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はんだから鉛を取り去ること


001:はんだから鉛を取り去ること
 女性でも中には経験した人がいるかもしれない。男性ならほとんどの人が子供の頃に経験しているはずの「はんだ付け」。左手にはんだ糸、右手にはんだコテを握りしめ、基板に部品を接合していく。素人にはなかなか難しい技だが、なんとか接合できて後できちんとモーターが動いてくれるのは、ひとえにはんだという魔法の金属のおかげである。子供の頃に使っていたはんだは、すず63%、鉛37%の合金である。古くは、古代ローマの水道管の一部に使われたはんだもほぼ同じ配分だったという。183度という低温で融けてくれて、部品と基板を電気的にも物理的にも接合してくれるはんだは、あらゆる電気製品の基礎をなすものだった。
 そのはんだから鉛をはずす(コラム1参照)。
 基板に部品を取り付ける技術のことを実装技術というが、実装技術に詳しくない素人から見ると、違う配合のはんだ材料を作ればそれで解決という風に思えてしまう。だが、もちろん事はそう簡単ではない。というよりも、その逆でこれまでの製品作りのすべてを見直さなくてはならないほどの大転換。松下電器の鉛フリー化プロジェクトの中心人物である末次さんが、アメリカのミネアポリスでIPC(電子機械工業会)の特別賞を受賞した際に「ライト兄弟の発明に匹敵する偉業」と讃えられたのである。すず鉛のはんだ材料から、鉛をはずし、他の材料で合金を作る。融点は鉛のはんだよりも少し高くなるが、なんとか作ることができた。もちろん、ここまででも気の遠くなるようなカット&トライの成果なのだが、問題はその先にあった。融点が上がるために生じるさまざまな難題、なまりを含む不純物を排除するための新たな技術開発。
 その難しさを理解するためには、ぜひとも知っておいていただきたい用語がある。それがフローとリフローだ(コラム2参照)。みなさんは、工場での基板のはんだ付けがどのように行われているかご存じだろうか?
 まさか、工場の片隅で職人風のおじさんがはんだゴテを持ってはんだ付けしていると思っている人はいないだろう。だが、ロボットが手際よく1か所1か所はんだ付けしているのでは? と思っている人はいるかも知れない(現に私がそうだった!)。だが、実際にはフルオートメーションの流れ作業である。基板に半導体などの部品を仮付けしてから、融けたはんだの池の中をくぐらせるのがフロープロセス。比較的大きな基板に用いられる。それに対して、粉末状にしたはんだをその他の材料とあわせてクリーム状にし、基板にシルクスクリーンの要領で印刷、部品を載せ、それに熱風を吹き付けてはんだを溶かし、部品を接合するのがリフロープロセス。ポータブル機器など高密度実装基板に用いられる。この2方式が現在のはんだ付けの一般的な手法であることは頭に入れておいていただきたい。
電器製品ではんだを使用していないものを探すのは不可能。部品と基板はかならず、はんだで接合されている。
コラム1:そもそも、どうして鉛をはずさなければいけないの?
コラム2:はんだ付けの2つのプロセス フローとリフロー

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