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パナソニック インパルス:月刊HUDDLE MAGAZINE 2023年度 第4回

「月刊HUDDLE MAGAZINE」Vol.107 2023年6月号にて、LS #43 片山佑介選手のインタビュー記事が掲載されました。

インパルスは頑張っている人を
必ず評価してくれるチームです

LS #43 片山佑介

大阪市立大学出身※
パナソニック株式会社エレクトリックワークス社
電材&くらしエネルギー事業部勤務

『一人のスターに頼らない全員フットボール』。2年連続ライスボウル進出を果たした強豪、パナソニックインパルスには創部以来貫かれている哲学がある。主力メンバーは大学時代の有名選手ばかりではなく、大学時代は無名だった選手が欠くことのできない存在へと成長を遂げている例も少なくない。2017年に関西学生ディビジョン3の大阪市立大学(当時)から加入した片山佑介は、度重なる負傷に見舞われながらも、挫けずに努力を重ねてLSという新たなポジションで信頼を獲得した。チームの誰もが一目置く努力を重ねてきた片山は、チームメイトたちの励ましによって、どんな時も前向きに取り組み続けることができたという。


―― フットボールを始めたきっかけを教えてください。

片山 市立西宮高校に入学した時に中学時代の先輩に誘われて始めました。
高校はTE/LB兼任で主将を務めるなど、フットボール中心の生活でした。大学は国公立の大学に進みたいと考えており、フットボールを続けるかは考えていませんでした。しかし、高校の顧問の飾森宏先生に『せっかくフットボールに出会ったのだから、長く続けてほしい』という言葉が胸に残っていました。大阪市立大学(現・大阪公立大)の受験はユニーク選抜だったのですが、フットボール部で主将をしたことを中心にレポートを書いて提出しました。

—— 大学時代は怪我に悩まされたそうですね。

片山 1年生の時から膝や足首など怪我が多かったのですが、部員が少ないこともあって、無理をしてLBとTEを兼任して試合に出場していました。3年生の夏合宿では肩を脱臼し、保存療法で様子を見ていたのですが、4年生のシーズン中に再び脱臼してしまい、以来、頻繁に脱臼するようになってしまいました。副将だったので弱音は吐けませんでしたが、パフォーマンスはあがらず、精神的にも体力的にもきつかったです。

—— そこまで苦しい思いをしたのに、社会人でフットボールを続けようと思ったのはなぜでしょう。

片山 不完全燃焼のままフットボール人生を終えたくなかったからです。大学で満足にフットボールができていたら、社会人では続けていなかったかもしれません。どこまで自分ができるのか挑戦したいと思い、インパルスのセレクションを受けました。
部活を引退してからも社会人に向けてトレーニングを続け、卒業前に肩の手術を受けました。退院後はインパルスのトレーニングルームに通ってリハビリも見てもらいました。
いつでも使えるウエイトルームがあり、専属のアスレティックトレーナーやストレングスコーチにケアしてもらえる環境は経験したことがなく、すべてが新鮮でした。恵まれた環境を最大限に生かして、上手くなろうと燃えていました。

—— しかし、インパルスに入部してからも、怪我との戦いが続きましたね?

片山 1年目は華々しい経歴を持つ選手が多い中で、なんとかして自分をアピールしなければ埋もれてしまうという危機感がありました。ほぼ毎日トレーニングをしていたのですが、秋のシーズン前に右膝の半月板を損傷していました。焦りもあって無理をしてしまい身体が悲鳴をあげているのに気づかなかったんです。
縫合手術をして半年後にリハビリをはじめましたが、またオーバーワークでぶり返してしまい、2、3年目は選手登録メンバーから外れてしまいました。毎日リハビリを頑張っても、フットボールができるのはいつになるか分からない。どうして自分はここにいるんだろうと、精神的に不安定な時期もありました。
4年目(2020年)の春は調子が良く、今年はいけるぞと思った矢先、アキレス腱を切ってしまいました。

—— 辛い時に支えになったのは?

片山 LBのメンバーはもちろん、攻撃のメンバーやコーチ陣など、いろんな人が私のことを気にかけて、励ましてくれました。戦力にはならない自分を、チームメイトたちは見捨てずに仲間として認め続けてくれていました。挫けそうな時に、頑張ろうと踏みとどまれたのは皆のおかげです。日本一を目指す中で、自分には今何ができるだろうと前向きに考えることができました。

—— 2021年にロングスナッパー(LS)になった時の心境は?

片山 アキレス腱の負傷からリハビリがスタートしたところで、LBとしての完全復帰は厳しいけれど、LSなら試合に出られる可能性があるのではないか、チームに貢献できるのではないかと考え、自分からコーチに挑戦したいと伝えました。
LSは高校2年の時に少し経験があるぐらいで、1からのスタートでした。練習が始まる前からグラウンドに出て、練習後もグラウンドの照明が消えるまでスナップを投げ込み、チーム練習がない日も自主練習をしていました。投げ込むほどに上達を感じられたので、苦にはならなかったですね。

—— 今後の目標を教えてください。

片山 昨年は怪我をしないでシーズンを乗り切れたのはよかったのですが、そこに注力するあまりに、LSとしての能力を伸ばすことができませんでした。LSとして確固たる地位を築くためには、もっとスキルを上げていかなければいけません。今年はスナップの精度はもちろん、スナップを出した後のカバーのスピード強化やタックリング強化にフォーカスして取り組んでいます。
インパルスに入って挫折もありましたが、努力して新たなポジションを獲得できたことに喜びを感じています。
インパルスは頑張っている人、努力している人を必ず評価してくれるチームです。自分の経験を後輩たちにも伝えていきたいと思っています。

Yusuke Katayama

かたやま・ゆうすけ。1994年11月26日生。幼少の頃はラグビー、剣道、中学時代は軟式野球に取り組み、市立西宮高校でフットボールを始める。3年時は主将としてチームを率いた。大阪市立大では3年時から副将を務めた。2017年入社。本来はLBだが、度重なる負傷によって2021年にロングスナッパーに転向。ミスのないプレーで信頼を集めている。183センチ93キロ。ベンチプレス120キロ、スクワット220キロ、クリーン120キロ。仕事では住宅向けのIoT関連商品の商品企画を担当している。

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