2021年1月13日にニュージーランド Webニュース「Stuff」に、ロビー監督の記事が掲載されました。
下記、和訳となります。
Ex-All Black Robbie Deans claims Japanese Top League closing in on standard of Super Rugby
元オールブラックスのロビー ディーンズ氏、”日本のトップリーグはスーパーラグビーの水準に近づいている” (Stuff, 著:Darren Walton)
パナソニック ワイルドナイツの監督を務めるロビー ディーンズは、トップリーグの特異性について言及しました。ラグビーの原点に回帰した様な運営モデルは、様々な面において世界中で人気を博しており、いまや世界ラグビーの震源地となりつつあります。
「世界中から一流の選手やコーチが相次いで来日しており、トップリーグはスーパーラグビーの水準に急速に近づいている」
今週末開幕予定のトップリーグ2021では、オーストラリア代表ワラビーズから主将のマイケル フーパーを含む10名以上の選手、オールブラックスのスーパースター、ボーデン バレットやキアラン リード、そしてラグビーワールドカップ 2019優勝メンバーの南アフリカ代表スプリングボクスから6名が参戦します。
また16チーム中、12チームが外国人コーチを起用しており、ロビー ディーンズ(パナソニック)を始め、ダミアン ヒル(リコー)などが代表されます。また、エディー ジョーンズ(サントリー)やウェイン スミス(神戸製鋼)、スティーブ ハンセン(トヨタ)もコーチングコンサルタントとして在籍している事実を見れば、トップリーグが才能、経験、知識の宝庫である事は明らかです。
ロビー ディーンズはAAPメディアに対し、
「レベルが高い。すでに非常に高いレベルにある上に、更に成長している」と語りました。
「私が来日した当時(2014年)では想像できなかった光景が広がっています。トップリーグでは自分が以前コーチングした選手や、コーチとして対峙した選手達と日常的に対戦します。」
ロビー ディーンズは、日本ラグビーが大きく成長した要因として、レベルの高いコーチの来日によって、選手のコンディションが格段に向上したと述べています。
「日本には外国人コーチも多く居り、半数近くは国代表レベルのコーチです。優秀なコーチに加えて、各国の代表選手やスーパーラグビーの選手も多数所属しています。現在では北半球からも多くの選手が来日するようになりました。」
「ラグビーワールドカップ 2019を経て日本での快適な生活は評判となり、多くの北半球の選手も日本でキャリアを終えたいと、関心の声が高まっています。」
「本当に魅力的です。来日当初は日本に長くいるつもりはありませんでしたが、日本の環境をエンジョイできている事が、今でもここにいる理由の一つです。」
ロビー ディーンズがトップリーグで魅力的だと感じている事は、大会のフォーマットや各チームに才能溢れる選手が多数所属している事です。試合に出場する23人のうち、ピッチ上には5人の外国人選手しか同時に起用できない上に、国別代表に選出された経験を持つ選手は最大2人しか起用できません。
スーパーラグビー クルセイダースでも5度の優勝経験を誇るロビー ディーンズは、「それぞれの国を代表してしのぎを削った選手同士が、この様に同じチームでプレーできる事で素晴らしい組み合わせが生まれている。ベテランや若手、それぞれの特徴を持った選手達が一緒にプレーできる事は非常にユニークです。」
「トップリーグではバーバリアンズと似た様な雰囲気を感じるが、非常にタフな大会である事は間違いありません。」
「近年の日本代表の成長を見れば明らかです。トップリーグのレベルは間違いなくスーパーラグビーに近づいています。恐らく上位6チームはスーパーラグビーでも十分に競争力を発揮できるでしょう。」
ロビー ディーンズは、トップリーグのプロ選手と社員選手が混在する事も特徴的だと言及しました。
「トップリーグのチームは10億ドル規模の大企業が保有しており、以前の企業スポーツでは利潤を上げることへは大きなモチベーションがありませんでした。現在はCOVID-19の影響で環境がややリセットされた様にも思いますが、スポーツと仕事を両立するモデルは、世界のラグビー界をリードしていると考えます。まだあまり意識されていませんが、プロラグビー選手のキャリアを見ると、実はそれほど長い期間現役を続けられるわけではありません。ラグビーに関わる当事者も必ずしもこのように認識しているわけではありませんが、特にラグビーのような消耗の激しいスポーツでは、長い年数プレーできないのが現状です。」
「私たちのチームでは多くの社員選手も活動しており、練習や試合が無い時には、会社で勤務しています。彼らは会社に行く事で、ラグビー選手を引退した後のキャリアも見据えて日々スキルアップを図っています。これは正にラグビーがアマチュアスポーツとして発展してきた様相を反映しており、偉大なメカニズムです。」
「ラグビー選手が一時的に多くのお金を稼げる事は事実ですが、それは生涯の生計を考えた時には十分なものではありません。トップリーグに所属する選手のうち、50%程度が社業も本業で行っている点において、従来のプロラグビーモデルとは一線を画しています。選手達は将来のための準備も行っており、既に生涯働ける仕事も有しているのです。」
「日本以外でこのモデルがあまり注目されていないのは、企業がそれ自体を特に意識して来なかったからかもしれません。各企業は、ラグビーやバレーボール、サッカー、野球、アメリカンフットボールなどに投資する広告宣伝費を有しています。これらはあくまで企業の部活動としての様相を反映しており、広告宣伝費を使用する事で、スポーツの価値観やチームワークを会社に反映したいと考えていました。多くの選手は引退後も企業に残りますが、これはラグビーと仕事の両立を考えた、純粋なモチベーションによるものである」とロビー ディーンズはAAPに語りました。
「トップリーグの環境は刺激的であるのと同時に、大きなやりがいも感じています。ラグビーとはタフなスポーツで、今もますますタフになってきています。」
「これまでは南半球のラグビー選手やコーチがキャリアの終盤にヨーロッパへ行く事が主流でしたが、現在では時差や立地の観点から、日本がヨーロッパと同程度もしくはそれ以上に人気がある目的地になりつつあります。」