パナソニックの社史 |
ここから本文です。 開封の仕方発掘にあたって、まず、モニュメントのすぐ下、埋設溝(こう)上部に埋まっているステンレス製円筒形の開封解説書保存容器を取り出してほしい。 その中に、以下の文と同様な開封解説が記されている。 タイム、カプセルEXPO'70は、まったく同一の品物を収納したもの2個からなっており、同じ地点に上下2段に埋設されている。 いずれも、最終開封は、1970年より数えて5,000年の後、すなわち西暦紀元6970年とする。ただし、2個のうち下部に埋設した第1号機は5,000年間まったく手を付けずに静置し、上部に埋設した第2号機は、まず西暦2000年に第1回目の開封を行い、点検後再び埋設し、以後100年ごとに開封・再埋設を繰り返して、その時々の変化の状況を検討するのに役立てていただきたいと望んでいる。 以下、開封にあたっての注意を述べる。 発掘の方法1)地中温度の読み取り埋設されたタイム・カプセルEXPO'70の温度経歴を知るために、上・下コンクリート保護体の直上に、それぞれ1個のステンレス製円筒形容器に納められた最高最低温度計が設置してある。
2)第2号機の取り出し
3)第1号機の取り出し
埋設管の開封と本体の取り出し
本体の開封方法タイム・カプセル本体は、2重のふたで密閉されており、外ぶたと内ぶたの間は空気が入っているが、内ぶたより内部は、乾燥アルゴンで充填(じゅうてん)されている(30°Cで約1.15気圧を封入)。収納品には熱に弱いものが多く含まれているから、開封にあたっては、無用の熱の伝達や加工ひずみの発生をできるだけ避けながら徐々に開封していく。 収納品はすべて殺菌のうえ、長年月の間、一定のふんい気、一定の温度(17°C前後)に静置されている。したがって、開封に際しては、急激な温度やふんい気の変化、急激な光の導入などを極力避けねばならない。 外ぶた、内ぶたの開封およびそれに続く収納品の取り出しにあたっては、いったん17°C(発掘後の温度を考慮すること)の冷暗所に置き、徐々に室温に慣らし、光や空気をゆっくり導入していくよう注意しなけれはならない。 1)外ぶたの開封フランジ構造となっており、そこに設けた開先部分を溶接してある。この部分を深さ20〜30mmのフランジに平行に切削して切り離し、外ぶたを取りはずす。 2)内ぶたの開封
収納品の取り出し方収納品は、29個の収納用内箱(番号付き)に分けて収納されている。そのうち3個は、溶接密閉型となっている。
収納品の取り扱い方そのほか、下記の点に十分注意を払っていただきたい。
記録類の再生についてできるかぎり現物を収納することに努めたが、なかには、マイクロフィルムなどによって縮小して収納したものがあり、映画フィルム、磁気テープ、音盤などのように、その現物から画や音を再生して初めて意味のあるものが、いくつか含まれている。 これらについては、それらの再生機の原理図および解説を入れておいた。われわれが現時点で考えた再生機も、後世にはもっと簡単で、もっと便利なものができているかもしれない。その場合は、より後の世の人びとのために、こういった点の注記も必要ではあるまいか。 ここに、われわれが使っている再生機器を各記録類と対照して挙げておこう。
なお、録音テープはステレオ録音であって、1本に往復約2時間分が録音されている。 再埋設に際しての注意上部に埋設した第1号機は、100年ごとに開封・再埋設が繰り返されながら、5,000年間保存されることをわれわれは希望している。したがって、われわれが1970年現在の時点において試みたと同等、または、それ以上の技術が、再埋設のたびに導入されることが望ましい。しかし、われわれはできるだけタイム・カプセル本体の姿を改変することなく、これを後世に伝えていただきたいと願っている。すなわち、あくまでも、このカプセル本体を用い、収納品は殺菌を施し、溶接して密封し、乾燥アルゴンガスを充填(じゅうてん)するという基本線は崩さずに、操作していただきたい。そして、検査緒果、処理条件の変更などについての簡潔な記録は、タイム・カプセル本体内にも収納されることが望ましい。 最高最低温度計については、もしある時点でこれ以上の長年月にわたって正確に動作する、すぐれた記録温度計が開発されれば、それに置き換えていただくことは差し支えない。どのような方法にせよ、温度の記録はぜひとっておいていただきたい。 最後に、ここに記した文章は、長い年月の間には、あるいは古語に類することばとなっているかもしれない。 われわれはこの文章が後世の人びとのために、その時々のことばに訳されて、その趣旨が十分に伝えられていくことを希望する。 タイム・カプセルEXPO'70が正しく開かれ、正しく埋設されて、永く後世の人びとへのこよなき贈り物となることを念じてやまない。 |
※本ページの内容は、タイム・カプセルEXPO'70記録書(1975年3月発行)を引用して掲載しています。社名や組織名など現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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