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タイム・カプセルEXPO'70記録書 概要 収納品リスト サイトマップ パナソニックの社史

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開封の仕方

発掘にあたって、まず、モニュメントのすぐ下、埋設溝(こう)上部に埋まっているステンレス製円筒形の開封解説書保存容器を取り出してほしい。

その中に、以下の文と同様な開封解説が記されている。

タイム、カプセルEXPO'70は、まったく同一の品物を収納したもの2個からなっており、同じ地点に上下2段に埋設されている。

いずれも、最終開封は、1970年より数えて5,000年の後、すなわち西暦紀元6970年とする。ただし、2個のうち下部に埋設した第1号機は5,000年間まったく手を付けずに静置し、上部に埋設した第2号機は、まず西暦2000年に第1回目の開封を行い、点検後再び埋設し、以後100年ごとに開封・再埋設を繰り返して、その時々の変化の状況を検討するのに役立てていただきたいと望んでいる。

以下、開封にあたっての注意を述べる。

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発掘の方法

1)地中温度の読み取り

埋設されたタイム・カプセルEXPO'70の温度経歴を知るために、上・下コンクリート保護体の直上に、それぞれ1個のステンレス製円筒形容器に納められた最高最低温度計が設置してある。

  1. 発掘にあたっては、温度計に無用の振動、衝撃が加わらないよう埋め戻し砂をていねいに除去すること。
  2. 円筒形容器は、地上に取り出すことなく、その場においてすぐ8本の締め付けボルトをはずし、前面板に取り付けられている温度計を引き出し、外界からの温度の影響を、避けながら速やかに最高最低温度の指示を読み取る。
付記
モニュメントを取り除いた時、見いだされる4本のコンジット管入りの電線は、埋設時、地中温度の安定後、最高最低の指標を地上より遠隔操作して設定するのに使用したものである。

2)第2号機の取り出し

  1. 埋設管を覆っているコンクリート保護体とベントナイトを除去する。
  2. タイム・カプセル本体を収納したまま埋設管をつり上げる(重量約7.3t)。
    この時、埋設管のつり手金具には、横荷重がかからないように注意する。

3)第1号機の取り出し

  1. 上部に埋設した第2号機を取り出した後、上下を分けているコンクリート隔壁および埋め戻し砂を除去する。
  2. コンクリート保護体を除去し、上記要領に準じて埋設管を取り出す。

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埋設管の開封と本体の取り出し

  1. つり手金具4個をその溶接部分から切り離す。溶接深さは、約10mm(上部は15mm)である。溶接部分の硬度はビッカース硬度で200〜250である。
    (以下同じ)
  2. 次に、埋設管とふたをその溶接部分で切り離す。厚さは40mmある。
  3. タイム・カプセル本体と埋設管の間に充填(じゅうてん)されているけい砂を除去する。
  4. タイム・カプセル本体と埋設管の間にはめ込まれている電鋳アルミニウム磁器の支持体を取り出す。
  5. タイム・カプセル本体の3個のつり手を利用して、静かにタイム・カプセル本体を取り出す。
    (タイム・カプセル本体の総董量は約2.12t)

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本体の開封方法

タイム・カプセル本体は、2重のふたで密閉されており、外ぶたと内ぶたの間は空気が入っているが、内ぶたより内部は、乾燥アルゴンで充填(じゅうてん)されている(30°Cで約1.15気圧を封入)。収納品には熱に弱いものが多く含まれているから、開封にあたっては、無用の熱の伝達や加工ひずみの発生をできるだけ避けながら徐々に開封していく。

収納品はすべて殺菌のうえ、長年月の間、一定のふんい気、一定の温度(17°C前後)に静置されている。したがって、開封に際しては、急激な温度やふんい気の変化、急激な光の導入などを極力避けねばならない。

外ぶた、内ぶたの開封およびそれに続く収納品の取り出しにあたっては、いったん17°C(発掘後の温度を考慮すること)の冷暗所に置き、徐々に室温に慣らし、光や空気をゆっくり導入していくよう注意しなけれはならない。

1)外ぶたの開封

フランジ構造となっており、そこに設けた開先部分を溶接してある。この部分を深さ20〜30mmのフランジに平行に切削して切り離し、外ぶたを取りはずす。

2)内ぶたの開封

  1. まず上部ノズル(収納時に内部の排気およびアルゴン置換に使用した後、上部を密封)の一つを上部より25〜30mmの位置でゆっくりと切断する(前に述べたように内圧は1気圧よりやや高めである)。この時、内部のアルゴンガスの検査用試料を採取して、有害な気体や細菌などの有無を確認してから、内ぶたの開封作業に取りかかる。
  2. ノズルからアルゴンガスを導入しながら内ぶたの開封を始める。
  3. 内ぶたは本体と垂直面において接した部分に関先が設けられ、溶接されている。したがって、垂直方向に円周に沿いながら深さ10〜15mm切削して切り離し、内ぶたを取りはずす。

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収納品の取り出し方

収納品は、29個の収納用内箱(番号付き)に分けて収納されている。そのうち3個は、溶接密閉型となっている。

  1. まず最上部に入れられているNo.29の内箱を開封する。この内箱は、ふたを締め付けているビスを取りはずすことによって開けられる。
  2. No.29の内箱より「タイム・カプセルEXPO'70」と題した小冊子を取り出す。
    この小冊子には、タイム・カプセルの取り扱い方、収納品総目録などを記載してある。
  3. 上記の小冊子を参照しなから次々に内箱を開封する。
  4. 収納品の検討にあたっては、上記の小冊子および収納した参考資料を十分に活用する。

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収納品の取り扱い方

そのほか、下記の点に十分注意を払っていただきたい。

  1. 収納品にはすべて番号が付けられている。この番号と収納箱の番号は、ともに「収納品総目録」に品名とともに記されている。
    これをよく参照して閉封、検査を行っていただきたい。
  2. 書物、記録の類は、できるだけ保存に注意を払ったつもりであるが、紙、その他の材料の機械的性質は、劣化していることが考えられる。したがって、これらについては開封時に必ず複写しておくことをお勧めする。
  3. 特殊な物品として、放射性元素Pu239を含む物品が2種類収納されている。すなわち特殊な小容器内に納められたPu2O5(酸化プルトニウム)単体とプルトニウム原子時計(TIME KEEPER)である。内部には放射性物質Pu239が、いずれも、約1g入っている。十分に注意して取り扱っていただきたい。なお、プルトニウム原子時計は27°C1気圧のもとで目盛りが経過年数を表すことになっている。精密な検査は27°Cで行う必要があるし、べローズを破壊しないよう注意が肝要である。
  4. テトロドトキシンのような毒物および麻薬や農薬も若干収納されている。いずれもガラスアンプルを石英管で2重に封じているが、特に、取り扱いには十分な注意が必要である。
  5. 植物の種子若干のほか、微生物類として有用菌類が少しと、ファージ類の一部が収納されている。いずれも、純粋培養の後、凍結乾燥し、石英管または硬質ガラス管中に別々に密封されている。検査にあたっては、収納品(物品と記録)に付けられている。
    インフォメーションを参考にして取り扱い、外気による汚染をさけるよう、細心の注意が必要である。
  6. 物品の中で、塩化ビニル、ゴムなどを使用した複合物品の場合には、その機能をそこなわないかぎりは、他の材料で置き換えたものがあって、総目録に注記されている。考察にあたって、この点を誤解しないようにしていただきたい。

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記録類の再生について

できるかぎり現物を収納することに努めたが、なかには、マイクロフィルムなどによって縮小して収納したものがあり、映画フィルム、磁気テープ、音盤などのように、その現物から画や音を再生して初めて意味のあるものが、いくつか含まれている。

これらについては、それらの再生機の原理図および解説を入れておいた。われわれが現時点で考えた再生機も、後世にはもっと簡単で、もっと便利なものができているかもしれない。その場合は、より後の世の人びとのために、こういった点の注記も必要ではあるまいか。

ここに、われわれが使っている再生機器を各記録類と対照して挙げておこう。

マイクロフィルム マイクロフィルムリーダー
映画 トーキー付き映写機
磁気録音テープ ステレオテープレコーダー
音盤 ステレオ再生装置

なお、録音テープはステレオ録音であって、1本に往復約2時間分が録音されている。

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再埋設に際しての注意

上部に埋設した第1号機は、100年ごとに開封・再埋設が繰り返されながら、5,000年間保存されることをわれわれは希望している。したがって、われわれが1970年現在の時点において試みたと同等、または、それ以上の技術が、再埋設のたびに導入されることが望ましい。しかし、われわれはできるだけタイム・カプセル本体の姿を改変することなく、これを後世に伝えていただきたいと願っている。すなわち、あくまでも、このカプセル本体を用い、収納品は殺菌を施し、溶接して密封し、乾燥アルゴンガスを充填(じゅうてん)するという基本線は崩さずに、操作していただきたい。そして、検査緒果、処理条件の変更などについての簡潔な記録は、タイム・カプセル本体内にも収納されることが望ましい。

最高最低温度計については、もしある時点でこれ以上の長年月にわたって正確に動作する、すぐれた記録温度計が開発されれば、それに置き換えていただくことは差し支えない。どのような方法にせよ、温度の記録はぜひとっておいていただきたい。

最後に、ここに記した文章は、長い年月の間には、あるいは古語に類することばとなっているかもしれない。

われわれはこの文章が後世の人びとのために、その時々のことばに訳されて、その趣旨が十分に伝えられていくことを希望する。

タイム・カプセルEXPO'70が正しく開かれ、正しく埋設されて、永く後世の人びとへのこよなき贈り物となることを念じてやまない。

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※本ページの内容は、タイム・カプセルEXPO'70記録書(1975年3月発行)を引用して掲載しています。社名や組織名など現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。


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