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三菱地所様「設備統合ネットワーク」
三菱地所の「丸の内NEXTステージ」の
構築・運用を設備統合ネットワークで支える

(写真提供:スカイフォト株式会社)
三菱地所株式会社が、丸の内再構築の更なる「拡がり」と「深まり」を目指して推進する「丸の内NEXTステージ」。
光ファイバーとSDN技術を採用したビル共用ネットワークと、それを活用した次世代カメラシステムが構想を支える。
その基盤となる設備統合ネットワークの構築と運用をパナソニックEWネットワークスが担っている。
【本事例のポイント】
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三菱地所はビルシステム・情報システムを統合し、スマートビル基盤となるビル共用ネットワークENDI(Eco Network to Deliver Information)を構築
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ENDIは光ファイバーとSDN(Software Defined Networking)により仮想化することで、セキュアで優れた拡張性・経済性を実現
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ENDIを活用して、ビルごとの監視カメラシステムをオープン化。エリア全体で映像情報を活用
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パナソニックEWネットワークスは、基盤となる設備統合ネットワークの構築や運用パートナーとして三菱地所のスマートシティ構想を支える
三菱地所が推進する「丸の内NEXTステージ」

三菱合資会社を源流とする三菱地所株式会社は130年を超える不動産事業の歴史を持つ。その起点の地丸の内に、大手町と有楽町を含めた通称大丸有エリアに約30のビルを所有・管理する三菱地所は、いま新しい街づくりに挑んでいる。
「当社は大丸有エリアで、1890年代から順次開発を進めてきました。その第4次計画が2020年から推進する『丸の内NEXTステージ』です。この丸の内エリアを“新たな価値を生む舞台”と位置づけ、イノベーション・エコシステムの創出を進めています」(三菱地所 丸の内運営事業部長 安達晋氏)。
イノベーション・エコシステムを支える鍵はデジタル基盤の構築だと安達氏は言う。
「デジタル基盤を構築し、各ビルのシステムを統合する。そのことでデータを活用する仕組みを作り、ここで働く方や来街者に新しい価値を提供すると同時に、ビルの運営管理を効率化する。いわゆるスマートシティの構想を進めているのです」(安達氏)。
ビル統合ネットワークのビジョン

ビルごとで構築・運用する情報ネットワークの統合が不可欠だった。三菱地所 丸の内運営事業部 技術ユニット 専任部長 ユニットリーダーの秋山琢磨氏は語る。
「ビル内では様々な通信が行われており、それを一つのネットワークに統合するのは技術的にはかなり難しい。その難しさを乗り越えるネットワーク技術がほしかったのです」(秋山氏)。
秋山氏が着目したのが、光ファイバーとクラウド技術だった。
「2010年代初頭に構想を練り始めましたが、既に丸の内エリアの光ファイバー網は非常に充実していました。またその頃はITの世界でクラウド技術が普及期に入る段階で、それを踏まえネットワークも仮想化すべきだろうと考えました」(秋山氏)。
ネットワーク仮想化は、大丸有エリアのスマートコミュニティ化を見据えた構想だった。
「充実した光ファイバー網と、当社に合ったSDN技術を活用してネットワークを仮想化し、それをもって大丸有エリアをスマート化するというコンセプトです。それがビル統合ネットワークENDIにつながりました」(秋山氏)。
SDN技術の活用方法は技術検証を通して見出していたが、ビルのネットワーク統合にはいくつかの障壁もあった。
「ビルでは沢山の産業用システムが稼働していて、産業用システムのネットワークの知識なしでは上手く対応できません。加えて、稼働中のビルに新しい技術を導入するのはかなり難度が上がります。この2つをやりこなせる会社はそうはない。調べるなかで名前が上がったのがパナソニックEWネットワークスでした。
パートナー選定には運用面の対応力も重要でした。当社にはネットワークを自由に使いたいという希望がある一方で、人と手間をかけない体制も作りたかった。その面でもパナソニックEWネットワークスがベストパートナーだと思いました」(秋山氏)。
ENDIが生み出した価値
2015年から開発を進め2019年にサービスインしたENDI。そのENDIがもたらすメリットは想像以上だったと秋山氏は語る。
「ENDIがすごいのは、それを使う我々にネットワークの専門的知識がいらないところです。誰もが紙の上に線を描くようにネットワークを作ることができます。また、物理的な回線はENDIの光回線を使うことでコストを抑えられますし、簡単なネットワークであれば数日で作れてしまう。それは光ファイバー網やネットワーク仮想化のメリットだと思います」(秋山氏)。
その上で、ENDI活用の好例として秋山氏は次世代カメラシステムを挙げた。「地域のビルの情報を収集し、それを活用し価値を生み出す。そのサイクルを形にした一番わかりやすい成果が、2021年に運用を始めた次世代カメラシステムAcane(Advanced Camera Network)です」(秋山氏)。
ENDI活用の成果 次世代カメラシステムAcane

大丸有エリアの安心・安全のため、三菱地所では監視カメラシステムをいち早く導入していた。しかしビルごとで完結し閉ざされたシステムだったため、情報をエリア全体で活かすことができていなかった。またカメラ等の選定もバラバラで、そのためコストの課題もあった。それらを解決したのがENDIを活用したカメラシステムだと三菱地所丸の内運営事業部 技術ユニット 副主事の水野竹人氏はいう。
「課題解決の答えは、ENDIを活用しての監視カメラシステムのオープン化でした。オープン化で高度な運用が可能になり、同時にカメラ選定などの自由度も向上します。ENDIはセキュリティ面でも優れたネットワークなので、その点でもよい解決策だと考えました」(水野氏)。
その構想から生まれたのが次世代カメラシステムAcaneだ。Acaneの構築にもパナソニックグループが貢献している。
「Acaneは各ビルで完結していた制御機能や録画機能を、パナソニックのArgosView というVMS(Video Management Software/System)を用いてデータセンターに集約しています。システム構築はパナソニックEWネットワークスと一緒に進めました」(水野氏)。
Acaneの構築に際しては、6社から技術提案を受けたという。そこからパナソニックEWネットワークスを選定した理由を水野氏に伺った。「まず構築や保守・サポートの費用について、ありがたい提案をもらいました。多様なカメラデバイスにも柔軟に対応できる点も魅力でした。また、当社が力を入れる画像解析についても一番実績があったのも大きかったと思います。」(水野様)。
2025年2月現在で、大丸有地区の19ビルで2500台を超えるカメラを接続しているというAcaneは、BCP対策でも大きな価値をもたらしていると水野氏は語る。
「大丸有エリアの災害対策は当社の重要テーマです。2022年9月の大規模総合防災訓練でAcaneの活用を検証したのですが、エリア全体の状況を映像で収集・共有することができるので、『面で捉えるBCP』が可能になりました。その意味でも、Acaneは価値ある取り組みだと思います」(水野氏)。
三菱地所にとっての「つながる」意義
ENDIによる大丸有エリアのネットワーク統合を、技術ユニットのリーダーとして推進した秋山氏は「つながる」意義を次のように語る。
「人と人をつなげる、会社と会社をつなげる、働いている方と会社をつなげ、そこにプラスアルファの価値を生む。それをまた街の活性化に活かす。そんな好循環を作り上げることを三菱地所は創業から得意としてきたと思っています。
そこにデジタル技術が加わることで、リアルな世界とバーチャルな世界を結ぶことが大事な時代になってきました。その現実とバーチャルをうまくつなぐ存在が、次世代型の情報ネットワークだと思います。
情報と人を結びつけ、情報と会社を結びつける。そして、情報を持った会社と会社を結びつけ新しい価値を生みだす。そのために必要なのがENDIであり、それを活用した好例がAcaneです」(秋山氏)。
今後の展望
今後の展望を、技術ユニット リーダーの秋山氏は次のように語る。
「スマートシティに欠かせない存在として、今まで黒子だったネットワークに日が当たるようになってきました。この勢いで先ずは当社が関わるビルに、光ファイバー網をフル活用しネットワークを広げたい。そんな希望を持っています」(秋山氏)。
最後に安達氏に、丸の内運営事業部長の視点で展望を伺った。
「新技術や新しい仕組みをどんどん試したい。そして、成果が出れば当社が全国に所有・管理するビルと連携させたいと考えています。また大丸有エリアには他社さんもいますが、そちらにも今回のネットワークやシステムをご提案しています。より連携を広げることで、もっと効率的なシステム構築ができ、価値の創出ができるのではないか。今まさに、そんな構想を進めているところです」(安達氏)。

三菱地所株式会社
丸の内運営事業部長 安達 晋 氏
丸の内運営事業部 技術ユニット
専任部長 ユニットリーダー
秋山 琢磨 氏
丸の内運営事業部 技術ユニット
副主事 水野 竹人 氏
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