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美術の用語解説

日本の国宝

文化財保護法によって定められた国宝とは、建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書など、わが国にとって歴史上、芸術上価値の高いものとして指定を受けている重要文化財の中でも、特に「世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」と認められたものである。
各分野にわたり計1万件にのぼる重要文化財のうち、国宝に指定されているのは約1千件。選定委員会では、これらの中からさらに120件を選び出し、その原色写真印刷物を収納することにした。
たまたま、毎日新聞社が、全国の国宝を網らする原色の豪華出版物「国宝」を刊行し、さらにその関連として、「国宝50選日本の神社仏閣」など、建造物、彫刻、絵画の3部門にわたる50選の出版をしていたのでこの3冊を軸にし、この出版に漏れた選定国宝については、豪華本「国宝」の中から各品目の図版を選び出して収納した。
したがって実際に収納した図版の数は、各50選の本の中に選定品以外の国宝も含まれるので、178件にのぼっている。

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美術織物

織物は、元来、日常生活の衣服などの用に供するために織り始められたが、文化の進展とともに、用よりも美の方が重んじられ、美術品としての意匠や工夫が凝らされたものも、数多く産出されてきた。
中国では、紀元前後の漢時代に、すでに錦(にしき)・綾(あや)などの織物が作られていたし、その後も織物技術は大いに発達した。中国文化の影響を受けた日本は、当然この中国の織物技術や製品が移入され、法隆寺や正倉院には、7〜8世紀の錦や綾、羅(ら)などの各種の美術織物が残っている。
その伝統を受け継いだ京都の古代織物研究家龍村平蔵の織った2本の帯地が収納された。鎌倉時代祭礼文錦(さいれいもんにしき)は、花笠を飾った祭礼の人の群れが、秋の都大路を練るありさまを、管楯彦がスケッチし、約120色の色糸を使って高機(たかはた)で織り上げている。製作には1日3cm、100日余を要して、幅70cm、丈(たけ)4.3mのこの帯を織り上げた。
日暮文蒔絵錦(ひぐらしもんまきえにしき)は、日本の江戸時代の徳川三代将軍・家光(いえみつ)が、“日を暮らしみれどもあかず”眺めたという蒔絵の文様の故事により、その美しさを再現しようと、堂本印象が念写、龍村平蔵が織った。
強い縒糸(よりいと)の縒(よ)り戻しを利用して、布目にふくらみを持たせてあるのが特徴。
約50色の金、銀、箔(はく)、色箔、駒縒糸(こまよりいと)、甘縒糸(あまよりいと)を使い、木製高機で、約40日で織り上げた作品である。

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※本ページの内容は、タイム・カプセルEXPO'70記録書(1975年3月発行)を引用して掲載しています。社名や組織名など現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。


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