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1章 ヒゲ博士、大いに語る。[生体科学研究室]

1章 ヒゲ博士、大いに語る。[生体科学研究室]

「美科学研究室」を取材するため
大阪府門真市にある松下電工本社にやってきました。
「きれいなおねえさん」たちの熱烈歓迎はありませんでしたが
主幹技師である佐藤安広さんが
やさしい笑顔でお出迎えしてくださいました。
 
     
  研究対象は、ヒゲや体毛、肌、水など広範囲。  
 
   
  電器業界初となる科学的なソフト研究機関『美科学研究室』が設立されたのは、1991(平成3)年。当時、電器業界では、感性に訴える領域、特に肌に直接作用する製品の開発に関して、生理的な基礎研究や評価技術の確立が不可欠だと考えられていました。そんな環境下で生まれたのが、『美科学研究室』。研究対象は、「ヒゲ」はもちろん「女性の髪の毛やムダ毛」などの体毛、「肌」、人体に影響を与える「水」などの生理的な領域から、使用者の意識などの心理的な分野にまで及んでいます。活動の根底には、快適をデータ化して、よりよい製品開発に活かしていこう…という思想がありました。
そして、『美科学研究室』は、2004(平成16)年、組織の大ぐくりにより合併し、『生体科学研究室』と改称し、今に至ってます。
   
森 佐藤さんは、『美科学研究室』設立時からのスタッフなんですよね。
   
佐藤 そうです。発足前後の苦労と楽しさを味わった設立メンバーです。松下電工では初のソフト研究機関の設立でしたから、当時は社内に知識も経験もなかったので、化粧品メーカーから講師を招いてレクチャーを受けたり、社外での研修を重ねたりして、半年の準備期間ののち、やっとこさ誕生させたんですよ。設立時のスタッフは男女あわせて5名。手探りで毎日がたいへんだったけど、新鮮な発見にあふれていましたね。
   
 
 
森 化粧品とか服飾などファッション系のメーカーは、早くからソフトの情報やデータの収集に着目していて、研究機関設立に積極的でしたよね。
   
佐藤 電器業界、特に電気シェーバーに関しては、意識は遅れていましたね。しかし、単にヒゲが剃れればいいという時代は終わり、根幹にある生理的なことなども考慮しなければ、満足感を与えられる製品はつくれないのじゃないか、ということが課題となっていました。それに応えるためには何をすればいいのか?その答えのひとつが、『美科学研究室』だったんです。たとえば、大学の研究機関で肌のことを調べている研究室など、外部の専門家とのネットワークを構築したり、製品の効果や安全性などの検証といったソフト面の確認作業を担当する部署が必要だったのです。電気シェーバーの進化に関して、我々は縁の下の力持ち的ポジションで、サポートしつづけてきたわけですよ。
   
ヒゲへの意識から生理的事象まで徹底データ収集。
   
  男性はもちろん、女性がヒゲをどう観ているのか。あるいは、ヒゲ剃りという行為そのものがどう捉えられているのか。そんな男女のヒゲに対する意識調査から『美科学研究室』の活動はスタートしました。その結果、ヒゲに関する男女間の意識のギャップが浮かび上がってきました。
さらに、電気シェーバーを動かす際の手の速度や押し付ける力の計測などの肌当たり感の調査、ヒゲの濃さ、生えている部位、ヒゲ肌の弾力性と年齢の関係などといった生理学的な分析なども実施。ヒゲやヒゲ剃りに関する広範囲で深いデータ&情報をストックすることができたのです。
   
森 ヒゲって具体的にはどう意識されていて、その意識は時代によって変化したりしてるんでしょうか?
   
佐藤 そうですね。研究をはじめた十数年前は、一般的にヒゲは「疲労感の象徴」であったり、「仕事ができない」「社会的責任感がない」というイメージが相当強かったようですね。時代自体も清潔感が求められ、「しょうゆ顔」なんて言葉もあったくらいですから。特に女性は、ヒゲを剃る行為さえも見たくない、という方が大勢を占めていました。それが近ごろは、ワイルドとか意志が強そうといったプラスイメージが増しているのは確かです。ただし、不精ではなく、あくまでも手入れの行き届いたヒゲでなければなりません。「つくり込まれた不精ヒゲ」ならOKということですね。そこには、おしゃれなイメージや責任感の強そうな印象があるようですね。この十数年でヒゲに対する意識もずいぶん変わったものです。
   
森 僕のヒゲなんかも、最近、社会的にも許されてきた…決して認められたわけじゃなくて、許されているという感じなんですが。やっと受け入れてもらえる状況になってきたかな…と思いますね。
   
佐藤 ヒゲに関しては、男性も女性も、世間的にかなり寛容になってきていますね。でも、ヒゲ人口は、まだ10人に1人の割合なんですよ。思ったより少ないですね。さらに、ヒゲが一般化する中で、男性のムダ毛への意識が変わってきているように感じます。スネやワキがツルツルの男の子たちが増えているようですね。それに、男性のヒゲがどんどん薄くなっているようです。以前に比べて、ヒゲの濃い人を探すのがタイヘンになってきているんですよ。これらも一種の人類の進化なんですかね。
   
森 ヒゲに対する意識のほかに、調査・研究を通じて、例えば生理的なことでわかったこと、ってありますか?
   
佐藤 そうですね、肌弾力性から男性のお肌の曲がり角が平均35歳前後だということがわかりました。これは加齢とともに肌のハリが失われていくのに加え、日常的なシェービングによって痛めつけられる結果なのです。曲がり角を過ぎると、肌あれや赤変、出血などの肌トラブルが発生しやすくなります。特にアゴ下はトラブル頻発エリアだということもわかりました。これらの研究結果は、ヒゲの密度や太さ、生え方などのデータとともに、新しい電気シェーバーの開発に活かされています。
   
収集されたデータを、役立つ生きた資料に。
   
  これまで「なんとなく気持ちいい」とか「なぜか気になる」というふうに感覚的に捉えられてきたヒゲ剃り行為に、科学のメスを入れ、因果関係を解明したり、数値化してきたのが、『美科学研究室』であり、それを引き継いだのが『生体科学研究室』なのです。
   
森 『生体科学研究室』には、ずいぶんいろんな分析機械みたいなものが並んでいますが…。まるで病院か、エステティックサロンのようですね。
   
佐藤 ある意味ではその通りですね。ヒゲとか肌とか人のからだの一部を扱うわけですから清潔でなければなりませんし、科学的な装置がたくさん必要ですし、心地よさも求められますから…。それでは、森さんのヒゲ分析をしながら、具体的な研究活動をご紹介します。では、まず顔の部位ごとのヒゲから見ていきましょう。
   
ヒゲの部位別濃さの図
部位別ヒゲの角度図 あご下の毛流パターン図
   
  顔を4つの部位に分けた場合、一番濃いのは「口の周辺」です。以下、「あごの下」、「頬」、「ノド」と続きます。ヒゲの生える角度や毛流のパターンも人や部位ごとに違っているんですよ。調査・研究は、このようにヒゲの生え方を調べることからはじまります。森さんの場合、かなり濃くてクセのあるヒゲの部類に属してますね。お手入れは、なかなか大変でしょう。
   
森 ヒゲを伸ばしていない部分を剃って、ヒゲは長さを一定にそろえて、ヘンな方向に伸びているヒゲは短くカットして…。これが、毎日の日課です。ほんとうに手間がかかりますね。確かにヒゲが濃いというか、太いというか。少し手を抜いて手入れを怠ると、すぐに汚い影ヅラになってしまいますからね。ヒゲが永久脱毛できたら…なんて思うこともありますよ(笑)。
   
「生体科学研究室」佐藤さん
 
佐藤 ま、永久脱毛しちゃうと、もう生えてこなくなりますからね。男性としては、ちょっとさびしいですね。ヒゲは、男らしさの象徴でもあるわけですから。では、次にヒゲの太さを測ってみましょう。どれどれ森さんのヒゲの太さは、と。約130ミクロンくらいですか。だいたい40歳代の平均ですね。ヒゲは、年齢とともに濃くなります。正確にいうと太さだけでなく面積は広がり密度は高まり、40歳代から50歳代でピークを迎えるのです。森さんもそろそろピークですね。でも、肌の方は、見ている限り水分量も充分でハリもある。まだまだお若いですね。
   
 
年代別ヒゲの太さの変化
   
森 自分のヒゲや肌をこれだけ大写ししてみると迫力ありますね。というか、見てはならないものを見ているような…。人体の聖域に足を踏み入れたような気分です。ヒゲの正体を見たっていうか…。
   
佐藤 ところで、そのヒゲの正体ってご存知ですか。実は、表皮の角質層が分化して生じた皮膚の付属器官なんですよ。これは、硬質ケラチンという硫黄を含むタンパク質からできていて爪と同じ成分です。ちなみに、ヒゲの硬さは、同じ太さの銅線に匹敵するといわれています。ところで、グロテスクついでに、あちらの機器で面白いチェックをしてみませんか?
   
森 なんか、ちっちゃな自動撮影スタジオみたいですね。ショッピングセンターとか駅にあるような。これで、何を調べるんですか?
   
佐藤 これは、肌の状態をブラックライトつまり紫外線を当てて観察する機器なんですよ。ま、こちらに腰かけてみてください。
   
  森さんの測定シーン
   
  ほら、この通り、カサカサ肌の部分が白く浮かび上がって見えるんです。森さん、かなり顔が乾燥して荒れていますね。女性の場合は、これが、のちにシミになったりするんです。ヒゲ剃りの場合は、白い部分が肌あれを起こす可能性の高い場所となるわけです。
   
森 うわぁ、汚い!これ、かなりキツイ絵ですね。なるほど、この装置で、電気シェーバーを使った前後の肌あれ具合を調べるわけだ。
   
佐藤 では、もう少し研究室内をご案内しましょう。こちらは、ヒゲ剃り行動を観察する部屋です。たとえば、電気シェーバーでヒゲを剃るときに、どんな手の動きをするのか、どんなスピードで腕を動かすかなどを観察できるようにマジックミラーをはめ込んだ仕掛けを設けています。これで観察してみると、被験者の性格までわかるから面白いですよ。
   
  マジックミラーの前でヒゲを剃る森さん
   
森 例えば、短気な人は、イライラしながら、すごいスピードでヒゲを剃るとか。いつも安全カミソリを使っている人は、すばやく動かすと危ないからという習慣がついているから、とてもゆっくり剃る、とかですか?
   
佐藤 ま、そういうことです。心理学とまではいきませんが、かなり性格分析できますね。そういうこともきちんと観察しデータ化しておくことで、生理学的な情報プラス心理学的な情報のふたつのデータがストックできるわけです。
   
森 へぇ〜。柔軟な思考をすれば、今まで気がつかなかった有益な情報がヒットしてくるんですね。そこで、新しい発見もできる、というわけですね。
   
佐藤 そうですね。でも、あまり役に立ちそうもない、かなりトリビア的なデータも多いんですよ。例えば、ヒゲは伸びるものと伸びないもののバラつきが大きいとか。どういうことかと言うと、途中で成長をやめちゃうヒゲがいくつも出てくるんです。引っぱって痛いのが生きているヒゲ。そうじゃないのは成長を止めたヒゲなんです。髪の毛には、こんなバラつきはほとんどないんですけどね。それにヒゲってからだの毛の中で一番太いんですよ。
   
データだけでなく、熱意も開発にフィードバック。
   
  調査・研究して得られた分析結果が100%新製品開発に役立つとは限りません。時には佐藤さんがおっしゃっているようにトリビア的な成果もいっぱいあると思います。でも、なにか新しいことを見つけよう、ヒゲを剃る人の役に立つことを考えようという思いは、確実に開発現場にフィードバックされているはずです。さらに、それは、販売の現場に好影響を与えていたのです。
   
佐藤 ところで、森さん。ヒゲ剃りまけって、具体的には肌にどんなことが起こっているのか、ご存知ですか?
   
森 いいえ。申し訳ないですが、ただなんか炎症が起こっているんだなぁ…くらいしかわかりませんが。
   
ヒゲの太さを計ってみましょう

 

 
佐藤 肌が赤くなったり、ヒリヒリしたりっていうヒゲ剃りまけは、実はヒゲといっしょに周りの皮膚の表層にある角質層をカットしてしまった結果、起こるんです。だから、「ヒゲだけ剃って、肌を傷つけない」ものが理想の電気シェーバーなのです。それを検証するために、こうやってヒゲ剃りあとの「カス」を採取して、削ってしまった角質の量を測定したりもしています。その結果をみれば、どれだけ肌にやさしい電気シェーバーであるかがわかるんですね。
   
森 「カス」までが調査の対象ですか。とことんこだわってますね。そんな徹底した研究が行なわれているからこそ、「深剃り」、「早剃り」、そして「肌にやさしい」電気シェーバーを生むことができるんですね。ところで、販売の現場でも研究が大いに役立ったと聞いたのですが…?
   
佐藤 そう、もう数年も前のことなんですが。ヒゲ肌診断機なるものを開発して、店頭に置いて、お客様のヒゲの特性を診断したんですね。さっき森さんにしたように。それで、その結果をもとにヒゲ別にお勧めのシェーバーを提案させていただいたんです。ウチにはいろんなタイプの電気シェーバーがありますからね。このイベントは、データの収集とともに提案型の販売促進活動ができた、という一石二鳥の効果が得られましたね。
   
削ってしまった角質の量を測定します
 
森 電気シェーバーのトップメーカー松下電工の面目躍如というところですね。ところで、佐藤さん、その腕どうしたんですか?一部毛がないみたいですが…。
   
佐藤 あっ、これね。実は、自分のからだを使って実験してたんですよ。ヒゲじゃないですけど、体毛のね。テープを使って、この部分の毛だけを引っぱがしたんです。ちょっと痛かったな。
   
森 えっ、そこまで、するんですか!す、すごい…。からだを張って研究されているんですね。なんか、気合の入り方が違いますね。たとえば、ヒゲを右半分だけ剃ったりとかもするんですか?
   
佐藤 まさか…さすがに、そこまでは。でも、からだを張るのはもちろん、あらゆる可能性を追求して、調査・研究をしなければ、新しい発見はできないでしょう。その発見を通して、新たな開発の課題を設定することが、われわれの任務だと考えています。大学の研究室との提携なども積極的におこない、常に新しい情報や技術が得られる体制を構築しています。われわれの活動は、ときに外部から見ると馬鹿げていたり、ふざけているように見えたりするかもしれません。でも、われわれは真剣です。人類にヒゲが生える限り、われわれの研究にゴールはないのです。
   

森

電気シェーバーは、深剃りができて、早剃りができて、剃り残しせず、肌にやさしいのが理想。その理想に近づくために、電気シェーバーは進化を続けています。佐藤さんのようなヒゲ博士が、からだを張って電気シェーバー開発に携わられているのを知って、さすがヒゲ剃りに携わって50年の松下電工、そこまでやるか!という感想です。

数々のデータが活かされたフラッグシップモデル『ラムダッシュ』。果たして、どんなすごい技術が注ぎ込まれているのか。『ナショナルメンズシェーバー50年の軌跡』によると、その実力は「スパッとヒゲを消し去る」と表現されています。

次回は、開発・製造の現場『彦根工場』から、
その切れ味に迫ってみたいと考えています。
ご期待ください。

   
自分の体を使って実験したんですよ
 
不精で伸ばすヒゲとは、おさらばを!
『ひげづきあいを愉しむ会』の調査によると「男性に(剃ることを含んで)ヒゲのケアをしてほしい」と望んでいる女性は96.7%にのぼっています。きちんとケアすれば、「おしゃれ」「成熟した大人」「頭が切れる」といった好印象を持ってもらえることも判明しています。男性のみなさま、ヒゲをきちんと手入れすれば、好印象を持ってもらえるようですよ。
  ヒゲを生やしている理由は?
   

コラム おヒゲまわりのトリビア、お楽しみ下さい!
ヒゲの役割は?
  おとこらしさのシンボル?

人体に生えている毛は、それぞれなんらかの役割を持っています。例えば、弱い部分や大切な部分を保護するため。それは、髪の毛や腋毛、陰毛などが当てはまります。また、まゆ毛やまつ毛が目にゴミや汗が入るのを防いでいるという機能も知られています。しかし、成人男性のヒゲに関しては、その役割がまだはっきりと解明されていません。一説にはニワトリのとさかやライオンのたてがみのように、オスとしての成熟度や男らしさを誇示し、メスを惹きつけるために生えるともいわれています。しかし、実際はヒゲ嫌いの女性も多いわけで。実際のところは、まだまだ謎なのです。

《出典》近畿化学工業界1995.3 『肌とヒゲ』佐藤安広

   
  ヒゲは約3万本
  3万本のヒゲをつなげたらなんと175

成人男性の平均的なヒゲの数は約3万本。20歳から60歳までに剃る3万本のヒゲの長さを合計すると、なんと約175キロメートルになります。これは、東京から伊豆の下田までの距離に相当します。また、ヒゲ剃りに毎日15分かけたとすると、40年間で3650時間。これは40年間のうちに152日間ヒゲ剃りしていることになります。

《出典》ひげづきあいを愉しむ会

   
  ヒゲの最長記録は5.33メートル
  私がハンスラングゼスです!

ヒゲ1本の寿命は、2〜3年といわれています。だから、伸ばし続けても、通常は最高でも43.8センチくらいまでしか伸びません。しかし、ノルウェー人のハンスラングゼスという人が5.33メートルまで伸ばしたという記録が残されています。

《出典》ひげづきあいを愉しむ会

   
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