
現代社会では、それが大きな問題に発展する可能性がある。
一般社会がスポーツ選手に求めているのは法令遵守以上の、誠実さや真摯さ、高潔さ(インテグリティ)である。
周囲が自分たちに何を期待し、何を求めているのか。
その期待を裏切る行動をしてしまうと、どんな社会的制裁が自分たちやチームに下されるのか。
想像力の欠如も、無知、無関心が引き金になっていると言えるだろう。
インパルスでは選手のコンプライアンスに対する知見を深めるため、一般社団法人スポーツ・コンプライアンス教育振興機構の有識者と、スポーツに関する法律的事案を多数扱っている虎ノ門共同法律事務所の弁護士を招いて、『スポーツ・コンプライアンス講習会』を1月下旬から2月にかけて計3回実施した。
また、講習で学んだ知識を基に、選手、コーチがディスカッションを重ね、チームの倫理的なルールを再構築した。
そして、普段のチームでの会話や行動の中で、些細なことでもお互いに問題となる可能性がある言動や行動があった場合には指摘し合う取り組みを続けている。
管理体制も見直された。違法薬物の使用を防ぐため、抜き打ちのドラッグテストを実施することを決めた。
日本の文化に慣れていない新加入の米国の大学出身者に対しては、チームの規約遵守を細部にわたるまで文書化して誓約させることにした。 また、この取組を一過性のものにしないために、コンプライアンス講習や、選手間のディスカッションを年間計画の中に盛り込んだ。
これらの改善策を固め、コンプライアンス委員会の承認を得て、インパルスは3月1日に活動を再開した。
理念の追求こそがインパルスの使命
6月15日にはフィジカルテストを行った後、4回目のコンプライアンス講習会を実施。7月はチームの理念についてのディスカッション、8月と11月にはアンチドーピング講習、9月にはコンプライアンスに関する取り組みが計画されている。
「たしかに我々はチームが掲げる理念にこだわって活動してきました。
しかし、今回、あらためて振り返ってみると、勝つためにチームを進化させてきましたが、
勝つこと以上に大切な部分の強化が追いついていなかったと思います」
6ヶ月のチーム活動参加停止処分が解け、チームに復帰した荒木延祥監督は、問題が起こる直前のチームの状況をそう振り返った。
この10年、Xリーグは米国の有力カレッジ出身選手たちが多数参加するようになり、競技レベルが飛躍的に向上した。
インパルスは、日本一になるために、時代に則したチームの形を模索し、対応し続けてきた。米国人選手の採用もその一つだった。
一方で、チームを構成する選手のバックボーンが大きく変化したにも関わらず、土台となる理念を浸透させる取り組みが追いついていなかった。「インパルスに求められるコンプライアンスやインテグリティは、我々が掲げている理念に包括されていると、改めて気づきました」と、荒木監督は言う。
インパルスの掲げる理念とは、
『アメリカンフットボールを通じて人びとに感動や活力を提供すると共に、本活動を通じて一流の社会人を育成、輩出し、社会の発展に貢献する』
と、いうものだ。理念の実現のために掲げた方針は3つ。
・日本一達成にむけ、決めたことは執念をもってやりきる。
・セルフコントロールを徹底し、仕事とフットボールを両立する。
・選手が主体的に考動し、チームを運営する。
インパルスは創部以来、この理念と方針を実現するために勝利を目指してきた。
言い換えれば、ただ勝利を目指すのではなく、勝ち方にこだわってきたチームだ。
時代や取り囲む環境が変わろうとも、チームの哲学は不変である。
新時代のインパルスは、原点回帰からスタートした。
6月15日の練習では体力測定が行われた。チーム活動に復帰した荒木延祥監督(写真中央)
6月15日、体力測定後のミーティングでは、企業スポーツの目的と、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献、スポーツにおけるコンプライアンス遵守の意味についての講義を受けた。選手たちは40分間の講義に真剣な表情で耳を傾けていた。
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多くの方々の応援やご支援に感謝し、今後もインパルスは活動を続けてまいります。
皆様の引き続きの応援を、どうぞよろしくお願いいたします。
第2回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2019/18/
第3回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2019/19/
第4回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2019/20/
第5回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2019/28/
第6回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2019/29/
第7回掲載記事はこちら:https://panasonic.co/news/ulse/news/2020/02/