ブロンコ(体力テスト)が終わり、ひと安心したのも束の間。
今週もしっかりと、フィットネスメニューが組み込まれていた。
中には「あーやばい!まじでキツイ!」と叫びながら倒れ込む選手の姿も。
アタック&ディフェンスの練習では真剣な表情で試合以上の声を飛び交わせながら、しかし体幹トレーニングでは和気あいあいとした雰囲気で、メリハリのある練習を行った。
来週からはいよいよ、今シーズン最初の合宿がスタート。高知県に場所を移し、チーム理解度と結束力を高めていく。
9月30日(木)、JAくまがや様から熊谷産キヌヒカリ1,000㎏と目録が進呈された。
吉田公一代表理事組合長から米俵を受け取ったのは、熊谷市出身の山沢拓也選手と山沢京平選手。
収穫されたばかりの令和3年度産キヌヒカリがチームの強化を後押しする。
★★★ 今週のピックアップ ★★★
平野翔平選手&藤田慶和選手
東福岡高校で出会って早12年。藤田選手は空き時間、平野選手の家で昼寝をするほど気心知れた間柄だ。
そんな2人には、理想とするトライの形があるという。
互いへの信頼とファンへの熱い想いが溢れるインタビューを、お届けします。
――新しいクラブハウスの使い心地はいかがですか
平野前のクラブハウスも良かったのですが、ケアルームやお風呂場、それからウエイト施設が大きくなった所は特に気に入っています。
藤田埼玉県や熊谷市と一体となってラグビーを盛り上げていこう、という意志が伝わる施設ですよね。散歩に来た方が、ホテルやクラブハウス横のカフェでお茶がてら練習を眺めている姿を見ると、ラグビータウンと言われている熊谷が、本当にラグビータウンになりつつあると感じます。街全体で盛り上げていこう、という印象を受けますね。
平野今までラグビーを見たことがないであろう世代の方々が「何かやってるな?」と覗きに来てくれて、埼玉ワイルドナイツの存在を知ってくれることは、公園の中にクラブハウスがあるメリットです。
藤田たまに「ここドッグラン?」って思う時もあるね(笑)
平野こないだめちゃくちゃキツいフィットネスをやっている時に、犬用バギーに入って寛いでいる柴犬が2匹、僕のことを優雅に見ていたんですよ。思わず「頼むから変わってくれ!」って言葉が口をついて出てしまいました(笑)
――昨シーズンのトップリーグ決勝戦、平野選手はスターティングメンバーとしてチームを優勝に導きました
平野ワイルドナイツに加入して5年目のシーズンだったのですが、僕が入ってから優勝したことがなかったんですよね。トップリーグ最後のシーズンでしたし、優勝したいという気持ちがすごく強かったです。
だからこそこの優勝はとても嬉しかったですし、スターティングメンバーとして出場出来たことは思い出に残っています。
――やはり先発は特別なものですか
平野ワイルドナイツの場合、特にフロントローの選手においてはスターティングとリザーブに明確な役割があります。なので、アサさん(ヴァルアサエリ愛選手)と2人で一つの試合を作る、というイメージが強いですね。野球でいう、先発投手と抑え投手のような棲み分けでしょうか。でも先発の方が長い時間試合に出られるので、そういう面では嬉しかったです。
――試合中にはベンチに控える堀江翔太選手から度々声が掛かっていました。どのようなアドバイスを受けていたのでしょうか
平野ディフェンスのことが多いですね。「翔平残れ」とか「翔平オープンに行け」と聞こえると、その声に従っていました。
スクラムについても「いつもより浮いてるよ」など外から見て分かることを伝えてくれます。試合前には対戦相手を模したスクラムで練習するのですが、実際に試合で組んでみると感覚が違うこともあります。そういう時は、1番のガッキーさん(稲垣選手)と話しながら調整しますね。
――ワイルドナイツのフロントローは日本代表揃いです。「ここは負けない!」というご自身の強みを教えてください
平野キャラクターがそれぞれ違うので、持っているもの、持っていないものが全然違います。僕は、スクラムでは自分が一番強いと思っています。試合では「絶対にスクラムでペナルティを取る」と決めているのですが、昨シーズンはほとんどの試合で達成することが出来ました。チームにはそこを評価してもらっていると感じています。
――藤田選手は東京オリンピックへの挑戦を終え、3シーズン振りにワイルドナイツでプレーします
藤田毎日が勉強ですね。フィットネスには問題がないのですが、戦術の理解が課題です。翔平にはアタックの形を教えてもらうこともありますし、色んな選手からアドバイスをもらいながら日々練習しています。みんなサポートしてくれるので、本当に有難いです。
まずは1日1日を大切に、その日を全力でプレーすること。学びの多い1日を積み重ねていけば、自分の目指す所に辿り着けると意識し練習しています。
――具体的に目指しているプレーはあるのでしょうか
藤田チームに良い影響を与えたいと思っています。オリンピックを経験し、以前よりも落ち着いてプレー出来るようになったと自分で感じています。ウイングはグラウンドの一番端に構えることが多いので、大外から良い声掛けであったり、良い判断であったり、内でプレーする選手たちに向かって効果的なコールをしていきたいですね。
ポジションの特性上、得点に絡むプレーも多いので、得点面でもチームをリードさせられるようなトライやアシストをしていきたいです。
――ウイングとフルバック、どちらを主でプレーしたいですか
藤田試合に出られるならどちらでも大丈夫です。その時に与えられた役割を全うしたいと思います。
――お2人は東福岡高校の同級生ですが、高校時代から仲が良かったのでしょうか
藤田そうですね、仲は良かったと思います。ただ僕は寮に住んでいて門限が19時だったので、練習が終わってから外に遊びに行くことはありませんでした。その代わり、遠征に行ったらよく一緒に街を探索してましたね。
平野普段一緒に遊ばなかった分、遠征の度に外に出て一緒に散歩した気がするね。
東福岡高校は遠征が多かったのですが、ホテルでミーティングしなきゃいけない、試合の動画を見なきゃいけない、という決まり事のない自由な学校でした。
藤田大学はお互い関東に出てきていたので定期的にご飯に行ってましたし、だから高校時代からずっとこんな感じです。今日も翔平の家に行って昼寝してきました。
平野急に僕の家に来るというので、何か話があるのかと思いきや、着いた途端にイヤホンしてソファで寝始めたのにはびっくりしました(笑)
――それぐらい気心が知れている、ということですね。お互いにとって、それぞれどんな存在でしょう
平野「ちゃんとしないといけないな」と気付かせてくれる存在ですね。慶和といると、大人にならなきゃいけないな、と思います(笑)
藤田翔平はお笑い担当のように見えると思いますが、意外と真面目で、当たり前ですが努力を重ねる人です。試合に出続けられる理由が分かります。
翔平がいることで僕も安心してチームにいることが出来るし、オフも充実しています。
――今シーズンは久しぶりに同じチームでプレーします。目標を教えてください
藤田翔平が良いスクラムを組んで、出てきたボールを僕が良い形でトライすること、ですね!
平野僕がスクラム組み終わって顔を上げたら、もう慶和がトライに走っている。それが理想ですね。
藤田あとはもちろん、リーグワンの初代王者です!
――最後に、ファンの皆様にメッセージをお願いします
平野熊谷に来て、更にファンの方と近くなったと感じています。群馬だけでなく埼玉の方にも応援して頂き、熊谷ラグビー場で行われる試合では「めちゃくちゃホーム!」という雰囲気を作って頂けたら嬉しいです。
それから、人生で初めて髪の毛を明るくしました。これから開幕に向け段々とパナソニックブルーにしていく予定なので、変化をお楽しみください!
藤田熊谷に移転しましたが、太田から続いているチームです。太田の方々がいたから、今の僕たちがいます。これまで通り太田の皆さん、そして熊谷の方々と一体となって、埼玉ワイルドナイツとして戦っていきたいと思います。
コロナ禍ですが、出来る限りファンサービスもしたいと思っています。交流することによって熊谷でのラグビーも盛り上がると思うので、そういう部分においてもワイルドナイツは輝きたいと思います。
ぜひ、練習見学や試合にお越しください。
(&rugby/原田友莉子)