Panasonic Sports

ピックアップフェイス

谷村孝

昨シーズンは守備力を買われ、リベロとして出場することも多かった谷村孝選手。
今シーズンは、スパイク力をいかしたエース(レフト)での起用が多い。
「2007/08 V・プレミアムリーグ」では、105得点(08年2月17日現在)と
昨シーズンの26倍の点数をあげている。

高校の後輩の入部でポジションを変更する

レフト、センター、レフト、谷村は学生時代もたびたびポジションを変わっている。サーブレシーブやブロックには定評があるだけに、サイドアタッカーが適任とは誰もが認めるところだ。

「実情を言えば、センターに白澤が入ってきたのでレフトに回ったのです。昨シーズンより得点をあげているのは事実ですが、チームからはバシバシスパイクを決めるのではなくて、走り回ってボールを拾いに行ったり、サーブをカットしたりする、守備的な役割が求められています」

ちなみに、白澤とは白澤健児選手のことで、谷村と同じ福岡大学付属大濠高校バレー部の出身。今でこそバレーの強豪校となった同校だが、谷村が在学中には一度も全国大会に出場することはなかった。

「高校には、バレーボールで誘われたのですが、進学校で練習時間は2時間ほど。中身で勝負のクラブだったですね。僕らのころは九州産高(九州産業大学付属九州産業高等学校)の壁が厚くて、いつも決勝戦で負けていました」

中学2年生まで、谷村はクラブと勉強に精を出す普通の生徒だった。ところが中3で身長が190cm近くになり、チームも県大会で3位になると、否が応でも注目を浴びるようになった。

「福岡選抜の一員に選ばれたのです。もう、当時通っていた塾も辞めて参加しましたよ。この時、初めて『これで俺はバレーボールで生きて行くしかない』と腹をくくりました(笑)」

大学時代は授業が息抜きだった

大学は東京の中央大学を選んだ。

「東京なら、いい選手が日本中から集まってくるし、自分の技術も伸びるだろうと思いました。あと体育系の大学は、何かと強制されることが多いような気がして、志望校から外していたんです。そこで、いろいろ検討した結果、中央大学に落ち着きました」

大学時代は練習の厳しさより、クラブ内での上下関係や決まりごとの多さに閉口したという。

「大学も勉学優先で、授業に出ないと叱られました。授業は出ていただけですが、1、2回生のころは、練習の合間のいい息抜きになっていましたね。もちろん合コンもしました(笑)」

バレーでは、1回生の後半にレギュラーを獲得。2002年には19歳の若さで全日本入り。2003年にはトルコで開催された「ユニバーシアード競技大会」に出場し、銀メダルの原動力となる。2004年には「ワールドリーグ2004」に、現チームメートの枩田(当時東海大)と出場。このチームには、山本、今井、宇佐美(当時NEC)も選出されていた。

「大学時代で印象に残っているのは、全カレ(全日本バレーボール大学選手権)で、ブロック賞を取ったことですね。それまで賞には縁がなかったもので素直に嬉しかったです」

目指すは優勝! そのためにガムシャラにプレーする

松下電器に入社して今年で4年目になる。谷村は、パンサーズの魅力を次のように語る。

「とにかく、雰囲気がいいんです。先輩後輩に関係なく冗談が言いあえる。ぼくたち年齢が下の者からすれば、とてもプレーしやすい環境です。お世辞でもなんでもなく、松下電器に入社できたことが、バレーボールを続けてきて一番嬉しかったことです。会社としても信頼できますし、山本さんや今井さん、宇佐美さん、枩田さんなど、学生時代から親しみのあった皆さんと、またこうしてプレーできるんですから」

では、現在の課題は何なのだろう。

「具体的には、サーブレシーブの精度を上げることです。でも僕的には、ポイントさえ許さなければいいと思っています。つまり、セッターに必ず返すこと!」

「チームの目標は、V・プレミアムリーグの優勝と、5月の黒鷲旗の優勝です。そのためには『初心忘るべからず』で、ガムシャラにひたむきにプレーすることだと思います」

最後に、「Panasonic Sports」のファンにメッセージをもらった。

「テレビで観戦するのと、会場で観戦するのとでは、臨場感がまったく違います。さらに、スタンド席とアリーナ席とでは迫力が全然違います。また、ベンチに近い席だと選手同士の会話がよく聞こえて、一体感をもって応援していただけると思います。皆さんの応援が、僕たちの元気と力の源ですので、ぜひとも、会場での応援をお願いします」

10代で全日本に選ばれるなど将来を嘱望された男が、初心に戻り、
ガムシャラにプレーしようとしている。彼がチームを牽引し、優勝
できたとき、自ずと日本代表復帰への道も開かれるだろう。
“静かなる闘志の男”、谷村が本気モードに突入した。

ページの先頭へ