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脱炭素として注目される太陽光発電

脱炭素として注目される太陽光発電

最近よく見かける太陽光パネル。電気料金も上がっているし、我が家も住まいを購入するときは設置したほうがお得なのかしら? 

東京都が設置の義務化に向けて動き出したことで、これまで以上に注目されている太陽光発電。導入を検討されている方は、そのしくみやメリット・デメリットを知っておくことをおすすめします!

*目次*
1. そもそも太陽光発電とは?
2. 太陽光発電とセットでよりお得?家庭用蓄電池
3. 太陽光発電のメリット・デメリット
4. 東京都では数年後に義務化される?
5. まとめ

1. そもそも太陽光発電とは?

脱炭素社会に向けて世界が導入 "再生可能エネルギー"

世界中で脱酸素に向けた取り組みが推進されているなか、日本でも「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」を目標にさまざまな施策が行なわれています。
国内で生産でき、エネルギー安全保障にも寄与できる「再生可能エネルギー(再エネ)」の活用も重要な取り組みのひとつ。以下は、経済産業省が公表した「2030年度における望ましいエネルギー需給」案です。

出典:資源エネルギー庁 「総合エネルギー統計」の2019年確報値、2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)
※四捨五入の関係で、合計が100%にならない場合がある。
※再エネ等(水力除く地熱、風力、太陽光など)は未活用エネルギーを含む。

へえ、再エネには水力や風力、地熱などいろいろあるけど、太陽光発電がこれからのエネルギーとして期待されているみたいだね。

個人で取り入れやすいのも理由のひとつかもしれません。政府による有識者会議では、2030年時点で新築住宅の6割に太陽光パネルを設置することを目指すとしています。

太陽光発電システムのしくみとは?

太陽の光が太陽電池を内蔵したパネルに当たると、2種類のシリコン半導体でプラス極とマイナス極が形成され、電気に変換される。このシステムを活かした発電方法が「太陽光発電」です。ちなみに、太陽電池の最小単位は「セル」、セルを組み合わせたパネルは「モジュール」や「ソーラーパネル」「太陽光パネル」などと呼ばれています。
家庭で太陽光発電システム導入する際は、以下のような機器を設置するのが一般的です。

【家庭用太陽光発電システム 構成例】※出典:太陽光発電協会
太陽電池モジュール太陽の光エネルギーを電気に変換する装置
接続箱太陽電池モジュール→パワコンの接続装置
パワーコンディショナ
(パワコン)
太陽電池モジュールで発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する装置
分電盤家の配線に電気を分ける装置
電力量計
(売電メーター)
電力会社に売った電力や買った電力の計量メーター
発電モニター発電量や消費電力量の表示装置
蓄電池電気をためる装置

これだけの機器が必要となると、やっぱり設置費用がかなりかかりそうね。

ソーラーパネルのコンパクト化に加え、設置費用も年々、価格が下がってきていることもあり、以前に比べてご家庭で設置がしやすくなっているともいわれています。設置費用や維持費の相場もみてみましょう!

太陽光発電システムの設置費用や維持費の相場は?

・設置費用の相場は84万~140万円

太陽光発電システムを設置するには、太陽電池モジュール、パワーコンディショナなどの機器一式、電気や設置の工事費等の費用がかかります。これらの費用は、設置する条件や工事の内容などによって異なります。
以下のデータは、経済産業省が公表しているシステム費用の設置年別の推移ですが、新築、リフォーム(既築)ともに低価格化の傾向にあります。

出典:経済産業省 第73回 調達価格等算定委員会配付資料「太陽光発電について」(PDF)

2021年における1kWあたりの住居用太陽光発電のシステム費用は、新築で平均28.0万円。住居用では3~5kWが一般的ですので、システム費用の相場は84万~140万円と考えられます。

・運転維持費の相場は5kWの設備で年間2万円弱

経済産業省が一般社団法人太陽光発電協会にヒアリング調査を行い、概算したシステム購入後の運転維持費は以下のとおりです。

出典:同上

5kWの設備を20年間使用した場合、
・3~4年ごとに1回行う定期点検費用の相場は約2.9万円。20年で5回行うなら14.5万円程度。
・20年間に一度のパワコン交換費用の相場は約22.4万円。
以上から換算し、年間にかかる1kWあたりの運転維持費は約3,690円、5kWの設備を導入したご家庭なら年間約1万8千円が運転維持費のめやすと考えられます。

太陽光発電については、太陽光発電設備の設置が必須のZEH(ゼッチ)住宅を対象とした補助金など国主導の制度のほか、東京都の東京ゼロエミ住宅導入促進事業など、独自の補助金を実施している自治体も。関連省庁、市区町村のHPなどでチェックしてみては?

2. 太陽光発電とセットでよりお得?家庭用蓄電池

家庭用蓄電池はリチウムイオン電池など二次電池を中心に構成される家庭用の蓄電システム。電気料金高騰や防災意識の高まりなどを背景に、その需要が高まっています。

一家に一台、家庭用蓄電池の時代が来る?

2011年にはわずか2000台ほどだった蓄電システムの年間出荷台数が、この10年間で60倍以上も伸びています。以下のデータには商業・産業用の蓄電システムも含まれていますが、およそ9割は10KW未満のため、家庭用蓄電システムの台数が多くを占めていると推測されます。

出典:一般社団法人 日本電機工業会 「JEMA蓄電システム自主統計 2021年度出荷実績」

ここ数年の蓄電池人気は、2019年から順次「卒FIT」(太陽光発電の余剰電力買取期間満了)を迎える対象者が増えるなか、「買取金額が下がるなら蓄電池で貯めて自宅で使おう」と考える人が増えたことに加え、災害など"もしも"の時の備えや省エネ対策として注目されていることなども理由と考えられています。

太陽光発電+蓄電池 セットにするメリットとは?

ご家庭で太陽光発電システムに蓄電池をプラスするメリットには、次のようなものがあります。

【プラス蓄電池のメリット①】余った電気を貯めておける

太陽光発電システムに蓄電池をプラスすることで、使い切れない電気を蓄電池に貯めることができ、必要な時に放電して利用できます。FITの買取期間が終了したあとも、蓄電池を使って自宅で消費する使い方が可能となります。

【プラス蓄電池のメリット②】災害時の非常用電源になる

災害や電力不足などで停電が発生した時も、蓄電池に電気を貯めていれば非常用電源として使うことができます。電気が復旧するまでの間、携帯電話や冷蔵庫が使えれば安全面、衛生面でも安心です。

【プラス蓄電池のメリット③】ピークカット・ピークシフトで節電効果が期待できる

みんなが一斉に電力を使う時間帯に、蓄電池に貯めておいた電気を使うようにすれば、電力の消費を抑える「ピークシフト」や、使用電力の一番多い時間帯の使用量を削減する「ピークカット」にも役立てられます。ピークの山を下げることで、基本料金や買電料金を下げることができれば節約効果も期待できます。

"もしも"の時に備えて、太陽光発電とセットで蓄電池も設置したいところだけど、気になるのはやっぱり費用だよね。

経済産業省では工事費を除き1kWhあたり約14万円(2019年度)、そのほか民間の企業では工事費込みで15~20万円が相場としているところもあり、蓄電容量から換算すると設置費用は100万円を超える場合が多いです。ただ、さまざまな補助金を活用している方も多いんですよ。

活用できる蓄電池の補助金制度は?

家庭用蓄電池の補助金には大きく、国からの補助金と自治体からの補助金の2種類があります。

【国の蓄電池補助金制度例】

DER補助金...DER(分散型エネルギーリソース)実証事業への参加が条件で、対象機器が決まっている、補助金を受け取れるのはDER実証終了後などの制約があります。

ZEH補助金...ZEH(ゼッチ)とはエネルギーコスト実質ゼロ住宅のこと。建物の省エネへの貢献度によりさまざまな補助金が設定されており、蓄電システムを設置した場合も追加補助金が受けられます。

ストレージパリティ補助金...ストレージパリティとは、蓄電池を導入しないより導入したほうが経済的メリットのある状態。この状態の達成に向け、太陽光発電&蓄電池システムの設置に対して補助金が受けられます。

【地方自治体の蓄電池補助金制度例】

(東京都の例)「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」
家庭で蓄電池システムを設置した場合、補助率2分の1で以下の補助金を受けることができます。
太陽光4KW以上と蓄電池設置の場合=一住戸あたり①蓄電池容量10万円/KWh、②太陽光発電設備容量20万円/KWのうち、いずれか小さい額(最大1,000万円)
太陽光4KW未満と蓄電池設置、または蓄電池のみを設置の場合=10万円/KWh、最大80万円/戸

国と地方自治体の補助金は併用できますが、国の補助金を複数で受けることはできません。また、自治体によって補助金の有無や需給の条件、金額は異なります。各自治体のHPなどで確認しましょう。

3. 太陽光発電のメリット・デメリット

地球環境の問題などからも「電気は買う時代からつくる時代へ」との認識も徐々に広がってきています。
ここで改めて太陽光発電のメリット・デメリットをおさらいしておきましょう!

安全でお得?太陽光発電のメリットとは

【太陽光発電のメリット①】クリーンエネルギーで地球にやさしい

一般社団法人 太陽光発電協会の概算によれば、住宅用太陽光発電システムのCO2削減効果を森林面積に換算すると、4kWの太陽光発電約8棟分が東京ドーム1個分の森林に相当するそう。エネルギー消費が、そのまま地球環境を守ることにつながります。
※引用:一般社団法人 太陽光発電協会より

【太陽光発電のメリット②】電気をつくれば家計にもやさしい

再エネを固定価格で買い取ってくれるFIT制度を利用して売電ができるほか、日中に太陽光発電システムが作った電気を使用する、また蓄電池との併用で効率よく貯めて最適な時間帯に使うことで、月々の電気料金の削減が期待できます。

【太陽光発電のメリット③】非常用電源に活用できる

災害や電力不足などで停電になった場合、太陽光発電システムを自立運転モードに切り替えることで非常用電源として利用することができます。使用できる電力は最大1.5kWですので、テレビ(300~500W)、炊飯器(100~300W)、冷蔵庫(100~300W)、携帯電話の充電器(5~15W)など1.5kW以下の家電が使用できます。
また、蓄電池をプラスすれば、停電時でも昼・夜の別なく貯めた電気を使うことができます。

【太陽光発電のメリット④】発電モニターで節電意識が高まる

太陽光発電システムのひとつとして設置する発電モニターでは、発電量や消費電力量が数字で表示されます。自宅でつくった電気量はどれくらいか、外出中に待機電力がどれくらい使われているかなどが分かることで、電気に対する意識が変わり、節電や省エネが自然と習慣化されたという方も多いようです。

日射量や費用面に課題も?太陽光発電システムのデメリット

【太陽光発電のデメリット①】日射量や天候に左右される

建物の向きや形状により日射量は変わります。そのぶん発電量も落ちるので、導入する前によく確認しておくことが必要です。また、曇りや雨の日が続く場合も、やはり発電量は落ちますが、逆に晴天が続き日照時間が長い日もあり、年間の発電量の差はおおむね5%程度以内といわれています。

【太陽光発電のデメリット②】初期費用や維持費がかかる

蓄電池システムとセットで導入すると、太陽光発電システムの導入には初期費用や維持費がかかるので、費用を抑えるアイデアとして、国や自治体の補助金などを利用するほか、自治体の中には「円ソーラー」を推奨するところもあります。
0円ソーラーとは、事業者が初期費用を負担して太陽光発電を設置し、発電した電力の売電料や設備のリース料で初期費用を回収するしくみです。契約期間中の維持管理は事業者が行うため手間がかからず、一定期間(おおむね10年間)経過後は設備が住宅所有者に無償譲渡されます。

【0円ソーラーのおもな種類】
所有者余剰電力月々の支払いメンテナンス
リース事業者住宅所有者が売電リース料金事業者
電力販売事業者事業者が売電使用した分の電気料金事業者
屋根借り事業者事業者が売電なし事業者

初期費用0円で維持管理もしてくれるなら、お得だしラクでいいわね。

0円ソーラーの場合、自己所有と比べて設置場所や蓄電池の設置などに制約がある、途中解約すると買取費用がかかる、売電収入を得られないなどの違いがあります。
メリット・デメリットをよく比較して検討しましょう。

【太陽光発電のデメリット③】設置には屋根の加工が必要

太陽光パネルを設置するには、当然ながら屋根加工の工程が発生します。スレート屋根に穴を空ける、瓦屋根なら瓦を外すなどの作業を行う際、施工業者の技術不足で雨漏りが起きる可能性もゼロではありません。余計なトラブルを防ぐためにも、信頼できる販売業者、施工業者に依頼することが大切です。
以下は、太陽光発電協会発行のパンフレットで紹介されている「信頼できる販売・施工業者の選び方」チェックポイントです。

※出典:一般社団法人太陽光発電協会 「失敗しない太陽光発電システム選び"始めようソーラー生活"」リーフレット版

4. 東京都では数年後に義務化される?

太陽光パネル設置義務の対象者はハウスメーカー

●2025年4月からハウスメーカーへの設置義務化を目指す

東京都では、新築一戸建てに太陽光発電パネル設置を義務化する、全国初の制度導入に向け補正予算案を発表するなど、実現に向けての動きを加速させています。2025年4月からの義務化では、設置義務を負うのはハウスメーカー、なかでも年間供給面積が2万平方メートル以上の約50社を対象とする方針です。

●住宅を建てる施主や購入者への負担は?

では、太陽光パネルの設置義務化によって、注文住宅の施主や建売分譲住宅の購入者に求められることとは? 東京都によれば、注文住宅の施主であればハウスメーカーなど供給事業者からの説明や東京都の指針に基づき、ハウスメーカーの選定やシステムの導入などを通して住宅環境負荷低減に努める。建売分譲住宅を購入する場合も、同じく環境負荷低減に努めるという観点から購入を検討することとされています。

※出典:東京都環境局HP

世界で広がる脱炭素化の取り組み

脱炭素化の取り組みとして、太陽光発電システム設置の義務化はアメリカなどの諸外国で、また国内でも東京都のほか京都市や川崎市、群馬県などで決定、検討されています。

※出典:東京都環境局HP

子どもたちにクリーンな環境を残していくためにも、省エネやエコの意識が大切なんだね。

住まい選びに関しても、今後ますます「省エネ」や「節電」「エコライフ」が重要なキーワードになってきます。お得に、安全に暮らすためにも、日頃から情報をチェックしたり、信頼するハウスメーカーにご相談したりすることをお勧めします!

5. 「脱炭素として注目される太陽光発電」まとめ

  • 「2050年カーボンニュートラル」を目指し、再生可能エネルギーの中でも太陽光発電への注目と期待が高まっている。
  • 家庭用太陽光発電システムの導入費用は一般的に84~140万円 、運転維持費のは5kWの設備で年間2万円弱が相場。
  • 太陽光発電と蓄電池のセットで、災害時の非常用電源として利用できるほか、ピークカットやピークシフトで節電効果も期待できる。
  • 太陽光発電や蓄電池の設置に対して、国や自治体から補助金も。また初期費用がかからない「0円ソーラー」のしくみもある。
  • 発電モニターを日頃からチェックすることで、自然と省エネや節電が習慣化できる。
  • トラブルを未然に防ぐためにも販売業者や 施工業者選びは慎重に。
  • 東京都以外でも太陽光パネル設置義務化の動きが。今後より一層、住まい選びに「省エネ」や「エコライフ」が必須キーワードとなりそう。
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