OUR PRODUCTS
みんなで作り上げる多様なモノづくり
技術の進化はアイデアや知識の共有をよりスムーズにし、協力者を見つけたり新しいつながりを築くことを容易にしています。こうした状況の中で、誰もが創造の一翼を担える時代になりつつあります。異なる分野から多様な視点や才能が集まることで、モノづくりの未来はより魅力的になっていくでしょう。
同時に、私たちのくらしの課題やニーズも多様化しています。従来の「メーカーはモノを考え、作り、売る。ユーザーはそれを選び、買い、使う」という明確な役割分担は、大量生産や流通の面では合理的でしたが、多様なニーズに応えるためには新たなアプローチが必要です。
OUR PRODUCTSは、このような背景の中、「作り手」や「使い手」との共創活動を通じて、新しいモノづくりの可能性を探求するプロジェクトです。
1. 作り手との共創
異分野との融合で生まれる新たな価値
メーカーが提供する家電に対して、異分野の作り手が外装やパーツをカスタマイズできる仕組みが整えば、もっと多様な製品が生まれることでしょう。
FUTURE LIFE FACTORYでは岡山県西粟倉村の木工職人や林業の方々と連携し、木材を使った家電のカスタマイズにトライしました。またこれらの試作品を地元の関係者にご覧いただき、その潜在的な可能性や実現に向けた課題について意見を交わしました。
この取り組みを通じて、外装デザインのカスタマイズだけでなく、家電と家具が融合した新たな表現や、素材変更による新たな機能性など、異分野の知恵や技術と交わることで生まれる新たな価値を具体的に示すことができました。
作り手の拠点
西粟倉村
岡山県の北東部に位置し、兵庫県と鳥取県との県境に接する地域です。英田郡に属し、中国山地の南側に広がっています。この村の面積の約93%は森林であり、その大部分は杉や檜などの人工林ですが、貴重な自然が残る若杉天然林(若林原生林)も存在します。また、豪雪地帯としても知られています。
村では「百年の森林」事業を通じて私有林を一括管理・活用しており、さらに森林資源を利用した家具の製作や移住者の誘致を通じた地域振興にも取り組んでいます。これらの活動により、地域の活性化が図られています。
モノづくりの未来を共創する
デザイン、生産方法、アイデア、さらにもっと
世の中には多くの作り手がいます。
例えば、伝統工芸の繊細なデザインや素材の知識が、家電のデザインに新しい息吹を吹き込むかもしれません。漆塗りの深みのある質感や金細工の優雅な装飾は、家電を芸術品のような存在へと昇華することでしょう。
町工場の熟練した職人技を活かせば、一人ひとりの要望に合わせて部品の素材や色、質感、形状を選べるような、少量多品種生産の仕組みができるかもしれません。
さらに、クリエイターの自由な発想は、家電の概念そのものを覆すような可能性を秘めています。
これらの多様な作り手とのコラボレーションは、美しい家電や高性能な製品だけでなく、モノづくりの精神を次世代へとつなぐ架け橋にもなるでしょう。そのような未来に、私たちは大きな期待を寄せています。
プロジェクト協力
2. 使い手との共創
潜在的な課題を解決するアタッチメントと、3Dプリント、そしてコミュニティ
メーカー、ユーザー、そして協力者が連携し、アタッチメントパーツによる家電カスタマイズの仕組みが整えば、これまで見過ごされてきた潜在的な困りごとに対しても、よりきめ細やかなソリューションを提供できるようになります。
その最初の取り組みとして、3Dプリンターを活用し、家電製品に装着できるアタッチメントチップを開発しました。このチップは表面に凹凸があるため、よく使うボタンの位置を視覚に頼らずに識別する手がかりになります。この開発においてはパナソニック株式会社デザイン本部でインクルーシブデザインに取り組むDEIデザイン課と連携し、視覚に障がいをお持ちの方々の声を聞きながら、実用性と操作性を追求して改良を重ねてきました。
さらに、チップの3Dデータは自助具共有プラットフォームCOCRE HUB(コクリハブ)を通じて一般に公開。サポートが必要な方々が協力者とつながり、相互に支え合える未来を目指しています。
アタッチメントチップ
アタッチメントチップの開発プロセス
アタッチメントチップのアイデアの起点は、家電のボタンに記載のピクトグラムを立体化して手触りを付与すること。
そこからユーザビリティや安全性、届け方などの観点に基づき、上記のインクルーシブデザインプロセスを経て繰り返し改良してきました。
使い手たちとの共創で、より多様な声に応えられる未来へ
共に課題を見つけ、解決方法を考える
FUTURE LIFE FACTORYではDEIデザイン課と連携し、インクルーシブデザインの手法を用いてこれまで見落とされていた生活者の声を拾い上げ、解決策を考えると同時に、それを必要とする人に届けるための方法を模索してきました。
検討を進める中で、デジタルファブリケーションとコミュニティの力によって、家電は従来の大量生産の制約を超え、潜在的なくらしの課題に一対一で寄り添えるとの確信を深めました。
今回のアタッチメント開発とコミュニティ連携の取り組みは重要な第一歩です。これまで十分に掬い上げることのできなかった潜在的な課題やニーズに向き合い、多様な人々が共に解決していく未来を一緒に実現していきましょう。
プロジェクト協力