テクノストラクチャーの産声

施工主様に安心して暮らしていただける住まいを

そんな思いから、平成5年(1993年)6月、4名から成る調査プロジェクトが発足。まず取り組んだのは「日本国内にある工法を、すべて洗いざらい調べる」ことでした。パナソニックは、インテリア内装からキッチン、バスルーム、外壁まで、住まいの設備・建材をトータルに開発し、お客様に提供しています。しかし、それらの商品を盛り込む器である「家」そのものがしっかりしたものでなければ、元も子もありません。「お客様に安心して暮らしていただける住まいを提供したい」。そんな発想から「松下電工(現パナソニック)で住宅工法を開発しよう」という動きが芽生え始めました。

木造住宅に住みたいけれど・・・

新工法の開発に当たり、昔ながらの在来工法からプレハブ住宅まで、あらゆるものについてどのような工法が存在し、どのような住宅が建てられているかを調べました。調査の結果、まず明らかになったことは、現在建てられている戸建住宅の数でも「建てたい工法」でも、在来木造住宅がトップということでした。
ところが、現場では匠の技を持つ熟練工不足が深刻化しつつあり、建てる側の技量が性能に大きく左右する在来木造住宅において、性能に対する不安が次第に大きくなっていました。

長く暮らせる住まいを

そこで「熟練した大工さんでなくても建てられ、かつ高品質な強い木造工法を」。このコンセプトが、新工法開発の原点となりました。
「家」は住む人・住む場所によって一軒たりとも同じものはありません。「お施主様が安心して長く暮らせる住まいは、その土地のことをいちばんよく知っている地元の住宅会社や工務店に建ててもらうのがいちばん」。
松下電工(現パナソニック)が、「家」そのものではなく「工法」の開発を目指したのは、そんな思いがあるのです。

平成5年(1993年)12月。
ついに開発メンバー、集結。

「今までにない強い木造工法開発」のために、2つのテーマが掲げられました。まず、住宅の重みによって大きな負荷がかかる柱や梁に鉄骨を用いて、住宅の強度とプランの自由度を飛躍的に高めること。そして、その強さの裏付けとして、一軒一軒すべての住まいで構造計算を行うこと。これは、職人技に頼りがちだった木造工法の常識をくつがえすほどの難事業。おぼろげに見える新工法の姿に向かって、手探りの開発が始動しました。

まず第一の目標を設定。

開発メンバー集結当時は、建設省(現在の国土交通省 以下略)の外部団体である「財団法人日本住宅・木材技術センター」(以下住木センター)によって、「木造住宅合理化システム認定」が始まったところでした。これは「良質で適切な価格の木造住宅による、合理化した生産供給システム」と判断されたものに与えられる認定です。
まず第一の目標を、この認定を得ることに定めました。

新工法誕生へ。

「躯体の一部に鉄を組み合わせた、高強度を実現する新工法」に向けて、開発が急ピッチで進められ、少しずつその仕様が固まっていきました。そして検討を重ねていく中で、曲げ方向に力がかかる梁には曲げ強度の高い鉄骨を、圧縮方向の力がかかる柱には圧縮強度の高い木材を使用することに決定。さらに接合方法はどうするかなど、毎晩遅くまで調査・検討を重ね、少しずつ新工法の形をつくりあげていきました。

工法名の決定。そして本格開発へ。

そして新工法の内容がほぼ完成に近づいたころ、開発メンバーは両手に持ちきれないほどの資料を抱え、一路東京へ。苦労の甲斐あって、平成6年(1994年)5月には、ついに住木センターの認定規準をクリアし、合理化システム認定を取得。
工法名は、匠の技(テクニック)とテクノロジーの融合した(→テクノ)構造体(=ストラクチャー)という意味合いを込めて、「テクノストラクチャー(工法)」に決定。いよいよ発売に向けて本格的な開発が始まろうとしていました。

「財団法人日本住宅・木材技術センター」について。

上記センターでは、平成6年(1994年)より、「新世代木造住宅供給システム」認定事業も行っています。認定対象は『先進的な企業などによって開発された、木造軸組み住宅にかかわる営業から設計、資材調達、施工、維持管理までの一貫した生産供給システム』であり、『大工・工務店がオープンな形で活用でき、かつ供給される住宅の品質、性能および生産性の向上と生産現場の省力化が推進されるようなシステム』です。

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3つの課題への挑戦

待ち受けていた3つの難問

平成6年(1994年)6月、本格的な開発がスタートしたテクノストラクチャー。しかしそこには3つの難問が待ち受けていたのです。
発売に向けて本格的な開発をスタートさせた開発スタッフを待ち受けていた「結露対策」「構造計算の確立」「施工性の向上」という3つの課題。
そこで開発に新たなメンバーを加え、チームを再編。3つのテーマに分かれて課題をクリアするべく開発が進められました。

結露対策をどうするか? その1

構造体に強度を持たせるため、梁に「鉄」を使用したテクノストラクチャー。まず、ぶつかったのが梁の「結露」という問題でした。
結露とは一般的に、空気中に含まれた水蒸気が冷たい外気によって表面温度が低下した窓や壁に触れ、水滴となって付着する現象をいいます。金属は熱や冷気を通しやすい性質があり、結露が起こりやすいため、テクノビームにとって結露対策が非常に重要な課題となりました。

結露対策をどうするか? その2

結露対策に有効な主な手段は、冷気を伝える部分の断熱と余分な湿気を排出する通気の確保。開発メンバーは、寒さの厳しい北海道・帯広にある松下電工(現パナソニック)試験場に試験棟を建設し、検証をスタート。連日連夜、早朝から深夜まで氷点下20℃を下まわることもある極寒の地で、冷え込み時のテクノビーム表面や壁内の温度分布を調べ続けました。
壁内に湿気をためないための通気の工夫やテクノビームへの専用断熱材の開発、また外気にもっとも触れるバルコニー部分の断熱性能の強化など工夫を重ね、一つ一つ細かに仕様を設定していきました。そして、ついに結露対策が完了。冬の寒さも緩みはじめたころでした。

木造住宅に安心な「構造計算」を その1

実験によりさまざまな仕様が決定されていく一方、テクノストラクチャー開発の最大テーマでもある「構造計算」の構築へ、急ピッチで作業が進められていました。部位によって接合強度が異なり、材質・長さ・太さなどの異なる部材を使用する木造住宅にとって、その「強度」を客観的に計算することは非常に難しく手間のかかる作業です。当時、木造住宅で構造計算が行われていたのは3階建住宅くらいで、通常、構造強度は熟練工の経験・知識・勘に委ねられるのが当たり前の時代。そんな中、あえてその困難に挑んだのは、木造住宅の強度をしっかり確保し確実なものにすることが、「安心して長く暮らせる住まいを」というコンセプトに対して必要不可欠だったからです。

木造住宅に安心な「構造計算」を その2

目指したのは、一般的に使用されることが多い簡易的な構造計算レベルではなく、住宅クラスの建築物ではあまり使われない高度な3次元構造解析を行うシステム。これは、住宅のプランを入力することで、構造計算から伏図などの関連図の出力、構造材の拾い出しまでを一貫して行い、部材の配置を決めると、コンピュータが構造部材(柱・梁・筋かい等)の1本1本に加わる力を検証し、強度確認及び構造計算を行うというものです。しかし、構造仕様自体がまだまだ開発途上という段階。システムを開発するための細かい条件がそろった状態ではありませんでした。仮説をもとにプログラムを組んでは検証し、不具合を見つけては一つ一つつぶしていく・・・。そんな手探り状態の作業を繰り返し、発売に向けてプログラムが作り上げられていきました。

施工性が悪くては意味がない!

「いくら高品質、高強度な住宅を実現する工法であっても、施工しにくければ意味がない」。工場生産されるテクノビームをはじめ、主要構造材の標準化を進めながら、実際の現場での省施工化を目標に、構内で試作棟を建設。開発メンバーも自ら工具を手に、検証作業を進めていきました。
検証作業は6月からスタートし、5ヶ月間で実際の住宅の骨組を2度も建設しては取り壊すという、大変な施工確認実験となりました。朝7時から作業を開始し、日が暮れてからは反省会と翌日以降の作業へのフィードバックの日々が続くのでした。

改善項目を一つ一つクリア。そして・・・

日々のフィードバックの中で「階段ののぼりきり部には木材を使用すべき」、「屋根の納まりはこの方がいい」など、次々と出てくる改善項目を一つ一つクリアしていきました。テクノストラクチャーの特長の一つ、可変空間提案にもつながる「フリーウォールシステム」への発想も、このような気の遠くなるような試行錯誤の中から生まれたものでした。
そして、3度目の試作棟建設検証作業が完了するころ、新しい年はすでにすぐそこまで来ていました。阪神・淡路大震災の起こる約1ヶ月前のことです。

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ナンバーワンを目指して

真価を世に問うとき
1月17日の大震災

3度目の試作棟が竣工し、無事新たな年を迎えたテクノストラクチャー。今まさに発売に向けて動き出そうとしたした矢先、突然襲った自然の猛威。それは、忘れることのできない大震災、「阪神・淡路大震災」の大惨事だったのです。
テクノストラクチャーの最終試作棟が建っていた大阪府門真市では震度5を記録(建設地は軟弱地盤上だったため、実際のゆれは震度5を上回るものと考えられました)。平成7年(1995年)1月17日午後5時46分のことでした。

試作棟は大丈夫か?

早朝に起きた大地震に飛び起きた開発メンバー。まだ、眠気の抜けきらない頭に真っ先によぎったのは「試作棟は大丈夫!?」という思いでした。幸いにも、震災の混乱に巻き込まれることのなかったメンバーは、慌てて試作棟の元に集合。試作棟へ向かう途中、頭に浮かんでいたのは「倒れていたら、テクノストラクチャーはおしまいだ」という祈りのような思いばかりでした。

ニーズの強まる「地震に強い住宅」

震災時、ようやく現場までたどり着いたメンバーの目に飛び込んできたのは、堂々とそびえたつ「新しい木の家」でした。その姿は、開発メンバーには非常にたくましく、大きな存在に映りました。震災の被害が明らかになるにつれ、「地震に強い住宅」へのニーズは日に日に大きくなっていきました。そんな世間の声に後押しされるかのように、平成7年(1995年)6月、ついに熊本で記念すべき第一号邸が上棟。棟上げを見た現場の人々からは、「骨組みがきれいで、見ただけで強さが伝わってくる」と感嘆の声も上がりました。
そして、7月からはいよいよ全国に向けて出荷が始まりました。

市場に受け入れられない・・・襲い来るジレンマ。

耐震性の高い工法を待望する世間に、諸手をあげて迎えられ、爆発的に普及するかに思われたテクノストラクチャー。しかし、世間はそれほど甘いものではありませんでした。新しい工法への抵抗感、不安感・・・。「いいもの」であるという思いと、市場に受け入れられないジレンマが、開発メンバーを襲いました。何が問題か?現場での声を元に再び始まった改良の日々。市場からの要望、不満など一つずつ改善し、よりよいものとするために開発が進められました。

実大実験による確証と自信。

阪神・淡路大震災の詳細なデータがはじき出されたその年の12月には、そのデータを用いてテクノストラクチャーの強さを実際に確認するため、世界最大級の振動施設を持つ(財)原子力発電技術機構 多度津工学研究所にて実物大の住宅を使った耐震実験を実施(写真)。産学からの関係者が見守る中、耐力壁の量を減らしたり、仕様を変えたりしながら、計5回の振動実験を実施しました。実験後の調査では、主要構造体および接合金具の損傷、変形も見られないことが確認され、耐震性の確かさが実証されました。そして、この結果はメンバーに大きな自信を与えたのでした。

改良を重ね、新商品・新仕様を開発。

数々の市場の声に応えるべく、改良が進められたテクノストラクチャー。その甲斐あって、徐々に世間に浸透し、各地で「テクノストラクチャーの家」が建てられるようになってきました。
平成8年(1996年)には、準寒冷地タイプを発売。その後、3階建タイプ、ビーム&パネル(高気密・高断熱)タイプ、Mフレームシステム、フラットルーフなど、お施主様の夢をかなえ、長く快適に暮らしていただくための新商品、新仕様を次々と開発しています。

市場ナンバー1を目指して

その後、「木の家を、強く広く。」をキーワードに、パナソニック耐震住宅工法テクノストラクチャーの家は、日本全国で50,000棟を超える数が建築されています(2015年12月末現在)。
「木造住宅工法のナンバー1に」という目標を掲げて開発を始めたテクノストラクチャー。今現在では、「未来にずっと続く住まいを『ロング&スマート』」をコンセプトに、目標を実現すべく今日も研究・開発が続けられています。

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現在までの歩み

熟練の大工でなくても建てられる
高品質な強い木造工法を開発する、
というコンセプトを決定。

木造住宅は熟練した大工の
経験と知識を元に建てられ、
構造強度は勘に委ねられていたが、
強度を客観的な指標で
確認できる「構造計算」の
システム開発を目指した。

高品質で高強度な住宅でも
施工しにくければ意味がない。
試作→施工確認を繰返し、
検証を行った。

試作棟のある大阪府も大きな揺れを観測。担当者が現場にかけつけたが、基礎にわずかなひび割れひとつなかった。※後日の検証で震度7相当の揺れと推定。阪神淡路大震災を機に、木造住宅の耐震化ニーズが高まった。

建設省(現在の国道交通省)の外部団体 「財団法人日本住宅・木造技術センター」によってはじまった「木造住宅合理化システム認定」「良質で適切な価格の木造住宅による、合理化した生産供給システム」と判断されたものに与えられる認定を取得。

テクノストラクチャーの1号棟が
熊本で上棟。以降、全国に向け
商品が出荷されていった。

試験用の間取りではなく、
一般的によくある間取りの
家を建てて実験。
阪神大震災と同等の揺れを
5回受けても、主要構造体や
接合金具の損傷はなかった。

社員の期待を乗せ、三三七拍子に見送られ、テクノストラクチャーが初出荷。

木造住宅の耐震基準が強化された。

省エネ基準が改正。
住宅の断熱化促進の動き。

Mフレームの活用で、都市部の限られた敷地条件でも快適に暮らせる3階建てが実現。都市居住のニーズに対応しやすくなった。

発売からちょうど9年、
10000棟の節目を達成。

床面や天井高に変化をつけ、
+αの収納空間や開放感の
あるリビングを実現。

この時から「構造計算」という
言葉が一般の方にも
知られるように。
テクノストラクチャーでも
この事件を機に、発売以来
全棟で行ってきた構造計算の
重要性を改めて実感。

建築物の安全確保のため法改正。
テクノストラクチャーの構造計算も
法改正に対応したものに。

壁に曲線デザインを
取り入れることにより、
より個性豊かな
美しい外観が可能に。
敷地の有効利用にも。

地震時の室内の安全性向上まで
考えた地震対策。制震システムで
耐震住宅にさらなる安心をプラス。

国による住宅の
長寿命化への動き。
長期的に良好で優良な住宅の
普及のための、
認定制度ができる。

柱や梁など、住まいの骨組みの上から家全体を断熱材ですっぽり覆う外張り断熱工法で、一年中、家中を快適に保つ。

北は北海道から、南は鹿児島まで。
みなさまに選ばれて
累計30,000棟を達成。

熟練の大工でなくても建てられる
高品質な強い木造工法を開発する、
というコンセプトを決定。

省エネ基準がさらに厳しくなり、
設備機器の省エネ性の
判断基準も加わった。

屋根に穴を開けずに
太陽光発電システムを載せられる、
テクノストラクチャーオリジナルの屋根。美しく一体感のあるデザインと、通気を確保した機能性を両立。

“外張り断熱+充填断熱”の
ダブル断熱で、
家の断熱性能を
さらに高めるシステムで
快適な暮らしを実現。

全国で、多くの
お客様に選ばれて
累計40,000棟を達成。

テクノストラクチャー
発売20周年を機に、
“未来に、ずっと続く住まいを
ロング&スマート
テクノストラクチャーの家”
をキャッチフレーズとし、
長く住める価値ある
住まいづくりを目指す

全国で、多くの
お客様に選ばれて
累計50,000棟を達成。

東京 豊洲に、
テクノストラクチャーラボと
パナソニックの最新設備を搭載した
ZEH型ショウルームが
グランドオープン!

テクノストラクチャーの
耐震構造との組み合わせにより、
一般木造住宅と比べて
揺れを低減する
新しい制震システムを発売。

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