お茶漬けやご飯の際には欠かせない漬物。古くからある料理で、大和朝廷の時代にはすでに漬物を作っていたという記録が残っています。漬物のことを「香の物(こうのもの)」と呼ぶことがありますが、この言葉は「聞香(もんこう)」からきていると言われています。聞香とは香木を燃やし、その香りをかいで香木の名前を当てるという室町時代に盛んに行われた高尚な遊びです。今日でも、「香道(こうどう)」として華道や茶道と同じく、家元制度で作法などが伝えられています。次から次へと出てくる香りを嗅いでいるうちに、だんだん感覚が鈍ってくるため、香木を嗅ぐ合間に漬物を食べて鈍ってきた嗅覚を正常に戻していました。このことから、諸説ありますが「聞香のときに口にする物」が「香の物」となり、漬物を「香の物」と呼ぶようになったと言われています。
参考書籍:雑学大全 東京雑学研究会