夕方の空気が冷たくなったことを感じながら、選手たちは1時間半、さくらオーバルフォートで汗を流した。
今週末に行われる強化試合・第2戦は、GR東葛が相手。
アタックのオプションを増やしながら、また練習で積み重ねたことをしっかりとグラウンドで表現しながら、2戦目も勝利を目指す。
★★★ 今週のピックアップ ★★★
高城佑太選手&宮川智海選手
インタビューを終え、部屋を出る時に「大丈夫でしたか?」と撮れ高を心配し優しく声を掛けた高城選手。ラグビーにはストイック、でも一歩離れたらジェントルマンな一面を併せ持つ。
そんな高城選手の1学年後輩である宮川選手もまた、グラウンドを離れると優しく穏やかな雰囲気をまとう。
東北から関東学院大に進んだ経歴を持つ2人に、今シーズンへの意気込みを聞いた。
――お2人は大学時代、接点があったのでしょうか
高城ハチ・キュー(No.8とスクラムハーフ)という関係性だったので、よくコミュニケーションを取っていました。何回か一緒にご飯を食べに行ったよね?
宮川僕と同じ秋田工業高校出身の方が近くに住んでいたので、僕と高城さんとでよくご飯に連れて行って頂いていましたね。当時の春口監督にも焼肉に連れて行って頂いた記憶があります。
高城あー、あった!突然「高城宮川、飯行くぞ」って声が掛かったんですよ。
――関東学院大学で学んだこと、そして今に活かされていることを教えてください
宮川基礎的な練習が多かったので、基本のスキルを仕込まれました。それは今に活きていると思います。またヘッドコーチがワイルドナイツOBの榎本淳平さんだったので、ワイルドナイツがやっている練習を大学でもやっていました。
高城1・2年生の頃は監督が春口廣先生だったのですが、衝撃的だったのは朝練でボールを使わず、陸上部みたいな練習をずっとしていたこと。障害物を飛び越えたりしていましたね。今思えば、そこで学んだきちんとした走り方、人の飛び越え方は、スクラムハーフというポジション的にも活きていると感じます。
あとは校訓である「人になれ 奉仕せよ」という考え方も、僕の中には根付いています。
――ワイルドナイツには数々の関東学院大OBがいます。入団を決める時、誰かに相談したのでしょうか
高城僕が1年生の時のキャプテンが稲垣さんだったので、「ワイルドナイツに行きたいと考えています」と相談したことを覚えています。
そもそもワイルドナイツに行きたいと思うようになったのは、まだ小さかった頃。僕は岩手県出身なのですが、釜石と(当時)三洋の試合を観戦したことがありました。その時に、ワイルドナイツに対する憧れが芽生えて。
大学の先輩方もたくさん行かれているワイルドナイツでやっぱりラグビーをしたい、と思い加入しました。
――高城選手はラグビー一筋。なぜラグビーを始めたのでしょうか
高城父が地元でコーチをしていたこともあり、幼い頃から一番身近なスポーツでした。なので自然とラグビーを始めましたね。小さいころの写真は、ラグビー関連のものが多いです。
兄もラグビーをしていて、数年前までキヤノンイーグルスでプレーしていました。
――ラグビー一家なのですね
高城母は試合の度に応援に来てくれていましたね。今でも試合の時にはLINEが来ます。よく時間を見てみると、試合中に送ってきているんですよ。「怪我してない?」「なんで交代したの?」と、心配してくれているんだなと感じます。
――10月末には半年ぶりのゲームがありました。いかがでしたか
高城ディフェンスに関しては満足しています。スクラムハーフとして周りを動かし、人数をコントロールしながらディフェンスを整備することが出来ました。
一方アタック面での早いテンポでのボール出しや、ラックで奥からボールを掻き出す場面などはもう少し早く捌きたいですね。次戦では改善したい部分です。
――週末のGR東葛戦では先発です。意気込みを聞かせてください
高城引き続きディフェンスで正確な指示を出すこと。そしてアタック面ではどんなボールであってもテンポの出るボール捌きをして、攻撃に繋げていきたいです。
――続いて宮川選手に伺います。ワイルドナイツを選んだ理由を教えてください
宮川2015-2016年シーズンのトップリーグ決勝(vs東芝ブレイブルーパス)を見に行った時に「このチームでやってみたい」と思ったことがきっかけです。強いチームでラグビーをしたいと思いました。
――そもそも高校からラグビーを始めたとのことですが、ラグビーをするために名門・秋田工業高校に進学されたのですか?
宮川そうです。中学まではずっとサッカーをしていましたが、背が高かったこともあり秋田工業の当時監督だった黒澤光弘先生(現校長)に「秋田工業でラグビーをしないか?」と誘って頂きました。それまでラグビーをしたことも見たこともなかったので、中学3年の秋にあった高校ラグビーの秋田県大会決勝を見てみたら面白そうで。「やってみようかな」くらいの軽い気持ちで始めました。
――思い切った転向ですね。ラグビーを始めていかがでしたか
宮川めちゃくちゃ楽しかったですね。高城さんの高校(盛岡工業)と1年生同士の試合をしたのですが、初戦でスルスルって抜けてトライ出来たんです。実は最初、フォワードではなくフルバックをしたんですよね。足も速かったので、ボールを持って抜けることが楽しかったことを覚えています。
――いつからフォワードにコンバートされたのでしょうか
宮川高校1年生の終わりに、監督から「細すぎてブレイクダウンが弱すぎる。一度FWで揉まれてこい」と言われロックにチャレンジしました。当時189㎝60㎏とカリカリだったんです(笑)
でもそれからずっと、FWです。修行に出たまま、フルバックには戻してもらえませんでした(笑)
高城大学でも一回バックスやらなかったっけ?
宮川やりました!春口先生に「一回ウイングやってみろ」って言われて何試合かウイングで公式戦にも出ましたね。
――ご自身はどちらが好きですか?
宮川フォワードの方が好きです。ハイボールは得意なんですけど、パスが苦手なので(笑)体を当てる方が楽しいです。
――今シーズンの強化試合1試合目・SA浦安戦では、良いラインブレイクがありました
宮川敵と2対1になった場面で、サポートに来ていた谷さんに放った所ですね。実はあれ、反省点なんです。
僕はどうしても抜けた時に周りを見てしまう、放ってしまう癖があって。足の速さは自分の持ち味だと思うので、あのままキャリーしたり、オフロードだったり、自分で仕掛けることが出来たかもしれないと思っています。懐を活かしたプレーは、次の試合への課題です。
――良かった所はどこでしょう
宮川ブレイクダウン周りのフィジカルバトルで激しく行けたことは良かったです。僕は他のロック、特に外国人選手に比べたら体が細いので、その分運動量を増やさないといけません。そこについては、初戦にしては頑張れたと思っています。
――今週末にはGR東葛戦を控えています
宮川前回はタックル数が少なかったので、もっとセットを早くして、体を張ったプレーが出来るように頑張りたいです。
――前年度王者として迎える2021‐2022年シーズンです。ご自身の目標を教えてください
宮川とにかく試合に出ること。新リーグになり、チームとしてもちろん優勝を目指す中で「その当事者になりたい」と思いました。ゲームに出て優勝に貢献をしたいです。
高城もちろん試合に出たいと思っています。開幕から試合に出たい、というのが一番です。
でも新リーグになって試合数が増えた時に、ずっと同じ選手が出続けるわけにはいきません。そういう部分でも、自分がチームの力になれたらな、と思っています。
――最後に、お2人からファンの皆様にメッセージをお願いします
宮川ワイルドナイツは、見ていてワクワクするチームだと思います。ディフェンスをしているのに、まるでアタックしているようなチームです。そういう部分を楽しんで見て頂けたら嬉しいですね。
個人的なことでいうと、「こっちに高城、あっちにも高城」と言われるような、どの場面にでもいる選手になりたいと思います。ぜひ、そこに注目して見てください。
高城熊谷に移転し、練習も気軽に見に来られる環境になったと思うので、ぜひ見学に来て頂きたいですね。コロナの感染状況が落ち着いたら遠方の方々にも足を運んで頂き、ラグビーを好きになって頂けたら嬉しいです。
(&rugby/原田友莉子)