12月25日(土)に熊谷ラグビー場で行われた、東芝ブレイブルーパス東京戦。
この試合は埼玉ワイルドナイツのファンクラブ会員様と後援会会員様限定のスペシャルマッチとして行われ、熊谷ラグビー場メインスタンドにはおよそ1,800名のファンの方々に足を運んで頂きました。
この日選手たちが着用したジャージは、来月に控えるリーグワン開幕に向け一新されたファーストジャージ。
場内の大型ビジョンにも、これまた新しく制作されたチーム紹介VTRやメンバー紹介VTRが流れ、試合前からボルテージがあがります。
試合のテーマは「相手のやりたいことをやらせない:Make Them Uncomfortable」 。
どこまでワイルドナイツのラグビーが全うできるか、注目です。
試合内容
■前半
SO山沢拓也選手のキックで試合がスタートすると早速、インゴールまで10m付近でのマイボールラインアウトを獲得。
モールを組み先制トライを狙うが、オブストラクションの反則を取られてしまう。
スコアボードが動いたのは、前半5分。
自陣22m付近にハイボールを蹴り込まれると、BL東京の強いプレッシャーを受けターンオーバーを許す。アドバンテージを与えながらアタックを継続されると、外側の人数を余らせたBL東京にトライを許す。
0-5、BL東京が先制する。
この試合がワイルドナイツでの3試合目となったCTBヴィンス アソ選手は、早くもチームにフィットしている姿を見せる。
アソ選手が内に返したボールに反応し、鋭く切り込んだのは同じく今季新加入でチーム初戦となったWTBマリカ コロインベテ選手。残念ながらその後の攻撃は繋がらなかったものの、直後にコロインベテ選手の強いボールキャリーが起点となった攻撃でペナルティを得れば、敵陣5mでラインアウト。モールを組みインゴールまで迫ると、SH内田啓介選手が飛び出しトライ。SO山沢選手のコンバージョンゴールも成功し、前半14分、7-5とリードを奪う。
前半20分過ぎからは、フォワードの時間が続く。
敵陣5mでスクラムを組むと、2度のペナルティを獲得。その度にスクラムを選択すれば、組み直しを含め計5度以上、スクラムを組み合った。
ようやくボールが展開されると、オープンサイドに攻撃を続けたが、ゴール目前でノックオン。トライが遠い。
前半アディッショナルタイムには、ペナルティの繰り返しによるイエローカードがBL東京の2選手に提示され、15人対13人の構図に。5mの位置でスクラムを選択すれば、スクラムトライを奪った。
組み直しを含め、前半だけで2桁のスクラムを組んだフォワードを讃えるようなトライに、SO山沢選手が相手の猛チャージにも怯まずしっかりとコンバージョンゴールを沈めれば、14-5で前半を終える。
前半、風下だったにも関わらず大半の時間を敵陣22m内で過ごしたワイルドナイツ。
奪った得点こそ14点だったが、コロインベテ選手のボールキャリーにアソ選手のスキルフルなノールックパスと、多彩な攻撃の引き出しを見せた。
■後半
風上に立った後半は、ファーストアタックから一気に敵陣に攻め込んだワイルドナイツ。
十八番である、ディフェンスをしながら陣地を進めるプレーで流れを掴みながら、一瞬の隙をも逃さない。
相手のパスが乱れたところCTBハドレー パークス選手が拾い上げ、一気に敵陣5mへ攻め入る。
しかし、後半もなかなかトライを取り切る所までボールを継続しきれない。
前半同様に敵陣で攻撃を続ける中、ようやく生まれたトライは後半21分。
マイボールラインアウトがこぼれた所、走り込みグラウンディングしたのはFLベン ガンター選手。敵陣深くでプレーしていたからこそ生まれたトライに、SO松田力也選手のゴールも成功。21-5とリードを広げる。
しかし後半26分、自らのペナルティから自陣5mでのラインアウトを許すと、セットプレーから失点。
だが、そこで崩れないのが今年のワイルドナイツの強さ。直後の30分、モールからFL布巻峻介選手が抜け、体を回転させながらスキルフルなトライを見せた。
SO松田選手のゴールも成功し、再び16点差をつける。
その後、攻め込まれる時間帯もあったが、後半ラストワンプレーでボールを手にしたのはワイルドナイツ。敵陣22mでのマイボールラインアウトから攻撃を試みたが、残念ながらタッチを割ってノーサイド。
28-12で、強化試合全勝をキープした。
■試合後
試合後は、坂手キャプテンがチームを代表して会場に駆け付けたファンの皆様に挨拶をしました。
「クリスマス、そして寒い中応援に来てくださってありがとうございました。
リーグワンでは、もっと見ていて楽しめるゲームをしたいと思います。これからも応援、よろしくお願いします。」
アンバサダー・福岡堅樹氏
試合前後とハーフタイムには、アンバサダーの福岡堅樹さんもグラウンドに登場。ワイルドナイツファンの方々の前におよそ7ヵ月ぶりに姿を現し、アンバサダー就任にあたってコメントを届けました。
「アンバサダーとして戻って来られたことを光栄に思います。
応援して頂く立場から、ファンの皆様と一緒にワイルドナイツを応援する立場になりましたが、しっかりとワイルドナイツに貢献したいと思います。可能な限り会場にも足を運びたいと思いますので、みなさんもぜひ一緒に応援しましょう。
プレシーズンは、シーズン毎に自分の中でアップグレード出来るよう意識する期間です。どうコミュニケーションを取って、新しい戦術や新しいサインプレーをものにするか、試行錯誤を重ねる時間でもあります。
今日はディフェンスが良く締まった試合展開でした。
もっとトライを取って欲しかったですが、リーグワンでたくさんトライを取ってくれることを期待しています。」
と語り、最後は選手一人ひとりと笑顔で握手を交わしました。
試合後コメント
坂手淳史キャプテン
反省がいっぱい出たが、この期間にこういうゲームが出来たことをポジティブに捉えている。そこ(修正点)が良くなれば、うちのチームはもっと強くなる。
――アタックで仕留めきることが出来なかった
今日はもっと空いている、攻めるべき所はあった。
いま、代表組はワイルドナイツのラグビーを覚えている所。自分たちのラグビーを思い出して、やっと覚えた所で、それを出す、という段階。ゴール前での判断までは全員で共有できていない。しっかりと詰める所を詰めていけば、強くなる。
――チームについて
日本に残ったメンバーが、去年よりも更に一生懸命やってきた。チーム全体のレベルが上がっていると感じた。
――新加入の外国人選手について
みんな入ったばかり。特にマリカは僕たちと同じタイミングで加わっているので、やっとワイルドナイツのラグビーを理解している所。もっとコミュニケーションを取っていければ、もっと脅威になるしトライまで行く力があると思う。
みんな人が良いので、溶け込むのも速いし、もちろんプレーは素晴らしいです。
――福井翔大選手について
考えすぎていた。ミスした時にどう切り替え、良い影響を与えられるか考えることが出来れば、中心選手になっていけると思う。
今日ミス2連発した時の顔、凄かったですよ。でもそこから持ち直してジャッカルしてくれました。
堀江翔太選手
コンビネーションについては、新しい選手や合流したばかりの選手も多く、同じ絵姿を描けていない所もある。ゲインは切ったがトライを取り切れないことも多く、チャンスは絶対取らないといけないと感じた。
僕の体はだいぶ仕上がっています。毎年「今がベスト」と思える状態。
代表に合流していなかった分、今年は自分にフォーカスして体と向き合えている。満足せずに成長していけたらと思います。
日本代表選手も宮崎合宿から合流したが、「代表やからこれぐらいできるやろ」とは思わないようにしている。でもある程度のプレッシャーは掛けながら、引き続き共通理解を深めていきたい。
松田力也選手
上手くコミュニケーションを取ってプレーしたかったが、チーム合流後初めての試合だったこともあり、小さなミスが重なって流れに乗れなかった。連携の部分は、開幕には間に合わせたい。
福井翔大
ジャッカルは何本かとれたが、それ以上にチームに迷惑を掛けてしまった。早くワイルドナイツを引っ張っていける存在になりたいと改めて思った。
試合があれば、ずっと出たい。全試合に絡めるように、怪我に気をつけながらチャレンジする。
対戦したワーナー選手には(先に代表キャップを取られ)一歩先に行かれた。悔しい思いはあるが「これがあって今がある」と思えるシーズンにしたい。
ラクラン ボーシェー選手
熊谷でプレー出来て嬉しい。みんな、試合を楽しみにしていました。
BL東京はフィジカルなチーム。たくさんのセットピースにスクラムもたくさん組んだタフな試合だったが、勝てたことを嬉しく思う。
マリカ コロインベテ選手
ワイルドナイツでの初めての試合にみんなと出られたこと、嬉しく思います。
違う環境で新しいことに挑戦したかったので、これまでも成功を収めてきたワイルドナイツに来た。日本の文化に惹かれ、ワイルドナイツの恵まれたコーチングスタッフの下でラグビーが出来ている。
今シーズン、自分のベストを尽くしてチームのためにプレーをしていきます。
(&rugby/原田友莉子)