フリーアドレス

2021.11.29

フリーアドレスの効果とは?成功事例をもとに導入のポイントやレイアウトを解説

フリーアドレスの効果とは?成功事例をもとに導入のポイントやレイアウトを解説

今注目されている「フリーアドレス」。その効果と言われても、いまいちピンとこないという担当者は少なくありません。フリーアドレスは多様化する働き方に対応したオフィス環境のひとつです。仕事や働く環境においてさまざまなメリットをもたらすため、多くの企業が導入や採用を検討しています。

そこで本記事では、フリーアドレスの効果にフォーカスし、その魅力や取り入れ方について紹介します。成功事例や失敗例などから、効果的な導入のポイントやレイアウトについても解説していくので、ぜひ参考にして導入すべきかどうかの判断材料にしてください。

最近注目のオフィスのフリーアドレスとは?

フリーアドレスとは、従来のような固定席を設けず、社員がその日の仕事内容や気分にも合わせて、自由に勤務席を選べるワークスタイルのことです。

近年の働き方改革や在宅ワーク、フレックスタイム制の導入などにより働き方が多様化し、社員のオフィスにおける過ごし方も流動的になっている背景から、オフィスのフリーアドレス化が注目されています。

導入企業の数はまだ少数ですが、森ビル株式会社が発表した「2020年 東京23区オフィスニーズに関する調査」(※1)では、フリーアドレスを導入する企業の割合が前年比で約9%増加しています。

  • 2019年:19%
  • 2020年:28%(+約9%)

※1 出典:【森ビル株式会社】「2020年 東京23区オフィスニーズに関する調査」

仕事面や社員の勤務姿勢やモチベーションなどにおいて、一人ひとりに固定席が割り当てられた従来のワークスタイルにはない効果が期待できることから、フリーアドレスの検討・採用をする企業が増えている状況です。

フリーアドレスを採用している大手企業としては、ヤフー株式会社などのIT系企業だけでなく、キユーピー株式会社やカルビー株式会社、日本航空株式会社(JAL)といった食品系や航空運送事業者などがあげられます。

仕事面におけるフリーアドレス化の効果

フリーアドレスは、大きくわけると仕事面と働く環境面の2つの効果が期待できます。ここでは、仕事面におけるフリーアドレスの効果について詳しく紹介します。

仕事面における主な効果は、次の3つです。

  • ・社員の主体性や行動力の向上
  • ・部署間やチーム内コミュニケーションの活性化
  • ・アイデア共有および創造の促進

ひとつずつ見ていきましょう。

社員の主体性や行動力の向上

フリーアドレスの導入による座席の選択は、社員の主体性や行動力を高めてくれます。

フリーアドレスになると、出社のたびにまず「どこに座るのか」を考えなければなりません。その上で、「選んだ席で、どういうスケジュールでどういう作業をするのか」「自分が選んだ席の近くに座る人とどのようなコミュニケーションを取るべきか」なども考える必要があります。

一見すると大変なことですが、席の選択を含め、1日の仕事をどのように進めるかのプランを立てることは、業務を効率的に遂行するための重要な要素です。

フリーアドレスを導入すれば、その日の作業や業務内容に応じた席を選ぶことを繰り返す中で、自然と業務遂行のためのプランニングができます。どのような行動を取るべきか、主体的に判断したり、自分で仕事をコントロールする術を身につけたりもできるため、フリーアドレスは仕事面において大きな効果をもたらすと言えるでしょう。

部署間やチーム内コミュニケーションの活性化

コミュニケーションの活性化もフリーアドレスの大きな効果のひとつです。

固定席のワークスタイルでは、業務時間中にコミュニケーションを取る相手は自席の周辺に偏ってしまいがちです。しかし、フリーアドレスを採用すれば席が自由に選べるので、さまざまな部署やチームのメンバーと関わる機会が増え、柔軟かつ流動的なコミュニケーションが可能になります。

例えば、他部署と一緒に進めているプロジェクトがある場合、各部署のメンバー同士が近くの席に座っていれば、その場で打ち合わせが可能です。情報共有もスムーズで、コミュニケーションもラクに行えます。

部署間・チーム内コミュニケーションの活性化により、業務上の判断も素早くでき、スピード感を持って仕事を進めていけるのはフリーアドレスで得られる効果のひとつです。

アイデア共有および創造の促進

フリーアドレスの採用により、いろいろな席に座ることで、これまで関わりの少なかった部署のメンバーと接する機会が増えます。

固定席の場合、席が近い者同士でしか意見交換ができません。しかし、フリーアドレスを導入すると、これまで遠くの席にいた人や部署・チームが異なる人とも気軽に触れ合えるようになります。

部署だけでなく、立場も異なる多様な価値観を持った社員同士が意見交換をすることは、仕事に大きなプラスとなる可能性があります。

例えば、会話の中から新しいアイデアが生まれたり、オリジナリティ溢れるアイデアの創造を促すことができるのです。

また、他部署だからこその視点で意見交換や情報共有を行えるため、今まで気づけなかった価値の発見にもつながります。今まで以上にビジネスに役立つアイデアを思いつきやすくなるので、新たなアイデアの共有や創造を期待するのであれば、フリーアドレスの導入がおすすめです。

働く環境面におけるフリーアドレス導入の効果

続いては、働く環境面におけるフリーアドレスの導入効果について見ていきましょう。

具体的な効果としては、次の2つがあります。

  • ・空間の有効活用
  • ・デスクやオフィス環境のクリーン化

ひとつずつ解説します。

空間の有効活用

企業によっては、営業メンバーのほとんどが日中外出しているというケースもあるでしょう。そのような場合に、全社員固定席としているとその分広いオフィスが必要になります。

しかし、フリーアドレスを採用すれば、全体の座席数を減らすことが可能です。

例えば、フレックス制や在宅ワークなどを積極的に推奨している企業であれば、1日を通しての在席率は低くなります。企業によって在席率は異なりますが、日中にオフィスで作業する社員の数が全体の70%であれば、オフィス内に用意するデスクやチェアも70%程度で済むということです。

場合によっては、在席率に合わせてコンパクトなオフィスへ移転することもできますし、余ったスペースをミーティングスペースやリフレッシュスペースとして活用することもできます。

また、休憩スペースを作れば、社員同士のコミュニケーションの促進効果も期待できるでしょう。

デスクやオフィス環境のクリーン化

フリーアドレスを採用すると、デスクは個人のものではなく、社員全員で使用する共有物になります。「みんなで使うからきれいにしてから移動、退社しましょう」というルールを設けることで、自然と片付けの習慣が身につき、クリーンなオフィス環境を保ちやすくなります。

また、フリーアドレスによってペーパーレス化を意識するようになるのもオフィス環境をクリーン化できる理由のひとつです。

固定席であれば、キャビネットやデスク上に簡単な棚を設けることができますが、フリーアドレスにはキャビネットなどがありません。席を移動するたびに荷物も一緒に運ばなければならないので、社員も意識的にペーパーレス化に取り組んでくれるようになります。

不要な書類が減れば、ただオフィス内が片付くだけでなく、印刷にかかるコストの削減も期待できます。

フリーアドレス導入時に考えるべきオフィスの役割

働き方改革の影響で、オフィスへ行かなくてもテレワークや在宅勤務といったかたちでニューノーマルな働き方ができるようになってきています。企業の本社や本拠地から少し離れた場所に、小規模なサテライトオフィスを用意する企業も増えました。

流行性感染症の影響などで、オフィスの在り方が見直されていますが、オフィスがなくてもいいということはありません。やはり、コミュニケーションなどの面でオフィスが必要なシーンもあります。

<具体的なオフィスの必要性>

  • ・コミュニケーション不足の解消
  • ・多様化する働き方に合わせた、働く場所の選択肢のひとつ
  • ・帰属意識やチームワークの向上

仕事を進める上で、メンバー間のコミュニケーションは欠かせません。オフィスへ出社しないことが当たり前になると、チャットやメール、Web会議などの間接的なコミュニケーションしか取れなくなります。

また、在宅ワークをよしとする人がいる反面、自宅ではなかなか集中できないため、オフィスで仕事がしたいという人もいます。特に、何かプロジェクトを進めているときは、メンバー同士の信頼関係や結束力が欠かせません。メンバー間の連携を高めるには、出社して仕事をするのが一番です。帰属意識やチームワークの向上も期待できるため、これからもオフィスの存在は必要だと言えます。

ただ、従来のかたちでは多様化した働き方に対応できないケースが増えているのも事実です。そのため、柔軟なレイアウトや働き方ができるフリーアドレスのような環境が求められています。

フリーアドレスの失敗事例と対策

フリーアドレスの魅力について紹介してきましたが、いいところだけではありません。導入による課題や失敗も少なくないため、ここではフリーアドレスの失敗事例とともに、その対策方法について紹介します。

席やメンバーが固定化してしまう

フリーアドレスを導入しても、従来の固定席に慣れている社員はどうしても同じ席、同じメンバーと座ってしまいがちです。

席の決定を社員の選択だけにゆだねてしまうと、席・メンバーの固定化を防ぎにくいため、ルールを決めて運用する必要があります。

例えば、フロアをA・B・Cの3つのエリアにわけて、チーム①はA⇒B⇒C、チーム②はC⇒B⇒Aの順番に一定期間の間隔でエリアを変えるなどの工夫で、席やメンバーが固定化しないようにしましょう。

書類の管理が難しくなる

個人席がなくなると、書類を置いておく場所がないので、席を移動するたびに持ち歩くなどの管理が必要です。業務上、書類や資料を多く使用する場合は管理が難しくなります。社員にとって不便になるだけでなく、重要書類を紛失するリスクなども高くなるので、フリーアドレスを導入する場合は対策が欠かせません。

具体的には、可能な限りデータで管理し、クラウド内で共有できるようなシステムの採用などの対策を検討しましょう。

効果だけに注目してフリーアドレス化を実現するのはリスク

効果だけに注目してフリーアドレスを導入すると、社員の満足度や意識に影響を与える可能性があります。ここでは、フリーアドレス導入後にありがちな社員の意識部分におけるデメリットを紹介します。

ストレスに感じる社員もいる

従来の固定席からフリーアドレスへ移行した場合、オフィススタイルが大きく変化するためストレスを抱えてしまう社員がいます。

同じ会社内にいても、これまで接点がなかった人とは一から関係を築いていく必要があり、コミュニケーションに対して苦手意識がある社員にとっては大きなストレスです。

また、決められた席がないということに対しても、リフレッシュできるという人がいる反面、環境が変わると落ち着かないという人もいます。

人によってはストレスを感じてしまう可能性があるので、固定席からフリーアドレスへと移行する場合は、しっかりとした準備期間を設け、フリーアドレスに替わることやその目的を伝えましょう。早くから情報を発信し、各社員の働く環境の変化にともなうモチベーションや仕事に対する取り組み方の意識を変えることが大切です。

チームとしての結束力・帰属意識の低下する可能性がある

固定された席は、「このチームで頑張ろう」「このチームに属している」といった意識につながりやすい傾向があります。それに対し、フリーアドレスは、毎日のように座る席が変わり、周囲のメンバーも日々異なるため、チームとしての結束力や帰属意識が低下してしまう可能性があります。

もし、部署やチームのメンバーが集まって業務をする必要があるのであれば、次の章で紹介するグループフリーアドレスがおすすめです。部署やチームに関係なく席を選ぶのではなく、部署やチーム単位で自由に席を選べるスタイルのフリーアドレスを採用することで、フリーアドレスのよさを活かしつつ、結束力や帰属意識の低下を防げます。

成功事例から見た効果的なフリーアドレスのタイプ

どういうかたちのフリーアドレスを採用すべきか悩んでいる担当者や、成功事例をもとにした働く環境を知りたい人は必見です。

外出の少ない部署や職種はグループフリーアドレス

グループフリーアドレスは、部署やチームなどのグループ単位の中で、自由に席を移動できるタイプのフリーアドレスです。特に、外出が少ない部署や職種が多い企業におすすめのワークスタイルです。

グループフリーアドレスは、チームでまとまって作業を進められるので、連帯感を感じやすく、結束力や帰属意識も保てます。

個人単位の作業であっても、仕事はチーム目標などを定め、それを達成するために取り組むケースが一般的です。仕事をする上で、連帯感は欠かせません。グループフリーアドレスなら、席を自由に選んでも近くにチームメンバーがいるため、万が一トラブルが発生してもすぐに報告や対応ができます。また、何か不安なことや困ったことがあっても相談しながら作業を進められ、情報共有のタイムラグが発生しにくいのもグループフリーアドレスの大きなメリットです。

1つのプロジェクトに複数の部署が携わる場合はオールフリーアドレス

オールフリーアドレスは、エリアや部署、チーム単位などの縛りがない、社員が自由に席を選べるタイプです。普段接点の少ない人とコミュニケーションを取ることができるので、グループフリーアドレスよりもコミュニケーションの活性化が期待できます。

オールフリーアドレスは、特に複数の部署の担当者が集まって1つのプロジェクトを進めるようなケースに便利なワークスタイルです。すべての席を利用できるので、空いている席も積極的に活用でき、席の選択の自由度が高いと言えます。

ただし、座る場所が固定化してしまうケースが少なくないため、運用ルールを明確にしておくことが大切です。

フリーアドレス環境を効果的にするツール

最後に、フリーアドレス環境をよりよくするための効果的なツールについて紹介します。仕事に集中できる環境づくりのためにも、これから紹介するツールの導入を検討しましょう。

人の位置を特定できるシステム整備

フリーアドレスを導入する場合は、社員がどこにいるのかを簡単に把握できるシステムやサービスの導入は必須と言っても過言ではないでしょう。

フリーアドレスの失敗の原因として多いのが、誰がどこにいるかわからないことです。特定のデスクがないと、チームメンバーや上司などに話がある場合も、相手が今どこにいるのかを探したり、特定したりすることから始めなければなりません。それでは、時間的なロスに加え、仕事の効率化にも影響してしまいます。社員から不満があがる要因にもなるので、社員のいる場所を把握できるシステム導入はフリーアドレス実施の成功に大きく寄与します。

オフィスでの人やモノの所在が確認できるシステム『POSITUS』

コミュニケーションを円滑にするチャットツール

フリーアドレスを導入するときは、部署内はもちろん各社員が連携しやすい体制を整えることも重要です。

自由に席を選べるので、その日の業務や作業内容に合ったメンバーの近くに座れば、スムーズなコミュニケーションが可能ですが、空いている席がなく、近くに座れないこともありますよね。

そのような場合には、気軽に報告・連絡・相談ができるチャットツールなどがあると便利です。電話を取り次ぐ際にも、簡単に相手と連絡を取ることができるので、チャットツールの導入を検討してみるとよいでしょう。

個人ロッカーの設置

自分の荷物や書類などを管理できる個人ロッカーも、フリーアドレス環境をより快適にするためには欠かせないツールです。

書類などの管理のしづらさもフリーアドレスの失敗例としてよくあがります。固定席があれば、自分のデスクやキャビネットなどで保管すればよいですが、フリーアドレスの場合は専用のデスクもキャビネットもありません。

席を移動するたびに荷物も一緒に移動させる必要があるので、管理がとても大変です。手間がかかるだけでなく、重要な書類を紛失してしまうなどのトラブルも想定されるため、勤務や作業に必要のない荷物や書類を保管しておける個人ロッカーは準備しておくべきでしょう。

自社に合うベストなかたちのフリーアドレスを採用しよう

フリーアドレスは、仕事面や働く環境面においてさまざまな効果があるワークスタイルです。多様化する働き方の中で、オフィスの在り方について見直す企業が増えており、働く環境を整備する中でフリーアドレスの効果が注目されています。しかし、フリーアドレスの効果だけに注目して導入してしまうと失敗してしまう可能性が高い状況です。

本記事で紹介した、フリーアドレスのレイアウトや環境をよりよくするための効果的なツールなどを参考にして、自社に合うベストなかたちのフリーアドレスを導入しましょう。

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